【全曲解説】オメでたい頭でなにより『オメでたい頭でなにより3』

2022年09月29日 (木) 19:00

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全曲解説テキスト by 赤飯(Vo) ぽにきんぐだむ(Gt/Vo) 324(Gt) mao(Ba)



1. きなしゃんせ。

ぶち上げ系じゃない、肩の力が抜けた曲だってやらせろ!わしかて疲れてるんじゃ。うああああ。という衝動からスタートした曲。maoが作ったリズムの骨組みに、324が自由にギターのせてトラック完成。最初はイタリア語っぽく聞こえる日本語を組み合わせたラップにしようとしたけど、背伸びしすぎてる感が否めなく、結局語りのようになった。録音のとき、「寂れた町の場末の居酒屋の大将になりきろうなりきろう……」という意識でやった結果、演技みが強くなったけど気持ちがすごくこもっているのだ。このときメンタル的にとても落ち込んでいたので、サビのメロと歌詞から、それはもうおびただしい哀愁オーラが出過ぎていて、メンバーに引かれた。「せっかくキャッチーなリフレインパートがあるんだから、それサビにすりゃいいじゃん。」というぽにきの一言にハッとして今の形に着地。
最初は居酒屋の入口の情景にすごくフォーカスしてたので、“暖簾ソング”って呼ばれてた。ライブに来てくれるお客さんを心地よくウェルカム出来る曲に育てたい。そんな展望。(赤飯)

2. あれこれそれどれ

元々ソロ時代にYMと一緒に発表した曲。オメでたの前身バンド時代に一回セルフカバーしてる。度々ライブで、“いい感じにヘイトを爆発させられる曲”っていう立ち位置で今に至るまで演奏し続けてる。コロナ禍以降特に、ヘイトの捌け口として自然と演奏することが増えた。自分がずっと感じていた「いい加減バンドメンバーの出す音だけで演奏させろおおおおうおああああああ」という衝動と、いろんなタイミングがこの曲にフィットして、よっしゃリアレンジカバー!となった。今のバンドのメンタルと姿勢がよく表れていて良い。余計なモノを取っ払った潔さを存分に味わってもらいたい。(赤飯)

3. 超クソデカマックスビッグ主語

オタクはすぐ主語をデカくする(私のことだ)。
頭を使うということはとても疲れる。誰かの判断に身を委ねることは責任を持たず逃避も容易いのでとても楽。
でも知性ある人間がそんなことでは獣に堕ちるも同義。
本当にお前は人間足りえる存在なのか?という問いかけの歌です。まぁ、知らんけど。(324)

4. ダンシングオールナイトレディ

アセムヒEXのweb CMタイアップ用の書き下ろし「完全無比Lady」の出来がすごく良かった。というかシンプルに324のギターリフが渋くてかっこ良くて、これのゴリ押しで曲になる!これはフル尺でやろう!いえあ!で出来た曲。そしてアセムヒに引っ張られたのか計らずとも夏曲になった。アルバム出る頃には完全に夏終わってるのに。タイトルめっちゃ悩んだけど「わかりやすいに越したことはない」ということでこれになった。特にもんたさん的な要素はこの曲にはない。324のギターソロもとても渋くて良い。狙ったわけではないけど、サビはなんとなくAEROSMITHのDUDEな風味を勝手に感じて、口角が上がってしまう。(赤飯)

5. NO MUSIC NO LIFE

2019年に突如人類を襲った未曾有のウイルス“新型コロナ”その時一番初めにやり玉に挙げられたのはライブハウスを始めとするエンターテイメント業界でした。オリンピックや行事ごとには必要不可欠だったエンターテイメントが不要不急と切り捨てられ、生きることを否定された毎日を過ごす中で、末期がんと闘いながらカミングコーベと音楽を守り抜いた松原さんが残した「死ぬまで生きる」という言葉が僕の胸の中で強く響いていました。このまま人々に忘れ去られ消えていくなら、仲間と笑いながら燃え尽きよう。悲しく暗い時代でも必ず音楽が彩りを取り戻してくれる。自分の人生になくてはならない音楽とともに生き抜く決意の籠もった一曲です。(ぽにきんぐだむ)

6. プレシューズ

ライブの翌日、見にきてくれていた父親から電話がかかってきて。開口一番「もう長くはないかもしれない。前みたいに元気に過ごせないんだ」と。父は実は何度も手術をして、奇跡的にそれが成功しているだけであって生きていることだけで奇跡だった。僕はその話を曲にしたいとメンバーに伝えることにした。皆、快く受け入れてくれ不器用ながらも、自分なりに父親への思いを歌詞にした曲。(mao)

7. 推しごとメモリアル

メジャーデビューシングルのカップリングに収録された、今ではライブの定番曲となったこの曲を再録致しました。アイドル界隈のあるあるを詰め込んだ歌詞は実際にステージに立つアイドル、そして現場に通ったことのあるお客さんなら共感すること間違いなし。
我々ロックバンドがサビで楽器を置いて踊りだすという一見おかしな行動もライブを楽しむギミックになっています。是非音で共感し、ライブで楽しんでください。(ぽにきんぐだむ)

8. 推しどこメモリアル


推しメモ三部作(推しメモサーガ)推しごとメモリアルの正統な続編にあたる一曲です。
推しごとメモリアルの主人公であるアイドルが引退した後の世界、推しが居なくなったお客さんの心情と、輝く場所を失ったアイドルの心情を両軸から描いています。曲調は昔どこかで聞いたことのあるサウンドとメロディーに仕上がっていますが、たぶんそれは気のせいです(笑)。推しを失ったお客さん、そしてステージを降りたアイドル、果たしてこの後かれらのストーリーはどこへ向かうのか……神のみぞ知る……。こうご期待です。(ぽにきんぐだむ)

9. 意味ない歌

意味ない歌と言いつつ意味がある歌です。
普段自分で歌詞を書くときは内省的なものが多いのですが、少しそういう考えを外に開いてみました。
とは言え誰かに向けたものというより自分に向けたものであることには変わりないのですが、自分にもこういうことあるなぁと思ってくれたら嬉しいです。(324)

10. HAKUNA MATATA

オメでたでEDM調の曲を作りたいとかねてから模索していましたが、今回DJ KSUKE君のお力添えの元、その想いが形になった一曲です。
某映画で有名な言葉「ハクナマタタ」心配ないさという意味を持つこの言葉をEDMに乗せて“とにかく馬鹿に騒げる曲”に仕上げました。時として嫌なことを忘れて生きることは弱さじゃなくて強さ、ライブハウスに集う仲間とともに「心配ないさ」と騒げる場所を取り戻したい願いの籠もった一曲です。(ぽにきんぐだむ)

11. すばらしい時代

自分はおばあちゃん子です。昭和生まれです。それもあってか、昨今流行りの昭和レトロムーブメントに自然とハマっている。個人的な幼少期の記憶に基づく懐かしさと、その時代に全く触れていない若者が、歴史的なノスタルジアを感じて「なんかいい!!」ってなる感覚と両方を味わえている自分、マジお得!超お得!あー昭和生まれ最高!いえーい!っていう謎理論で盛り上がっている。そんなこともあり昭和歌謡もたまに聴いていて、先日も銀座カンカン娘をオンラインで聴いていた。その流れでAmazonでこの曲に対するレビューを読んでいるときに、ひとつだけめちゃくちゃ興味深いレビューを見つけた。妙に感銘を受けてしまった(良かったらAmazonのレビューで探してみてください)。それがこの曲のモチーフときっかけ。やっぱりこの曲作ってるときもメンタル落ちまくってたので、タイトルには皮肉を込めまくった(あとユニコーンをめっちゃ聴いてたのもある)。今作で1番伸び伸びと歌えてるって点で気に入ってる。(赤飯)

オメでたい頭でなにより『オメでたい頭でなにより3』

GENRE:LOUDROCK
コロナ禍による困難や葛藤がバンドにもたらした変化
その格闘の末に完成した、“すばらしい時代”を示すニュー・アルバム

前作から約2年半。カバー・アルバム『オメでたカバー横丁〜一番街〜』を挟んで制作された3rdアルバムは、カバーを通して様々な実験をし、オメでたい頭でなによりで何ができるかを経て完成した。コロナ禍の葛藤のある、ままならない状況下で、小ネタ満載のおふざけは抑えめではあるが、元来のシニカルな視点や毒っぽさを生かし、今何を表現するかを探求した作品となった。サウンドの広がりはより豊かに、ラウドやミクスチャー、ファンクやEDM、J-POPど真ん中の歌モノからアイドル・チューンまでオメでたサウンドとして昇華。サウンドの構築力や多彩なアイテムを軽々飲み込むそのスタイルに器用さを感じていたが、今回はその曲の底に泥臭くあがく生々しさが通底する。ある種オメでた史上最もロックなアルバムだろう。
吉羽 さおり 【ライター推薦】


オメでたい頭でなにより3

CD

オメでたい頭でなにより3

オメでたい頭でなにより

価格(税込) : ¥3,000

会員価格(税込) : ¥2,760

まとめ買い価格(税込) : ¥2,550

発売日: 2022年09月28日

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