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Review List of うーつん 

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  • 1 people agree with this review
     2016/01/23

     アーノンクール70歳代の録音であるが、年相応とか年輪を感じさせる…という表現は使えない。音楽は若々しく流れるが、フレッシュな(良い意味での)苦々しさも随所に聴かれる。 どこをとっても新鮮な(そして斬新な)シューベルトの生の音が聞こえる気がする。 天下のベルリン・フィルがアーノンクールの想いに食らいついて演奏しているので、その情報量や千変万化にこちらもついていくのが大変なくらいだ。   甘い音楽は一切ない。どれも鮮烈な響きなので通して聴くのはかなり疲れる。そのくらい内容が濃いのだ。どの曲のどの部分が云々…と挙げるのも私の聴力では力足らずなのでやめておきたい。  シューベルト好きな方は当然として様々な方に一聴いただきたい。一聴というには少し¥お高いけど、その価値はありますよ。
      

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  • 14 people agree with this review
     2016/01/21

     (リリース前のレビューです。ゆえに評価は★は期待値として3つとします。)

      待ちに待ったBerlin Phil Mediaが発表するアバドの新譜。リリース前のレビューなので内容は判りません。ただ、BPOのデジタルコンサートホールを視聴した自分でも入手してCDでじっくり聴きたい内容なのでそのうち予約して購入することでしょう。DCHで視聴した限りでは幸福感に満たされた様子が忘れられません。おそらく共演で育まれた幸福感とそこに至る道のりをパッケージングしたものと推察します。


       しかしながら一つだけパッケージ内容に不満(希望)があります。過去数年、アバドの客演はガラ・コンサートさながらの豪華なゲストと素晴らしい曲目と演奏で実に愉しめました。だから2013年の客演だけでなく他の年の客演もディスクにまとめてほしい。「ラスト・コンサート」でなく「アバドとBPOの実り多き共演の軌跡」の形式で数年分の共演がまとまっていたらと考えてしまいます。マーラー「大地の歌」やシューマンの2番、ポリーニやファウスト、オッターらとのコラボなども、権利関係などの無理を承知で是非リリースしてほしい。それが私の不満です。贅沢すぎる不満ですがBerlin Phil Mediaさん、何とかなりませんか?

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  • 1 people agree with this review
     2016/01/05

     デュメイの美音とそれを活かす響きや録音の良さが際立つCDに仕上がっている。美しすぎてその美音にのめり込みそうなところをピリスの落ち着いたサポートが活きてくる。スピードはゆったりとしていて音の美しさと音楽のゆとりが気に入った。ブラームスといえば「渋い」イメージが先行する気もするが、落ち着いた雰囲気のつややかさがこの盤のポイントではないだろうか。おすすめです。

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     2016/01/05

     うれしい再発売。
      私にとって細川俊夫の作品に出逢った初めてのCDがこれだった記憶がある。静謐なのだが、(昔はやった)ヒーリング音楽とは全く違う強さと厳しさを感じたのが最初の印象だ。   
    他のCDのレビューにも書かせてもらったが、この人の曲は緊張感を含んだ張り、垂直・水平への音の強さと持続(印象としての曖昧な表現ですみません)が彼独自の書法として明確になっているのが好きな理由だろうか。今(2016年)にしてみれば細川俊夫の「初期」作品集となってしまっているが、前述の特徴が萌芽としてしっかり出ているのでこれをきっかけに彼の作品に身をひたしてみてほしい。彼の曲は現代曲と違い、理論を頭で考えるよりも響き(ストーリー)に身をひたす方が良いと思う。

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  • 0 people agree with this review
     2016/01/04

      特に好きな曲は2曲目の『夜の響き』(1994)。少ない音ながらその表現や研ぎ澄まされた響きと音の持続はいつ聴いても身が引き締まる。「夜」がもつイメージ −私の考えでは、暗闇の向こうに潜む緊張感やそこに現れる空気感や突如現れる光の斬新さ− をピアノという鍵盤楽器兼打楽器的な思想も含めて表現していると感じた。


       思うに音の強さというか強度が強いのにしなやかといったらよいだろうか。垂直方向への強さと水平方向への持続がうまくミックスされているのが彼の作品のすごいところだと思っている。もちろん、同盤の他曲やフォンテック・レーベルの他のCDも同じ観点からお勧めしたい。

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  • 8 people agree with this review
     2015/11/29

     さすがベルリン・フィル! すばらしく生命力あふれるシベリウスです。人を寄せ付けない、峻厳としたフィンランドの自然(私の想像ですが。)が次々に眼前に迫ってくるような演奏です。フィンランドの自然を遠景で描き出すというより、4K並みの高画質でアップで飛び込んでくるような・・・。

      解説によるとラトルは若いころ、あのベルグルンドの薫陶も受けたようで「シベリウス指揮者」のDNAが生きているということなのか。ベルグルンド指揮の全集も2種持っておりどちらも愛聴盤(かつ決定盤)だが、それにひけを取らない出来栄えと思います。自然の厳しさや荒々しさの彫りの深さはベルグルンド盤に軍配を上げたいところ。とはいえ、空気や水、木々の間を吹き抜ける風、湖に漂う冷気などの「感覚」を伝える演奏の手練れは名手ぞろいのベルリン・フィルハーモニーならでは。

      BDで映像でも観られるし、何か「宝物を手に入れた」ような気持にさせてくれるパッケージや内容の充実がうれしい。今後もベルリン・フィルハーモニーの独自盤には注目していきたい。メジャー・レーベルの「音だけ詰めときましたよ」的なフツーのCDが幅を利かせている中、手に入れた喜びと「音楽が詰まっている」悦びを両立させてくれるつくりは嬉しいものです。


      

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     2015/07/21

     雑誌「レコード芸術」の2015年7月号の特集はS.リヒテル。このピアノ界の巨岩が持つ核の一つであるシューベルトの項目を読んで「ものは試し」と聴いてみたが、想像を超えるスケール、そして救いのない虚無もしくは孤独を感じた。

      特にD894「幻想」ソナタ。 表面的ではあるが演奏時間はひとつの参考になるであろうか。なにしろ第1楽章はライナーノート表記で26分57秒(!)である。試みに他の演奏ではアファナシエフ(2010年)で19:49、メジューエワ(2009年)で18:53、シフ(2014年)では15:50。リヒテルの演奏が桁はずれなのもお分かりいただけると思う。  しかし私はこれを「遅い」と感じなかった。聴いてすぐの感想として「沈み込むような孤独」と感じた。 他のどの演奏とも比較できない、リヒテルのシューベルトとして、1972年録音のD960と双璧をなすものと思う。スピードという表面的な仮面を取り払い、ひたすら曲の中に沈潜して没頭していく様は峻厳そのものであり、同時に哀しいまでに優しさに満ちている。

      D840「レリーク」もD575も同様の「想い」(少なくともこの盤を聴いて「リヒテルのシューベルト解釈」という考えは浮かばず、「シューベルトへの想い」という感想に至った。)が詰まっており、聴きごたえは十分。シューベルト演奏の極北に位置する演奏として強く勧めてみたい。

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  • 3 people agree with this review
     2015/06/28

     淡麗辛口、そのもののチャイコフスキーです。甘くて芳醇なチャイコフスキーを予想して聴くと驚くかもしれません。 クレーメルの鋭利なヴァイオリンの音色と演奏がすさまじい。カデンツァも甘さはなく、キリっとひきしまってます。マゼールとベルリン・フィルのバックも同様のアプローチでソロと拮抗しつつ歌いあげています。

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  • 4 people agree with this review
     2015/06/24

     1988年の録音(EMI)よりさらに雄大なブル4です。早い遅いの好みはあろうと思いますが、遅い演奏(指揮者に言わせれば早い遅いと考えることは邪道であり、時間芸術はストップウォッチで計測するようなものではない・・・ということにあろう。)ここまでやってくれると「やりますなぁ」と感心するしかないであろう。私はこの演奏、好きですね。 短いぱっセージも一音の出し方にも徹底してチェリビダッケの意思が込められ、歌う部分もこれでもかというくらいに指揮者の思想が粘っこくしみついている(チェリの気合声も満載)。 なかでも最終楽章のコーダ部分は圧巻です。巍々たる高峰を仰ぎ見るかのような、音を積み上げて高き山を築きあげるようなすごさがあります。ブル4のファーストチョイスにはきついでしょうが、「音の伽藍」を体感したい方にはおすすめです。

      

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  • 2 people agree with this review
     2015/06/20

     クーベリックの胸の内、熱くたぎった故郷への想いがすごく伝わる。今までクーベリック&ボストン響のDG盤で聴いてきたが、こちらの盤の方が胸にずしんときました。  昔、音楽の授業で通り一遍の解説を聞かされて「モルダウ」を聴いた記憶がある。この盤ならそんな解説を聞かせなくても充分に「想い」が伝わると思う。それくらいこの演奏はアツい。

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  • 0 people agree with this review
     2015/06/20

     楽器編成が独特だから響きも独特。武満、ドビュッシーはニコレや今井信子、吉野直子による演奏で記憶している。ニコレのフルートが中心となるからだろうか、明るくあたたかな演奏で楽しく聴いてきた。  そしてこちらのECM盤ではカシュカシアンがリードしている(ように感じた)せいか、ヴィオラの落ち着いた風合いの音が基礎となっている気がした。陽の光でかわる風景の変化というより、雲が風で動くことで影が変化する景色を表現しているような違いだろうか。  グバイドゥーリナの作品もレビューで書かれているとおり、西洋一辺倒でも東洋びいきでもない不思議な音風景と空気感が美しい。輸入盤で入手したため挿入されている詩の意味を理解できずにいるのが残念。それが分かればもう少し空気感が分かるのだが。

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  • 3 people agree with this review
     2015/06/20

     シュタイアーの演奏はチェンバロやフォルテピアノなどのピリオド楽器での演奏しか聴いてこなかったので、スタインウェイ(といっても1875年製の時代楽器だが・・・)をどのように奏するのか興味があり買ってみた。

      一聴しての感想。クラリネット、ピアノ共に楽器のせいだろうか、私がブラームスについて持つイメージにしっくりくる内容だった。しっとりと落ち着きと深みをもち、仄かにかげりがある演奏に好感をもった。曲の性格上、クラリネットがピーピー積極的に叫ぶような音は好みでない。ここではシュタイアー、コッポラの両者は弱音も交え、お互いの楽器に寄り添いあうような音楽作りがされている。

     また、拾いものだったのは作品118のピアノ小品集。ロマンティックに切なく歌を紡いでいる。それでいて甘ったるいムード音楽に堕ちない範囲にとどまっている。シュタイアーってこんな演奏もするんだと少し驚いたものだ。大好きな作品118-2、夢見るような(または想い出にひたるような)音の散らし方が泣かせます。

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  • 4 people agree with this review
     2015/06/20

     かっちり弾いても納得できるし、アレンジしても味が出てくる。そんなバッハの魅力を両方ともいい塩梅で伝えてくれる演奏です。音質は今の録音のようにキラキラしておらず落ち着きのあるおもむき。演奏のペースはわりとゆったり系。そしてなによりも装飾音が面白い。グルダだけにバッハ演奏的な装飾音という感覚より、ジャズのインプロビゼーションの発露から来るのかもしれない。プレリュードもワクワクさせるし、フーガの音の綾の中にきらめきが現れる。さりげないグルダの「遊び心」が嬉しい、味わい深い平均律の復活に乾杯。

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  • 10 people agree with this review
     2015/05/26

     ベートーヴェンの最後の3つのソナタにシューベルトの最後のソナタ・・・これを1セットでリリースしてくれるとは思わなかった。2014年の公演記録からみてどちらか一つかなと思っていたので望外の曲目です。

      ベートーヴェン&シューベルト、ともに演奏者の十八番というか代名詞的な曲目。過去の録音と比べても自由さが増しているし、それに比例してかメッセージも多弁になっているようにおもう。特に感じたのは「作品を赤裸々に語っているなぁ」ということ。きれい・汚いとか良い・悪いといったものを取り去って作品のメッセージを(アファナシエフというフィルターを通して)放出している。昔の録音もメッセージ性は高かったが今のものと比べると良くも悪くもあざとさにとられかねない音づくりに感じられてしまう(もちろんこれが面白いのだが)。ライヴだからか心境の変化か・・・。


     今までの録音を持っている方にもおすすめできる絶品です。アファナシエフの思考の特徴でもある「沈黙」を饒舌に豊かに表現したベートーヴェン&シューベルトです。

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  • 4 people agree with this review
     2015/05/13

     シューベルト好きの私にとっては待望のリリース。しかもD894&960に加え、即興曲などの小品集もたっぷりのボリューム。毎度のことながらECM&A.シフの出すCDはどっさり大盛りが嬉しいところ。


     聴いてみての感想は「良くも悪くも期待を裏切られた」。フォルテピアノを使ったためなのか劇的な動的な表現でなかったと感じた。期待した動的な表現はなく、その意味では裏切られたが、楽器の特長を前面に出し、そこから引き出される曲の魅力を味わうことができたのが良かった。どうしても劇的(または悲劇的)なシューベルトの方が世間受けしそうな気もするがそれをせずとも感情はにじみ出てくるものなのだろう。 ただ、シューベルトのソナタをこの表現で初めて聴くと、退屈に思えてしまう方が出てくる気もする。

     ゆっくりじっくり描き出すより、さらっとした演奏。かといって軽いわけじゃない。濃厚なスープでなく、さっぱりしていながら旨みがじわーっと立ち上る上品なお吸い物を、香りを感じつついただいているような感じ。

     楽器の音はやわらかく鄙びた風合いが美しい。レビュー文にあるようにこの楽器ならこのような演奏がしっくりくるのも納得させられる。

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