EL-MALOインタビュー

--- 改めて90年代の話になりますけど、同世代のミュージシャンのスチャダラパー（Hello Works）が去年末アルバムをリリースして、電気グルーヴも今年アルバムをリリースするということで…。

柚木　ねぇ？　まるで口裏を合わせたかのように笑)。そんなんじゃないんだけどね。お互い食い合わないようにしないといけないよね(笑)。ほんとに示し合わせたわけじゃないんですよね。そう考えると、一個人ではコントロール出来ない何か大きな流れというものがあるのかもしれないですね。

--- そういえば、最近かなりのペースで多作な活動をしている、曽我部恵一さんとも仲が良いんですよね？

柚木　そうだね。曽我部君はデビューしたのも近かったし、昔はよく飲んだくれていたからね。Great 3の片寄君とかと…。
　 そういえば、去年か？　久しぶりに彼と会って。彼のトークショーに呼ばれてね。そん時いっぱい言ってやりましたよ。 “お前は守銭奴だ！”とか、“リリースばっかして儲けすぎやがって！”とか（笑）。
　 だってね、あの、宇川直宏君のクラブでやったトークショーに呼ばれたんですけど。僕はただ、来てくれって言われただけなのに、いきなり喋れって言われてさ。その場で。そんなの知らなかったから、結構飲みが進んでいて酔っ払ってて。もう何喋ったかあまり覚えていなくて。
　 まあでも、歌がすごく上手くなってきてるよね、彼は。去年、曽我部恵一BANDのライブのときに1曲だけ、ブルースハープで参加させてもらったんだけど、その時思ったね。ていうかほんと、すごいモチベーションだよね、今の彼は。

--- その当時から付き合いがある人たちから刺激を受けたりするんですか？

柚木　うん。まりん（砂原良徳）とかコーネリアスとかとも会ってたりするんで。そういう人から刺激もあるし、励ましあったりしているし。なんかライバルというのとも違うし。うん。凄いなと思ったりね。影響を受けたりするし。お互いに、“最近こういうのが好きなんだよね”とか。そういう情報交換もするしね。

--- 逆に若いバンドに刺激を受けるというのはあるんでしょうか？

柚木　昔はt.A.T.u.に影響されたとか言っていたけど、今はもう古いか(笑)。まあ、若いバンドにからの影響っていうのはないかな。自分ではわからないけど、敢えて見ないようにしているかもしれないしね。“自分達が一番若手だ！　俺らより若い奴はいない！”と信じ切っているのかもしれないし（笑）。
　 でも、うん…。あまり思いつかないな…。強いてあげるとすれば、ゆらゆら帝国かな。結構好きだね、最近のアルバムは。だってあんなバンド世界見渡してもいないからね。後はアンダーグラウンドのアーティストでいるかなぁ…。 あの、日比谷カタンさんって知ってます？　すんごいいいんですよね…。
　 ていうか、もう、洋楽だとか関係なく、邦楽も世界標準になってきているなと思いますよね。だから自分達も無理して海外にプロモーションして行ってるわけじゃないけれど、世界的に見てもユニークな存在にエルマロがなればいいんだけどと思うんですけどね。

--- 先ほどライブをやっていくと言っていましたが、バンド編成でのライブですか？

柚木　そうですね。まだ決まっていないけどね。

--- エルマロというバンドは、楽曲を忠実に再現するほうなんですか？　それともライブはライブとして別物として表現するとか。

柚木　とりあえず無理なものでも、人の力で無理矢理なんとかやっていみると新しい形で表現できたりするので、チャレンジはするんですけど、基本的には、レコーディングされたものと、ライブで表現されたものは別物として捉えてますね。
　 とはいいつつも、“アルバムで聴いた曲がライブで聴いたらもっと良くなった”と思われるようにライブのクオリティを上げて行きたいですね。

--- あの、このアルバムを聴いてもらいたい年齢層というか、ターゲットとしているリスナーっていますか？

柚木　えっとね。上は80歳から下は小学校4年生くらいかな(笑)。まあ、俺のストライクゾーンということで（笑）、ってまずいなこの発言は。まあ、ちゃんとCDを買ってくれるような人に届けばいいかなと。

--- ということいはお金を持っている人に向けてと（笑）。

柚木　そういうことじゃないですよ（笑）。持っているというか、音楽にお金を使ってくれる人に届けたいですよね。だってねぇ。自分達がばんばんCDを買うのか？　と言われたらそうでもないって感じだしね。なるべく積極的にCDショップに足を運ぼうと思ってはいるんですけどね。

--- 今の音楽業界の現状。パッケージが売れないとか、配信がメインになっているとか。そういうところを考えてしまったりしますか？

柚木　それはもう考えざろう得ない状況ですよね。うん。だからその配信とかそういうものに逆行するというか、ちゃんとパッケージも考えたしね。
　 まあ配信もいいところがあると思うんですよ。要するに余分な資源を使わないしね。でもやっぱり、CDってね。触りながら購入するモノでもあるからね。そこに良さがあるわけだし。そこを大事にしたいっていうのがやっぱりあるから。この先にね、本当にCDが無くなって、配信だけの時代になるかもしれないからね。そういうことも一応考えて、まだCDで勝負できるときに形にこだわって勝負してみたかったんですよ。
　 アートワークも凝っているしね。だからこそ、CDショップのみなさんに頑張って売ってもらわないと。

--- そうですね（笑）。

柚木　このジャケットの2つの目から俺が見ているぞ、と(笑)。手に取ったら絶対に買えよ、とね。俺、昔は結構怖かったんだからな、みたいな（笑）。

--- 昔はですか(笑)

柚木　今は、ねぇ…(笑)。

--- (笑)。まあ、あの、HMVとしましても、CDが売れないと商売になりませんから…(笑)。

柚木　でしょ？　売れなくちゃね。そうすればみんなが幸せになれるんだから(笑)。

--- わかりました(笑)。それでは、HMV　ONLINEのインタビューを見てくれた方に、最後に一言お願いします。

柚木　大変厳しい世の中ですが、“明日また生きるぞ！”の精神でね(笑)。それと今僕たちが出来るものを最大限にして形にしたアルバムなので、是非手にとって聴いてください。
　 出来ればHMVで買ってください(笑)。

--- (笑)。ありがとうございました！

おわり…