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シュトックハウゼン:グルッペン/エトヴェシュ

2006年3月8日 (水)

シュトックハウゼン『グルッペン』
エトヴェシュ、タマヨ、メルシエ

2005年に来日し、ますます増強される導師的存在感を印象付けて話題となったシュトックハウゼン。今回、ペーター・エトヴェシュによって録音されたアルバムには、シュトックハウゼンがアグレッシヴだった1950年代の傑作を2曲収録しています。
 1曲目の『グルッペン』はケルン放送からの委嘱作で、3人の指揮者、3群のオーケストラを必要とする作品。全体の人数は109名ですが、そこには12名を擁する打楽器セクション、ピアノ、エレクトリック・ギターまで含まれています。この3群のオーケストラは、同じ規模と楽器で編成されており、それぞれが独立的に扱われたり混じりあったり、異なるテンポで対立的に進行したり、巨大で破壊的なトゥッティを形成したりして、距離感や方向感といった空間的な面白さや、独奏、室内楽、フルオケといったアンサンブルの自在さによって、斬新で魅力的なサウンドを創造しているのがポイント。向かって左側が“オーケストラ1”、中央が“オーケストラ2”、右側が“オーケストラ3”となっています。なお、楽譜の最後にはラテン語で“Deo gratias”、つまり「神に感謝する」と書かれているとのことで、作品へのシュトックハウゼンの自信のほどが窺われます。
 初演は1958年3月24日に、今回と同じケルンのメッセ・ラインラントザールで、作曲者(オーケストラ1)とマデルナ(オーケストラ2)、ブーレーズ(オーケストラ3)の指揮によっておこなわれ、1965年には、作曲者(オーケストラ1)とマデルナ(オーケストラ2)、ギーレン(オーケストラ3)の指揮によって3チャンネル・ステレオ・レコーディングが実施されています。これは後に作曲者によって通常の2チャンネル・ステレオにミックスダウンされ、LPとして発売されています(CDはこちら)。
 その後、1994年12月に収録されたゴルトマン、アバド、クリード指揮するベルリン・フィルのライヴ盤(22分20秒)も登場して話題となり、その3年後に今回のレコーディングがおこなわれています。
 また、1997年にはバーミンガム市交響楽団が演奏する贅沢な映像作品(24分30秒)も制作されており、指揮はジョン・カールー(オーケストラ1)、サイモン・ラトル(オーケストラ2)、ダニエル・ハーディング(オーケストラ3)が担当しています。これは各オーケストラのステージが、青・赤・緑に色分けされたもので、12台のカメラによって非常に多彩な映像が収録されているのがなによりの魅力。
 そしてその翌年に収録された今回のアルバムでは、初演時と同じくケルン放送交響楽団が、ケルンのメッセ・ラインラントザールで演奏しているのが興味深いところ。指揮は、一連のクセナキス録音で人気のアルトゥーロ・タマヨがオーケストラ1を、作曲家で指揮者のペーテル・エトヴェシュがオーケストラ2を、フランス近代や北欧物を得意とするジャック・メルシエがオーケストラ3を担当しています。

 組み合わせの『プンクテ』は、タイトル通り“点”を様々な形で扱った作品。戦後の前衛界の流行でもあったセリーを意識したこの音楽は、1952年に作曲され、1962年に大幅に改訂、その後も改訂が続けられ、1994年になってようやく「決定稿」が出版されたといういわくつきの作品で、長いスパンで熟成・変容が進んだ結果、現在の姿は、1963年にブーレーズがおこなった録音とは大きく様相が異なっているとか。
 今回登場する2004年の録音は、作曲者立会いのもと、ペーテル・エトヴェシュ指揮するケルン放送交響楽団によっておこなわれたもので、先に高価な“STOCKHAUSEN VERLAG”からリリースされていたものと同じものです。
 かなりのプライスダウンになるので、シュトックハウゼンが気になる方には嬉しいリリースといえるのではないかと思われます。

カールハインツ・シュトックハウゼン
・3群のオーケストラのための『グルッペン』(1955-57)[24:30]
 ケルン放送交響楽団
 アルトゥーロ・タマヨ(指揮、オーケストラ1、左)
 ペーテル・エトヴェシュ(指揮、オーケストラ2、中央)
 ジャック・メルシエ(指揮、オーケストラ3、右)
  録音時期:1997年5月28日、6月2日
  録音場所:WDR、メッセ・ラインラントザール
   プロデューサー:ヴォルフガング・ベッカー
   ディレクター:シュテファン・ハーン
   エンジニア:クリストフ・グロナーツ
   エンジニア:ディーター・ヴォールフロム
   エンジニア:ゲオルク・リンツィンガー
   エンジニア:ライナー・キュール

・オーケストラのための『プンクテ』(1952/62)[26:24]
 ケルン放送交響楽団
 ペーテル・エトヴェシュ(指揮)
  録音時期:2004年6月8&9日
  録音場所:ケルン・フィルハーモニー
   プロデューサー:ハリー・フォークト
   ディレクター:シュテファン・ハーン
   エンジニア:クリストフ・グロナーツ
   エンジニア:ディーター・ヴォールフロム
   エンジニア:ゲオルク・リンツィンガー
   エンジニア:ライナー・キュール

レーベル:Budapest Music Center
カタログ番号:BMCCD117

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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『グルッペン』『プンクテ』 アルトゥーロ・タマヨ、ペーテル・エトヴェシュ、ジャック・メルシエ、ケルン放送交響楽団

CD 輸入盤

『グルッペン』『プンクテ』 アルトゥーロ・タマヨ、ペーテル・エトヴェシュ、ジャック・メルシエ、ケルン放送交響楽団

シュトックハウゼン(1928-2007)

ユーザー評価 : 5点 (1件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥3,300
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発売日:2006年04月19日
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