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Review List of 遊悠音詩人 

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  • 3 people agree with this review
     2013/06/17

    被献呈者メンゲルベルクによる決定盤!メンゲルベルクとしては1928年のNYP盤も名盤の誉れ高いが、コンセルトヘボウも捨て難い。ルバートやポルタメントなどは艶やかでありながら、響き自体はあくまで渋い。こうした魅力を勘案するとコンセルトヘボウのほうが上といえよう。特にヘルマンのソロが絶品!英雄の伴侶を、ここまでチャーミングにして奔放、かつ官能的に表現した人があるだろうか。復刻も、年代を考えれば上出来といえる。リヒャルト好きな人には是非とも聴いて頂きたい一枚だ。

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  • 4 people agree with this review
     2013/06/06

    「カラヤンがでしゃばらなければ…」と思うロストロポーヴィチ盤や、「セルがうるさい」と感じるフルニエ盤、「録音がイマイチ」といえるデュプレ盤、「節回しが重すぎる」と感じるピアティゴルスキー盤などなど、ドヴォコンの“名盤”には難点がつきものだった。そこへきてシュタルケル盤の評判を聞き付け購入。大当り!キリリと引き締まっていながら抒情的表現にも事欠かないシュタルケルのチェロと、それを完璧に支えるドラティ、なかんずく「松脂の飛ぶのが分かる」と言われる名録音の、三位一体のなせる技!この一枚さえあればあとはいらないとさえいえる、決定的名盤といえよう。

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  • 5 people agree with this review
     2013/04/02

    ラフマニノフは、個人的には五指に入るお気に入りの作曲家の一人だ。特に交響曲第2番と協奏曲第3番が好みである。後者は作曲者自作自演を始め、ホロヴィッツ、アルゲリッチ、ベレゾフスキー、ラン・ランなど、色々と聴いてきたが、個人的にはこのレーゼル盤が一番だと思う。おおらかな足取り、確かな技巧、豊かな歌心を感じさせるからだ。類い稀なるヴィルトゥオジティーと溢れるロマンティシズムを両立させるのは至難の業だと思うが、レーゼルはそれを見事にやってのけるのだ。録音も、分厚いオケとピアノがよく分離して明瞭に聴こえる。ラフマニノフ・ファン必携の一枚と言えよう。

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     2013/04/02

    井上侑の歌声は独特だ。柔らかいのに芯がある。そして、透明感がある。聴いていて疲れない。心地好く響く声なのだ。収録された曲は何れも「みんなのうた」のカバーである。井上はオリジナル曲の場合と違って、やや客観的な視点で歌い上げている。それでありながら程よい情感が滲むあたりさすがだ。ピアノのアレンジもよく、幅広い年代層にアピールできる一枚と言えよう。

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     2013/03/26

    早めのテンポは好悪を分けるだろう。個人的にはもう少しゆったりとした演奏が好みだ。だが、珍しい作品も入れている点は評価したい。「ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロ」では、山田耕作の「赤とんぼ」にそっくりなメロディが何度も出てきて面白い。普通は四つのホルンで奏でられる「コンチェルトシュテック」がピアノで聴けるというのもレアものだろう。コアなシューマン・ファンにオススメの一枚だ。

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     2013/03/26

    渋い印象が強いブラームスから、かくも溢れるロマンティシズムを引き出したグールド。彼自身、「この曲のもっともセクシーな解釈」と言ったらしい。セクシーかどうかはともかく、官能的なほどの美しさを感じるのは事実。和音を敢えてアルヘジオにしたり、旋律と伴奏の主従関係を崩したり、弾き崩しが散見されるが、それが悉くはまっているのは見事としか言えない。特にop.118-2の叙情溢れる演奏は感涙ものだ。

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     2013/03/26

    もとは、不眠症に悩まされたカイザーリンク伯爵を寝かしつけるために、ゴールドベルク氏が夜な夜な演奏した、という逸話を持つゴールドベルク変奏曲。だが、グールドの演奏ではおおよそ寝られないだろう。エキセントリックで、楽しげで、各変奏の描き分けも見事とくれば、グールドの鼻歌も相俟って、どんどん演奏にのめり込んでしまうこと必至!ただ、よく聴くと、一部に非常に微かだがオーケストラの音が混入してしまっている。これはどういうことだろう。

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     2013/03/26

    ショパン御用達のメーカー、プレイエルが、ショパン存命中の1836年に製作したピアノを使用、更にプログラムは1842年のコンサートを基に再構築したというこだわりよう。「ショパン自身はどのような演奏をしていたのか?」という、ピアノ愛好家なら誰もが思うであろう問いに応える一枚だ。演奏は、過度な感情移入を排した淡々としたものだが、これも、激しく打ち鳴らすことを嫌ったショパンの意図に添うものだろう。録音も、大ホールのようなギラギラしたものではなく、こじんまりとしたところで演奏されているような雰囲気を持っており、これもショパンの芸風と合致する。あらゆる意味で理想のショパン演奏と言えよう。

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     2013/02/14

    ドラティの十八番、コダーイとバルトークを聴く!特にコダーイは、後にフィルハーモニア・フンガリカを振ったDECCA盤が有名であるが、アグレッシブな力感としては当盤の方が断然上。アグレッシブといっても、決して勢いに任せず、明確なテンポを保つ当たりはさすがだ。サウンド自体にも厚みがあり、聴き応えがある。惜しむらくは、《ハーリ・ヤーノシュ》において、ツィンバロンがオケに埋没してしまい、殆ど聴こえないことだ。この曲の主役たる楽器が存在感を発揮出来ないのは残念としかいえない。その分減点である。だがその他は、マーキュリーの年代離れした優秀録音が冴え渡り、面白く聴ける。

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     2013/02/13

    金管を主体に圧倒的な起伏で迫るムラヴィンスキー盤に聴き慣れた耳だと、モントゥーの演奏はやや淡泊に聴こえるかも知れない。だが、弦楽器のシルキーな質感を活かした演奏は、弦楽器の扱い方に並々ならぬこだわりを見せたチャイコフスキーの、新たな一面を垣間見させる。更に、ヴァイオリンを左右に振り分ける対向配置と、明確な分離を伴った録音によって、チャイコフスキーの“仕掛け”がよく分かるようになる。特に、第4楽章の冒頭は、旋律が第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンに振り分けられており、同時に演奏して初めて旋律が浮かび上がるというトリックが仕掛けられているが、上記の特徴によって、左右に揺れ動くように聴こえるのである。これは、通常配置や分離に乏しい録音では決して感じられない現象であり、これだけでも充分存在価値がある。力で押したり感情的になりすぎたりしている演奏に食傷気味の方には特にオススメの一枚だ。

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     2013/02/12

    ラフマニノフはミスタッチが散見され、オケもミスが目立つ。ピアノとオケの呼吸が乱れるところもある。もっとも、最高難度の協奏曲の本番一発撮りだから完璧を望むのだけ野暮かも知れない。だが、過度な感情移入を避け、スタイリッシュでありながら、随所にさりげないニュアンスが込められた演奏には抗いがたい魅力があるのも事実。音質も、1958年のライヴとは俄かに信じがたいほどの高音質で、ピアノも驚くほどのリアリティだ。対するプロコフィエフは、もう少し疾走感と諧謔的なニュアンスが欲しい気もするが、豊かな音質も手伝って面白く聴ける。

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     2013/01/31

    ルービンシュタインは名声に比して、結構ミスタッチが多い。勿論、演奏自体をなし崩しにしてしまうようなミスではないが、それでも、細々としたミスが聴かれるのは余り嬉しくはない。十八番のショパンですらそうで、ちょくちょく音を外す。ショパン・コンクールの審査員を務めていた時分、優勝者のポリーニに対し「私より上手い」と言ったらしいが、逆に言えばルービンシュタインが下手なのだ。とはいえ、今日に至るまで、ショパン演奏の決定的名盤として君臨しているからには、それなりの魅力があることも事実なのだ。全体を覆う、聴き手を優しく包み込むような、温かい質感があるのだ。これはポリーニが、時として機械的で冷たいと批判されるのと好対照だ。この盤の価値はそこにある。なお、録音だが、第一番第一楽章の冒頭に歪みが見られ、以降もやや篭り気味ではあるが、年代を考慮すれば充分優秀な部類に入るだろう。

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     2013/01/31

    驚異のスペクタクル!これが今から半世紀以上昔の録音とは、驚きを禁じ得ない。オルガンの重低音から、繊細なピアニシモまで満遍なく捉え切る優秀録音だ。何と言っても、《オルガン》の終楽章の壮麗なサウンドが凄い。演奏自体も、フランス物を得意としたミュンシュの面目躍如たるもので、フランス音楽特有の色彩の妙を楽しむことが出来る。《海》はややヒスノイズが大きいが、それでも、LIVING STEREOならではの厚みのあるサウンドであることは間違いない。《寄港地》のパーカッションも小気味よく鳴る。管弦楽の面白さがストレートに伝わる演奏だ。

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     2013/01/31

    気宇壮大なフランク!フランク特有の循環形式は、ややすると繰り返される主題に冗長さを感じてしまうものだが、モントゥーの手にかかれば、何ともブリリアントな音楽に聴こえてしまうのだから不思議である。名盤として知られるクレンペラー&フィルハーモニア盤とは違うベクトルからのアプローチだが、これまた説得力満点。テンポを余り揺らさないクレンペラーに対し、モントゥーは聴かせ所のツボを踏まえた緩急をつけ、情感豊かに演奏している。殊に終楽章のクライマックスは雄渾の極み!優秀な録音も相俟って、理想のフランクが聴ける。カップリングの《ペトリューシュカ》も、初演指揮者ならではの十八番芸といえよう。

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     2013/01/29

    小品を面白くやらせることにかけては右に出るものがなかったフィードラー&ボストン・ポップス。同時期に収録された『ハイファイ・フィードラー』と双璧をなす名盤といえよう。どの曲も、優秀な録音も相俟って輝かしく響き渡る。特に《ダッタン人の踊り》や《ガイーヌ》が素晴らしい。光彩陸離たる音の絵巻が繰り広げられる。打楽器も小気味よく鳴り、実に面白く聴ける。オススメの一枚だ。

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