--- ストーンズ楽曲ですと、<地の塩>なんかも、ニューエスト+メスカリンでカヴァーされてましたよね。
中川 よう、覚えてるねぇ。君はソウル・フラワーのマニアやね(笑)。多分、洋子ちゃんヴォーカルで、バック、ニューエストかなんかで演ったんとちゃうかな。新宿ロフトかなんかで。あんまり覚えてないけど・・・。
--- 最近のストーンズの作品やショウにも、まめにチェックを入れていたりするのですか?
中川 もう以前とは違う角度で見るよね。同じ職業として。エンターテイナー。大規模な素晴らしいキャバレー・バンドやと思うけどね。お祭りバンド。でも、今出すCDとか聴いて、ワクワクするとかいうことはなくなってきたね。ソウル・フラワーの方が全然いいよ。ホンマにそう思う。
でも、すごいソウル・フラワーを知ってるねぇ。ファンちゃう(笑)?
--- ええ、もちろんファンですよ(笑)。僕は、ニューエスト、メスカリンでカヴァーしたものを遡って、オリジナルを知ったという曲も結構多かったんですよ。ヴァン・モリソンだったり、ヴェルヴェッツだったり、エディ・フロイドだったり。
中川 俺より下の世代やったら、多分そうやろね。60年代であったり、結構古いものが好きやったから、俺。そういうのを知ってるわけない、俺より下の世代は、当時。
やっぱり、どんどんCD化される時代やったから、80年代後半から。それはそれで、嬉しくてしょうがなかったよ。「同時代のものやないとあかん」ということではなくなったからね。古いもんでも、刺激的やから。ヴァン・モリソンは、衝撃的やったね、80年代後半の20代前半の俺にとって。
--- ニューエスト時代に<杉の木の宇宙>もカヴァーされていましたし、2、3年前ぐらいには、<Crazy Love>もカヴァーされていましたよね。
中川 もうちょっと前かな? 7年ぐらい前。『Love ± Zero』(02年)で・・・あんまり、ファンちゃうなぁ(笑)。
--- (笑)いえいえ、すみません、凡ミスでした・・・
中川 ニューエスト好きなだけちゃう?(笑) ソウル・フラワー・ユニオンはどっかで見切りを付けてんやろ?(笑) 「ちょっと、民謡は・・・反戦思想も・・・行き過ぎやなぁ・・・」みたいに思ったんやろ!(笑)
--- (苦笑)・・・そういったファンの議論が持ち上がった時に、昔、中川さんがフリーペーパー上か何かで、ボブ・ディランの“エレクトリック論争”を引き合いに、大反論したっていうこともありましたよね。
中川 相手が、そういうレベルで喋らんと分からん場合、相手のレベルに合わしたりする(笑)。
まぁ、本質的に、ロックンロールの道から離れる気はずっとないけどね。いきなり、音響派になるとか(笑)。そういうことはない、俺の性格からして。基本的にダンス・ミュージックが好きで、ロックンロール的なるものが好きで。ある意味、パンクを今もやってるよ。ただやっぱり、同じことばっかりやってる訳にはいかない。自分にとって、刺激的な日常は必要やから。変わっていかざるを得ないよね。
--- 精神性はそのままに、表現方法に色々と変化を打ち出して・・・
中川 まぁ、ミーハーやから、影響受けちゃうよね、すぐに(笑)。
--- 元々レコード屋などで働いていたからというのも、あるのでしょうね。
中川 うん。やっぱり、いまだにヘヴィー・リスナーやなと思うよ。ミュージシャンであると同時に。評論家かもしれないし。すごい好きやねんね、音楽を聴くこと自体が。
--- 今でも、レコード屋には頻繁に行かれるのですか?
中川 最近は、インターネットになっちゃったけど(笑)。どっかで情報得て、検索してね。なかなかレコード屋には・・・俺、レコード屋に行かなくなった直接的な原因があんねん。10年前、またインディーでやるってなった時、俺、各レコード屋の邦楽担当者によく会いに行って。自ら、ポスターとかチラシを持って。「ソウル・フラワーの中川ですぅ。今度こんなん出るんでよろしく!」みたいな感じで、2、3年「外回り」をやっててんけど(笑)、いろんな店がソウル・フラワーを入れなくなり始めたわけ。一応、邦楽担当者は「あ、いつもどうも〜」とか言うてんのに。のちにスパイを投入したら、入ってないわけよ(笑)。取ってないねん。そういうことが、どんどん増えていく。応援してくれるところは、ガーッと揃えてくれてんねんけど、逆に、取らないところは全然取らなくなり始めてね、5、6年前から。で、「ソウル・フラワーを入れないレコード屋なんて潰れろ!」って思い始めた(笑)。ウチを取らないところは潰れてもいい。文化的に質が低いから(笑)。理由は、すごく具体的。結構、ミュージシャンみんな、そう言うよ。特に、俺と同じ世代のミュージシャンは。命賭けて作ってんのにさ、「1枚ぐらい注文しろや」というのはあるね。
--- そうしますと、HMVにも、当然、スパイで・・・?
中川 (笑)HMV・・・やばいね〜。なんとなく、ぷらっと入ると、やっぱり見てまうね。俺が見られてないかを確認しつつ(笑)。Jポップのコーナーに入って、「1枚もないやん!」みたいな(笑)。
だから、俺、「S」周辺のバンド名だけ、よく知ってんねん(笑)。聴いたことないけど。「S」〜「O」あたりの綴りの。聴いたこともないし、どんな顔してるのかも知らんけど、名前だけはよう知ってるっていう(笑)。分かるやろ? 自分がミュージシャンなら、そうやろなと思わへん?(笑)
--- (笑)はい、僕もきっと同じことすると思います。ウチのインターネットの方では、がっちりやりたいと思っていますので。
中川 店頭でもお願いします(笑)。
--- 例えば、くるりの岸田さんだったり、電気グルーヴの石野卓球さんだったり、著名アーティストが、ニューエストのファンだったことを公言していますよね。
中川 まぁ、みんな、好きな時期はバラバラみたいやけど。俺らはあまりに色んなことをやってきてるからね。卓球は『Universal Invader』やったみたいやし。岸田は一回り下の世代やから・・・『ワタツミ ヤマツミ』って言うてたかな? 俺のソロ(ソウルシャリスト・エスケイプ)の『ロスト・ホームランド』が好きやって言ってくれてたな。
--- 卓球さんは、『エエジャナイカ』のリミックスも手掛けていましたよね。
中川 あれは、Ki/oonで、同じ会社やったからっていうのもあった。しょっちゅう出くわす、社内で。どっちもインタビューとか多いやん。隣の部屋で、卓球がインタビューとかしてると、「おう、久しぶり!」みたいな。ラジオ番組に一緒に出たり、雑誌で対談もやったかな?
--- そういったファン発言を実際に聞いて、中川さんはどういった反応を?
中川 人からそう言われたら、そら嬉しいよ(笑)。有名、無名問わずにね。
(つづきます)