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りっく さんのレビュー一覧 

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/14

    隠れた名演。ルドルフ・ショックは、若くして交通事故で亡くなったためステレオ時代に録音を残しませんでしたが、当時、大人気のテノール。人気者に相応しくポピュラー音楽も歌ったので、まじめな向きからは低く見られがちですが、シュトルツィングとして理想的な歌唱と思います。そのほかの歌手たちも、55年当時の最高の人材を集めていて、ヨーロッパでは、この演奏を、名歌手の最高の録音に挙げる人もいるくらい。私もそれに賛成です。ステレオ時代のカラヤンの名盤がドレスデン録音、モノラル時代のこのケンペ盤がベルリンフィル録音で、何かその辺りにカラヤンがこの録音を出来なかった(その事情は不明)口惜しさを感じ取ってみたりするのも一興です。私がレコード会社のプロデューサーであったなら、51年バイロイトの、全体のコントロールを完全に失ってしまったカラヤンに最初の全曲録音を任せたりしません。それに引き替え、この盤でのケンペの構成感の明晰さ、棒さばきの確かさはすばらしいの一言。スタイルは、トスカニーニとフルヴェンの2大名演の間にあってトスカニーニ寄りの名演ですが、両名盤とも一回限りのライブが生んだ奇跡の面がありますので、細切れのスタジオ録音でこれだけの引き締まったスタイルで様々な歌手に余裕を持って歌わせるケンペの手腕は端倪すべからざるものがあります。私見によれば、名演の誉れ高いウィーンフィルとのローエングリンよりも、この録音の方が価値が高いのではと思うほどです。なお、このCDは、板起こしだそうです。私は、EMIから出ていたデジタルリマスター音源を聴いていましたが、このCDは板起こし特有の広がり感、時代感は感じますが、特に録音が良くなったとは感じられず、EMIに再発を求めたいと思います(あるいはどこかから買えるのかもしれません)。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/14

    60年のバイロイト公演のセットの中でワルキューレの音は酷いものでしたが、61年盤は、極めて満足のいく音質で、モノラルと表記されていながら音の広がりや深みも感じられます。かつてメロドラム(?)から出ていたのを一度だけ聴いたことがあり(しかし値段が高く入手せず)、ずっと欲しかったCDでした。確かかつてもワルキューレしか出ていなかったように思いますので、この上演が圧倒的に傑出していたということなのではないかと推測します。実際、60年盤ではヴィントガッセンが大不調、相手役のノルトモーレフベルイも大したパフォーマンスを示せていなかったのに対し、ウール-クレスパンのコンビは極めてレヴェルの高い歌唱を聴かせてくれています。ウールは、ヘルデン・テノールとしてのキャリアに入ったばかりの頃で、おそらく彼の残された録音の中でも最高の歌唱を聴かせてくれるといって過言ではないでしょう。クレスパンは、ショルティ盤のジークリンデとして録音の良い歌唱記録を後世に残してくれているとはいえ、やはり、指揮者の音楽性が違います、この盤での伸びやかで情感豊かな歌唱は格別の価値を持つものと思います。ケンペはゆとりのある、しかし決して鈍重にならない、いつも通りのセンスあふれるタクトで、歌手たちにぞんぶん歌い切らせています。
    61年のジークフリートや黄昏などは、発売されないのでしょうか。ケンペはこの後63年までヴォルフガング演出の指輪を指揮し続けますが、60年の白熱の演奏に及ばないところがあっても、これだけの良い音質で聴けるのならぜひコレクションに加えたいものと熱烈に思います。それにつけても60年前後という年代はステレオ録音の普及でモノラルのライブの価値を相対的に低く認識させてしまうことになっていますが、モノラル録音にも劇的な進歩があった時代と思われ(クナのパルジファルを聞き比べればそのことはよく分かります)、50年間の版権切れが相次ぐと思われますので今後数年、楽しみです。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/18

    モノラルとはいえ、聴きやすい音質、しかし72年という年代を考えれば、モノラルということ自体許しがたい向きもあるかもしれません。
    この上演記録の最大の欠点は、HMVのレヴューにある以上に大幅なカットのあること。各CD77分以上を収録するとはいえ3枚組に収まるのだから25分分もの音楽が失われている勘定で、これはいくら名歌手の受けが悪いメトとはいえ、暴挙というほかありません。

    前奏曲は、これから始まる長大なオペラの実際の上演を考えれば当然のことながらうまく力の抜けた、しかし次第に盛り上がりを増す好演。その後もシッパーズは歌手によく歌わせて素晴らしいサポートぶり。歌手では、女声陣が充実し(シャーリー・ラブって誰?)ているのですが、なんといっても聞きものはジェームズ・キングの好調ぶり。同時期のライブではウィーンのドホナーニ盤が歴史に残る上演記録ですが、キングは明らかにメトでのほうが好調。

    いずれにせよ70年代のメトの上演をこうして気軽に楽しめるというのはオペラファンにとってありがたいことです。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/03

    ワルキューレと黄昏を買って、手持ちのAudiophile盤から改善が見られないので、最も音がいいジークフリートは買うのをやめました。しかし、もしお持ちでないなら、ぜひ入手するべき名盤の復活です。演技に難ありとして評価の低いハンス・ホップですが、少なくともこの上演で聴く限りは絶好調。伝統的ヘルデンテノールタイプの声をよい録音で聴きたいというのなら、まずこのCDが一番に挙げられるべきで、若いニルソンとの二重唱は永遠に残されるべきお宝でしょう。ケンぺの棒も、この指揮者の最良の面をよく伝えています。私見では、ケンぺは音のバランスとかテンポとか音楽の構造的把握とかのセンスが抜群で、そのうえ、歌手を生かすことを最優先に考えるので、フルヴェンやクナのような「嵌ればスゴイ(が嵌らなければガッカリ)」タイプよりずっと安心して音楽と歌手を堪能できます。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/03

    「黄昏」は、かつて出ていた、そしてもしかしたら今も手に入るかもしれないAudiophileのセットとの比較で言えば、音が丸くなっており、聴きやすいといえば聴きやすい音になっているが、高音が素直に抜けていく感覚に乏しく、オーケストラも引っ込んで平板になってしまった印象なので、もし入手可能ならAudiophile盤を入手すべきと思います。ゴールデンメロドラム盤は一度聴いたことがあるだけで比較できません。
    演奏は、今回のMyto盤で聴くと、ニルソンが最後のほう、疲れ切っているように聴こえますが、実際にはヴァルナイとは違った、スリリングな名唱を聞かせてくれています。コヴェントガーデンでの上演の劣悪な録音の記録を聴くより、こちらのホップとニルソンの歴史的名唱がもっともっと聴かれるべきと思います。
    ただ、このCDには付録で59年の「黄金」のベルリン国立歌劇場盤のハイライト(これは確かレコーディング用)がついていて、その素晴らしい音質と演奏を聴いてしまうと、バイロイトライブの音の悪さを嘆かざるを得ません。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/03

    ヴィントガッセンの気のない歌いぶりで、感興をそがれる。もしかするとこの日は不調だったのかも。不安定な音程を修正しようとずるずると長く音を引き延ばすヴィントガッセンに付き合ってケンぺが後ろで合わせるのに大いに苦労している。ワルキューレはジークフリートや黄昏に比べて録音も悪く、またジークリンデも特に素晴らしい声というわけではないので、買うとしたら後回しにしていいと思います。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/04/30

    かつてフンガロトンのLPが一枚2000円で、金欠の私は14番を一枚だけ購入しました。カッティングのせいか、線の細い演奏で、その時代に一世を風靡していたラサール・カルテットの自信に満ちたハイフィデリティの録音に比べると、どうしてもファーストチョイスにはなり難かったように思います。しかし、レコード用録音にありがちの、作られた美しさではない、歌や祈りを大切にした忘れがたい個性を持った演奏でした。
    今回の、より原音に忠実と思われるCDを聴いて、あらためてこのカルテットの後期のセットの演奏の清冽さ・音楽への純粋な献身ぶりには深い感銘を覚えています。14番はもとより、12番、16番は本当に何度でも聴きなおしたい演奏。15番については、最近のカルテットの演奏の、楽譜を十分に読みきった(しかし、それゆえにアタッカやアンサンブルの切れを強調したやや作為的でわざとらしく感じる)演奏を好む方も多いでしょうが、極力刺激的であることを避け、下品にならないように十分弦楽器を歌わせているこの演奏を好む方もいらっしゃるはず。(なお、現在、13番は未聴)。中期のエネルギッシュでこれぞクラシカルというような曲に関しては、このカルテットの演奏はもしかするとファーストチョイスではないかもしれませんけど、後期のセットを聴くためだけでも、ぜひご購入をお勧めします。生涯の宝物になります。
    なお、下の方が書いていらっしゃるブラームスは、私は持っていますが、LP時代の方が良かったように思います。五重奏曲など畢生の名盤の誉れ高かったと記憶していますが、今、あらためてCDを聴くと、LP時代より肉厚の音で、ベートーベンの全集に聴かれる清澄な音色とは異なっているように思われてなりません。CDになって演奏がよく聴こえたり、物足りなく聴こえたり、不思議なものですね。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/09/03

    ライナーのメトのマイスタージンガーは、アルレッキーノから出ていた52年盤を持っていますが、今度出る(た?)新盤の最大の魅力は、ロス・アンヘレスのエーファが最大の聞き物。たぶん、フォン・シュトルツィングのホップは、55年のウィーン盤のバイラーよりこの役に適しているんですが、その他の配役は特記する必要もないこの時代の代表的歌手たち。メトでは伝統的にこのオペラを大幅にカットする習慣があるので(特に第三幕)、そうしたことが許せなければ、このセットは買うべきではないでしょう。ちなみに、アルレッキーノから「フリッツ・ライナーの芸術」として出ていたマイスタージンガーにせよ、フィガロにせよ、ファルスタッフにせよ、演奏は素晴らしいのに、音が50年代前半としては余り良くなかったので、Wallhallには、大幅な音の改善を期待します。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/09/02

    35年のメト、メルヒオルとロッテ・レーマンのローエングリン、素晴らしいCDの発売。これは、かつてメロドラムから本当に貧しい音質のCDが出ており、盛大なノイズのもやの中から、おそらく充実していたであろう公演の片鱗をかすかにききとることしかできなかったのであるが、今回のマイト盤は、遙かに優れた音質で、メルヒオルの、フラグスタートやレートベルクらとの40年代の録音と音源と比較しても遜色ない(しかし、部分的には音が潰れて修復不可能な部分もあり)。
    演奏は、今日残されているローエングリン全曲演奏の最古のものであるとともに、最高のものです。メルヒオルは、後年の歌い崩しも少なく、端正。ヘルデンテノールとして彼が名声を勝ち得たのは、その声の魅力だけではなく、このような誠実な歌いぶりにもあったのだと実感させてくれます。レーマンは、トラウベルやフラグスタートを遙かに上回るエルザらしさ、というだけでなく、20世紀初頭のドイツの歌唱法の神髄を良く伝えてくれています。第二幕、マージョリー・ローレンスとの長丁場の掛け合いは、このシーン上演史に残る最上質のもの。レートベルクの残されたライブ音源が不調時の彼女の歌唱しか記録していないのに比して、まことに幸運であったと言うべきでしょう。それから、なんといっても、ショルのテルラムントが絶好調。メロドラム盤ではそのことがほとんどわからなかっただけに、これは大発見。
    指揮のボダンツキは、例によってメト式にカットを施しているけれど、山崎浩太郎氏が指摘してやまない引き締まったテンポと必要なところではポルタメント奏法をふんだんに用いたロマンティックな歌心の点で凡百の指揮者の追随を許さず、フルトヴェングラー36年のバイロイト公演の断片にも匹敵するといっても過言ではないでしょう。ともかく、全体に躍動感に満ち、欧州から誰も彼も有名音楽家がニューヨークに集まったのももっともと頷けるような高水準の上演記録。多少の音の悪さを脳内で補い、演奏のみに集中することの出来る方は、ぜひ、ご購入あれ。絶対損はしません。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/05/27

    このアルバムは、「彼の伝説的チャイコフスキー」と銘打ってあるように、ケンペン51年の名録音を集めたものです。大変、質が高い演奏で、その前年に亡くなったメンゲルベルクの影を感じながらこの質の高い演奏を聴くと、かえって損だと思います。コンセルトヘボウの楽団の上手なこと。それを完璧にコントロールするケンペンは、泣きも入れずドライにもなりすぎず、しかし、十分によく歌って、情熱的なところは滅法情熱的、本当にすばらしいチャイコをきかせてくれます。二曲の交響曲はとくにすばらしい。聴いていて飽きることがありません。ベイヌ

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2009/05/03

    グレン・ミラー亡きあと、楽団を引き継いだテックス・ベネキの40年代中盤のラジオ放送を集めたもの。これを聞くと、ビッグバンド衰退の理由がよく分かる。トミー・ドーシー楽団が同時期、バンドリーダーと団員たちの革新への指向性がマッチして、次々と次世代につながるような新しいアレンジを生み出していったのと引き替え、リーダーシップを失ったグレンミラー楽団は、新しい曲を収録するときにもグレンミラーらしさを失わないよう、萎縮したアレンジを採用し、また、それに応じて熱の入らない演奏を繰り広げる。つまり、いかにも生活の糧のため

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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