【インタビュー】Spangle call Lilli line ジャパニーズ・ポップス・インタビューへ戻る

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ROCK NEXT STANDARD

2010年4月15日 (木)

interview

相対性理論の永井聖一をプロデューサーに迎えた7年ぶりのシングル『dreamer』を皮切りに、アルバム『VIEW』『forest at the head of a river』と、3タイトル連続でリリースとなるSpangle call Lilli line。それぞれが趣きの異なる仕上がりと意味を持ったこの3枚がいったいどのようにして制作されたのか、そして6月に行われるライブ後のライブ活動休止宣言についてなど、メンバーの大坪加奈さん・藤枝憲さん・笹原清明さんのお三方にたっぷりとお話を伺いました!


同時に真逆のことをやりたくなる





-- シングルとアルバム2枚、立て続けにリリースされているわけですが、この3枚はそれぞれ元々のコンセプトがあって制作に入られたんですか?それとも、出来上がった曲を割り振るカタチで、という感じでしょうか?

藤枝憲(以下 藤枝)  コンセプトがあって、ですね。このバンドは何か決めないとスタート出来ないので。最初にシングル1枚とアルバム2枚出そうっていうのは決めて。今回、歌詞を(大坪さんではなく)違う人にお願いしてみようかっていう話になって、アルバム全部っていうとちょっと大変だろうってことで、まずシングルにしよう、と。シングルはキャッチーなモノにしたいっていう意味もあって歌詞を外部にお願いして、アルバムはシングルで広げた間口をより広げていくような感じのアルバムと、その真逆のアルバムの2枚を作りたいね、っていう。


-- 毎回アルバムを作られる時も、そういったコンセプトありきでやってこられた感じですか?

藤枝  そうですね、音楽的なコンセプトだったり、“作る意味”みたいな時もありますね。その都度3人で「こういうモノを作ろう」というコンセンサスは取らないと、とっ散らかったりするするので。その辺は明確にして、っていう感じですね。


-- では、今回の制作の順番もリリースされる順に、ですか?

藤枝  いや、制作の期間は、曲作りとリハは全部一緒ですね。

大坪加奈(以下 大坪)  ぐちゃぐちゃです(笑)。


-- (笑)。このシングル「dreamer」は、相対性理論の永井聖一さんがプロデュースされていて、歌詞の方も書かれてらっしゃるということなんですが、いつもは大坪さんが書かれてらっしゃるじゃないですか。違いは当然あるとして、どのような違いがありましたか?

大坪  元々私の書いてる詞は何を言っているのかよく判らない(笑)っていうのが前提だったんで、リスナーの方に届きにくいいっていうのは、まぁ良くも悪くもあったんですけども…、今回割とダイレクトに何を言っているのか判るし意味も判るので、聴いてる人に届いてるっていう感じが伝わるというか。すごく新鮮でしたね。


-- こう、違和感みたいなのはありました?

大坪  違和感はなかったですね。すんなりと。違和感のある歌いにくい歌詞ではなかったんですよ、サラッとしていて。


-- 詞の面で永井さんとやりとりはあったんですか?それとも上がって来たモノをそのまま歌うっていう感じですか?

大坪  そうですね、詞はそのままで。歌い方のニュアンスとかは永井さんのイメージがあったんで、それを訊きながら何度も録り直すという感じで。


-- ああ、歌入れの時に。

大坪  そうですね。




-- アレンジについてなんですけども、2曲目の「dreamer」はサロンミュージックの吉田仁さんが参加されてますが、同じ曲で別のアレンジをするっていうのも、元からのコンセプトだったんですか?

藤枝  元からというよりも…、永井さんとの「dreamer」はミドルテンポでスクエアな4つ打ち感があって、っていうのがまず決まってきて。で、カップリングではそれと間逆なことをやっておきたいなと。「ホントに同じ曲?」っていうぐらいのモノにしたいという発想だったんですね。永井さんとの「dreamer」がある程度見えくる中で、同時進行で裏で真逆のことを同じメンバーでリアレンジで録音して。


-- ああ、そうなんですね。

藤枝  永井さん「dreamer」の方は、永井さんのフレーズがすごく生きるようにして。もう一方の仁さんの方はその反動というか、テンポ感も速くして。この『VIEW』と『forest〜』っていうアルバムでもそうなんですけど、同時に真逆のことをやりたくなるというか(笑)、常に表と裏の両方を見せておきたいっていうのがあって。

笹原清明(以下 笹原)  貧乏性なのかな(笑)?

一同  (笑)

大坪  どっちかに思われるのが嫌なのかも。

藤枝  うん、どっちかに思われるのは嫌っていうのがあって。清涼感のある側面があればその逆だったり、コンパクトで聴きやすいモノがあったら、長くて違う聴き方の出来るモノを出したいな、と。


-- なるほど。さらにシングルには「nano」のRemixが2曲入っていますが、その内の1曲が川辺ヒロシさん(TOKYO no.1 SOULSET)、という人選がすごく意外だったなと思ったんですけども。これはメンバー3人で相談して決めたんですか?

藤枝  レーベルのボスと話してですね。ボスと話してく中で何人か候補の人が挙がって、その中で「川辺さん面白そう!」ってなって。それも、やっぱり意外なラインがいいかなと。でも、元々僕はかなりマニアックな渋谷系フォロアーみたいな部分があって。


-- ええ!そうなんですか!川辺さんRemixはかなりダークな4つ打ちですね。

藤枝  やっぱり「nano」のRemixやリアレンジにしても、小山いずみさんのピアノのメロウな感じがあったら、その“真逆”も(笑)。


-- (笑)。元の「nano」がしっかりとあるので、どちらに振れても大丈夫な感じですよね。

藤枝  そうそう。シングル1枚なんだけども、その中でも光と影っていう感じになってて。だから今回のシングルは個人的にはすごい楽しいなっていうか…、僕が好きだった頃の洋楽の7インチとかっていうのは、わりとそういう感じだったんですよね。

笹原  Remixで3パターンとかね。懐かしいね(笑)。

藤枝  そうそう。せっかくだしシングル出すことを楽しみたいなと。


-- やっぱりあれですか、7年前に「nano」のシングルを出したので、今回「nano」をチョイスしたと。

藤枝  そうですね。「dreamer」っていう曲が出来て、自分達の中で「シングルにしてもイイね」っていうのが出来たんで、カップリング曲も可能な限りシングル縛りにしたいと。で、小山さんとの方は、ちょうどこのアルバムを制作してる期間中に、たまたまピアノヴァージョンのライブをやったんですよ。その中で「nano」が良かったんで、これ入れたらイイかもと思って。だから、スパングルのシングルの集大成みたいな感じになってますね。


-- 詰まってる感じしますね!

藤枝  しますよね!…やっぱり貧乏性なのかな(笑)?

笹原  次のシングルは「dreamer」と「nano」のRemixが入る予定です(笑)。

一同  (笑)


-- だんだん増えてって(笑)。でも面白いですよね。それこそRemixアルバムみたいのを出すことはないんですか?

藤枝  そうですね、出してもいいかなとは思いますね。

笹原  トリビュートされたい。

大坪  されたいね。


-- イイですねぇ!

藤枝  活動がオフの時にはそういうリリースもイイかなっていうのはありますね。でも、たぶん(Remix)しづらいんだよね、スパングルの曲は。

大坪  トリビュートなら意外と調理し甲斐がありそうだけどね。

笹原  思いっきりメジャーな人にやってもらいたいですね。aikoさんとか。


-- おおー(笑)!

大坪  それ聴いてみたいね。

藤枝  完全に自分の曲になっちゃいそうだよね。

笹原  もうね、歌詞もメロディーも変えるのもアリ(笑)!


-- 矢野顕子的に。

藤枝  矢野顕子さんいつもスゴイですよね!もう完全に“矢野顕子”っていうジャンルになりますもんね。ある意味恐ろしいですよね。







profile



Spangle call Lilli line

大坪加奈 (Vo.)
藤枝憲 (G.)
笹原清明 (G.)

1998年結成。メンバーは大坪加奈、藤枝憲、笹原清明の3人。今までに7枚のオリジナルアルバムとミニアルバム、2枚のライブアルバム、ベスト盤1枚をリリース。数々のコンピレーションアルバムなどにも参加。2008年9月に3年ぶり6枚目となるオリジナルアルバム「ISOLATION」、11月に7枚目の「PURPLE」を連続リリース。2009 年1月には、大坪による「NINI TOUNUMA」名義ソロ作品や、藤枝&笹原による「点と線」名義でのリリース、国内外のアーティストの作品への参加など、サイドプロジェクト等も精力的に活動。2010年3月には、永井聖一(相対性理論、etc)プロデュースによる7年ぶりの2ndシングル「dreamer」をリリース。4月には「VIEW」、6月には「forest at the head of ariver」と、2枚のアルバムをリリース。