ペッテションの幻の交響曲を復活蘇演!
2011年8月10日 (水)
ペッテションの幻の交響曲を復活蘇演!交響曲第1番の残存草稿をリンドベルイが演奏可能な状態に!
「交響曲第1番のスコア完成まで」と題したDVDも付属!
作曲を途中でやめてしまったため、草稿しか残されなかったペッテションの幻の交響曲第1番が、クリスチャン・リンドベルイの熱意により、実際に演奏譜として使用できる形にまで仕上げられ、BISレーベルによりレコーディングされることとなりました。
【ペッテションの交響曲】
20世紀スウェーデンの作曲家、アラン・ペッテションの名前は、2006年にCPOレーベルから発売された交響曲全集のスマッシュ・ヒットによって知られるようになり、その壮絶な交響曲の数々は、接した人間に大きなインパクトを与えています。
ペッテションは番号付きの交響曲を17番まで書いていますが、第1番と第17番については納得が行かなかった部分を破棄したまま未完に終わっているため、実際には15曲が完成された交響曲ということになります。
【未完に終わった交響曲、第1番】
交響曲第1番は作曲修行中だった1940年代後半から着手され、アイディアは膨らんだものの、作曲技術が足りず完成することができなかったという作品。ペッテションは不本意な部分は破棄してしまったため、草稿のみが残されることになりましたが、それでも分量は240ページにも及びました。
【リンドベルイによる演奏譜完成】
2009年と2010年に発売された「弦楽のための協奏曲」の2枚のアルバムで、ペッテション音楽の理解者として注目を集めることとなったクリスチャン・リンドベルイは、この草稿をなんとか実際に音にすべく入魂の校訂を施し、ついに演奏できる形に完成さたのが今回の録音に使用されたヴァージョンです。
【完成された最初の交響曲、第2番】
組み合わせは交響曲第2番。1952年から53年にかけて作曲されたペッテションが最初に世に問うた交響曲でした。後年のような身を捩る悲痛さはまだまだ薄めですが、比較的ノーマルな無調っぽい近代音楽が奏でられる中、突然、モーツァルトの「フリーメーソンのための葬送音楽K.477」が、かき鳴らされるなど興味深い部分を含む注目作でもあります。
【アラン・ペッテション】
グスタフ・アラン・ペッテション[1911-1980]はストックホルム郊外のスラムに育ちます。鍛冶職人の父親はアルコール中毒で、粗暴な人物であり、一方、母は暴力に無抵抗を貫いた信心深い女性で、この母がときおり歌う賛美歌の美しさがアラン少年に与えた影響にはかなり深いものがあったと思われます。アラン少年はアルバイトでこつこつ貯めたお金でヴァイオリンを購入、独学でヴァイオリンの演奏をなんとか習得すると、15歳のときにストックホルム王立音楽院を受験、しかしハードルは高く、4年連続で試験に落ち、ようやく5年目にして入学が叶うことになります。
ペッテションはここで苦学を重ねながらヴァイオリンとヴィオラ、作曲を学び、卒業後、1940年から1950年にかけてストックホルム・コンサート協会管弦楽団とスウェーデン放送のアンサンブルでヴィオラ奏者として活動する一方、ブロムダールやオルソンに作曲を師事、1949年に、「弦楽四重奏とヴァイオリンのための協奏曲」で作曲家として本格的にデビューします。
この間、1943年にはグードルン・グスタフソンと結婚し、以後約30年に渡って住むこととなった南ストックホルムの小さなアパートに転居します。
その後、1950年にパリに留学し、オネゲル、ミヨー、メシアンらに作曲を師事するほか、レイボヴィッツからは12音技法を学びますが、ペッテションは結局12音技法には否定的でした。
2年の留学の後、スウェーデンに戻った41歳のペッテションは、多発性関節症を発病。ヴィオラの演奏に支障を来たすようになってしまい、オーケストラを辞した彼は演奏家としての活動を停止、作曲に専念する道を選びます。
以後のペッテションは常に関節の痛みに悩まされるようになりますが、1950年代はまだそれほど重くは無かったようで、交響曲第2番、第3番、第4番といった作品や、「弦楽四重奏とヴァイオリンのための協奏曲」など、身につけた技法を率直に作品に反映した曲が多くなっているのが特徴的。
しかし1960年代に入ると状況は一変します。関節の痛みはもはや尋常ではなく、交響曲第5番は、その後のペッテションを特徴づける異様なまでの激しさ・暗さに彩られるようになり、第6番、第7番、第8番と、連続していわゆる「ペッテション的」な傑作を書き上げてゆくことになるのです。
特にドラティが注目して初演した第7番と第8番、第10番は評判となり、国際的にもペッテションの名が知られるようになります(余談ながらドラティの見出した現代モノというとジェラルドの『ペスト』が思い出されますが、あれも同じ頃の出来事でした)。
こうした成功を受けてか、1970年にはペッテションはスウェーデン音楽アカデミーの会員に選ばれるという栄誉に浴しますが、しかし、この頃、多発性関節症のほかに腎臓病を併発、いっそう悪化する健康状態の中で、巨大な交響曲第9番を書き上げ、引き続き今度は入院先で双生児的作品とも呼ばれる交響曲第10番と第11番を完成させます。
まさに鬼気迫る作曲人生ですが、1973年になると、ウプサラ大学創立500年記念祝典のために「深遠な感覚の中で現代の社会性を持った」作品を書くよう委嘱され、ペッテションはこれに彼にとって初の試みとなるカンタータ的な交響曲を書いて応えます。大学の記念祝典に、南米チリのサンチャゴで起こった労働者の虐殺事件を題材とするあたり、ペッテションならではといった印象ですが、力強く悲劇的な作品はわかりやすさも兼ね備え、「現代の社会性」を見事に織り込んだ「深遠な感覚」をよく伝えているものと思われます。
晩年のペッテションは、長年に渡って住み続けた騒々しいアパートから、閑静な住居へと引っ越したこともあってか、健康状態に反比例して創作意欲が増しているのに驚かされますが、しかし、すでにペッテションは癌に蝕まれており、1980年6月20日、帰らぬ人となってしまいます。(HMV)
【収録情報】
CD
ペッテション:
・交響曲第1番 (1951)(クリスチャン・リンドベルイ校訂版)
・交響曲第2番 (1952/3)
ノールショピング交響楽団
クリスチャン・リンドベルイ(指揮)
録音時期:2010年5-6月
録音場所:ノールショピング、ルイ・ド・イェール・コンサートホール
録音方式:デジタル(セッション)
DVD
・交響曲第1番のスコア完成まで
収録時間:約60分
言語:スウェーデン語
字幕:英語・フランス語・ドイツ語
交響曲最新商品・チケット情報
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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まとめ買い価格(税込) : ¥12,527発売日:2006年12月27日
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