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2020年10月9日 (金)

ベルリン・フィル&HMV&BOOKS online提携サイト
ベルリン・フィル・レコーディングスよりキリル・ペトレンコのファースト・エディションが発売


 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と新首席指揮者キリル・ペトレンコによる初めてのボックス・セットが発売されます。ベートーヴェンやチャイコフスキーのコンサート・レパートリーの礎石となる交響曲や、フランツ・シュミットやルディ・シュテファン[1887-1915]といった現代において正当な評価を受けていない20世紀の作曲家の作品など、ペトレンコにとって重要なレパートリーが収録されており、ベルリン・フィルとペトレンコ両者の今後の方向性が示唆された内容となっています。
 トレイラーでは、各作品について語るペトレンコ の姿がご覧いただけます。

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『レコ芸』記事再録【キリル・ペトレンコの実像とは…満津岡信育・舩木篤也・広瀬大介】(前半)


 キリル・ペトレンコ とは誰か?これまで録音がほとんど存在しなかった彼は、まだ多くの音楽ファンにとっては謎の存在とも言えます。ここでは、『レコード芸術』誌2019年11月号に掲載された、彼をめぐる満津岡信育、舩木篤也、広瀬大介の音楽評論家3氏の鼎談を再録。ライブ演奏会の印象も含め、彼の魅力に迫った必読の内容です!

協力:音楽之友社

最初のキリル・ペトレンコ体験
満津岡 楽員の投票によってキリル・ペトレンコがベルリン・フィルの新首席指揮者に選出されたのが2015年。それから4年を経て、ようやく就任となり、この8月にベートーヴェンの《第9》による披露演奏会が行なわれました。彼は、17年に待望の来日を果たしましたが、ディスクもあまり出ておらず、日本ではいまだ未知数の存在と言っていいでしょう。今日は少しでもその実像に迫れたらと思います。まずはみなさんのペトレンコ体験から。
広瀬 キリル・ペトレンコをはじめて生で聴いたのは、2013年バイロイト音楽祭の《ニーベルングの指環》です。正直、度肝を抜かれました。比較的速めの、淀みなく進むテンポにもかかわらず、あらゆる瞬間における音の密度と集中力が高い。とても鮮烈な思い出として残っています。
舩木 私も最初はバイロイトの《指環》で、聴いたのは広瀬さんの翌年です。とにかく驚きました。一番びっくりしたのが《ワルキューレ》。例えば第2幕の序奏、早くも第5小節で増三和音が鳴りますが、そこに向けてのクレッシェンドがじつに効果的。増三和音はブリュンヒルデをはじめワルキューレの象徴で、「ホヨトホー」の旋律もその分散形です。この和音が長大なオペラの根っこにあるのだ、というフォーカスの仕方がすばらしかった。またスコアを見ると、ちゃんとクレッシェンドが書いてあるんですね。でも、多くの指揮者はそこを漫然とやっているし、バイロイトでもああいう風に響いたのを初めて聴きました。
 それから、広瀬さんが言われた通り、とにかく密度が高くて稠密な感じ。それでいて“細かいことをやりました”感がなくて、全体にものすごいポジティヴな“気”が放射している。あれは本当に魅力的でした。
 逆に、バイロイトなので指揮姿が見えなかったのは、幸いでした(笑)。後で知った彼の棒の振り方は、私にはちょっとうるさい感じがするので。
広瀬 あの棒で、稠密な音楽になるのは不思議ですよね。
満津岡 私の出会いはcpoから出たスークの3枚(2002〜06年録音の《アスラエル交響曲》、《夏のおとぎ話》、《人生の実り》&《冬の夕べの物語》)。チェコの指揮者は、お国もののスークをあまり派手に鳴らさないのですが、ペトレンコはドラマティック。お二人が言われたように、響きが濃厚で稠密。その後、エームスからプフィッツナーの歌劇《パレストリーナ》全曲が出て、当初は秘曲専門の人なのかなと思い、期待が膨らみました。
 ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホール(DCH)では、スクリャービン《法悦の詩》ですね。舩木さんとは逆に、アップを含む映像で指揮姿に接してしまったので、激しいアクションと「顔芸」の凄さに幻惑されたところがあるかもしれません。非常に緻密であり、同時にドラマティックでデフォルメもある。一方でオーソドックスな部分を持っている。そういう意味で、ベルリン・フィルが、王道を往くドイツ音楽で自分たちをより高いところに導いてくれる人として、彼をラトルの次に選んだのはわかる気がします。
舩木 秘曲が多かったのは、彼はレコーディングするならなるべく先行作がないものを、と思っているからでしょうね。《指環》に関しては、すでに2000年代初頭にマイニンゲンでミーリッツ演出でやっていて、ドイツ語圏の音楽ジャーナリズムではとても話題になっていました。だからメジャーな作品を避けているわけではない。ただ、知られざる作品をやらなきゃ意味がない、という意識が強い人ですね。

ペトレンコの音楽とは──その特長と弱点
広瀬 私のペトレンコ体験は、9割がバイエルン州立歌劇場でのオペラです。とにかく統率力がすごい。楽員を1つにまとめあげて音楽を引っ張り出すという、指揮者が本来求められている能力を、これほどの完成度で実現できる人は、一流と呼ばれる指揮者の中でもけっして多くないと思います。その余波が組織内に波及するので、ペトレンコの後に他の指揮者が来た時にも、オーケストラがじつに良い音を出すんですよ。明らかにポジティヴな“気”、自発的な意思をオケから引き出すパワーがありますね。たんなる指揮者というより、組織を統べるリーダーとして本当に優れた資質を持っていると感じました。
「背中からもオーラが出ている」と、ベルリン・フィルのオラフ・マニンガー(首席チェロ奏者・メディア部門代表)がインタヴューで言っていましたが、“気”をオケに放射することで、客席にも、いまなにか尋常でないことが起きている、と伝わるんです。音楽の熱量と、聴衆を巻き込む力、それをこれほどまでに持っている指揮者は、いまほかにいないと思います。本人はとてもシャイな性格で、インタヴューも受けたがらない、終演後のお辞儀もあっさり終えて、すぐ帰ってしまう。我を張るタイプではまるでない。指揮者としては、むしろ特殊な性格のような気もします。
 あえてものたりない点を挙げるなら、音楽があっさり流れ去ってしまう時がけっこうある。テンポを速めることを、自身の求心力を高める1つの手段としていますが、それが音楽の性格や、オケや歌手との練習量とうまく噛み合わない時は、必ずしもポジティヴな結果にならないこともありました。例えば《パルジファル》第2幕の花の乙女のシーンなど、リハーサルが足りていないところを速いテンポで強引に持っていこうとしているのかな、と感じることもありました。ただ、どんな演奏会であっても、一期一会の気を発し、真剣勝負をオケと歌手全員に求めることができるのが、もっとも優れている点だろうと思います。
舩木 私が気になるのは、不用意な体の動きが多い点です。《悲愴》終楽章の中ほどにゲネラルパウゼが何回かありますが、彼はそこで毎回下を向いて静止、黙考。次を指示する瞬間に、動作がどうしても邪魔な感じになってしまう。それでも音楽は成り立っているし、私に指揮法をうんぬんする資格もありませんが、そういうところをもっと削ぎ落とすと、フィジカルな面でもよい指揮になるんじゃないか。
 ペトレンコの良さについては、ひと言で表現できませんが、熱狂的な面だけが人を惹きつけているのではないと思います。逆説的なようですが、謙虚さもあると思う。
 DCHにある楽員によるインタヴュー映像を見ると、彼の態度は際立って謙虚ですね。さらに大前提として、なぜペトレンコがこれほどベルリン・フィルとベルリンの聴衆に愛され、熱烈に歓迎されているかというと、「ドイツ語ができる」からでしょう。これは絶対に大きいと思う。でも、ドイツ語をしゃべれば誰でもそうなるわけではない。彼のことばは、まごころから発していると思うんですよ。「自分がこのオーケストラを知っていくプロセスは、まだ始まったばかりです。いま徐々にあなたたちと知り合おうとしている。でも、胸の内を明かすとね、私はここに来ると、自分と同じ人たちの間にいる気がするんですよ」などと言う。精神的に同志であるんだと。ぐっときますよね。楽員にしても、聴衆にしても。自分は指導者としてこうしたい、ああしたい、というのとは違うわけです。
 一方で、彼には熱狂的な何かがある。それを辛抱強く、戦略的に、共有してもらおうとしている。「最後はオーケストラを抱きしめるように指揮をしたいんだ」と言っています。リハーサルも様子を見ながらの加減が、とてもうまいようですね。ここは比喩を使って伝える、ここではテクニカルなことを指摘する、それがうまくいかなかったらどうすると、そういう微妙な綱引きを、神経遣ってやっている。謙虚に、慎重に、そして最終的にはすべてをエネルギッシュに解放する。そのバランスがとてもいい。
 彼はシベリアのオムスク出身で、18歳でオーストリアに移り、それからドイツ語を覚えたのでしょう。ネイティヴでない、というところもポイントだと思います。「移民は出ていけ」という排他的な動きもみられる今のドイツ社会で、彼のような存在が大活躍し、また歓迎されるという状況そのものが、1つの象徴として作用するのではないか。ポジティヴな動向がここにあるぞ、と。
(後半に続く)

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交響曲第6番『悲愴』 キリル・ペトレンコ&ベルリン・フィル

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交響曲第6番『悲愴』 キリル・ペトレンコ&ベルリン・フィル

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発売日:2019年05月11日

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