マーラー交響曲第10番 新ヴァージョン
Saturday, March 15th 2008
世界初録音!マーラー:交響曲第10番
サマーレ&マッツーカ補筆完成版
ジークハルト&アーネム・フィル
マーラーの10番といえば、クック版が多く取り上げられますが、今回、EXTONから登場するジークハルト&アーネム・フィルによる演奏では、ブルックナー第9番の補筆完成でも知られる研究者、ニコラ・サマーレとジュゼッペ・マッツーカによるヴァージョンが用いられています。
2001年にイタリアのペルージャでジークハルト&ウィーン交響楽団によって初演されたこのヴァージョンは、ブルックナーでも実績を上げていた二人による仕事ということで、マーラー・ファンの注目を集めていました。
クック版と較べると、第2楽章以降、明らかなオーケストレーションの違いが聴き取れます。音に厚みがあり、綿密に編曲が施された旋律が響きます。またトランペットの「アルマ(マーラーの妻)の絶叫」と呼ばれるA(ラ)音のソロや、あらゆるところで使われるマーラー独自の金管のメロディも聴きものとなっています。
また、当アルバムに付されたブックレットには、マーラー研究でも名高い音楽評論家で指揮者・教育者の金子建志氏が解説を執筆。譜例や、マーラーの自筆譜を交えながらクック版とはどこがどう違うのか比較していく、氏ならではの明晰で論理的な話が非常に面白い内容となっています。
そして、スペシャル・プロジェクトとして、当サマーレ&マッツーカ版に絶大な支持を寄せる、マーラーの孫娘にあたる女性が言葉を寄せています。
・マーラー:交響曲第10番(サマーレ&マッツーカ補筆完成版)
アーネム・フィルハーモニー管弦楽団
マルティン・ジークハルト(指揮)
録音時期:2007年12月18−21日(DSD録音)
録音場所:アーネム、ムシス・サクルム、コンサート・ホール
以前は第1楽章のアダージョのみの録音が多かったマーラーの交響曲第10番は、ここ数年全曲版の録音が相次いで登場し、多くの謎と未解決の問題を孕むこの未完の大作が広く一般に聴かれるようになってきました。特にサイモン・ラトルがベルリン・フィルを指揮した録音の登場は、この作品が他のマーラーの交響曲と同様に、レパートリーとしての不動の地位を確立したことを強く印象づける画期的な出来事と言えるものでした。
最も代表的なデリック・クック[1919〜76]による補筆完成版の他に、カーペンター版やマゼッティ版、ホイーラー版など、マーラーが残したスケッチや資料に基づく独自の分析と研究、それに豊かな想像力を加えた様々なヴァージョンが数多く存在するのもこの作品の特徴であり、ファンにとってはますます興味の尽きない状況となっています。
マーラーが交響曲第10番に本格的に着手したのは1910年夏のことで、その年のうちに作品の骨格にあたる全5楽章の略式総譜を書き上げ、第1楽章全体と第2楽章、および第3楽章の一部はスケッチの形でオーケストレーションも施されました。 この年の7月から9月にかけてのマーラーの身辺は波乱に満ちたもので、第10番の作曲に取り掛かった直後の7月に愛妻アルマの不倫が発覚し結婚生活最大の危機を迎え、マーラーは精神的に不安定な状態に陥り、そのため8月末には精神分析の創始者として有名なフロイトを訪ねて診察を受けています。
また9月にはミュンヘンで交響曲第8番『千人の交響曲』(この作品はアルマに捧げられています)の初演を指揮し、作曲家マーラーとして空前絶後の大成功を収めますが、これが最後の自作の初演となりました。
このような時期に作曲が進められた第10番は、それまでの作品以上にマーラーの個人的な生活の影響が色濃く反映されているように感じられ、特にアルマへの愛と苦悩が交錯した複雑な感情が大きな影を落としていると言えるでしょう。第10番のスケッチにはアルマに向けられたと思われるマーラーのメッセージが数多く残されている事実でも明らかです。
1911年5月18日にマーラーはこの世を去り、第10番は未完成のまま残されました。その後多くの作曲家や研究者たちの手によって紆余曲折を経ながら、この作品の補筆完成の試みが続けられ現在に至っているわけですが、最初の録音はウィン・モリス指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によって、デリック・クックの「最終改訂版」である第3稿の第1版を用いておこなわれています(この版は彼らによって1972年10月に初演が行われています)。
クック版第3稿は1976年に第1版が出版され、同年クックも亡くなっているので「最終改訂版」と言われていますが、1989年には、クックと共同作業を進めていたゴルトシュミットとマシューズ兄弟がさらに改訂を加えた第3稿第2版が出版されています。ラトル&BPO盤はこの第3稿第2版によっています。ちなみに第2稿にはオーマンディのセッション録音とマルティノンのライヴ録音がありますが、第1稿は完全な全曲ヴァージョンではないというこもあってか録音がありません。海外のサイトなどでは、
■クック版第2稿=COOKET
■クック版第3稿第1版=COOKEU
■クック版第3稿第2版=COOKEV
という表記もあり、実際、この方がわかりやすいとも思えますが、ここでは通常の名称で記していくことにします。
【クック版第1稿】
なし
【クック版第2稿(COOKET)】
【クック版第3稿第1版(COOKEU)】
【クック版第3稿第2版(COOKEV)】
【バルシャイ版】
【カーペンター版】
【マゼッティ版】
【ホイーラー版】
【サマーレ&マッツーカ版】
【1910】
【1911】
【1924】
【1935】
【1942】
【1946】
【1951】
【1952】
【1953】
【1954】
【1955】
【1957】
【1959】
【1960】
【1963】
【1964】
【1965】
21:35+11:13+03:40+11:32+21:22=69:22
【1966】
20:55+10:00+03:57+10:41+20:29=66:02
【1966】
【1972】
21:52+12:15+04:23+13:20+27:52=79:42
【1974】
【1975】
21:00+10:21+03:55+09:57+20:22=65:35
【1976】
【1979】
23:30+13:15+04:05+11:20+22:08=74:18
【1980】
24:38+11:50+04:12+12:37+28:30=81:47
23:53+11:26+04:03+11:54+24:07=75:23
【1983】
【1983】
【1986】
20:48+11:49+04:22+11:26+25:04=73:29
【1989】
【1989】
【1992】
22:50+11:04+03:58+11:04+21:53=70:49
【1993】
22:24+11:27+04:08+11:26+23:56=73:21
【1994】
24:28+11:38+03:48+11:06+24:02=75:02
【1995】
【1996】
【1997】
【1999】
25:03+11:16+03:53+12:04+24:34=76:50
【2000】
【2001】
【2002】
26:15+12:03+04:30+12:15+23:53=78:56
【2004】
【2005】
【2007】
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for Bronze / Gold / Platinum Stage.
SACD(ハイブリッド)
(Samale, Mazzuca)sym.10: Sieghart / Arnhem Po
Mahler (1860-1911)
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ダイレクト・カットSACD(ハイブリッド)
(Samale, Mazzuca)sym.10: Sieghart / Arnhem Po
Mahler (1860-1911)
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Sym, 6, : Sieghart / Arnhem Po
Mahler (1860-1911)
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