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ねも さんのレビュー一覧 

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     2019/01/13

    第二次世界大戦終盤、ドイツの片田舎で、主人公のヨハンは郵便配達人として働いていた。一度は戦場に出たものの、左手を失ったためだ。彼が届ける郵便には、受け取りてが喜ぶものもあれば、戦死を伝える「黒い手紙」もある。孫の戦死を受け入れずに、ヨハンを孫だと思いこむ老女、不利な戦況でもナチスの勝利を信じ続ける人もいれば、ナチスに批判的な人もいる。やがてドイツは降伏し…。
    村の生活では戦争の直接的な影響が少ないように思えるが、ヨハンの左手も、戦死者も取り返せるものではない。戦争は“奪う”ことで成り立っていることを、淡々と示した小説である。

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     2019/01/13

    日本の文学史というか既成文壇に対する挑戦的なタイトルをつける傾向のある著者だが、本書も刺激的なタイトルとなっている。
    明治以降の日本語を文学などを通じて論じながら、英語(米語)が世界共通言語になりつつある現状のなかで、日本語や日本語教育のありかたについて考察している。
    売れて話題になったこと、上にも書いたようにタイトルが刺激的だったことなどが先行したため、著者の日本語への深い愛は理解されなかったのが残念だ。

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     2019/01/13

    本書は、極めて早い段階で、農薬や化学物質の危険性を訴えたもの。
    50年以上も前に刊行されたものなので、現代の科学的知識からすると誤りも見られるが、全体としてはその先見性は疑うべくもない。
    当初は化学薬品工業などからも攻撃をうけたものの、徐々にその内容が知られ、部数も伸び、著者の立場を支持する人は増えていった。
    書名は、昆虫や小動物などが農薬で激減し、それを餌とする鳥たちが春になっても鳴かないことを意味している。今から10年前に刊行された『ハチはなぜ大量死したのか』の原題『 Fruitless fall』(直訳だと、実りなき秋)は本書を意識しているが、最初の刊行から50年を経てもなお影響力を持つ本書の凄さを物語っている。
    20世紀後半に刊行された書物のなかでも、もっとも影響の大きかったものではないだろうか。

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     2019/01/13

    ニセ札づくりに挑む主人公たちの姿を三部構成で描いた作品。山本周五郎賞、推理作家協会賞を受賞した作品。
    手塚道郎は多額の借金を背負った友人を助けるために、ニセ札づくりに手を染める。ニセ札といっても、銀行のATMさえ欺けばいいレベルのもの。それを利用して銀行から多額の金を得ることに成功するものの、そのことに気づいていたヤクザたちが…
    二部、三部と主人公は名前を変えながらニセ札作りをステップアップさせてゆき、最後には、大銀行・大企業相手に戦いを挑むところが見どころ。悪事をしているにもかかわらず、主人公たちにどこか爽快感を感じてしまう。

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     2019/01/13

    実在するジプシー(ロマ)の女性詩人をモデルとした小説。
    ゾリは、ナチスの魔の手が迫るスロヴァキアでファシストに家族を殺される。祖父とともにかろうじて逃れる、流浪の日々を送るものの、読み書きを習得し、自らの詩を紡ぎ出すようになる。しかし、読み書きは掟で禁じられていたため、追放されてしまう…。
    政治の荒波のなかで、ひたすらに言葉の力を信じ、たくましくも生きのびた姿が印象的。ナチスや東ヨーロッパにおける反ユダヤ問題はそれなりに書かれているが、ジプシーに触れたものはまだまだ少ないだけに、そういった面でも貴重である。

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     2019/01/13

    自転車ロードレースの世界を描いた作品。著者らしくミステリ的な要素を取り入れるとともに、青春小説の側面をもたしている。著者の名を広く知らしめることになり、ファン層を広げることにもなり、以降『エデン』などさらに4作(2018年終了時点)が書かれる。
    陸上選手から自転車競技に転向した白石誓は大学卒業後にプロチームに所属する。彼の仕事はエースを助けるアシスト。ヨーロッパ遠征中、そこで思わぬトラブルが待っていた…。
    過去の事故にまつわる噂、元恋人との再会なども話を盛り上げるが、やはりもっとも大きなポイントは主人公が自転車ロードレースの「アシスト」であり、それが自転車レースそのものへの理解と興味に繋がっている。

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     2019/01/13

    日米開戦目前、日本海軍の動向を探るべく択捉島に潜入した日系アメリカ人スパイと彼を追う憲兵や択捉島に勤務する軍人、スパイを愛した駅逓(宿場)の女主人たちを描く。著者の「第二次大戦三部作」の第2作にあたるが、独立して読んでも十分に楽しめる。真珠湾攻撃を巡る緊迫、出生によって不当な扱いを受けてきた主人公とヒロインの哀しみ、妄念にとらわれた軍人たちなど読みどころは満載。600ページを越える作品だが、長さを感じさせない面白さ。

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     2019/01/13

    様々な天才について書かれた本は多いが、本書が描くラマヌジャンは、超ど級の天才だ。
    南インドで育ったラマヌジャンは、大学を中退した後、働きながら数学の研究を続けていた。周囲のすすめもあって、イギリスの数学者たちに手紙を送るものの黙殺されるが、ケンブリッジ大学のハーディのみが彼の異様な才能に気づく。ハーディはラマヌジャンをケンブリッジに招聘し、彼はイギリスに渡るが…。
    彼の生涯を知ることができるとともに、ハーディの数学に対する愛と人間的な素晴らしさにも触れることができる。数学者の評伝といっても、数学に詳しい必要はない。けた外れの天才の孤独さが哀しい。

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     2019/01/13

    個人的には著者の作品のなかで『密閉教室』と並んで最も好きな作品。
    『頼子のために』の影響が探偵・法月綸太郎に残り、探偵として人間として、大きな苦悩のなかでのたうち回る。アイドルが事件に巻き込まれたり、映画監督が登場したりするので、ある意味では多少ミーハー的な要素があるものの、明らかに著者が愛するエラリー・クイーンの中期・後期の作風の影響が色濃い作品。
    謎解きだけの面白さを求める人には向かないものの、クイーンにこだわる人にとっては、何とも言えない魅力がある作品。

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     2019/01/13

    著者の代表作である「オリンポスの果実」に加え、「風はいつも吹いている」「野狐」「生命の果実」「離魂」「さようなら」の6編が収録されている。
    やはり強い印象を残すのは「オリンポスの果実」。主人公の「ぼく」が1932年のロサンゼルス・オリンピックにボート選手として参加するために乗った船には、陸上選手も乗っていた。「ぼく」はその中の熊本秋子に恋心をいだくものの…。
    自身がボート選手として参加したロサンゼルスオリンピックでの体験を小説化したものだが、まるでラブレターのようでもある。これだけ甘ったるい内容が小説として成り立っていることは不思議だが、それはラストの印象的なつぶやきが大きな意味を持っている。

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     2019/01/13

    ミステリもしくは推理小説をかなり広い定義で考えない限り、本作はその二つに該当しているとは言い難い。
    鳥取県の架空の村を舞台に、その村で製鉄業を営む赤朽葉家三代の歴史を、日本の戦後史と絡めながら描いている。
    中心人物の万葉は、村に置き去りにされたものの、不思議な能力などを発揮し、赤朽葉家に迎え入れられ、当主の息子・曜司と結婚しする…
    評判の良い作品だったので、それなりに期待して手に取った。別に面白くないわけではないが、読み終えて、「えっ」というのが正直な感想。ミステリという部分に過剰な期待を持たずに読むことをお勧めする。

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     2019/01/12

    著者お得意のスペインもの。
    フリーのPRマン、漆田亮は得意先から人探しを頼まれる。そのサントスという男は、スペインの有名なギター製作者を20年前に尋ねていた。わずかな手掛かりから、漆田はサントス探しに乗り出すが…
    漆田が動き出すのに合わせたかのように、事態は展開しはじめ、スペインにまで舞台は広がっていく。スピーディで、スリリング。ただ、漆田の人間像を受け入れられない人がいるかもしれない。それとラストが悲しい。
    著者は本作で、直木賞と推理作家協会賞を受賞している。

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     2019/01/12

    ドラマ『JIN−仁ー』の登場人物に澤村田之助(三代目)という役者がいたが、本書はその田之助の生涯を描いた作品だ。
    その美貌と実力で抜群の人気を誇った田之助。それゆえか、それとも生来のものかは定かではないが、勝気で驕慢である。やがて脱疽を患い、そのため両足、両手を切断することになるが、それでも舞台に立ち続ける。この波乱と狂気とも言える生涯を架空の人物の視点から見つめている。
    最初に刊行されたのが1987年で、文庫化は三回目。文庫はそれぞれ違う出版社である。田之助と彼を描いた本作が根強い人気を持っている証である。

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     2019/01/12

    副題にあるように。ヴェネツィア共和国の千年の歴史を描いた作品。1981年にサントリー学芸賞を受賞している。個人的には、著者の脂がもっとものっていた時期の作品。適確な文章で、冗長でもならず、小麦など食料をほとんど産しない小さな国が、観光資源を巧みにいかすなど衆の知で、多くの天才を生んだフィレンツェに負けない栄華を勝ち得るとともに、大国を相手にしても負けることなく、繁栄を築くことができたのかが描かれている。

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     2019/01/12

    『時をかける少女』『夕ばえ作戦』と並ぶジュブナイル小説の代表作であり、著者にとっても代表作の一つ。
    大阪の中学生・岩田広一のクラスに転校生・山沢典夫がやってくる。典夫は美少年で頭脳はずば抜けており、運動神経も抜群。あっという間に人気者になるものの、いくつかのことについてはエキセントリックな反応を示す。やがて典夫と同じ日に転校してきた生徒が、同じ中学校だけではなく、大阪にも多数いて、典夫と同じような行動をとっていることが判明する…。
    50年前の作品なので、中学生の男女間の感覚などは今とはかなり違う部分もあるだろうが、全体をつらぬく瑞々しさと核戦争・進歩の功罪といったテーマは今でも十分に通じるものがある。ラストは切ない。

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