病床でピーナッツ・バター・ウルフが買ってきた赤い小さなサンプラーを叩きながら制作した1枚であり、生前最後にリリースされたインストアルバム。「Think Twice」でみせたオリジナルを解体して再構築する彼の技術が、このアルバムでは存分に堪能できる。とくに収録曲「Stop」のディオンヌ・ワーウィックのネタ「You're Gonna Need Me」のサンプリング手法は秀逸。彼の手が膨れすぎて動かないときには、彼の母が固くなった指を取って作業をしていたという。Wax Poetics Japan No.08の表紙をJディラにした理由は、彼が持つ音楽の温もりや優しさを、私たちが再認識するべきだと考えたからである。

事実上のファ−スト・アルバムである本作は、一切捨て曲のない歴史的名盤。このアルバムで、その後のデトロイト・ヒップ・ホップの方向性が形成されたといっても過言でない。これに先立ちテープでリリースされた『FAN-TAS-TIC VOL.1』については、Wax Poetics Japan No.08のJ Dilla特集を参照してもらいたい。

95年にリリースされたファーサイドの2ndアルバム。Jディラの最高傑作「Runnin'」が収録されていることで有名な本作だが、「SHE SAID」、「DROP」、「Y?」以外にも、全ての楽曲がシングル・カットされてもおかしくない程の出来映え。J-スウィフトのプロデュースした1stアルバム『BIZARRE RIDE 2』との評価は好みの分かれるところ。

全体を通して漂うアナログ感やソウルフルなフレイバーがたまらなく心地いいコモンの4thアルバム。Jディラ、ジェイム・ポイザー、クエスト・ラブ、DJプレミヤなど、サウンド面でオールスターが集結。

パブリック・エネミーの1987年にリリースした1stアルバム。チャックDとフレイバー・フレブによる社会性溢れる過激なリリックは放送禁止となり、ボム・スクワッドの手掛けるサウンドは全ての音楽シーンに影響を与えた。後に彼らはヒップ・ホップ・グループとして初のワールド・ツアーを敢行することとなる。

パプリック・エネミーの大ヒットアルバム。1990年という、グループが最もノっていたときにリリースされただけあって内容は超攻撃的。映画『Do The Right Thing』のテーマ曲「Fight The Power」が収録。

トーク・ボックスを自由自在に操るロジャー・トラウトマンの才能は、ブーツィー・コリンズ経由、Pファンクの前座を経て、本作に収録されている「More Bounce To The Ounce」で一気に爆発した。アルバム自体の評価はお世辞にも高いとは言い難いが、ファンクの歴史を知る上で避けては通れない1枚。

1982年にリリースされた文字通り2ndアルバム。チャート1位を記録した「Dance Floor」などによって本作でザップ・サウンドが確立。サンプリング・ネタも多い1枚。

金銭上のトラブルからラリーに射殺されるという、誰も想像しなかった最期を遂げたロジャー。このトリビュート・アルバムは、ぜひWax Poetics Japan No.08のロジャー特集を読んでから聴いてもらいたい。

ロイ・エアーズに見いだされ活躍することとなるオハイオ州シンシナティのバンド、ランプ。「EVERYBODY LOVES THE SUNSHINE」のカヴァーや、「DAYLIGHT」など名曲揃いの1枚。