名指揮者コシュラーとハラバラ指揮チェコ・フィルによるドヴォルザーク

2017年3月19日 (日)

ドヴォルザーク：交響曲第7番（ズデニェク・コシュラー＆チェコ・フィル）、交響詩集（ズデニェク・ハラバラ＆チェコ・フィル）、他（2CD）

チェコ音楽ファンにはおなじみの名指揮者、ズデニェク・コシュラー[1928-1995]とズデニェク・ハラバラ[1899-1962]がチェコ・フィルを指揮した音源を中心としたドヴォルザーク作品集。すべてステレオ録音で、多くの作品でアンチェル時代のチェコ・フィル・サウンドを楽しめるのがポイントとなっています。

交響曲第7番はコシュラー36歳の時のセッション録音。往年のチェコ・フィルの魅力的なサウンドが野趣に富む作品に生かされた充実した演奏。

ンタータ『白山の後継者たち』は、ドヴォルザーク29歳のときの作品で、1620年11月にプラハ近郊の山で起きたハプスブルク軍とボヘミア貴族のカトリック対プロテスタントの宗教戦闘を描いています。コシュラー指揮プラハ交響楽団の演奏です。

チェコの国民詩人、K.J.エルベン(1811-1870)のバラードにインスパイアされたドヴォルザークの4つの交響詩（op.107-110）は、オペラに手腕を発揮した名指揮者ハラバラの指揮。題材の異常なまでの残酷さ・凄惨さゆえ、『殺人交響詩』としても知られているもので、そこに求められるオーケストラの表現力にはかなりのものがあります。
　なにしろ、4曲中、最も穏やかな『真昼の魔女』ですら、魔女によって子供が殺されてしまうという残忍な内容で、最も残虐な『金の紡ぎ車』に至っては、バラバラ殺人が題材というとんでもない代物。タイトルが美しい『水の精』にも、子どもが真っ二つに引き裂かれて家のドアに叩きつけられるという場面があり、これもタイトルは穏やかそうな『野鳩』も、夫を毒殺した未亡人がやがて気が狂って自殺するという筋書きなのです。
　随所に込められた残虐シーンへの寓意や、死の悲しみと悪の狂気を深く描きこんだこれらの作品群に、オペラ指揮者ハラバラが往年のチェコ・フィルを指揮して表現力豊かな演奏を聴かせています。

組み合わせの『英雄の歌』は、シュトラウスの『英雄の生涯』の前年に書かれた作品で、初演者マーラーもその出来映えを称えたという交響詩。英雄的なメロディと素朴なメロディの交錯する音楽。往年のチェコの指揮者アロイス・クリマ[1905-1980]指揮するプラハ放送交響楽団の演奏で。（HMV）

【収録情報】
Disc1
ドヴォルザーク：
1. 交響曲第7番ニ短調 Op.70
　チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
　ズデニェク・コシュラー（指揮）

　録音時期：1964年10月12-14日
　録音場所：プラハ、ドヴォルザーク・ホール
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

2. カンタータ『白山の後継者たち』 Op.30
　プラハ交響楽団
　ズデニェク・コシュラー（指揮）

　録音時期：1972年1月
　録音場所：プラハ、ドヴォルザーク・ホール
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

3. 交響詩『野鳩』 Op.110
Disc2
4. 交響詩『水の魔物』 Op.107
5. 交響詩『真昼の魔女』 Op.108
6. 交響詩『金の紡ぎ車』 Op.109
　チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
　ズデニェク・ハラバラ（指揮）

　録音時期：1961年9月19,20日
　録音場所：プラハ、ドヴォルザーク・ホール
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

7. 交響詩『英雄の歌』 Op.111
　プラハ放送交響楽団
　アロイス・クリマ（指揮）

　録音時期：1961年10月
　録音場所：プラハ、チェコ放送スタジオ1
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）