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Review List of ほんず内閣総理大臣 

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     2014/02/05

    交響曲だけがステレオで、他の曲はモノラル。ですがねぇ、このモノラルが驚異的な水準で、要は左右への拡がりがないというだけで、鮮度もレンジもきちんととらえられた実に見事なもの。デッカのハイレベル、まことに驚くべきであります。逆に交響曲が、オルガンのクローズアップに妙な色気を出し過ぎて不自然な音像です。殊に低域の唸り方は、ブースターで増幅したような強調感があって、どうも耳がそちらに行きがちで音楽そのものを虚心に聞くことが難しい。つまり、録音のマジックの誇示が先に立ってしまって、音楽の再現が二の次になってしまった印象があるのです。アンセルメのアプローチ自体はじっくり構えてゆったり歌ったなかなかに立派なものなのですが、興味関心がそらされてしまった感あり。オケの音も、中〜低域がやや薄く、それを助長します。惜しいなあ。なのでいっそう、モノラルの曲目がいい味出して活きていると感じられます。正直、微妙な印象のディスクでした。技術者たちの「色気」が演奏者の足を引っ張ったと言えば、言い過ぎかなあ。ま、それなりに楽しめるディスクではありますが、お薦めとは言えないかもね。

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     2014/02/04

    スペイン狂詩曲がクリーヴランド管との演奏で、1969年の録音。ほかはみなニューヨークフィルとの1974年の録音。で、このニューヨークフィルとの演奏が実にすばらしい。ブーレーズらしい精妙なアプローチを、最高にゴージャスな響きで表現しました。この時期のニューヨークフィルは士気が高かったのでしょうか。艶のある弦と華やかな金管がいかにも魅力的であります。その輝きは、自らが光源であるというよりかは、他の光を反射して四方八方にまき散らすような、そんな眩しさに彩られております。ラヴェルの音楽の美しさと華やかさをこの上なく表現した、実に魅力溢れる出来栄えです。いや〜、堪能しました。後年のベルリンフィルとの演奏よりも、こと輝きという点ではこちらが上ではないでしょうか。録音も大変優秀で、何の不満もありません。すばらしい、傑作!

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     2014/02/03

    ヒストリカル音源。1963年のライヴでしかもこの大編成の曲ですから、ハンデはものすごくあります。音に鮮度はなく、ダイナミックレンジも狭い。バランスも不良で、打楽器の目立ち方がいかにも変だし、総じて録音はよくありません。全曲を約72分で終えておりますが、第1楽章の提示部の反復がないことと、総じて速めのテンポであることによります。各楽章の性格の描き分けを目指したものではなく、全曲をひたすら勢いで乗り切ろうとした、そんな感じもしまして、コンドラシンのライヴと似たような傾向であります。しかし、テンポが揺れ動き、特に第1楽章ではブレーキとアクセルの掛け方が変で、オケがきちんとついて行っていないところもあります。第2楽章は味わいに乏しいスケルツォ。第3楽章は抒情の不足。そして第4楽章では、ハンマーは相当ずしっと響きますが、弦や管が今一歩弱い。といふことで、正直、不満の多い出来となりました。イスラエルフィル・ヘリテージのシリーズに、演奏の弱さと録音の不備とが否めないこの古い録音がわざわざどうして選ばれたのか、なかなか理解に苦しみます。酷評という感じになってしまいましたが、致し方なし。

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     2014/02/01

    シュテンツさんのマーラー。以前に聴いた何番だったかがあまりいい印象が無く、その後のリリースを手に取ることはありませんでした。なんかねぇ、作り物めいた不自然さがあって、特にブレーキとアクセルの効かせ方があざとくて大きな流れに欠ける、と思ったのであります。この第8番でもそういう個所が皆無とはいえません(第1部)。とはいえ、しっかりと統率するだけでも大変なこの曲、シュテンツさんもちゃんと心得ております。第2部ではなかなかに壮麗なクライマックスを築いてうまくやりました。オケとコーラスはまあまあ。力強さと踏ん張りでやや物足りない。ソリストはややデコボコ。バスはなかなかつらそう。高い音域が多いからねぇ。女声も今一歩かな。録音は優秀。大編成をバッチリとらえてミクロもマクロもしっかり再現されています。シュテンツさん、第8番は(比較的)落ち着いて聴けました。ま、よかったかな。

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     2014/02/01

    往年の名指揮者、ポール・パレーさんの珍しいライヴ。第2番は1976年、第3番は1971年の録音。CDのジャケットには「モノ・レコーディング」と書いてありますが、聴いてみますと、HMVさんの言うように、第2番はステレオです。第3番も基本はモノラルなのでしょうが、たまに左右への拡がりが感じられたり左右で違う音が聞こえたりしますし、ステレオ開発以前のモノラルのような中央に定位したモノラルの音像ではありません。1970年代の録音といいながら、鮮度や明瞭さに著しく欠ける録音状態でして、ラジオで放送されたものをカセットデッキで録ったかのようなレベル。減点ですな。演奏はというと、推進力のある、きりっとしたもの。第2番の時はパレーさんはなんと90歳!この若々しさと勢いは大したものだな。第2楽章なんかもまさにオケを引っ張ってゆくようなもので、驚きます。総じて、ロマンとか抒情というよりかは、ますらおぶりの引き立った演奏。第3番はもう少ししなやかで、こちらはロマンティックな雰囲気の引き立つ美しげな出来栄え。といふことで、演奏はパレーさんのまったく年を感じさせない鮮烈なものでありますが、レベルの低い録音がその魅力をだいぶ殺いでしまっているという残念なところであります。このイスラエルフィル・シリーズ、年代の割にモノラルの例が多いというのはどういうことなのでしょうねぇ。

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     2014/02/01

    ブラームスを聴いて大いに感服したので、こちらも聴いてみました。これまた大変に良い演奏です。スコアの忠実な再現とかいう音楽への入り方ではなくて、現場で培った経験に基づいて音楽それ自体の表わそうとする「想念」をしっかり造り上げる、そんな感じです。「悲愴」の表題通りの音楽がうねり盛り上がりそして沈んでゆく、みごとな表現だと思います。オケも健闘しております。弦はやや響きが薄く、金管はたまに力不足っぽい音を出したりします(ごくたまに)けど、総じて力と意欲のあるよい演奏です。録音もまことに良好で、鮮度もレンジも十分。聴き終えまして大いに満足いたしました。私個人はこの指揮者(リンデンベルクさん)には記憶がないのですが、かつてのLP時代の廉価盤の雄であったそうで、録音がたくさん残っているのならもっと聴いてみたいなあという気持ちにさせられます。

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     2014/01/27

    バーデンバーデンのハイレベルな上演の記録。歌手はみな好演で、特にマイアーは演技も含めて白眉でしょう。高音はやや辛くなった感もありますが、表情豊かでクンドリーという「不幸な」女性を見事に表現しました。ヴェントリスもいいんじゃないでしょうか。三つの幕でそれなりにパルジファルという人物の「立ち位置」を描き分けていると思います。声にもう少し強さがあればいいですね。第3幕で陶酔感がいっそう出ると思います。ヴェテランのザルミネンのグルネマンツも終始存在感のある出来栄えでしょう。ただやや癖のある歌や声には好き嫌いは出るかもしれませんね。ハンプソンのアンフォルタスはやや線が細いですが、これは演出の意図であるかもしれませんし、もとより出来は悪くありません。脇役やコーラスも立派。ナガノの指揮はやや軽めの印象で、個人的には感銘度は今一つ。神秘さや壮大さは敢えて抑えたのでしょうか。レーンホフの演出は、意図はわからないでもありませんが、こういう形にしなくても意図は表現できるんじゃないの、と思えてなりません。例えばティトゥレルは確かに老醜の化石のような人でしょうけれど、こんなガイコツで表現しなくても、他に表わしようはあるんじゃないの?また、騎士たちもまさに信仰に身をささげる「騎士らしさ」をもっと持たされてもいいんじゃないの?ワーグナーがこの作品に込めた「罪」や「救済」についてもっと共感的であってもいいように思いました。画質と音質は優秀。総じて結構ではありました。

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     2014/01/26

    大変に魅力的なオペラながら、なかなかに馴染みがありませんので、このディスクのように日本語字幕があるのはまことにありがたき幸せ。さてこのトリノの上演、大変質の高いものではないかと思います。主役二人は熱演ですし、脇を固める歌手たちもいいのでは。何よりノセダ指揮するオケが特にいいかと思います。マスネの繊細優美なタッチをよく表現していて、美麗なる出来栄えです。演出はどうも思わせぶりな象徴主義といふ感じで、個人的にはあまり気に入りません。聖と俗、昇華と堕落、そういう二項対立をきっちりつけて、あとは登場人物たちの感情の揺れを歌手たちにきっちり演じさせればそれでいいんぢゃないかなあ、と思いました。それにしても、魅力的でかつ不思議な作品です。タイスとアタナエルの二重唱の部分は変形した「愛の二重唱」とでもいうべきもので、違う方向性を向きながらも近づいていこうとする内容の、何とも面白いもの。全曲最後の二人の歌は何度聞いても感動してしまいます。「天国なんて嘘だ!」とまで言い切ってしまうアタナエルの悲痛な嘆きは、心に「ずんっ!」ときます。さて、画質はとてもきれいで文句なし。音はやや中〜低域が薄い気もしますが、これはマスネのオーケストレーションや演奏者のバランス感覚によるもので、録音の不備ではありますまい。総じて、これはこれで良いソフトかと拝察します。

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     2014/01/25

    音は年代相当ですが、ホントはもう少し状態が良くてもいいかなあという気はします。また、楽章の終わりの編集で無造作な処理もあります。さて、演奏。お目当ては怪物指揮者のホーレンシュタインでして、すげえものを聴かせてくれるかと思いましたが、意外にそんな特徴はありません。音のせいもあるかな。あるいは客演のライブということもあるかな。このオケとはずいぶん協演してますからだいたい手の内はわかっているかと思うのですが、それでも一筋縄ではいかんのかな。プロコフィエフはまあまあ。チャイコフスキーはモリーニさんとの呼吸が合わない個所もちょくちょくあり。あと、第3楽章に短いカットあり。といふことで、期待したほどではない、といふところです。

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     2014/01/25

    これは大変結構なアルバム。大いに堪能しました。ロペス=コボスさんらしい清潔な抒情と端正な造形が特徴で、テンポやバランス、ダイナミクスの全てが踏み外しのないぴったりはまったもの。オーケストラがまた大変に充実していまして、弦も管も打楽器もしっかりとした能力を発揮して、美しい出来栄えであります。そして録音もまた毎度のテラークの超優秀な成果です。つややかな弦の音色はとてもよく再現されておりますし、打楽器のずしんとくる量感も迫真的。特別な個性的表現には乏しいかもしれませんが、曲の魅力をとてもよく表現した演奏として、高い評価にふさわしいと思います。満足。

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     2014/01/23

    アバドさん、お亡くなりになったとのこと。追悼の気持ちを込めて、最近入手したばかりのこのディスクを聴きました。アバドさんはこれまでシューマンの交響曲のレコーディングはなく、80歳にして初の録音というのもまた話題であります。さて、ここまではほぼ絶賛の嵐のような状態でありますが、私は、どうも良い印象を持ちませんでした。例によって繊細な姿勢で曲を扱い、特に楽器のバランスなどで独自な処理が聴かれるようです。それが何かシューマンの音楽をいささか人工的なものとし、美しさや自然な感興を減退させているように感じます。序曲はまあ普通。ある時期からアバドさんは楽譜の選択や音楽の処理に関して妙に「理」に走る傾向が出てきたように思いますが(ブレイン集団がいたんですな)、このシューマンでもやや「理」が先に立ったのかもしれませぬ。悪くはないですが、よいとも言い難いという感想です。最晩年の一つのチャレンジであったのかもしれませんが、もっと前に自然体で臨んだ方がすばらしい成果になったかとも思われます(勝手な想像)。追悼文らしからぬ評となりました。アバドさんが真価を発揮したもっと別なディスクにて、あらためて彼の功績については明らかにしたいと思います(上から目線ですみません)。来日公演でのマーラーはホントにすばらしかったですし、私個人はアバドさんの指揮者としての立派さを大いに評価しているものであります。

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     2014/01/23

    たうたう一枚の廉価盤になったのですな。あらためて聴きました。実は以前に聴いた時にあまり印象が残っていなかったのですね。聴き直してやはりそれは仕方がないなと感じました。ここでのカラヤンは決して強烈にオケを牽引してはおりません。基本はウィーンフィルに委ねながら、ところどころ(決して要所要所ではない)で「力瘤」を入れて仕上げておいた、という調子でありまして、特に第1〜2楽章は「緩み」もないわけではない、という気がします。第3楽章はゆったりと美しく、第4楽章はそれなりにきりっと終わりました。ただ全体としてはそんなにいい演奏だとは思いませんでした。名演でないことは無論であります。ウィーンフィルもなんだかウィーンフィルらしくない。能力全開とはいかなかったようです。微妙なところも残りまして、評価はやや下がります。

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  • 6 people agree with this review
     2014/01/18

    基本はショルティさんらしい筋肉質のブラームスですが、決して乱暴でもないし力任せでもありません。むしろずいぶんとニュアンス豊かな演奏でして、弦楽器(特にチェロ!)の歌い方にはむしろ抒情味豊かなものを感じます。かつてのショルティさんはフォルテとピアノのメリハリが極端でしたが、ここではその中間のグラデーションがしっかりと表れていて、ショルティさんの円熟をはっきりと聞き取れるでしょう。さて、個別に述べましょう。第1番はやや前のめりになるくらいの推進力がある、いかにも毎度のショルティさんらしい演奏。ホルンの鳴らし方が「いかにも!」ってなところです。第2番は晴朗にして落ち着きのある名演。第3番は意外にもやや脆弱なような表現で面白い。第4番は、そのやや陰った抒情の表現に手こずったような気もします。序曲は二つともパリッとしたいい演奏。録音は良好。デッカの一時期の悪い癖で、マルチマイクの強調がやや感じられ、オケ全体の量感がやや不足。ま、トータルとしては、なかなかに良い全集だと思いました。ショルティさん円熟期の成果。

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  • 2 people agree with this review
     2014/01/17

    時代や政治に翻弄され、天賦の才を存分に発揮することができなかったのかもしれないコルンゴルト。その代表的なオペラ。マーラーとR=シュトラウスとレハールを足して2で(!)割ったような音楽であります。三人を足して2で割るというのはどういうことかといいますと、上記3人の作曲家たちが踏みとどまった部分をコルンゴルトは踏み越えた(飛び越えた)という感じで、しかもそれは新しい世界ではなくて、耽美的・享楽的なところで「越えた」ということです。そこに一種の「危うさ」を当時の人も覚えたのではないかなあ。このオペラも「傑作」だと言い切る自信は私はありません。しかし、「魅力的な作品」であることは断言いたします。美しいメロディーや響きに溢れた、人を酔わせる瞬間の絶えない作品です。演奏は敢闘賞というところでしょう。スウェーデンの歌劇場のライブで、舞台の音や拍手も収められております。ほぼ出ずっぱりのような主役のテノールもかなり頑張っておりますが、発声がやや硬く「ナマ」の声が時に聴こえてそこは残念。ヴォリュームでは女声が勝っちゃったかな。脇役も含め、みんな頑張っているかと思います。ゼーゲルスタムの指揮は無難というところでしょうか。抒情と輝きとでもっと盛り上げることはできたかもしれません。録音は優秀。廉価盤ということもあり、ちょっと興味をお持ちの方にはぜひお聴きするようお薦めいたします。なお、コロを主役に据えたラインスドルフ盤がついちょっと前にいっそうの廉価盤で出回っていましたが、今は入手できなくなったようです。実はそちらが大変に優れた出来栄えで、特にコロの歌は比類ない、最高のものでした。もしそちらを見かけたらぜひともお買い求め下さいませ。

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     2014/01/15

    なかなかに面白いアルバム。曲目は基本的にテノールのザイフェルトに合わせた選曲に見えます。タンホイザー、ローエングリン、ジークムント、いずれもそうですやね。そして基本はデュエットであり、『タンホイザー』は第2幕、『ローエングリン』は第3幕、『ワルキューレ』は第1幕からの選曲です。だから「ローマ語り」はなく、「遥かな国に」(名乗り)もなく、「ワルキューレの騎行」もない。なんかねぇ、そこが不満と言えば不満ですな。要は「見せ場的充実感」が希薄なのですねぇ。また、ディースカウの指揮というのもポイントでしょうが、力強さと押しにいささか欠けるものがあります。といふことで、聴き終わった後の満足感はどうも足りんですなあ。ザイフェルトは好調で美声ぶりが楽しめます。ヴァラディは時々ちょっとはみ出す感じあり。

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