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maruno さんのレビュー一覧 

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/15

    ピリスはこのDENON(BRILLIANT)の旧盤とDGGの新盤がありますが、双方をお買い求めることが一番のおすすめです。どちらかの選択はできません。長い間、オールドファンを中心にモーツァルトはギーゼキングもしくはハスキル、次いでヘブラーやリリー・クラウスだと神話のように信じ込まれてきたところに、魂を揺さぶる内田光子と晩年のクラウディオ・アラウの全集と出会って嬉しさも余りあった矢先、この旧盤がクローズアップした。そして大きな話題になったことを覚えています。もう、30年近く前になります。モーツァルトファンのたまり場ではこのピリス旧盤への感想が飛び交い、飽くことなくこのCDを聴いたものです。まるで教科書のように弾くピリス。ああ、モーツァルトを弾くとはこういうことを指すのだな。30年前のオールドファンはその点を「物足りない」と表現していたのが、今、その人たちに言ってやりたい。何もわかっていなかったね、皆様方は。一方、DGGの新盤はピリスが鍵盤を通して自分の言葉でモーツァルトを語っているかのような演奏。素晴らしい。ああ、かくもモーツァルトは美しい。ぜひ、どうぞ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/15

    ついに待ち望んでいた理想のMozartに出会いました。最高です。最高です。
    ピレシュは宇宙に漂う音楽を自ら掴み取って我々に提示してくれたのだ。そう思えてなりません。
     ソナタ8番イ短調から。しばらくして目頭が熱くなって、胸の奥がすくように何かが走りました。全集でショパンを聴いたときと同じ体験をここでもまたするとは。そのまま歔欷していました。解釈等は旧録と同じようでいて、こちらのほうが自在です。自由なドライブ感が漂います。しかし独りよがりとはおよそ違う、確固とした普遍的妥当性そのものです。自然な音楽、ただただ自然に流れていく音楽。そして風、大気、漂う緑の香り、夕暮れの香り。あるいは風にそよぐ草木の音、音、音。疲れません。心が掴み取られたまま離してくれません。とうとう全曲通して聴いてしまいました。こんなことは初めてです。全曲を聴きとおすなんて。
     長く音楽に親しんできて本当に良かったと思います。心から思います。これを書きながら今も感動が体の芯から湧き上がり、震えてきます。素晴らしい音楽がここにあります。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/15

     このような体験ははじめてです。長く音楽に親しんできましたが、これまでのどの演奏会とも録音との出会いとも異なるのです。痺れるような感動・感激を得た演奏会は何度かあります。でもこれはそういったものではありません。演奏者・ピリシュ氏およびデュメイ氏の音楽へ向かう姿勢・心などが私の魂に響いたような、直撃してきたような、そういった表現しか浮かびません。
     ブラームスのヴァイオリンソナタ3番。古くから名盤誉れ高きものから現在第一線で活躍する方にいたるまで多くを愛聴し、それこそ宝物のように大切にしてきたあらゆるCDを鑑賞した後に聴くピリシュ氏およびデュメイ氏は明らかに一線を画しています。それこそのけぞってしまうほどの奥深さ。どこまでもどこまでも深遠な世界。
     ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ。1番〜3番。こんなにいい曲だったんだね。6番。隠れファンが多いらしいですね。私も仲間入りいたします。9番「クロイツェル」。特に第2楽章でピリシュ氏およびデュメイ氏のかけあい、どう聴いたって二人がインスピレーションのキャッチボールをやっているかのよう。それも高いところで。第1変奏でヴァイオリンがそれこそ助奏に徹したかと思えば、次の第2変奏では軽快かつエネルギッシュに弾きまくる様はどうだ、といわんばかり。これがアンサンブルの醍醐味なのかもしれませんね。
     きくところでは、ピレシュ氏はかつてウィルヘルム・ケンプの薫陶を受けたらしいですね。あっていますか?本当だとしたらまさに得てしたりですね。ケンプ氏の自然な音楽、流れるような音楽が思い起こされます。その音楽が今度は完璧な演奏技術を伴って再現されたかのよう。35年前、当時で50歳近いある方がケンプの熱情ソナタを聴きながら語ってくれたこと、まさに体験の話でしたが、私が今受けている感動は、その方と同じ体験をたどっているのかもしれません。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/08/12

     よく歌うヴェーグがここにある。この旧録を聴いて初めてヴェーグ四重奏団の神髄がわかった。高い技術に基づいた活発なアンサンブル。とことん歌いこんだ音楽。柔らかく暖かい調べ。ああ、嘆息。
     いきなり大フーガから。しかしこんなに美しい大フーガがかつてあったか。すべてがメロディアスで、各声部が明確に歌い、どこまでも美しく響きわたり続け、ついに最後には感動、ただ感動で終える。
     続けて嬰ハ短調。ブタペストのように厳しく聴かせる演奏ばかり追い求めていたばかりに長く気付かなかった姿がここにある。嬰ハ短調はかくも抒情的な調べに満ち満ちた曲なのだ。
     そしてラズモフスキーの3曲を立て続けに聴く。いや、思わず立て続けに聴くはめになってしまった。やめられない。止められない。そして3番のフィナーレに立ちすくむ。圧倒されて。そのまま新録のラズモフスキー3番のフナーレと聴き比べたところ、やっていることは全く同じなのに圧倒感が違うことに気付いた。そう。これが旧録の凄さなのだ。
     さてベートーヴェン全集の新録の方ですが、確か40年前に新発売だったのでしょう、FMでよく流れていましたね。特にラズモフスキーがよく流れていた。中学生だった私は、これがベートーヴェンの弦楽四重奏曲の登竜門でした。その後、ブタペストによる後期四重奏曲を知ったが、十何年も経過したある日、BOXセットで売られていたヴェーグのベートーヴェン新録を偶然見つけてただ懐かしさだけで購入したんだっけ。そこにあふれる優しい調べに包み込まれながら時折引っ張り出して聴くこと数十年、最近になって突然この旧録の存在を知った。市販されているとは驚いた。録音が悪いとのうわさでしばらくためらったが、思い切って購入して本当に良かった。基本的な解釈が旧録も新録も同じである点、さすがプロですね。すごい。にもかかわらず漂う音楽世界が違っている点、これぞプロです。これがまたすごい。自然界の音、香り、世界に身をまかせていくときっとこうなるよ、とでもいった芸術です。
     1952年〜55年の録音としてはこんなものではないでしょうか。ただしモーツァルトとシューベルトの録音はひどすぎる。これはいただけない。どう聴いても1930年代の使い古したSPからの復刻といわれたらそうだと思ってしまう。これを聴いてがっかりした聴者は多いでしょうね。海賊盤も含めてたいがいの録音に寛容な私ですら、正直顔をしかめました。演奏はとてもいいのですよ。よく聴きこんでいくと歌うヴェーグがモーツァルトを格調高く歌い上げているのがわかります。ただし平均的水準からみて観賞に耐えられるとは思えないと申し上げておきます。したがって、モーツァルトとシューベルトの曲が聴きたい方にはお勧めしません。なお、ベートーヴェン、バルトーク、ブラームスの録音は良好です。1950年代の録音はたいがいこんなもんです。この年代の録音になじみのない方は、そう思ってお聴きになるといいと思います。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/08/11

     よく歌うヴェーグがここにある。この旧録を聴いて初めてヴェーグ四重奏団の神髄がわかった。高い技術に基づいた活発なアンサンブル。とことん歌いこんだ音楽。柔らかく暖かい調べ。ああ、嘆息。
     いきなり大フーガから。しかしこんなに美しい大フーガがかつてあったか。すべてがメロディアスで、各声部が明確に歌い、どこまでも美しく響きわたり続け、ついに最後には感動、ただ感動で終える。
     続けて嬰ハ短調。ブタペストのように厳しく聴かせる演奏ばかり追い求めていたばかりに長く気付かなかった姿がここにある。嬰ハ短調はかくも抒情的な調べに満ち満ちた曲なのだ。
     そしてラズモフスキーの3曲を立て続けに聴く。いや、思わず立て続けに聴くはめになってしまった。やめられない。止められない。そして3番のフィナーレに立ちすくむ。圧倒されて。そのまま新録のラズモフスキー3番のフナーレと聴き比べたところ、やっていることは全く同じなのに圧倒感が違うことに気付いた。そう。これが旧録の凄さなのだ。
     さてベートーヴェン全集の新録の方ですが、確か40年前に新発売だったのでしょう、FMでよく流れていましたね。特にラズモフスキーがよく流れていた。中学生だった私は、これがベートーヴェンの弦楽四重奏曲の登竜門でした。その後、ブタペストによる後期四重奏曲を知ったが、十何年も経過したある日、BOXセットで売られていたヴェーグのベートーヴェン新録を偶然見つけてただ懐かしさだけで購入したんだっけ。そこにあふれる優しい調べに包み込まれながら時折引っ張り出して聴くこと数十年、最近になって突然この旧録の存在を知った。市販されているとは驚いた。録音が悪いとのうわさでしばらくためらったが、思い切って購入して本当に良かった。1952年〜55年の録音としてはこんなものではないでしょうか。基本的な解釈が旧録も新録も同じである点、さすがプロですね。すごい。にもかかわらず漂う音楽世界が違っている点、これぞプロです。これがまたすごい。自然界の音、香り、世界に身をまかせていくときっとこうなるよ、とでもいった芸術です。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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