ヴァイオリン協奏曲第3番、第4番、第5番 シモン・ゴールドベルク、ワルター・ジュスキント&フィルハーモニア管弦楽団
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遊悠音詩人 | 埼玉県 | 不明 | 2012年08月14日
ゴールドベルクの美音に酔う。何故、彼のヴァイオリンからはこれほど高貴な薫りが漂うのだろう。大抵の場合、ヴァイオリニスト固有の癖が一つや二つはあるものだ。しゃくり上げたり、こぶしが入ったり、掠れたりすることがしばしば起こりうる。しかし、ゴールドベルクときたらどうであろう。耳につくような癖が、まるで無いではないか。響きはどこまでも澄み切っていて、適度に厚みがある。フィンガリングも正確無比で、ピッチのズレも皆無といってよい。ボウイングも考え抜かれており、節回しが至極自然である。それでいて、完璧主義者にありがちな冷たい演奏には些かも陥っていない。過度な感情移入や自己表現を避けながらも情感豊かに聴かせるのは至難の業だと思うが、さすがはゴールドベルク、実に格調高い演奏に仕上げている。音質も、モノラルながら秀逸であり、ヴァイオリンの豊潤な音色の再現に些かも不足はない。古い録音ながら、数多ある名盤の中でも、気品においてはいまだ首位の座を争える一枚と言えよう。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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