激ロック×HMV&BOOKS online vol.110

GENRE：LOUDROCK
コロナ禍による困難や葛藤がバンドにもたらした変化
その格闘の末に完成した、“すばらしい時代”を示すニュー・アルバム
前作から約2年半。カバー・アルバム『オメでたカバー横丁〜一番街〜』を挟んで制作された3rdアルバムは、カバーを通して様々な実験をし、オメでたい頭でなによりで何ができるかを経て完成した。コロナ禍の葛藤のある、ままならない状況下で、小ネタ満載のおふざけは抑えめではあるが、元来のシニカルな視点や毒っぽさを生かし、今何を表現するかを探求した作品となった。サウンドの広がりはより豊かに、ラウドやミクスチャー、ファンクやEDM、J-POPど真ん中の歌モノからアイドル・チューンまでオメでたサウンドとして昇華。サウンドの構築力や多彩なアイテムを軽々飲み込むそのスタイルに器用さを感じていたが、今回はその曲の底に泥臭くあがく生々しさが通底する。ある種オメでた史上最もロックなアルバムだろう。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：REGGAE ROCK, PUNK ROCK
苦悩の中で見えた今伝えたいメッセージ
G-FREAK節が光る、希望に満ち溢れた待望のオリジナル音源
2年2ヶ月ぶりのオリジナル音源。ツアーの延期が続くなど、思うように活動ができなかった時期に悩み苦しみ、導き出した答えや伝えたいメッセージが込められた。個人的には怒りや葛藤、虚しさやもどかしさや仄かな希望といった真正直な気持ちを吐き出せたのが「STAY ON YOU」で、その先にあった優しさや寛容さを表現しきれたのが「Dandy Lion」なのではないかと思うが、諦めずに前を向いて進み続けたからこそ生まれた曲たちであるのは間違いない。歌詞もサウンド面も挑戦的で遊びの要素も多い「唄種」もオススメ。演奏面もG-FREAK節と新たな挑戦や可能性を秘めたアレンジとサウンドで、バンドの現在をしっかり表現。規制もあるなかで行ったライヴの感触も反映した曲たちが、ツアーでどう鳴らされるかも楽しみ！
フジジュン 【ライター推薦】

GENRE：HARD ROCK, METAL
トラディショナルなHR/HMとモダンさを融合した、約4年ぶりのフル・アルバム
キタコレ的王道展開に輝かしき過去への憧憬、最新技術、俳優陣の熱演、時代を読んだ空気感。それらすべての要素が詰まっていたからこそ、先だって大ヒット中の“トップガン マーヴェリック”は36年前の第1作を知っている層のみならず、様々な世代にも受け入れられたのではなかろうか。ちなみに、Mardelasが今作でのコンセプトとして追求していったのは、現代的モダニズムと古き良きトラディションの両立と融合であったという。しかも、多くの歌詞の中でのモチーフとなっているのは往年の名作映画の数々。伝統的なヘヴィ・メタル／ハード・ロックから継承する重厚なサウンドと、様々なジャンルからのおいしいところを抽出した音が絶妙に交錯していく様は、まさに前述のヒット映画のごとく痛快で秀逸だ。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRO, LOUDROCK
一貫して我が道をのらりくらりと進み続けるメトロノーム
約3年ぶりのアルバム『阿吽回廊』リリース
ほど良く脱力して聴ける不条理にしてシュール且つコミカルなメトロノームの世界は、いつにも増して適温に仕上がっており、すこぶる飄々とした心地よいヌルさはやはり天下一品。シャラク（Vo）作詞曲のセンスフルな「阿ッとして吽」のやたらと高い完成度といい、ピコピコキラキラな音と身も蓋もない歌詞が重なる様が秀逸な「万金丹」での“才能の無駄遣いぶり”といい、約3年ぶりのアルバムでも彼らは一貫して我が道をのらりくらりと進み続けている印象だ（褒め言葉）。フクスケ（Gt）のヘヴィなリフが映えている「失敗だ傑作だ」や、意外にもオールドスクールなギター・フレーズがスパイスとして絶妙に効いている「夢の始まり」も乙であるし、「シナスタジア」も大変味わい深い。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, HARD ROCK
THE PRIMALS、幻のライヴが映像化
ゲーム音楽だから成せる独自のエンターテイメント
今作に映っているのは“プレイヤーが主役ではなく、ユーザーのゲーム体験が主役にある”というTHE PRIMALSの理念が体現されたステージ。幕張メッセという大舞台だからこそ、楽曲の持つスケール感やダイナミズムを堪能できるだけでなく、ユーザーから募集したプレイ動画を編集して、LEDディスプレイに流しながら演奏する演出は、“FFXIV”とユーザーの絆をリアルの世界で結んだ奇跡の瞬間とも言える。さらに“FF”音楽のレジェンド、植松伸夫の演奏が聴けるのも、このライヴならでは。しかも、驚きなのは映像のクオリティと音の良さだ。今回映像化のためリミックスをして映像を編集している。もはやただのライヴ映像ではなく、“FFXIV”チームを含めTHE PRIMALSの本気が詰まっていると言っても過言ではない。
真貝 聡 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, PUNK, REGGAE
ライヴ・シーンの守護者、SiM。話題曲も収録の破壊力満点新EP
フェスの主催でも成功を収め、コロナ禍においても配信ライヴや単独公演などで、ライヴ・シーンの守護者としての存在感を発揮しているSiMの4曲入りEPだ。今作には、“「進撃の巨人」The Final Season Part 2”OPテーマとして話題になり、ストリーミング1億5,000万回再生超えのヒットとなった「The Rumbling」も収録。SiMのアグレッシヴ且つダークな世界観にエモーショナルな物語性が色濃く表現された。加えて、ニューメタルを令和版にアップデートしたヘヴィでポップな「Light it up」、ゴリゴリのハードコア×レゲトンという個性的なナンバー「FXXKFXXKFXXK」、日本語の言葉遊びが新鮮な「TREASURES」と、それぞれ主張強めな曲も楽しむことができる。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：MELODIC PUNK, PUNK ROCK
どこを切ってもdustbox節が光る、バンドの魅力が詰まった記念すべき10thアルバム発売
日本が誇るメロディック・パンクの雄、dustboxの記念すべき10thアルバム。今作は、3つのカラーに分けた3部構成＋アコースティック曲で計17曲を収録という、非常に盛りだくさんな内容で、ファンにとって納得の充実ぶりというだけでなく、dustboxの入門編としても手に取りやすいアルバムに仕上がっている。勢いのある清々しいパンク・ナンバーには、常にフレッシュさを失わない彼らの魅力が詰まっているし、煌びやかなメロディとタイトな演奏のバランス感覚には、百戦錬磨のライヴ・バンドらしい経験値が反映されているように思う。アルバム全体のまとまり感もありながら、ベスト盤のようにどこを切ってもdustbox節が光る粒揃いの作品でもある。本作を引っ提げたツアーにもぜひ注目してほしい。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, HEAVY ROCK
葉月（lynch.）のソロ・プロジェクト“HAZUKI”
艶やかな歌声が多彩な楽曲の中で映える、バリエーション豊かな1stアルバム到着
lynch.の葉月（Vo）によるソロ・プロジェクト“HAZUKI”としての1stアルバムが完成。“思いつく限りの音をすべて盛り込んだ”と言う本作には、ハンドクラップを多分に含んだダンス・チューンのTrack.2や、チアリーディング風のチャントがアクセントに効いたTrack.5をはじめとする、これまでシングル・リリースされていた4曲に、スラップ・ベースが耳に残るアジアン・テイストなTrack.4、アーティストとしての可能性の広がりを見せつける聴かせるナンバーTrack.7、ライヴで観ずとも一面ヘドバンの海が容易に目に浮かぶTrack.12など、非常にバリエーション豊かな新曲を加えた全13曲が揃った。艶のある歌声が色とりどりの楽曲の中で映える、彼の魅力を改めて堪能させてくれる1枚。
内堀 文佳 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY METAL
NoGoD 、Kyrie（Gt）ラスト・ステージとなった
約2年ぶりの有観客ワンマンをシューティングした映像作品ドロップ
時は進み続けるばかりであるものの、ある瞬間を記録した何かに触れればそのときの感慨を味わい直すことはできる。NoGoDがこのたび発表した映像作品は、今春に開催された彼らにとって約2年ぶりの有観客ワンマンとなった中野サンプラザ公演を収めた逸品であると同時に、長らく凄腕7弦ギタリストとして在籍してきたKyrieのラスト・ステージをシューティングした、貴重な映像でもある。すでにNoGoDは、THE GENIUS ORCHESTRATIONのギタリスト Iyoda Koheiをサポートとして迎え、ベーシスト hibikiが正式メンバーになったことを発表しており、11月より新体制でのツアーを敢行すると表明しているが、そんな彼らの今現在と未来は“この夜”を超えたからこそのものであるとも言えよう。
杉江 由紀 【ライター推薦】