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ジャイルス・ピーターソン・インタビュー【2】

Saturday, November 29th 2008

GILLES PETERSON INTERVIEWA



   
渋谷は、なにせ日本で初めて来た場所だからね。
僕にとって渋谷は・・・レコード屋だね(笑)。



--- Gillesさんご自身も、少年時代のラジオ体験を起点に音楽の世界にのめり込むようになり、ロック、ポップス、ジャズ、ソウル、ヒップホップ・・・あらゆるジャンルの音楽に夢中になっていったわけですが、そういった原体験を経て、最初にレコードに手を伸ばしたのはいつ頃だったのでしょうか?


Gilles  最初は図書館だったんだよ。かなりいいジャズのレコードが揃っていて、よく借りていたんだ。たまに返さないものもあったりしてね(笑)。借りっぱなしのレコードが今も3枚ぐらいあるよ(笑)。John Coltraneの「Giant Steps」、それから、Mark Murphyの「Stolen Moments」。「Stolen Moments」はとてもクールなアルバムだよね。図書館にあれがあったんだよ。輸入盤だったけど。輸入盤を置いてあるということ自体がすごいよね。もう1枚は・・・Herbie Hancockだったと思うよ。


--- 今、Mark Murphyさんのお話が出ましたが、以前Markさんにお話を伺った時に、Gillesさんのことを「とても頭脳明晰で、素晴らしい人間性を持っている」とおっしゃっていました。最近もよくお会いしているのでしょうか?


GILLES PETERSON

Gilles  僕も彼が大好きだよ。今は、彼がロンドンに来た時にたまに会うぐらいかな。2〜3週間前にも来ていて、その時に会ったよ。Markは、最も素晴らしいアーティストのひとりだって断言できるよ。新しい世代の音楽に対する大きなインフルエンスであり、Jamie CullumやMichael Bubleのような最近のアーティストは、そろって彼をリスペクトしているんだ。みんな彼が大好きなんだ。
Markの最もすごいところっていうのは、素晴らしい声を持っているっていうのはもちろんなんだけど、それと同時にセンスがいいってところにあるんだ。素晴らしい曲を取り上げて、最高のヴァージョンに仕立て上げるんだ。ブラジリアンをやらせたら右に出る者はいないと思うよ。『Beauty And The Beast』の「Effendi」なんて本当に最高だよ!彼のレコードは全部持ってるぐらい、本当に大ファンだね。


--- 最近、Markさんは、楽曲をオンライン配信のみでリリースしているそうですが、勝手な想像ながらいずれは、BrownswoodからCDとしてリリースされる可能性も・・・?


Gilles  面白いかもね。そうか・・・彼とちょっと話してみようかな。


そうそう、僕は、Carmen Lundyも大好きでね。Mark Murphyとちょっと似たタイプでさ。実際、Markは音楽のキャリア的な部分から言うと、40年以上もやっているわけだから、もっと重鎮って感じだけどね。でも、Carmen Lundyもとても素晴らしいシンガーだよ。アメリカでは、そこまで成功してなくて、何でいまいちウケが悪いのかって思っているぐらいなんだけど・・・まぁ、アメリカって、ちょっと違うんだよね(笑)。


アメリカでジャズ・シンガーとして成功するのって、本当に難しいよね。若かったり、分かりやすくフレッシュな感じがあると、うまくいけば成功する可能性があったり、あるいは、クラシックなレジェンド、Sarah Vaughan、Ella Fitzgerald、Abbey Lincolnのような感じだと成功できたりってね。でも、Mark MurphyやCarmen Lundyのように、フレッシュな若手でもなければ、レジェンドとまではいかない、ちょうど中間に位置するようなシンガーがアメリカで成功するっていうのは、とても困難だと思うんだ。


--- 音楽そのものに対するアメリカのオーディエンスの受け皿が、他国と大きく異なるということでしょうか?


Gilles  うん。アメリカのオーディエンスは、かなり違うね。それに関して言えば、日本のオーディエンスの素晴らしいのは、音楽自体を心から大切にして、アートというものをとても重要視して大事に扱っているってところなんだ。アメリカよりもね。




Giant Steps
4 John Coltrane 『Giant Steps』

 John Coltraneが、Miles傘下を飛び出し、初めてモード手法に基づいた自己のジャズを展開し始めた記念すべき作品(59年発表)。本作では、未発表テイク等が追加され、”コルトレーン・ミュージック”の生成過程が聴き取れる、至極有意義な再CD化となっている。この”リマスタード・ヴァージョン”では、新たに未発表テイク等5曲が追加収録されている。




Giants Of Jazz
4 Mark Murphy 『Giants Of Jazz』

 『Rah!』、『Midnight Mood』、『Stolen Moments』などが、クラブ・ジャズ文脈による高い再評価を得て、現在も、とりわけここ日本のクラブ界隈でも高い人気を得ているジャズ・シンガー、Mark Murphy。U.F.O.も取り上げたクラブ・ジャズ・クラシック「Stolen Moments」(78年Museオリジナル)がとにかく秀逸。




Love Is What Stays
4 Mark Murphy 『Love Is What Stays』

 Till Bronnerプロデュースによる2007年発表のアルバム。「Stolen Moments」のセルフ・カヴァーをインタールードに挟み、「My Foolish Heart」等のスタンダードから、驚きのColdplayのカヴァー「What If」までをエレガント且つワイルドに歌い上げる。Lee Konitz御大も参加。




Good Morning Kiss
4 Carmen Lundy 『Good Morning Kiss』

 熱心なヴォーカル・ファンから、昨今の若いクラブ・ジャズ好きまで、幅広い層に高く評価されている現代女性ジャズ・ヴォーカル最高峰の一人、Carmen Lundyの85年デビュー作。洗練された中に漂うディープでブルージーなフィーリングは、彼女ならでは。高揚感溢れるジャズ・ワルツ「Time Is Love」など人気曲多数収録。




--- ではここで、「日本」、そして、「東京」に話のテーマを移させていただきたいのですが。世界各国を回っているGillesさんにとっても、「日本」、あるいは「東京」という場所は、やはり特別なところと言えそうでしょうか?


Gilles  僕としては、東京に来ること自体、とても不思議な体験でもあるんだ。最初に来たのは、たしか1988年だったと思うんだけど、Dave Dorrellと一緒に、渋谷のクラブ・クアトロでパーティーをやったんだ。で、ダンキン・ドーナツなんかを食べたりして(笑)、「日本って、クレイジーで面白いな!」ってね。今回で、40回目ぐらいになるんだけどね。


親友も何人か東京に住んでいるし、僕の妻も京都の生まれで、子供は日本人のハーフだし、妻の両親は大阪に住んでいるし・・・でも、僕はまだ日本語が喋れないっていう(笑)。何か変な感じだよね(笑)。何とか喋れるように努力はしてみてるんだけど、全くダメなんだよね(笑)。日本語は、とても難しいよ。でも、日本は僕にとっては第二の故郷って言える場所だね。


--- 東京の中でも特に「渋谷」は、初めての来日体験の土地ということもあって、かなり思い出深い街なのではないでしょうか?


Gilles  そうだね。なにせ日本で初めて来た場所だからね。僕にとって渋谷は・・・レコード屋だね(笑)。常に、色々なレコード屋に足を運んでいるからね。どの街でも、レコード屋がどこにあるかで覚えているんだ(笑)。そういう意味でも、渋谷はかなり大切な場所だよ。


--- 例えば、Gillesさんが、「渋谷」の街並みを連想させる曲を1曲選ぶとしたら、どのようなコンセプトで、どういった曲をセレクトされますか?


Gilles  今の渋谷は、それこそ、ロンドンのオックスフォード・ストリートみたいな感じだよね。イメージ的には、プラスチックのような感じのところもあるけど、とてもエネルギッシュな街だと思うよ。Shibuya is Good Energy!最近、Ting Tingsが「Great DJ」っていう曲の中で、「グレイトな音楽とDJがある」って歌ってるよね。だから、渋谷をイメージすると、Ting Tingsの「Great DJ」がぴったりかな。




We Started Nothing
4 Ting Tings 『We Started Nothing』

 マンチェスター発、話題の男女エレポップ・デュオ、Ting Tingsのデビュー・アルバム。「BBC Sound Of 2008」の第3位にランクインした注目度の高さで、ガールズ・ポップ的なKatie Whiteのキュートなヴォーカルと、クールなサウンドが話題となった「That's Not My Name」をはじめ、「Great DJ」、「Shut Up And Let Me Go」といった痛快ダンス曲が満載。





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