シェーンベルク(1874-1951)

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CD

『グレの歌』 ラトル&ベルリン・フィル、他(2CD)

シェーンベルク(1874-1951)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
TOCE13503
組み枚数
:
2
:
日本
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤

商品説明

シェーンベルク:『グレの歌』
ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー、ほか

2001年のベルリン芸術週間の目玉となった記念碑的公演をライヴ収録したもの。当公演のためにおこなわれたリハーサル日数は、ベルリン・フィルとしては異例に長い、オーケストラ全体の練習が4日、パートごとの練習が4日間の計8日間となっています。
 『グレの歌』は最初、シェーンベルクがまだ若い頃に一編の歌曲として書き上げられ、その後巨大化の道を歩んだという後期ロマン派風の作品。ワグネリズムの影響、特に『神々のたそがれ』や『さまよえるオランダ人』を髣髴とさせる場面があるなど、シェーンベルクらしからぬ親しみやすさと、通常のレパートリーではおそらく最大音量と言われるその迫力あるサウンドと変化に富む曲調から、これまでにも注目すべきレコーディングがいくつもおこなわれてきました。

 編成の巨大さゆえに実際の上演の数が非常に少ないことを考えれば録音の数はむしろ多いとさえいえるほどですが、中でもライヴ盤が目立つのは、上演そのものが大きな話題を呼ぶということが要因になっていると思われます。
 古くはストコフスキー&フィラデルフィア(1932年Live)に始まり、その後、レイボヴィッツ&パリ新交響楽協会(1953年)、クーベリック&バイエルン放送交響楽団(1965年)、フェレンチーク&デンマーク国立放送交響楽団(1968年)、クリップス&ウィーン交響楽団(1969年Live)、ブーレーズ&BBC交響楽団(1974年)、小澤&ボストン交響楽団(1979年Live)、シャイー&ベルリン放送交響楽団(1985年)、ケーゲル&ドレスデン・フィル、ライプツィヒ放送交響楽団員(1986年)、インバル&フランクフルト放送交響楽団(1990年)、メータ&ニューヨーク・フィル(1991年)、アバド&ウィーン・フィル(1992年Live)、シノーポリ&ドレスデン・シュターツカペレ(1995年)、クラフト&フィルハーモニア(2001年)、レヴァイン&ミュンヘン・フィル(2001年Live)、そしてラトル盤(2001年Live)にいたるまで、個性豊かな演奏が目白押しですが、中でも注目度の高いのがこのラトル盤。5管編成オーバーで150人近い巨大なオーケストラと、300人近い大合唱の織り成す極彩色のサウンドは、作品の可能性をフルに引き出したものと言えるでしょう。アルバン・ベルクによるピアノ伴奏版ヴォーカル・スコア編曲を基にしたと思われる「チェロ&ピアノ版」の簡素な響きとはまさに対極にあります。

 『グレの歌』は、実在のデンマーク国王ヴァルデマール(在位1157-1182年)をめぐる伝説にもとづいています。国王とその愛人トーヴェとの悲しくもグロテスクな物語のあらましは以下の通りです。
 この手の寓話に良くあるパターンですが、国王ヴァルデマールには嫉妬深くわがままな妃がおりました。嫌気がさしたヴァルデマールは、トーヴェという美しく気立ての良い女性を愛人とし、グレの地にある狩猟用の城郭で逢瀬を重ねます。
 が、ほどなく不倫は妃にも知れるところとなり、やがてトーヴェは妃によって毒殺されてしまうのです。ヴァルデマール王は激昂して神を呪ってしまいそれが原因で天罰によって命を落とすこととなり、おまけにその魂は昇天することが許されず、大勢の兵士の幽霊を引き連れトーヴェの魂を求めて夜な夜なグレの地を徘徊することになってしまいます。
 時は流れ夏の嵐に替わって実りの秋が到来。収穫の季節にふさわしく農夫も登場し、やがて道化師と語り手も登場して、幽霊たちの壮絶な合唱を交えながらも、二人の魂の救済に向けて盛り上がりをみせます。最後は混成8部合唱による壮大な太陽の賛歌となっており、女声合唱の参加による色彩の変化が、魂の救済の可能性を暗示しているかのようです。

 演奏は非常にクオリティが高く、ベルリン・フィル初の『グレの歌』にふさわしい強力なサウンドが最大の聴きものとなっています。指揮者のラトルが打楽器出身で近・現代音楽に造詣が深いということもあってか、特殊奏法への配慮や打楽器パートの強調が実に面白く、「歌曲的な」アプローチとはだいぶ雰囲気の異なるものになっています。
 大人数の合唱も凄い迫力で、第3部での幽霊たちの合唱にはまさに鬼気迫るものがありました。5管編成オーバーの巨大オーケストラと十分に渡り合う彼らのパワーは圧倒的ですが、それもラトルの適切な誘導があればこそでしょう。名高い男声12部合唱での仕上がりも完璧です。
 もちろん、静かな部分でのアプローチも優れており、各パートが十分に見通せる透明度の高さは、この作品におけるシェーンベルクのスタンスが、完成までに10年を要したという年月の経過ゆえに微妙に変化していたことさえ窺わせる精妙なもので、さすがはラトルと思わせます。
 独唱者陣では、山鳩役のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが圧巻。『グレの歌』の内面的なクライマックスでもある「山鳩の歌」における重みと深みのある歌は過去最高といいたくなる感動的な内容です。その他では、クヴァストホフの農夫&語り、ラングリッジの道化が見事な仕上がりです。

・シェーンベルク:『グレの歌』
 カリタ・マッティラ(S)
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
 トマス・モーザー(T)
 フィリップ・ラングリッジ(T)
 トマス・クヴァストホフ(Bs)
 ベルリン放送合唱団
 ライプツィヒ中部ドイツ放送合唱団
 エルンスト・ゼンフ合唱団
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・サイモン・ラトル(指揮)
 録音:2001年9月18日、20日、11月9日(デジタル)

内容詳細

BPO音楽監督就任前の録音。シェーンベルクの長大で難解な作品を、ラトルが精緻な指揮で解き明かしていく。同時に、後期ロマン派特有の官能性も見事に描出している。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

総合評価

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グレの歌がBPOで録音されたことが嬉しい...

投稿日:2008/03/07 (金)

グレの歌がBPOで録音されたことが嬉しい!やはりこういう難曲はこのオケで聴きたい。ラトルはこの絢爛豪華なオーケストレーションをさも容易そうにドライヴし、また大強奏のなかでも各パートの動きを明確に響かせているBPOの演奏技術にも舌を巻く。…しかし、やはりオーケストラの響きを極限にまで美しく響かせてくれるのはカラヤンだ。1967年の2月に一度(二日間だけ…会場はこのラトル盤と同じフィルハーモニー)彼はこの曲を演奏会で取り上げているが、録音セッションは見当たらない。このライヴがCD化されればと夢みている。

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近年のグレでは白眉。内声の対位法処理をバ...

投稿日:2007/06/09 (土)

近年のグレでは白眉。内声の対位法処理をバッチリ決めており、シェーンベルクのグレがワーグナーの開拓した路線の究極であることを実感できる。録音は悪くないのだが、これが超優秀録音だったら超凄かったのにと思う。それ程までにオケが練りこまれている。俗に多い歌曲的アプローチは結局対位法処理ができないための逃避軟弱路線ということがよくわかる。BPOは最高のお買い物をしたようだが、録音が優秀以上でなければラトルの真の凄さはわかりにくいだろうなあ。

ポランスキーのP さん | Tokyo | 不明

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作曲家の良さを存分に引き出せたのは、ラト...

投稿日:2006/07/08 (土)

作曲家の良さを存分に引き出せたのは、ラトルの才能とオケの力量が見事にマッチしたからではないかと考えます。この「グレの歌」は鳥肌が立つようなクライマックスを迎えます。ぜひ一度この版でお聞きください。但し、音質はEMIでそれなりなので割り引いてくださいね。

徳力勝利 さん | 東京都 | 不明

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