Traincha 来日記念インタビューB
Thursday, May 1st 2008
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Traincha インタビュー
Traincha 確かに、新しく出てきている素晴らしいミュージシャンはたくさんいるわね。ルーム・イレヴンは好きよ。独自のスタイルは持っているのだけれど、彼らの両親が聴いていたような古いジャズにも影響を受けつつ、なおかつ自らもきちんとそれを学び昇華し、全く新しい音楽として生み出している。50年前にあったようなものが、彼らの視点を通って、生まれ変わり、新しい世代なりのスタイルでプレゼンテーションされているのね。音楽っていうのは、本来そうあるべきだと思っているし、それが理想だと思っているわ。 --- オランダの若い世代のリスナーは、バカラックのようなオールドスクールのポップスやソウル、ジャズを頻繁に聴いていたりするのでしょうか? Traincha ほとんどの若い人たちは、今時のものを聴いているのではないかしら。ジョン・メイヤーとか、アリシア・キーズとか、クリスティーナ・アギレラとかね。 でも、ちゃんと音楽を勉強しているようなコたちは、古いものも掘り下げて聴いているはずよ。マーヴィン・ゲイだったりとか。ラジオなんかでも、古い曲を積極的にかけている局もあるしね。 逆に、今の日本の若いコたちはどんな状況なのかしら?自国、日本のアーティストの音楽をよく聴いているのか?それとも、海外のものをよく聴いているのか?基本的には、オランダも世界の流れと同じような感じなのよ。ジャスティン・ティンバーレイクだったり、現在、新しく流行っているものを、みんなよく聴いているのだと思うわ。世界中で売れているものは、例外なしに、ヨーロッパでもポピュラーなのだと思う。日本ではどうなのかしら? --- 日本でも若い、特に10代のリスナーは、やっぱり日本のポップスなどを聴いている割合が圧倒的に多いと思います。もう少し上の世代になると、海外の新譜系のものを聴く割合が増えてくるといった感じですかね。ただ、ヴィンテージなソウル、ジャズ、ロック、レゲエ、ブラジル音楽などを聴く若い人というのは、限られてしまうかなと。クラブなどでそういったものを聴くカルチャーはあるにせよ、やっぱりごく一部の人たちのものでしかなかったりする場合が多いと思いますよ。
Traincha 嗜好が変わったというよりも、グループを結成していた当時は、成長の過程の一環でもあったから、色々なものに影響を受けて幅広くやっていたというのが実際のところなのかもしれないわね。兄と一緒にグループを組んでいたのだけれど、私達二人は、ティーンの頃、ジャネット・ジャクソンやアレクサンダー・オニールといったようなR&Bを聴いて育ったのもあって、ポップR&Bっぽい作品をよく作っていたわ。 まだ当時は、アーティストとして確立されていく過程で試行錯誤していた状態にあったから、正直、自分がどういうものができるのかっていうのを判らなかったの。だから、今はそこから成長して、より深くなったと言えるんだと思う。ソウルは昔から好きだったけれど、15年前に今と同じようなことができたかというと、そうではないし。やっぱり、色々なものを消化するには時間がかかるし、本当の意味でソウルを持って歌うというのも、とても時間がかかることだと思うの。 --- お話の最初に出てきた、同じオランダのキャンディ・ダルファーとの共演は、かなり大きな刺激になったのではないでしょうか? Traincha 確かに刺激にはなったわ。全く違った音楽のスタイルなのだけれどね。キャンディーの方は、どちらかというとファンクで、私はソウル寄りよね。でも、ジャム・セッションを演る時なんかは、ソウル系のものをよくやったりしたわ。彼女は、音楽業界のことなどで様々なアドヴァイスをくれるお姉さんのような存在でもあるし、親友でもあるわ。家もすぐ近くで、彼女は二軒先に住んでいて、今でも頻繁に会っているし、本当に長い付き合いなの。 トータル・タッチをやっている時期に、3年間、キャンディーとツアーに出ていたの。そのおかげで、世界中を回れたし、日本にも来ることができたのよ。 --- トレインチャさんが、ご自身のファンの方に、ジャズ、ソウル、ポップスなどの作品をレコメンドするとしたら、何をオススメしますか? Traincha まずは、スティーヴィー・ワンダー『Songs In The Key Of Life』。これは、私の中で最も大事なアルバムよ。それから、ダニー・ハサウェイ『A Song For You』。え〜と・・・難しいわね(笑)・・・あとは、ビートルズの「White Album」ね。この「White Album」は、ソングライティングに関しては、素晴らしいアルバムだと思う。ディオンヌ・ワーウィックの作品でもいいかもね。バカラックの作品を歌ったもので。 --- スティーヴィー作品以外で、最近よく聴いているものは? Traincha ジョン・メイヤーは好きよ。リズ・ライトも素晴らしいわ。彼女の声は、信じられないぐらい美しい。エイミー・ワインハウスなんかもいいわね。割りとソウル系のものをよく聴いているわ。 --- では、最後に、日本のファンの方々にメッセージをお願い致します。 Traincha 日本にそんなに私のファンがいるかどうかわからないけれど・・・うそうそ、冗談よ(笑)。 こうして日本のブルーノートで公演できることを光栄に思っているわ。私のショウを皆さんがリスペクトして聴いてくださっていることが伝わってきて、本当に嬉しいわ。 ショウの後で、何人かファンの人たちとお話しする機会があったのだけれど、とても感動したと言ってくれて、これってものすごくハッピーなことよね。バカラックの楽曲が素晴らしいってところが大部分だとは思うけれどね(笑)。でも、シンガーとして、人々の心を動かすという使命を果たせたことは、とてもハッピーなことだと思うわ。昨夜のショウのお客さんの感じを見ると、皆さんバカラックの曲をよく知っているのよね。そんな風に、日本の人たちには、バカラックの曲を心からエンジョイしてほしいわ!
【取材協力:EMI Japan / Blue Note Tokyo】
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トレインチャ
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オランダのアムステルダム生まれ。本名は、トレインチャ・オースタルハウス。父親は、元牧師で教会音楽作詞家。母親はクラシックのヴァイオリン奏者。地元の先輩キャンディ・ダルファーと活動する間、兄ティエールとのグループ、トータル・タッチで96年にデビューを飾る。1st、2ndアルバムがトータル・セールスで100万枚を突破。8万枚売れれば大ヒットと言えるオランダで、数々の記録を塗り替えて国民的人気のトップ・アーティストに。その反響を受けてソロ・キャリアを歩み始めると、99年、スティーヴィー・ワンダー・ソングブック『For Once In My Life』もプラチナ・ディスクに。その後も八面六臂の活躍を見せ、ジャズ・フェス、音楽番組などで、パット・メセニー、ライオネル・リッチー、アンドレア・ボチェッリといった実力派と共演するなどして広くその美声を届けてきた。名門ブルーノートから昨年リリースしたバート・バカラック・ソングブック『The Look of Love』では、巨匠バカラックとのレコーディングも実現。再び巨匠と組んだソングブック第2集の最新作『Who'll Speak For Love』を引っさげ、初のソロ名義での来日を果たした。
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