Friday, February 17th 2012
![[月刊]和モノレゲエ市](https://img.hmv.co.jp/News/images/free/digital/JZ999/000000001JPRG_TOP22_900_300.jpg)
「全日本レゲエ歌謡ジャンボリー」 改訂版
はじめに
Perfume、相対性理論のブレイクで「ニューウェイブ〜テクノ歌謡」が注目を集めた昨今、次はきっと軽々しくもレゲエ歌謡だということで、実はディープなセレクター/DJ、一部好事家たちの間ではすでに7、8年ほど前から注目されていた所謂「和モノレゲエ」の世界。ここへ来てあらためてこの潮流を全国区にするがために、皆寸暇を惜しんでレコ屋のエサ箱を漁ったり、「歌謡曲 レゲエ」、「歌謡曲 ダブ」でしらみつぶしにググったりしている今日この頃。 ですが、ほとんどクリーンヒットしない上に、元々アルバム1枚丸ごとレゲエ、というのはホントに極少数、というかほぼ皆無。特に70年代当時においては、”Reggae”という綴りを「レガエ」と読んでいた業界関係者もまだまだ多かったという話ですから、よほどアンテナの感度の良い人や、現地ジャマイカやロンドンのブリティッシュ・レゲエ・シーンに直接赴いて刺激を受けてきた人でなければ、アルバム中の楽曲においそれとレゲエのリズムを取り入れてみようとはならなかったようです。それは、見つけるのは困難なわけです。もちろん、タイトルに「レゲエ」と付いている楽曲などほとんど見かけない上に、仮に「レゲエ○○○」、「ジャマイカ○○○」などと付いていても全くのシティ・ポップスだったりと・・・昭和の歌謡曲、ニューミュージック、ニューウェイブの広い博識があってもなかなか探しあてることのできないこの「和モノレゲエ」。「ディスコ歌謡」や「ボッサ歌謡」と較べると絶対数が少なく、あたりを付けること自体がかなり難しいのですが、掘り当てたときの悦びはやはりひとしおなのであります。
ニューロック、フォーク、そしてYMO前夜のティンパン・アレー勢、加藤和彦らが中心となって日本の音楽シーンを盛り上げていた70年代。まだまだレゲエを純度高く取り込んでいるものは少なく、よくわからないけど「レゲエっぽく」やってみましたという楽曲や、何の意識もせずにうっすらと裏打ちのリズムを取り入れてみましたという楽曲も多く存在しました。そして、ボブ・マーリーの来日公演やニューウェイブ期の到来を経た80年代。まだまだ”取り扱い”に手探り状態だった70年代と事情はがらりと変わり、レゲエは急速に日本の音楽シーンにも浸透していきます。YMO一派、加藤和彦らに加え、鈴木慶一、宇崎竜童、吉田拓郎、桑田圭祐といった自作自演型コンポーザーたちが次々とレゲエのリズムを取り入れた楽曲を発表し、また、アイドルなどへの提供楽曲等にもその種子をきちんとばら撒きます。さらに、ニューウェイブ・ムーヴメントと連動した形でパンク〜ビート・ロック、さらには、80年代後半以降の空前のバンド・ブームの到来、時を同じくしてワールド・ミュージックの一般的な認知により、広角的となった日本の音楽シーンにおいて、もはやレゲエ・ミュージックのエッセンスはなくてはならない存在となっていきました。
要するに「和モノレゲエ」とは、一般的にレゲエ・アーティストではない日本の歌手、グループによって歌われたレゲエ・アレンジ、スカ・アレンジの楽曲(純歌謡曲、ロック、ニューウェイヴ、アイドル、演歌等スタイルは様々)のことを少なくともここでは指しています。5年ぐらい前に出ていたECDのミックスCD『Strictly Rockers chapter 17』や、雑誌「Relax」監修のコンピレーション『Relaxin With Japanese Lovers』の、まさにあのセンスですね。こちらでは、そんな和モノ市場のトレジャーアイル「和モノレゲエ」を月イチ連載形式で少しずつご紹介していこうという目論み(のちにレゲエ〜ダブ・リミックスを施したものなどは除外しています)。あまりにも採算が取れない本コーナー、大手の悪フザケととるか文化遺産の正しき継承事ととるかは閲覧者であるお客様次第。いつまで続くかも皆目検討つかずですが、ローソンHMV 和モノレゲエ課のエリート刑事たちが日夜レコ屋街を這いずり回って検挙した”クロ”なブツの数々、定番モノからニューディスカヴァリーまで百花繚乱、「アレがねぇ、コレがねぇ」とザワツキながらおたのしみください。
記念すべき[第1回]は、こともあろうか和モノレゲエの何たるかを知る超本命盤がいよいよCD化されるという慶事にぶつかりました------------
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接吻 - 中島美嘉 / 林檎殺人事件(藤原ヒロシMix) - 郷ひろみ / Junior Sweet(Sakuragarian Dub Mix) - CHARA / Time Of Gold(Lovers Mix) - 椎名純平 with 篠原涼子 ほか全14曲
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La La La... - 小泉今日子 / 2人 - UA / ピンク・シャドウ - ブレッド&バター / 黄金のサンダル - 斉藤和義 / La Birds Rock “遠雷” - Kodama (Echo) From Dub Station ほか全13曲
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PARADISE - DUBSENSEMANIA / 雪の華(Regage Disco Rockers Flower's Remix) - 中島美嘉 / あくびとUFO - NOKKO / だいじょうぶ - いとうせいこう&TINY PUNKS ほか全11曲
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童神(Lover's Mix) - bird / Call Me Call Me - Love Tambourines / プラスティック・ラブ - Mai Hoshimura / Carrot & Whip - 中島美嘉 ほか全15曲
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火男 |
| ブリッジ BRIDGE191 |
大本命盤が遂に初CD化。知ってか知らずか、欧州屈指のレゲエ翼賛国南フランスにまで足を運びレコーディングしたという、根津のオジキらしいワイルドなシロモノ。作家陣も、プロデューサーのチト河内をはじめ、クニ河内、BORO、泉谷しげるとこれまたワイルドすぎる顔ぶれ。ストロング・スタイルのルーツ・チューン「GINKA」、「野良犬 PART U」(泉谷作)、朴訥としたナイヤビンギ・タッチに揺れる「火男」、大野克夫作の「南回帰船」など、ゴツゴツとしたブルージーなレゲエ・フィーリングをここまで全編に漂白させている和モノレゲエ・アルバムは後にも先にもこれっきりだろう。今回のCD化に際し、シングル盤「上海帰りのリル」のフリップサイドに収録されていた上田正樹のカヴァー「しゃんそん」をボーナストラックとして追加。
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亜蘭知子 「神経衰弱」 (廃盤)
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ゴールデン☆ベスト |
| ワーナー WPCL10949 |
80年代前半に勃興した天下のBeingグループ所属の初期アーティストでもある彼女。ということから、こちらのデビュー・シングル曲には、創設者の長戸大幸、織田哲郎、さらに清水靖晃、笹路正徳、土方隆行ら所謂「マライア・プロジェクト」の面々がバックアップ。ON-U作品を彷彿させるヒンヤリとしたダビーなレゲエ・オケにはあまりにもミスマッチの可愛い唄声...いや、このミスマッチにこそ昭和レゲエ歌謡の毅然たる真髄があるのだ。
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スニーカーダンサー |
| フォーライフ FLCF5003 |
シュールな詩世界で新境地を切り開いた頃、陽水31歳、ラディカルな創造力に最も溢れていた時代だろう。「夢の中へ」(73年)にも参加していた高中正義のメロウなギターを全編にフィーチャーし、AOR度がグッとアップした7thアルバムから。小室等が作曲を手掛けた「事件」は、ミットゥ〜グラディ先生直系のハモンド・ロングトーンにも絆されるソウルフル・レゲエ。角界の不祥事を予見したかのような毒気たっぷりの歌詞(フィクションです)と柔らかいリディムとのコントラストがこれまた最高。
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綺麗 |
| ビクター VICL63306 |
ワンドロップ・リズムに桑田の”英語日本語”が乗れば、それだけで当時の若者は声を揃えて「コイツら、新しいじゃん」と。アルバム自体は、GSありムード歌謡ありテクノありラテンありアフリカあり胡弓使った中華風ありディープソウルありと、アイデア〜打ち出し放り込み放題の摩訶不思議ガンボ仕立て。で、もれなくレゲエも採用。売春婦(=HARLOT)の悲哀を唄い込んだマイナー調の本曲はまさに十八番で、桑田にボブ・マーリィが控えめに憑依しているのをすかさず了知。サザンには秀逸なレゲエ・チューンが山ほどあるので、そちらは追々ご紹介していこうと思ふ次第。
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寂しい日々 |
| EMI TOCT27050 |
70年代の最後っ屁には、これまでになく密度の濃いモダニズムが漂流。オリジナルLP盤ではB面にあたる山下洋輔(p)、向井滋春(tb)、杉本喜代志(g)、川端民夫(b)ら旧知のジャズメンによるブルージーな演奏もすばらしいが、彼らを下から突き上げるかのように溌剌とグルーヴする、つのだひろ(ds)&吉田健(b)のリズム・セクションが何と言ってもここでは肝。マキさんの詞と唄にフィットしたナイスなレゲエ・チューン「コーヒーひとつ」では、この年に本田竹曠のネイティブ・サンでキャリアを叩き上げはじめる天才リズム・ギタリスト、大出元信のシュアな裏拍刻みも地味に大活躍。また、「Too Much Mystery」(オーティス・クレイ)、「Mr. マジックマン」(ウィルソン・ピケット)、2曲のサザンソウル・カヴァーでは、つのだひろのダイナミックな併唱も聴くことができる。
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VIRTUAL CONCERT 2003 朝日のあたる家 |
| テイチク TECE28399 |
引退から10年を迎えた2003年、「今ちあきなおみがライブをやったら...」というコンセプトで制作されたヴァーチャル・コンサート作品。アニマルズの名曲に浅川マキが訳詞を付けた幻の熱唱「朝日のあたる家」がファン大方の目玉になるのだろうが、和モノレゲエ・ハンターは間違いなくこちらの「スタコイ東京」にキュン☆ 菊地正夫(城卓矢)のズンドコロッキンなヴァージョンも死ぬほどカッコイイが、”うたの強さ”も含めてやはりこちらが圧勝。
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丸山圭子 「Tiki Tiki My Love!」 ('77)
作詞・作曲:丸山圭子
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My Point of View |
| キング KICS91752 |
1976年「どうぞこのまま」のヒットでよく知られる女性シンガー・ソングライターの草分け的存在。今年は「デビュー40周年」ということで、『黄昏めもりぃ』などキング移籍以降の5タイトルが紙ジャケで一挙再発。前作『春しぐれ』にも”レゲエっぽい”ムードの曲はあったが、こちらの「Tiki Tiki My Love!」の方がよりルーディでソウルフル。大橋純子「センチメンタル・レディ」「二人の夢の島 」系のトロピカル・ファンクがお好きな方に推したいところ。ほか、ジャイヴな「台所ブギ」、ドリーミーなソフトロック「Honey Date」、洒脱ボッサ「20才の私」など使える曲多め。才媛・丸山圭子、今こそ再考のとき。
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寺尾聰 「Re-cool Reflections」
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リフレクションズ |
| EMI TOCT10747 |
スナック・アンセム「ルビーの指環」を含む和モノAORアルバムの最高峰にひっそりと収められたファットなルーツ・チューン。とはいえ、泥臭さは皆無。あくまでレディをベッドまでエスコートするかの如きジェントリーな風がそよぐ。するとどこからか栗の花の匂ひが...。バックは、アルバムのプロデュース/アレンジを手掛けている井上鑑(key)に、今剛(g)、高水健司(b)、山木秀夫(ds)という無敵の”井山大今”メンツ。井上は、本作の大ヒットによって第23回日本レコード大賞編曲賞も受賞している。2006年にリ・レコーディングされた『Re-cool Reflections』収録のヴァージョンもオリジナルに忠実(メンツも一緒)なので是非に。
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It's Never Too Late |
| ソニー MHCL1129 |
井上つながりでコチラも。スパイダース、PYG、はたまた「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「寺内貫太郎一家」のテーマソングでおなじみの井上堯之。スペシャル・ゲストとしてミック・テイラー(g on M-1,2,5,6)も駆けつけた入魂の英スタートリング・スタジオ録音のアルバムから、クマ・ハラダ(b)&リチャード・ベイリー(ds)の強力なボトムを下支えにした、クラプトンも真っ青のレゲエ&ロールを。洋題は「It's Never Too Late To Try Again」。人呼んで”イノヤン・レゲエ”、歌詞・歌唱のピュアなバタクサさこそが逆に今旬。
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天然カフェイン |
| コロムビア CORR10643 |
正式なCD化が長らく待たれているジューシィ・フルーツの5thアルバム、その掟破りのオンデマンドCD-Rから。Perfume、相対性理論ブレイク以降のテクノ歌謡リヴァイヴァルを受けて再評価著しいジューシィだが、「ジェニー」「恋ベン」だけじゃ寂しすぎるというもの。ブレイン近田春夫の元から巣立って制作された『27分の恋』や『天然カフェイン』にも名曲がウジャウジャ。同じアミューズ所属の盟友サザンが積極的にレゲエを取り入れていたことに触発された部分も少なからずあるだろう。ジューシィ最初で最後のレゲエ・チューン「誘ってジャマイカ」は、ダビーでニューウェイヴィな仕上がりに。ちなみに作曲者の「作曲研究所」とは近田先生の変名。ヴォーカルのイリア嬢は、その後ソロになってから『ジャパニーズ・ラヴァーズ』というグレードの高いレゲエ・アルバムも出しており、そちらも次回以降追って。
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冬美十艶 |
| EMI TOCT9450 |
「また君ぃにぃ〜♪」で再ブレイク中の冬美さんが、宇崎竜童・阿久悠の黄金コンビ楽曲を颯爽と乗りこなし、まさかのシングジェイ・スタイルで迫るレゲエ演歌の大本命。かつて、RCの『COVERS』に参加したり、忌野清志郎、細野晴臣とHISを組んでいたこともあって、さすがに芸の幅が広い。ロック(例えば「アジアの海賊」)もラテン(例えば「十六酔いカルメン」)もレゲエもたちどころに冬美色に染まる。全般的にストイックなリリックだが、フックはおしなべてキャッチーにつきフロアのピークタイムで大合唱必至。宇崎竜童楽曲はレゲエ率が高いので、隈なくチェックするように心がけたい。
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しょうじけいすけ 「からだ元気?」 ('86)
作詞:佐藤ありす/作曲:しょうじけいすけ/編曲:シャンティ・シャンティ
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ポンキッキーズ 30周年記念アルバム |
| ポニーキャニオン PCCG00634 |
緑の大蜥蜴と紅いシャクレ。二匹のモンド・アイコンが ”国歌レベル” の名曲をがっちりセレクト。オーバードライヴとワウペダルをチビッコの前で容赦なく踏み込んだ「ホネホネ・ロック」、コンシャスなスペイシー・ロック「まる・さんかく・しかく」、艶かしすぎるタンゴ歌謡「おっぱいがいっぱい」、不条理な体制に牙を剥くパンキッシュな「たなあげおんど」などなど、もうお腹いっぱい。我々向けのディスカヴァリーはやはり「からだ元気?」だろう。朝8時の幼児教育の現場にこんなふくよかなルーツ・レゲエを放り込んでくるとは、しょうじけいすけ、恐るべし。どおりでペギー葉山もゴキゲンなわけだ。
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岡崎友紀 「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」 (廃盤)
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ジャマイカン・アフェアー |
| ワーナー K-32W |
和モノレゲエ党、心のベストテン第一位と言えばやはりコレ。渋谷系小僧たちにはキタキマユ嬢のカヴァーでおなじみの「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」、そのシングル盤のフリップサイドに収録された「ジャマイカン・アフェアー」。歌良しメロ良しリディム良しの天才・加藤和彦レゲエ製手工場の大看板チューン。2009年にSMEJのオーダーメイドファクトリー「アンコールプレス」企画でアルバム『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』がCD化された際、ボーナストラックとして収録されたが、そちらは当然ながらすでに廃盤。現在は上掲の『Relaxin' With Japanese Lovers』でしか聴くことができない。是非「タイムスリップグリコ 青春のメロディ」シリーズの8cmCDで復刻してほしいもの。しっかり2曲入りで。また、イチ早くワンウェイのロジックを用いたテレサ野田「トロピカル・ラブ」(編曲は坂本龍一)は、『Relaxin'...Vol.3』に収録されている。
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工藤順子 「ガス燈通り」 ('84)
作詞・作曲:工藤順子
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茜色のカーニヴァル |
| フィリップス 28PL-62 |
遊佐未森や小川未潮に歌詞を提供していることで、あまり表舞台に登場しないながらも熱心なファンの多い作詞家/シンガーソングライターの工藤順子。CD化が切望されている彼女のデビュー・アルバムから。当時のレコード会社による売り込み文句は「自閉症スレスレのキッチュなポップ・フォーク世界...」というものだったらしく、なるほどジャケの顔色も恐ろしく悪い。サウンドは、彷徨う樹海深くで濃霧に包まれたかのような鳴りで、アクセント的に欧州ロマネスク・テイストが点在しているのもミソ。上掲の亜蘭知子「悲しきボードビリアン」系統に属するであろう氷点下レゲエ「ガス燈通り」では、主役のやや演歌チックなコブシ回しも聴きどころ。アレンジャー・クレジットには小室哲哉の名も。
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オン・ザ・コーナー |
| ポリドール |
ラリー・カールトン、リー・リトナー、デヴィッド・T・ウォーカー、デヴィッド・スピノザ、デヴィッド・サンボーン、ブレッカーズ、深町純といった名人たちの燻し銀仕事にも舌鼓を打つ、「フュージョン〜AOR歌謡最後の秘境」とも言われる五郎の70年代後期〜80年代半ばにおける作品群。そこにはしっかり本格派レゲエ・チューンも。スピノザのリズム・ギターにうっすらディレイをかけてトバしているあたりはさすが生粋の音楽人の五郎、仕込みが丁寧だ。この『オン・ザ・コーナー』をはじめ、『北回帰線』、『異邦人』、『ロサンゼルス通信』、『ラスト・ジョーク』、『ときにはラリー・カールトンのように』(実兄・佐藤寛との双頭盤)あたりをまとめて紙ジャケCD化希望。
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万力の国 |
| ソニー CSCL1680 |
苦味の効いた松っちゃんの歌詞とヘヴィーなデジタル・ワンドロップとのコンビネーションが秀逸。かの「オムライス」のたたき台になったとも言える幼少期の日常をスケッチした世界に黄昏れを禁じえない。曲提供は奥田民生で、めずらしくギターサウンドを一切用いずに作り上げている。ほか作家陣には、トータル・コーディネイターとして元プラスチックスの島武実&佐久間正英、さらには宇崎竜童、所ジョージ、島田紳助らが名を連ねている。ちなみに、松っちゃん&佐久間正英による「いとしのゴルゴ」は各方面で今も大人気。
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山本達彦 「ジャマイカン・ドリーム」 ('82)
作詞:竜真知子/作曲:山本達彦/編曲:相沢行夫・木原敏雄
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太陽がいっぱい |
| EMI TOCT26722 |
もうひとりの”ヤマタツ”。「LIGHT MELLOW 和モノ669」をバイブルとする諸兄からは引っ張りだこ、“シティーポップス界の貴公子” 山本達彦によるちょっぴりキザな都市型メンソール・レゲエの極北。甘い音色のスティール・パンを間奏で何気なく導入するあたりが貴公子たる所以。今日日の女子大生にもウットリしてもらいたいもの。矢沢ファミリーのおなじみNOBODY 木原敏雄が刻むざっくりとしたギターも秀逸。2008年に主要アルバムがドカッと紙ジャケでCD化されたが、残念ながら本作はすでに生産終了とのこと。
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南佳孝 「摩天楼のヒロイン」
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セリ・ファースト・ライブ |
| 日本フォノグラム S-7029 |
1977年9月に渋谷・西武劇場で行なわれたパルコ主催・企画・制作の「石川セリ・コンサート」と、夢の企画舎主催「石川セリ・リサイタル」より厳選収録された初のライブ・アルバムから。「春を売った女」は、和モノレゲエ・ディガーはお世話になりっぱなしの南佳孝が73年に書いたオリジナル・レゲエ。セリさんのレゲエものでは、同じく南楽曲の「Midnight Love Call」、ニューウェイヴ・スカ歌謡「睫毛の先の21世紀」の陰に隠れがちだが、あまりにもストレートなワンドロップ・チューンということで本曲をないがしろにしておくわけにはいかない。1分弱のグダグダMCも微笑ましいぞ。アルバムは、スティーヴィーの「サンシャイン」、ポール・マッカートニーがペギー・リーに贈った「レッツ・ラヴ」、ディラン「天国の扉」といった洋モノ・カヴァーも充実しており、CD化が待たれるばかり。
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太陽にほえろ!'79 |
| ポリドール MR-7052 |
1979年、メインテーマなどをリニューアルしたものが収められた国民的人気番組のサウンドトラック。おなじみ井上堯之バンドがジャマイカではなくグァム(巨人軍を筆頭に当時の南国詣と言えば必ずココ)に赴いて録音。「太陽にほえろ! '79 レゲエ」は、ゆるゆるリゾート・アレンジの極みとも言え、間違っても犯人をチェイスする気など起こらない。ほか、ミックステープ・アイテムとしても人気の「アクションのテーマ」などを収録。
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藤谷美和子 「I LOVE YOU EVERYDAY &
生板にのった恋」 ('95)
作詞:藤谷美和子/作・編曲:Kim Bullard
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シングル・コレクション |
| コロムビア COCA13617 |
クリスチャン・ラッセンと舞台演出家・岡村俊一(最終的にこちらとご結婚)との二股熱愛宣言前夜に放たれた、妖精・藤谷美和子のヤッピーレゲエの傑作。「Wow War Tonight」やジャパンスプラッシュ景気に沸いた当時の日本音楽産業界には、クラブ−茶の間−レゲエを一本の線でC調につないだかのような楽曲が氾濫した。「I LOVE YOU EVERYDAY & マナ板にのった恋」は、その代表的な1曲とも言えるが、主役シンガーの強度(注目の自作詞!)がそんな小喧しいガヤを一蹴。ビッグ・マウンテン「Baby I Love Your Way」、アスワド「Shine」、シャギー「Boombastic」なんかよりこっちの方が何十倍もアガるしグッとくる。
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沖田浩之 「HIRO」 ('81)
ジョー山中『レゲエ・ヴァイブレーション』と双璧を成す日本版 ”解禁せよ” ジャケの大傑作、にしてこちらは文句なしの大ブラフ。一目見てこれに食指が伸びなければ、和モノレゲエ・ファンは失格なのだろうが、但しその内容は、レゲエの「レ」の字も出てこない青くさきティーン歌謡の雨嵐。阿木耀子・筒美京平コンビ作の「E気持」は主役の突き抜けた演舞に芸能の真髄をみるも、付属のオマケ・ソノシートに刻まれたテレフォン・ラブトーク(「恋のテレフォンゲーム」)での残尿感にも似たムズ痒さは、さすがに純粋なヒロくんファンでなければ如何とも処理しがたいところ。シャレた ”たけのこレゲエ” なんぞを期待した日にゃ大ケガ確実。未CD化作品ではあるが、見開き特製立体ジャケットにつき、ハイセンスなハッパーズは観賞用にどうぞ。
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次回は3月26日(月)発行
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