【インタビュー】シャーウッド&ピンチ

2017年03月07日 (火) 08:00

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UKダブの巨人、エイドリアン・シャーウッドとブリストル・ダブステップの気鋭ピンチのコラボ・プロジェクト、シャーウッド&ピンチが、セカンド・アルバム『Man Vs. Sofa』を2月24日にリリース。その新作発売直前の2月上旬、シャーウッド&ピンチの二人が待望の来日。リー・スクラッチ・ペリーやプライマル・スクリームのマーティン・ダフィら豪華ゲスト参加や、あの「戦場のメリークリスマス」のダブワイズなカバー等、話題豊富なニューアルバムについて話を聞くことが出来た。先日公開したエイドリアンによる『無人島 〜俺の10枚〜』企画と共に必読。
(質問・文:ヒロ安藤)

S:エイドリアン・シャーウッド
P:ピンチ

ベストなコラボレーションというのは、お互いに音のスペースをシェアすることだと思うんだ。前と比べて、今は音のスペースをより一緒に共有出来るようになっていると思う(ピンチ)


--- お二人がコラボレーションすることになったきっかけを教えてください。

P:ロンドンのファブリックというクラブで俺のレーベル〈テクトニック(Tectonic)〉のショーケースをやった時に、エイドリアンをブッキングして、その時に初めてエイドリアンに会ったんだ。そのあと、パリで〈オン・ユー(On-U)〉のパーティーがあったんだけど、今度はそれにエイドリアンが俺を招待してくれて、もっと話すようになって、一緒にダブプレートを作ることになった。パリの後、俺がエイドリアンのスタジオにいって一緒に音を作り始めたんだけど、彼とはすごく気が合ったんだ。だからそこから一緒に音を作り続けて、アルバムが出来るまでになったんだよ。

S:ピンチとはすぐに意気投合した。一緒に作業していてすごく楽しいんだ。だから、アルバムが出来るくらいのマテリアルはすぐに仕上がったね。

--- 一緒に音楽を作るようになって5年ほど経っているそうですが、以前と比較して、お二人のコラボレーションの進化を物理的な部分、精神的な部分で説明していただけますか。

S:一緒にトラック作りをスタートした時は、二人がそれぞれに作業をして、それを合わせるという感じだった。〈テクトニック〉と〈オン・ユー〉のコラボといった感じだったんだ。でも今は、もっと理解が深まって、二人の間に化学反応が生まれている。シンパシーを感じるし、より二人で一緒に一つの作品が作れているんだ。シャーウッド&ピンチのサウンドがね。

P:ベストなコラボレーションというのは、お互いに音のスペースをシェアすることだと思うんだ。俺とエイドリアンは、その音の空間の中で一緒に同じ興味をシェアしているんだよ。前と比べて、今は音のスペースをより一緒に共有出来るようになっていると思う。

S:サウンド的には、よりパワフルなアプローチが出来るようになっていると思う。よりダイナミックでエキサイティングになっていると思うし、他の誰にも作れないスペシャルなスタイルが出来上がってきたと思うね。

P:その通り。

--- また、その進化をもたらした象徴的な楽曲を最新作から1曲選ぶとしたら?

S:一曲選ぶのはは難しいな。

P:俺は簡単。「戦場のメリークリスマス」のカバーだね。だって5年もかけて作ったんだから(笑)。

S:「戦場のメリークリスマス」のヴァージョンはかなりダイナミックなんだ。

P:あのトラックは複雑で、たくさん失敗もした。でもやっと満足しているものが出来上がったんだ。満足出来るまでに、かなり時間がかかったけどね。

「戦メリ」は坂本龍一とデイヴィッド・シルヴィアン(「Forbidden Colours」)の両方を意識してカバーに挑戦した(シャーウッド)


--- アルバムタイトルに込められた意味、コンセプトがあったら教えください。

S:コンセプトはないよ。素晴らしいグルーヴと曲を作る事だけが目的だったから。

P:あとはアプローチだね。毎回、コンセプトはあまりない。アルバム制作において考えるのは、コンセプトというよりもアプローチなんだ。

--- 先ほども話題になりましたが、「戦場のメリークリスマス」のカバーをされたのはどうしてでしょう?坂本龍一のファンでいらっしゃいますか?もしお好きな作品があったら教えてください。

S:あれをカバーしたのは、あの曲のメロディが好きだから。だからデイヴィッド・シルヴィアンのヴァージョン「Forbidden Colours」も大好きなんだ。すごくあのメロディはすごくキャッチーだからね。ロブ(ピンチの名前)と一緒に、坂本とデイヴィッドの両方を意識してカバーに挑戦した。二人ともあのトラックを気に入っているし、すごく面白いトラックだと思っている。アンセムのようなトラックだし、世界に受け入れられたあのメロディは素晴らしいと思うね。

P:有名なメロディだからあの曲の存在は知っていたけど、ファンまでではなかった。でも、エイドリアンに紹介されて聴くようになったんだ。

S:YMOも好きだよ。冨田も同じくらい素晴らしい。彼らのような作曲家は日本の音楽に大きな影響を与えているし、彼らが活躍していた時代の音楽は本当に素晴らしかったと思う。


--- 『MAN VS. SOFA』の参加ゲスト陣、それぞれの起用理由を教えてください。※リー・スクラッチ・ペリー、プライマル・スクリームのマーティン・ダフィ、タズ(Dizzee Rascal)、スキップ・マクドナルド(The Sugarhill Gang, Tackhead, Little Axe)

S:今回のレコードは主にインストのトラックが多くて、ゲスト・ミュージシャンはあまり起用したくなかったんだ。よりミニマムにしたかった。本当に必要な時のみヴォーカルを使いたかったんだ。だから、ヴォーカルは特徴的である必要があった。リーには歴史があるし、彼のヴォーカルの素晴らしさはわかっていたから、彼を起用することにしたんだ。マーティンは20年来の友人で、彼はジャズを始めあらゆる音楽を理解している。ロックも含め、この曲に欲しいカラーを作り出すことが出来るのが彼だったんだ。ミュージシャンとしても素晴らしいし、トラックでは、エチオピアンぽいヴォーカルをもたらしてくれた。彼との作業は楽しかったよ。彼は、音楽の知識とテイストがとにかくすごい。今回のゲストは皆そうだけどね。

P:タズは、自然とコラボするようになったんだ。彼がエイドリアンの住んでいるエリアのの近くに住んでいたから、さそってよく一緒に飲んでいた。それで自然とトラックに参加するようになったんだ。彼がスタジオで作ったものが俺たちの作品にフィットしたから、キープしたかったんだ。

S:スキップとは、30年の歴史がある。彼はレコードでそこまでプレイしすぎてはいないけど、大切な存在なんだ。アレンジの才能が素晴らしいし、このアルバムではギターピアノで少し参加してくれている。彼は兄弟家族みたいな存在だな。もう90枚くらいアルバムで共演しているよ。

P:エイドリアンとスキップの間には深いコネクションがある。お互い、少し何かを説明するとすぐ理解し合うんだ。彼は、人としても素晴らしい人間だよ。

無人島に持って行くなら、リズム&サウンドの作品をどれかだと思う。スペースとムードが好きなんだ(ピンチ)


--- 先日、シャーウッドさんには無人島企画でご協力いただきましてありがとうございました。今回はピンチさんに質問です。無人島に1枚だけアルバムを持っていくとしたら、何を選びますか?その理由もお願いします。

P:リズム&サウンドの作品をどれか持って行くと思う。スペースとムードが好きなんだ。シンプルだけど世界観があるし、なによりも名前の通り”リズムとサウンド”がいい(笑)。ベーシック・チャンネルの作品もいいかもしれないな。

ピンチの無人島タイトル

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--- シャーウッドさんは上記企画で今回のアルバムを選ばれました。「完成させたばかりの作品を聴くのが好きで、そればかり聴くのをしばらく続けてから、ぱったりと聴かなくなる」とお答えされてましたが、具体的な理由を教えてください。

S:今回の新作も、来年までは聴くと思うんだ。まだ作ったばかりで新鮮だし、あの作品をより深く理解するためでもあるし、ライブでプレイするからね。でも、それが終わったら聴かなくなる。次の作品を作り始めると、それで頭がいっぱいになるんだ。だから、昔の作品を敢えて座って聴いたりはしない。そういう意味であの発言をしたんだよ。自分の音楽は、制作中にとにかく沢山聴いて、それ以外はあまり聴かないね。

P:同じく(笑)。

--- ピンチさんの名前を由来を教えてください。

P:特にこれといった理由はないんだ(笑)。前にDJをしていた時は、ジャングルとドラムンベースを混ぜたスタイルを主にプレイしていて、その時は違うDJネーム名前だったんだけど、2002年にロンドンに同じ名前のグラフィック・アーティストがいることがわかって、じゃあ変えなきゃと思ってピンチにしたんだ。シンプルで誰も使っていなかったし、名前を変えた時は、前のDJスタイルとは違っていて、ドラムンベースだけでなく、ベーシック・チャンネルっぽい音楽がガレージやグライムといった様々な音楽を”ピンチ”(つまむ)ようになっていた。それでこの名前にしたんだよ。

俺とピンチは二人とも忙しいけど、一緒になるとマジックが起こる。それを続けていきたいんだ(シャーウッド)


--- 今後の予定。最近お気に入りの作品などあれば。

S:二人ともプロデューサーだから、もっとプロデュースをやっていきたいね。

P:あと、映画音楽を作ってみたい。

S:俺とピンチは本当に気が合うから、これからもっとショーをやっていきたいね。二人とも忙しいけど、一緒になるとマジックが起こる。それを続けていきたいんだ。

P:お気に入りの作品は、クリスマス前にインドに行ってきたんだけど、その時に買ったインド音楽のヴァイナルをずっと聴いてる(笑)。

S:俺は、自分の音楽意外を聴く時はよくジャズを聴く。ジャズを聴いてるとリラックスできるんだ。あとは、コールドカットの新作を最近はよく聴いてるよ。というのも、俺が作業で参加しているから(笑)。もうすぐリリースされるんだ。あと、今週は Mark Ernestus の'Ndagga Rhythm Force をよく聴いていたね。あれもクールな作品なんだ。

エイドリアンが最近聴いている作品


リリース情報


シャーウッド&ピンチ
『マン VS. ソファー』
品番:BRC-539
発売中
[収録曲]
01. Roll Call
02. Itchy Face
03. Midnight Mindset
04. Lies
05. Unlearn
06. Man Vs. Sofa
07. Charger
08. Merry Christmas Mr Lawrence
09. Juggling Act
10. Retribution
11. Gun Law
12. Bullshit Detector *Bonus Track for Japan


Man Vs.Sofa

CD

Man Vs.Sofa

Adrian Sherwood & Pinch

価格(税込) : ¥2,420

会員価格(税込) : ¥2,226

まとめ買い価格(税込) : ¥2,057

発売日: 2017年02月24日

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