『フィデリオ』全曲 シェンク演出、バーンスタイン&ウィーン国立歌劇場、ヤノヴィッツ、コロ、他(1978 ステレオ)
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タイガー哲 | 埼玉県 | 不明 | 2009年09月21日
フィデリオの初体験は60年代後半にNHKで放映されたハンブルグオペラのプロダクション。ルートヴィッヒの指揮、まだ20代のアニア・シリアのフィデリオであった〈もちろんモノクロ、モノラル〉。第2幕大詰めの「妻から殺せ!」のシーンで拳銃を突きつけられたフィデリオが帽子を取ると肩まで届くような長い髪が流れ出てくる演出が忘れられない。このバーンスタインのウィーンライブはそれに次ぐと評価する。→ ヤノヴィッツのフィデリオは危地に陥った夫をなんとしても救い出そうとする、妻の愛情、やさしさといったところが発揮された情感豊かな歌唱。第2幕大詰めで音をはずすのはご愛嬌。→ バーンスタインの指揮はヤノヴィッツ・コロの夫婦の情愛を情感を込めてサポートする一方、レオノーレ第3番の序曲から第3幕にいたるところでは腰の据わったオーケストラドライブを行なっている。「ウィーンの養子」を言われたバーンスタインとオケの相性もよく、演奏終了後袖へ引き上げるときにティンパニ奏者の肩に手をおき「今晩一杯やろうぜ」とでも声を掛けているシーンがなんとも微笑ましい。→ 録音もグラモフォンにいたギュンター・ヘルマンスが担当しており、ライブの制約を感じさせない立派なものであると評価したい。同時期のORF収録によるクライバーのカルメンライブは弦がデッドにオンマイクで録音されており、非常に聴きづらかった。→ 歌手がそろっていること、指揮・オケがよいこと、カラー・ステレオであること、なによりライブならではの一発録りの緊迫感があることがこのソフトの魅力である。→ ついでながらフィデリオを得意としていたベームにはドレスデンでのセッション、日生劇場のライブとあるが、1944年のシュターツオパー閉鎖寸前の時期に録音されたコネツニ=フィデリオ、ゼーフリート=マルツェリーナほかのものが、第2幕大詰め以降の緊迫感が、時代超えて胸に迫ってきてお勧めである。これを聴きだすとモノラル、SP録音なんてことはまったく気にならなくなる〈小生が所持しているのはコロンビアのHRシリーズのLP)。→ ※ユーザーレビューの文字数が増えてありがたいが、段落の表記ができない。矢印が段落です。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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