『パルジファル』全曲 クプファー演出、バレンボイム&ベルリン国立歌劇場、エルミング、W.マイヤー、他(1992 ステレオ)(3DVD 日本語字幕付)
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みんなのまーちゃん | 東京都 | 不明 | 2019年10月01日
指輪と並ぶクプファーの代表作。2幕以外は素晴らしい演出。 これはバレンボイムが同じくクプファー演出の指輪をバイロイトで指揮していた時期にホームグラウンドのベルリン国立歌劇場で上演した公演の映像。エルミング、マイヤー、トムリンソン、カンネンなど多くの出演者がバイロイトの指輪と共通する「チーム・バレンボイム」の演奏だ。90年代頃からワーグナー歌手が顕著に小粒化したのは否めず、エルミングやトムリンソンもコロやゾーティンには及ばないが、ワーグナーらしい一定の質はキープしているのはさすがだ。マイヤー、トムリンソン、シュトルックマン、カンネンは1997年のベルリン国立歌劇場の来日公演でもパルジファル(演奏会形式)を歌った。この来日公演は脇役の花の乙女のアイゼンフェルトやマッティーバ、騎士のビンズツスとヴォルフ、小姓のメンツェルやシュミット、アルトのラングまでこの映像と同じだったそうだ(パルジファルのエルミングは急病でキャンセルした)。 バレンボイム自身も1987年にバイロイトでパルジファルを指揮し、1990年にはベルリンフィルとの録音も行っている(ここでもカンネン、マイヤーが共通で、トムリンソンはティトレルを歌っている)。作品を知り尽くしているだけに安定感のある演奏だ。 演出のクプファーは旧東ドイツ時代のライプツィヒで演出を学び、1978年のバイロイトでのさまよえるオランダ人で西側にも一躍有名になった。80年代から旧東ドイツ時代のベルリン国立歌劇場やベルリン・コミーシュ・オーパーで演出をしており、ベルリン国立歌劇場の1987年の来日公演のサロメやベルリン・コミーシュ・オーパーの1991年のボエームとフィガロの結婚、1994年のカルメン、1998年のホフマン物語とこうもりもクプファーの演出だ。私は演出目当てでオペラを観に行くということをしていなかったのでこれらの公演を見ていないが、クプファーはワーグナー以外にも様々な作品を演出しているのだ。 クプファー演出のバイロイトの指輪はレーザー光線が特徴的だが、このパルジファルは暗めの青白い照明とLEDで白く発光する舞台装置を多用した抽象的な演出だ。歌手の人は近くにこんなものがあって眩しくて歌いにくい(指揮者が見にくい)のではないかと余計な心配もしてしまうが、クプファーは「ひかりもの」が好きなようだ。まるでひんやりとした感じの演出で、私はこういう解釈もありだと思う。ただ2幕の花の乙女を舞台に散乱するブラウン管テレビの映像にしてしまったのはいただけない。だいたい今どきブラウン管なんてないし。 LD時代から出ていた有名な映像だったが3枚組DVD(輸入盤だが日本語字幕入り)になったのは2012年だ。2012年ならブルーレイで1枚に収めて欲しかったところだが、HD収録されたバイロイトの指輪と異なりこちらはSD収録だったためかブルーレイにはなっていない。SD収録だが画質はまずまず良好だ。ベルリン国立歌劇場のパルジファルは2015年にチェルニャコフの奇妙な新演出(ブルーレイになっている)に変わってしまったのでクプファー演出がDVD化されたことを喜びたい。 なお、クプファーは2014年に新国立劇場でもパルジファルを演出している。写真で見る限り舞台装置の形はだいぶ違ったようだが、LEDで白く発光する舞台装置の上で白い衣装で歌うというコンセプト自体は変わっていないようだ。ただ2幕の花の乙女の演出は大幅に変わったようだ。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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ドンナー | 神奈川県 | 不明 | 2013年07月16日
ハリー・クプファーの演出は、皆さんがご指摘のように、今となっては一昔前の感があり、あまり楽しめない。私自身がクプファーの演出が苦手なせいもあるが。むしろ、オットー・シェンクやヴォルフガング・ワーグナーの方が良いかも知れない。映像は遠目から全体像を捉えようとした感じだが、画像は思いのほか悪くなく、観づらいことはない。歌手陣はワルトラウト・マイアーのクンドリーが素晴らしく、バレンボイムの指揮もおとなし目だが、この作品では成功していると思う。演出に不満はあるものの、日本語訳も付いており、「パルジファル」のDVDとしては、第一におすすめできるものではないだろうか。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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