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【インタビュー】TENGGER CAVALRY
2018年02月23日 (金) 20:00
|HMV&BOOKS online - ロック

ホーミー+Korn、Slipknot!あまりに斬新すぎる音楽スタイルで、今全米で話題沸騰のテンガー・カヴァルリー。中国出身のエクストリーム・メタル・バンドというだけでもインパクト十分の彼ら。(現在はニューヨーク在住だが。)6枚目となるニュー・アルバム『鮮卑(せんぴ)』がリリースされるということで、リーダーのネイチャーに話を聞いてみた。
川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『鮮卑(せんぴ)』がリリースになりますが、以前のアルバムと比べてどのような点が進歩していると言えるでしょう。
ネイチャー:このアルバムは、間違いなくテンガー・カヴァルリー史上最高の作品だよ。今回は、非常にクリアーなメッセージを持った歌詞になっている。あらゆる社会にはびこる人種問題や差別、憎悪、そしてナショナリズム的姿勢。このアルバムは平和、そして人々を団結させることがテーマになっているんだよ。
川嶋:人種差別というのは、あなたの個人的に基づいているのでしょうか。
ネイチャー:(無回答)
川嶋:今回は歌詞もすべて英語ですね。これはなぜなのでしょう。
ネイチャー:英語というのはユニヴァーサル・ランゲージだからね。だから皮膚の色や国籍に関係なく、誰でも理解できるだろう?
川嶋:しかし英語というのは無声音が多い言語ですから、英語をホーミーで歌うのは難しくないですか。
ネイチャー:そうだね、確かに英語だと歌いにくいというのはある。

ネイチャー:スタジオ・アルバムとしては6枚目さ。その他の作品は、ライヴ・アルバムや編集盤、再レコーディング盤などだからね。
川嶋:あなたはもともと北京の出身ですよね。モンゴルに根差した音楽をやろうと思ったのは何故なのですか。
ネイチャー:10世紀から13世紀にかけて、遊牧民である契丹の人々や森の住人である女真のような人々が、万里の長城の向こうから南へと領土を広げ、そして遼や金といった王朝の首都として、北京を作ったのさ。その後偉大なる蒙古のリーダー、フビライ・ハンが北京を元王朝(1279?1368)の首都とし、歴史上初めて北京から中国全土を支配したのさ。そんな長く、そして深い遊牧民の歴史的影響を受けた都市で2010年、テンガー・カヴァルリーは生まれて、世界征服を開始したというわけさ。当時はモンゴルやカザフスタン出身のメンバーもいて、やはり北京出身のNine Treasuresという、これまた素晴らしいモンゴリアン・メタル・バンドと活動をしていたんだ。今は俺はニューヨーク・シティに住んでいて、人生の新しいチャプターを始めたのだけど。
川嶋:北京では、メタル・バンドをやっているということで、例えば政府から目をつけられたりみたいなことはあったのでしょうか。
ネイチャー:いや、ないよ。
川嶋:なぜニューヨークへと移住したのですか。
ネイチャー:ニューヨークへは13年に引っ越したんだ。モンゴルの世界征服を継続するためにね。映画音楽の作曲家としてのキャリアを認められたのさ。ニューヨークに住んでみると、文化的多様性であるとか、オープンマインドな環境というのは、俺やテンガー・カヴァルリーどちらにも良い影響を与えていると思うな。
川嶋:ミュージシャンとしては、北京とニューヨーク、どちらの方が活動しやすいですか。
ネイチャー:どちらも良い点、悪い点があるから何とも言えないな。
川嶋:モンゴルの伝統的な楽器やホーミーを始めたのはいつのことですか。そういった伝統的な音楽をやってみようと思ったきっかけは何だったのでしょう。
ネイチャー:8年前だね。俺は北京のモンゴルのコミュニティーで育ったんだ。だからこういう音楽に触れるのはとても自然のことだったし、その道のマスターから直接テクニックを伝授してもらえるアドヴァンテージもあったんだ。
川嶋:メタルとモンゴルなどの中央アジアの伝統音楽をミックスしてみようというアイデアは、どのようにして浮かんだのですか。
ネイチャー:ヨーロッパには、ヨーロッパの伝統音楽とメタルをミックスしたバンドがいっぱいいるだろう?一方で、アジアで同じことをやっているバンドというのはあまり見当たらない。だから自分でやってみようと思ったのさ。
川嶋:メタルと中央アジアの伝統音楽以外からの影響はありますか。
ネイチャー:映画音楽からの影響はあるね。
川嶋:テンガー・カヴァルリーの音楽をカテゴライズするとしたらどうなるでしょう。
ネイチャー:モンゴリアン・フォーク・メタル。
川嶋:最近は、モンゴル、中央アジアの伝統音楽を取り入れるメタル・バンドも散見されますが、お薦めはありますか。
ネイチャー:Ego FallsとNine Treasures。
川嶋:メタルということでは、どのようなバンドから影響を受けたのでしょう。
ネイチャー:RammsteinやSlipknot、Kornあたりだね。
川嶋:今回のアルバムでは打ち込みドラムも入っていますが、これはやはりRammsteinからの影響ですか。
ネイチャー:そのとおり。Rammsteinさ。
川嶋:ヘヴィ・メタルとのそもそもの出会いはどのようなものだったのでしょう。
ネイチャー:中学生のころに、さっきも言ったようなバンド、例えばSlipknotやLinking Parkなどを聴いてね。とにかくぶっ飛んだよ。
川嶋:しかしテンガー・カヴァルリー初期の頃の音楽性は、もっとブラック・メタルやメロディック・デス・メタルに寄っていたように思うのですが。Slipknotからの影響などはなかったですよね。
ネイチャー:(無回答!!!)
川嶋:ではお気に入りのメタルのアルバム3枚を教えてください。
ネイチャー:難しいな。思いつかないよ。
川嶋:最後に日本のファンへのメッセージをお願い致します。
ネイチャー:ぜひいつか日本でプレイしたいね!
北京出身であり、かつモンゴルの伝統音楽とメタルを融合させたというだけでも、それなりに話題性はあるだろう。だが、今回のアルバム『鮮卑(せんぴ)』のインパクトは、それだけのものではない。この作品を一言で表すとしたら、「何じゃこりゃ」である!とにかくすべてが何じゃこりゃ。多少大げさに言えば、モンゴルの伝統音楽パートとSlipknotパートが、何の脈絡もなくつなぎ合わせられている感じ。エクストリーム・メタルというのは、本来「何じゃこりゃ」でなければならない。そうでなければ「エクストリーム」なんていう大仰な形容をすべきではないのである。そういう意味で、テンガー・カヴァルリーはエクストリーム中のエクストリーム。『鮮卑(せんぴ)』は、久々に聞いていて口元が緩んでしまう作品だ。
インタビュー回答の異常な素っ気なさもエクストリームだが、「テンガー・カヴァルリー初期の頃の音楽性は、もっとブラック・メタルやメロディック・デス・メタルに寄っていたように思う」という質問が癇に障ったのだろうか。しかし、テンガー・カヴァルリーの以前のアルバムを聴いてもらえればわかるが、彼らは確実にブラック・メタル(あるいはメロディック・デス・メタル)+モンゴル伝統音楽というスタイルを出発点としている。実はブラック・メタルとモンゴル伝統音楽は、かなり相性が良い。インタビュー中ネイチャーも挙げているEgo Fall(ネイチャーはFallsと言っているが、sはつかない。お気に入りのバンドの名前を間違えるところもエクストリーム!)は来日公演も行っているので、彼らの音楽に馴染みのある人も多いと思うが、Ego Fallの楽曲に、『鮮卑(せんぴ)』で聞かれるような無理やり感は皆無。「ブラック・メタルって、フォーキーな音楽に合うなあ」というのが、Ego Fallを聴いて多くの人が持つ感想だろう。だが、Napalm Recordsという大手レーベルからの初リリースということで、気合が入ったのだろう、テンガー・カヴァルリーは、突如ニュー・メタルに寄せてきた。それもまるで自分たちは最初からニュー・メタル・バンドであったかのように!そして結果生まれたのが、強烈な違和感、強烈なインパクトである!とにかく行動すべてがエクストリーム。ここまで常軌を逸したバンドは、そうそうお目にかかれるものではない。
テンガー・カヴァルリーが、アメリカで大きな話題となっているというのは本当の話だ。彼らの活動はCNNやニューヨーク・タイムズにも取り上げられ、15年には、あの有名なカーネギー・ホールでのコンサートをソールドアウトしてみせたほど。そして手にした大手Napalm Recordsとの契約。これはやはりテンガー・カヴァルリーの音楽、活動にそれだけのインパクトがあったという証拠。デス声すら市民権を得て、もはや真にエクストリームたることが容易でない時代。エクストリーム・メタルの世界でも、あらゆることが試みられ、なかなか「何じゃこりゃ!」と思わせてくれるバンド、アルバムに出会うこともない。そんな中、『鮮卑(せんぴ)』は久々の「何じゃこりゃ」だ!!エクストリームとはどういう意味なのか、体で納得させてくれるアルバムである。
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