HMVインタビュー:Glen Scott

2009年3月11日 (水)

無題ドキュメント
Glen Scott
 Glen Scottインタビュー
Interviewed by 二木崇(D-ST.ENT)
「いつの日か娘たちは僕が人間として、父親として成し遂げたことを考えるようになるだろう。それが彼女たちの人生に大きな影響を与えることになる。だから彼女たちの思い出になるアルバムを作ることにしたんだ」

--- 最新作に費やした時間はどれくらいですか?またそれは、あなたにとっては長い方?

Glen Scott  かなり時間をかけたよ。ずっと専念していたわけじゃないけどね。僕には2人の子供がいるし、『Soulrider』以来、拠点をロンドンからスウェーデンに移して、セッションミュージシャンやプロデューサーとしての仕事が忙しかったから、自分のアルバムに専念する時間が十分に取れなかったんだ。でもリリースされることがうれしいし、出来あがったことに誇りを感じている。やっとだよ! 

--- アルバム、タイトルのコンセプトについて教えてください。 

Glen Scott このアルバムを作るのに僕を刺激し、後押ししたのは“希望”という概念だ。父親になって以来、僕は将来に対し懸念を持つようになった。ミュージシャンとして、一人の人間として責任感が強くなったんだ。 

いつの日か娘たちは僕が人間として、父親として成し遂げたことを考えるようになるだろう。それが彼女たちの人生に大きな影響を与えることになる。だから彼女たちの思い出になるアルバムを作ることにしたんだ。それが『Trust The Dawn』だ。これは娘たちに捧げたアルバムで、これを聴いて彼女たちが勇気づけられることが僕の夢だ。

--- 聴いたところ、これまでのどの作品よりもストレートなソウル・アルバムに思われたのですが、自分ではどう思いますか?また、かつてのオルタナティヴ、ハイブリッドなソウル・シンガーという評価については? 

Glen Scott “ハイブリッドなソウル・シンガー”というのはうまい表現だね。気に入ったよ。ハイブリッドな気持ちは今もあるけど、このアルバムはもっとソウルだね。他の人がどのように定義しても、僕は気にしない。他の人が聴くためにアルバムを作った以上、あらゆるコメント、あらゆる意見があることを受け入れなければならない。この仕事をやっている以上、避けられないことなんだ。

--- デペッシュ・モード「Personal Jesus」のサザン・ソウル風のリメイクに驚いたのですが、このアイデアは? 

Glen Scott  ある実験から生まれたアイデアだ。3、4のバージョンを録音したんだ。 マーティン・ゴア(ディぺッシュ・モードのメンバーでソングライティングを担当)が書いたこの曲はすごいよね。彼にとってどんな意味を持つ曲なのか分からないけど、僕は歌詞に共感したんだ。誰もが、話す相手や心を通じ合わせられる相手を必要としているからね。それぞれの人にとってのイエス(キリスト)のことさ。 自分流に変えたから、この曲を聴いた人はすぐに『Personal Jesus』だと気づかないかもしれないけど。

--- バンド・サウンドの録り音、ミックスも、いい意味でヴィンテージ感があって素晴らしいと思うのですが、レコーディングで一番苦労したことは? 

Glen Scott  このアルバムは録音もミックスもあまり苦労はしなかったんだ。 それよりも、曲の演奏を最優先したんだ。曲の数とテイクの数が十分にあれば、いつもうまく行くものだしね。

僕はヴィンテージの機材が好きだし、数年前から古いキーボードやプロ用のオーディオを集めているんだ。昔の機材を使って自分のスタジオを装備したりカスタマイズしたりしている。  アシスタントのオスカー・ウィンバーグと一緒に、時には独りで、ドラム、ベース、ギター、キーボードを録音し、曲をリアルかつ純粋に保った。これがルーツっぽさとヴィンテージ感を生んだのだと思う。

それからオーバーダブ用に、管楽器、パーカッション、ストリングスを録音したんだ。その後に自分のボーカルを調整したり、バイブを加えたりもした。  音としての構成が見えていたし、スタジオの機材でバイブを加えることが出来たし、録音テクニックもあったので、ミキシングは順調に進んだ。アルバムのマスターはニューヨークのVault Mastering Studiosで行ったよ。

--- このアルバムはあなたのキャリア上、どんな位置にあるモノと言えますか? 

Glen Scott  今の時点では360度自分だと言えるね。次のアルバムでは音楽的にも、歌詞にも新しいも可能性を追求するかもしれない。でも僕の音楽を聴いた時に受ける“僕らしさ”は変わらないよ。 

--- ここ最近で最もよく聴いたアルバムは?

Glen Scott  今は自分の音楽を聴いて楽しんでいる。今後のライヴ演奏のために、もう一度、学び直しているところなんだ。 あと、アル・グリーンの新作は最高だ。彼がこのようなアルバムを作ったことはうれしい! とてもヒューマンで真実味があるから、必要な時に勇気をくれる。 ジャンルを問わず、特にこのご時世、このような音楽は必要だと思う。

--- あなたの音楽は一言で言うと?

Glen Scott  僕の音楽を一言で言うと:コーシャー(※〔料理などが〕ユダヤの戒律・慣習に従った、清浄な、という意味) 。

--- 日本公演の思い出を。また、日本のファンにメッセージをお願いします。

Glen Scott 『Without Vertigo』のサポートで行ったライヴは最高の思い出だよ!次の訪日が待ち遠しいよ。世界中の国の中でも、僕は日本が大好きなんだ! このアルバムには日本盤オンリーのボーナストラックが3曲入っている。とても大事に思っている3曲だが、提供することに抵抗はなかったよ。なぜなら僕は99年の『Without Vertigo』以来、音楽的な観点で日本に親近感を持っているんだ。『Trust The Dawn』のライヴを日本でできるのを楽しみにしているよ。

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