来日中のGina Saputoにインタビュー

2008年4月17日 (木)

無題ドキュメント
Gina Saputo interview

Gina Saputo インタビュー


ステファン・ハリスは、リスニング練習の際、私に、
「瞬間の内側を聴き取り、歌う、たった一人の生徒だ」って


--- ご両親、ご親戚がジャズ・ミュージシャンだったそうですね。やはり、幼少期から大きな影響を受けていたのでしょうか?

Gina  そう。音楽一家の家庭で育ったの。父は、素晴らしいギタリスト/シンガーで、兄弟達も楽器を弾いていたわ。母は、そんな私達の一番のファンだったわ。私達は、いつも家の中で演奏していたし、家族は皆、それぞれの夢を応援し合っていたの。だから、子供のころから音楽の魅力に惹きつけられていた私にとって、歌手になるということはとても自然だったの。家で家族と一緒に歌ったり、教会や学校でもよく歌っていたわ。もちろん、父も私の夢を応援してくれていたし、音楽のことをいろいろと教えてくれた。まだ音楽を充分に知らなかった時期なんかは、四六時中楽曲を勉強して、父のギター伴奏で歌っていたのよ。

子供の頃は、自分の家族が、音楽界でどれほど豊かな歴史を持っているのかということには気が付いていなかったの。イタリア人である祖父母は、フランク・シナトラのことをとても尊敬していて、いつもシナトラのレコードを聴いていたわ。幼い頃、なぜ祖父母が、シナトラをそんなに尊敬するのか不思議に思ったものよ。私の大叔父は伝説的なテナー・サックス奏者、ヴィド・ムッソなのだけれど、彼は、シナトラのバックで演奏をしていたのよ。シナトラは、大叔父の一番の親友で、彼の結婚式でも新郎の介添人を務めてくれたほどなの(笑)。だから、祖父母は、大叔父のことを近しく感じていたのでしょうね。で、私は、大叔父であるヴィド・ムッソがどんな人物だったのか調べてみたの。

1940年代頃活躍したテナー・サックス奏者で、ベニー・グッドマン、ジーン・クルーパ、ハリー・ジェームス、ウッディ・ハーマン、トミー・ドーシー、スタン・ケントンなどのバンドで活躍したあとに、1957年からラスベガスでフランク・シナトラのバックで演奏をしていたそうよ。すごいことよね!

私は、このことを大学時代に知ったのだけれど、それまで以上に家族のことを誇りに思うようになったの。このことが、私のキャリアに、特に何か影響を与えたということはないけれどね。すでにそのころシンガーとして活動をしていたし。でも、とても勇気付けられたことは確かだわ。

--- ジャズに目覚めるきっかけとなったアルバム(またはパフォーマンス)は何だったのでしょうか?

Gina  子供の頃からジャズは大好きだったのだけれど、本格的に、「ジャズ・シンガーになりたい!」と思うきっかけになったのは、カーメン・マクレーのコンピレーション・アルバムを聴いた時だったと思うわ。彼女の表現豊かで、温かく、円熟している声を聴いて、私の人生は変わったの。私も、彼女がしているような方法で、自分自身を表現できるようになりたいと思ったわ。その時点では、それほど沢山のシンガーを聴いていたわけではなかったけれど、エデン・アトウッド、クリスティン・コーブ、ダイアナ・クラールなどを聴いていたわね。でも、今でもカーメン・マクレーが私にとって一番のシンガーよ。


Gina Saputo


--- オレゴンでのハイスクール期には、自身のカルテットを結成して、早くもプロとしてのギグを行なっていたそうですね。

Gina     子供の頃は、父と一緒にタレント・ショウや、教会、ウェディング・パーティなどで歌っていたの。そして、ジャズの曲が私達のレパートリーに加わってくるようになった時、バンドを結成することにしたのよ。オレゴンのジャズ・クラブやカフェで、プロとしての演奏活動を始めたのは15歳の時ね。びっくりでしょう!ジャズ・クラブやカフェで演奏するのが私は大好きだったし、とても楽しい時間だったの。バンドが私の名前を呼んでくれるのを、クラブの外で座って待っていたことを思い出すわ(笑)。ファンや友達と一緒にバーの中にいるには、子供すぎたの(笑)。

--- ステファン・ハリス、テレンス・ブランチャード、クリスチャン・マクブライドといった一流ミュージシャン達の元で、ジャズを学んでいたそうですね。彼らの教えで最も印象的だった事柄や言葉などはありますか?

Gina     彼らのような素晴らしいパフォーマーの下で学ぶことができたのは、とても幸運よね。それぞれの経験は、すべてが特別のものだったわ。クリスチャン・マックブライドからは、彼のヴァイヴとエネルギーを吸収することができた。彼は、素晴らしい教育者であり、自信と信念を持って歌うことを私に教えてくれたわ。ステファン・ハリスは、私の目をセロニアス・モンク・バンドに向けさせてくれたし、リスニング練習の際に、「瞬間の内側を聴き取り、歌う、たった一人の生徒だ」と言ってくれた。ウェイン・ショーターは、私のヴァージョンの「ラウンド・ミッドナイト」を誉めてくれた。

他にも、ハービー・ハンコックが、私のインプロヴィゼーションを誉めてくれたことや、ベニー・グリーンと私の家のリヴィング・ルームで歌ったことや、クリニックの時に、他のシンガーの前で、伝説的ギタリストのラッセル・マローンとパフォーマンスしたことなど、いろいろなことが心に残っているわ。これらは、ごく瞬間の小さな思い出に過ぎないけれど・・・でも、本当に、私が教えてもらった全てのミュージシャンは、それぞれ違う方法で私に感銘を与えてくれて、現在のミュージシャンとしての私がいるのよ。

--- そのハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、そして、ニーナ・フローリンらと一緒にヴェトナムへツアーに出た経験があるそうですが、それはいつ頃のお話なのでしょうか?

Gina  2005年の11月に、アメリカとベトナムの友好10周年を記念するイベントの一環として、アメリカ国務省と一緒にベトナムへのツアーに行ったの。このツアーは、とても素晴らしい経験だったわ。こんなに偉大なミュージシャンたちと一緒にステージに立てるということに、とても興奮していたの。私は、彼らが言ったことを全て吸収しようとしたわ。結果、沢山のことを学ぶことができて、この経験にすごく感謝しているわ。


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ジーナ・サプート
オレゴン州スプリングフィールド出身。音楽でもあったイタリア系の両親と、スタン・ケントンやベニー・グッドマン楽団でサックスを吹いていたビド・ムッソを叔父に持つ、絶好の家系に育つ。ハイスクール時代にはすでに自身のバンドを組み、地元のジャズ・クラブなどで歌い始め、名門カリフォルニア大学の音楽部に入ると、さらなるヴォーカルの道を探究し、クリスチャン・マクブライドやベニー・グリーンなどのセミナーなどに参加しジャズの勉強に励んだ。今年4月、2003年に録音された初リーダー作『Swingin' On A Star』が日本発売され、同じくして来日公演も決定。「第2のサラ・ヴォーン」と称された、その素晴らしい歌声と、キュートでスレンダーなその美貌を、いよいよ日本のファンは目の当たりにすることになる。

最新作『Swingin'On A Star』詳細はこちら!

Gina Saputo 来日公演!

4月18日 東京 サムデイ  (問)03-3506-1771
    19日 静岡 ライフタイム  (問)054-250-0131 
    20日 静岡 ライフタイム  (問)054-250-0131
    22日 大阪 Mr ケリーズ  (問)06-6342-5821
    23日 名古屋 スターアイズ  (問)052-763-2636
    25日 東京 J-Zbrat  (問)03-5728-0168



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Swingin'On A Star