グードルン・パウゼヴァング

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片手の郵便配達人

グードルン・パウゼヴァング

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622079637
ISBN 10 : 4622079631
フォーマット
出版社
発行年月
2015年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
241p;20

内容詳細

証言者はまもなくいなくなる―17歳で敗戦を経験した作者が戦後70年をかけて自らの内に熟成されたすべてを投げ入れ渾身の力をこめて描く“戦争の本当の姿”。

【著者紹介】
グードルン・パウゼヴァング : 1928年、当時はドイツ領のボヘミア東部ヴィヒシュタドル(現チェコのムラドコウ)に生まれる。女子ギムナジウム在学中の15歳のときに父親が戦死。17歳で第二次大戦の終戦を迎える。戦後はボヘミアを追放され、母や弟妹とともに西ドイツのヘッセン州ヴィースバーデンに移住。アビトゥーア(大学入学資格試験)に合格後、教職に就いて1956年には南米に渡り、チリ、ベネズエラのドイツ人学校で教鞭を執った。1963年に西ドイツにいったん帰国して小学校の教師を務めたのち、ふたたび南米コロンビアに暮らし、1972年に帰国。小学校教諭として教えるかたわら創作活動を行う。1998年、ケストナー世代の児童文学作家についての論文でフランクフルト大学で博士号を取得

高田ゆみ子 : 1956年、大阪府生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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主人公の母親は言う。「人はなぜ過去の経験...

投稿日:2021/04/10 (土)

主人公の母親は言う。「人はなぜ過去の経験から学べない? 同じ過ちばっかり繰り返してる。人間の宿命ね」と。描写される自然は、時に厳しいが、美しい。主人公の心根も美しい。だが、彼の迎える最期には希望がない。この結末は、過ちを繰り返す人間に対する鉄槌なのか。過ちを繰り返してしまう人間には、これほどまでに不条理な死しか値しないのか。人間の愚かさと温かさが等しく描かれており、若い人たちにぜひ読んでほしいと思うがゆえに、読後感の重さに耐えられず、星三つにしました。

murphy burnard さん | 兵庫県 | 不明

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第二次世界大戦終盤、ドイツの片田舎で、主...

投稿日:2019/01/13 (日)

第二次世界大戦終盤、ドイツの片田舎で、主人公のヨハンは郵便配達人として働いていた。一度は戦場に出たものの、左手を失ったためだ。彼が届ける郵便には、受け取りてが喜ぶものもあれば、戦死を伝える「黒い手紙」もある。孫の戦死を受け入れずに、ヨハンを孫だと思いこむ老女、不利な戦況でもナチスの勝利を信じ続ける人もいれば、ナチスに批判的な人もいる。やがてドイツは降伏し…。 村の生活では戦争の直接的な影響が少ないように思えるが、ヨハンの左手も、戦死者も取り返せるものではない。戦争は“奪う”ことで成り立っていることを、淡々と示した小説である。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ペグ さん

    漠然とした題名に惹かれ図書館で。1944年8月から1945年5月までの物語です。戦場で片腕を失くし故郷で郵便配達をする17歳のヨハンが主人公。毎日7つの村々に郵便物を届ける。その中には死亡通知の黒い封筒が〜。思慮深いヨハン、村人たちもそれぞれが色々な想いを抱きながら生きている。話は淡々と進みますが〜。全く知らなかった作品でしたが読んで良かった‼︎戦争は戦場だけでは無いと痛感しました。

  • NAO さん

    戦争とは不条理なものだから、それに関わることすべてか不条理だということはよく分かる。戦争に英雄を期待してはいけない、希望を持ってもいけないと作者はいいたいのだろうが、それでも、このラストはあまりにも残酷で、読後感は最悪。戦争に息子をとられた悲しみが母を狂わせてしまう悲劇、その母が新たな被害者を生み出してしまう悲劇。せめて、いつの日か、主人公の冤罪が晴れる日が来るのを祈るばかりだ。

  • 星落秋風五丈原 さん

    若くて仕事熱心で優しいヨハンは、彼等の哀しみや苦しみをそのまま受け止める。物語の定石ならば善人は救われ悪人は報いを受ける。ヨハンは、戦争が終われば真っ先に新たなドイツで活躍を期待される存在だ。しかし、それも平和な時ならではだ。なぜならば、我々の戦争を思い浮かべてみればいい。爆弾が善人と悪人を選り分けて降って来たか。戦争が終わった後も、国と人には深い傷跡が残る。だから戦争は、始めてしまったら終わりなのだ。呆気ないくらいのラストに比べて『日本のみなさんへ』と題された作者のメッセージは熱い。

  • あじ さん

    第二次世界大戦下のドイツの片田舎を舞台に、1945年5月までの10ヶ月間を描いている。主人公のヨハンは左腕を失った若き傷病兵で、帰郷後に郵便配達員として暮らす。毎日20キロの道程をヨハンは孤独に歩く。戦死報告である”黒い手紙“がある日は、気分が塞ぐ事だろう。配達員の務めはただ一点、手紙を届けるだけ。その手紙が訃報であっても、相手を気遣い支える義務は一切ない。でもヨハンにはそれが出来ない。その結果が最後に絶句となって、私の中で収拾付かない混乱を招く。誰に異議申し立てをすればいいのか、こんな運命はあんまりだ。

  • キムチ27 さん

    お気に入りの既読書で知った書。薄いし、平易な文体ながら内容は重厚、苦しい。だが一気読み。現チェコで敗戦を迎えた筆者17歳。その後70年に渡り、たぎる想いを渾身の筆致で綴っている。フィクションとは言え、だからこそずんと伝わる「戦争の不条理さ」描かれる情景は射撃も血しぶきも無。初出兵で片手となったヨハンは郵便配達夫となり死の知らせ「黒い郵便物」を運ぶ。早く死に別れた母は助産婦~生を運ぶ。対極の立ち位置を据え、ヨハンが接する狭い社会の種々の人々を見つめる定点観測のような座位。素晴らしいのは美しい情景描写を背後に

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