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橋本徹の『チルアウト・メロウ・ビーツ』対談 【5】

2011年7月21日 (木)

interview

橋本徹の『チルアウト・メロウ・ビーツ』対談

山本:ファンキー・DLの「Only The Initials... CM」は「音霊」でのパーティーを思い出します。

橋本:カンデイアス(アグスティン・ペレイラ・ルセーナとギジェルモ・レウテル)の“MANAGUA”をループしたファンキー・DLのこの曲は、自分の考える「夕べのしらべ」的なヒップホップで、この曲を収めたアルバムはNujabesが描いた絵がカヴァーに使われているんだよね。とにかくカンデイアスをループさせるというアイディアにすごく共感できたし、夕暮れを感じるんだ。ここからサンプリング・ミュージックが4曲続くんだけど、本来のメロウ・ビーツはこういうテイストなんだよというのがこの4曲にあるかな。自分の好きなサンプリング・ミュージックはこういう曲だという感じ。

山本:それはフリー・ソウル・シリーズがただの70年代のブラック・ミュージックやディスコのコンピとは決定的に違うということと同じですよね。

橋本:まさにそう。Nujabesだって、スピリチュアルなジャズやメロウなソウル・ミュージックを好きな人が、ヒップホップをつくるとこうなるということをやってたと思うんだよね。彼はここに「We’ve Only Just Begun」を使った「I Lost My Suitcase In San Marino」を収めたハードフロアの変名ダダムンフリークノイズファンクも支持していたけど。

吉本:サンプリングのセンスだけでなく、ビートのセンスも繊細だよね。根底に“生音感”があるというか。

河野:ニュージーランドのジュリアン・ダインの「Fallin’ Down feat. Parks」はDJ Mitsu the Beatsのリミックスで、これも音が揺らいでいますね。夏の終わりの感じというか。

橋本:これも去年の「音霊」でのパーティーでかけたのが印象深いな。それから僕の考える究極のメロウ・ビーツが、サイモン・Sのレーベルからリリースされたライズの「Message To The Architects Pt.1」。圧倒的な吸引力のピアノ・フレーズに、マリオン・ブラウンのサックスのサンプリングが素晴らしくて。

山本:次の17 ピクチャーズもインタールード的な感じですね。叙情的で、ちゃんとヨルグ・フォラー/ヴィクセル・ガーランド的なサウンドがします。エレクトロニカ・カル・ジェイダーという感じ(笑)。

稲葉:今回、この曲のライセンサーのマドレーヌ・レコードの方から、『美しき音楽のある風景〜素晴らしきメランコリーのアルゼンチン〜』を今年聴いたコンピの中でもとても愛聴しているという、うれしいお話をいただきました。

一同:おお、それはいい話ですね。

Chill-Out Mellow Beats
〜Harmonie du soir
橋本徹(サバービア)監修の人気シリーズ「Mellow Beats」からスペシャル・イシュー。「夕べのしらべ」(Harmonie du soir = ドビュッシーの曲名)をテーマに、ドラマティックでロマンティックでスピリチュアルな心に迫る名曲が連なるチルアウト・メロウな一枚が登場!
profile

橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・グラン・クリュ」「アプレミディ・セレソン」店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは200枚を越える。NTTドコモ/au/ソフトバンクで携帯サイト「Apres-midi Mobile」、USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

http://www.apres-midi.biz

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