【インタビュー】Spangle call Lilli line pt.2

2010年4月15日 (木)

interview

『VIEW』作った時は「1つ抜けたな」って思いましたしね





-- そして4月には『VIEW』が発売になりますが、こちらは益子樹さんが共同プロデュースで参加しているということなんですけれども、益子さんとは久しぶりの作業ですよね?

笹原  2ndアルバムの『nanae』以来ですね。


-- 8年ぶりですよね?

藤枝  そうですね。モード的にも『nanae』の感じに近いというか、バンドで骨格のしっかりした形の曲をやりたいというのもあったし、録音やアレンジ的にもバンドでやるのが調子が良かったので、ガツンと録るというか…チマチマ編集していく感じではなく、バッと聴かせたいというのがあったので。あと『nanae』が好き、っていう人が結構多くて。わりとそういう意味では、久しぶりに益子さんとそういうアルバムを作ってみようと。モード的に『VIEW』はそういう感じかなと。


-- 益子さんとの作業は普段とどのような違いがあるんですか?

藤枝  今回はミックスを益子さんに全権委ねるというやり方なんですが、『VIEW』って結構音数が多いんですよ。でも、音数が多くてもすっきり聴かせられるというか、立体的になるという。空間というか立体的に考える人、なのかな?どの音を聴かせる・聴かせないっていうメリハリもすごく上手いですね。あとは、音フェチというか。そういうところが『VIEW』と合っていると思いますね。

笹原  僕の『nanae』のイメージは他のアルバムと比べると結構“カワイイ”(笑)というか、キラキラした感じなのかな?他はわりと鬱蒼とした感じなんだけど。『VIEW』もそういう所があるかも。

藤枝  『nanae』はザックリしたバンド感があるんだけど、結構シャープだしクリアーだよね。『TRACE』は逆にシャープなんだけどハイファイなんだよね。




-- このアルバムの中で、以前のアルバムに収録されていた「Rio」をリアレンジされてますが、この曲はどういう理由でチョイスされたんですか?

藤枝  チョイスというか、逆にこの『VIEW』っていうアルバムは「Rio」を入れることから始まってるんですよ。


-- そうなんですか!?

藤枝  元々は、この『VIEW』に入っているヴァージョンがオリジナルの「Rio」なんですよ。『ISOLATION』と『PURPLE』に入っているヴァージョンは、今回の『VIEW』ヴァージョンを元にしてアレンジを変えたモノというか。いつかこの元のヴァージョンの「Rio」を入れたいよね、っていうのがあって。このオリジナルの「Rio」がアルバム全体の中心として聴ける作品、っていう基準がまず1つあって、そこに他の曲を肉付けしていくような。


-- そうだったんですね。

藤枝  結構そういうヴァージョン違いってあるんですよ。微妙にタイトルが変わってたり…、“クロールシリーズ”とか。「Crawl」「New Crawl」「Crawler」だったり。

笹原  それはたまたまなんですけどね。意識しなかったんですけど、コード展開が一緒だったんですよ。だから曲名をシリーズにしようと(笑)。

藤枝  意識的なのは「Normal Star」「Super Star」、あと『ISOLATION』に入ってる「Russian Gothic bold」と『TRACE』に入ってる「R.G.B.」はコードの骨格が一緒なんですね。そういう曲は結構あるんですよ。自分達の今のモードでやってみて、違う曲に定着させるっていう。


-- ということは、今までに出ているモノの中にもまだ披露していないヴァージョンがあったりするんですか?

藤枝  あるのかな…、だいぶ出尽くした?今回ので。

大坪  だいぶ…出尽くしたかも。

笹原  「B.P.」の元の元のヴァージョンはやりたいな。

大坪  ああ〜!

藤枝  それは(デモ)テープで残ってるかな。

笹原  うん、テープである。あの曲は結構良いよね。

大坪  サビあれだよね…(と、鼻歌を歌う大坪さん)。

笹原  そうそう。凄いキャッチーでメロディーも「B.P.」と完全に違うものだし。シングルになりそうだよね。あれ僕やりたい、いつか(笑)。


-- 是非、次のシングルで作っていただけますか(笑)!

藤枝  (笑)。でも、そういう風にいちいち思い出さないとみんな忘れてるんだよね、たぶん。

笹原  掘り起こせばお蔵入りのデモかなり沢山あるかもね。

-- 逆に、今回アルバムに入っている曲で、過去にデモのみ作っていた曲もあるってことですね?

藤枝  特に『VIEW』の方は、過去にモードが合わなかったっていうお蔵入りだった曲がいくつか入ってて。3曲目の「rara」って曲は…、あれってバンドで初めてレコーディングした曲なんだっけ?

大坪  2回目だね。

藤枝  かなり最初期に一度レコーディングしたんだけどお蔵入りっていう曲だったんですけど。今までのアルバムだと合わなかったんだけど、今の気分で演奏してみたら「あ、意外と合うかも」っていう。この『VIEW』っていうアルバムは、1曲1曲がバラバラであることがコンセプトだったりもするので、非常に色んなタイプの曲を入れやすいアルバムというか、バラエティーに見せたいっていうコンセプトがあるので、メンバーそれぞれが入れたい曲を自由に入れた部分もありますね。“バラエティーでポップ”っていうのが縛りで。

笹原  入れればよかった、「B.P.」の元のヤツ(笑)。

大坪  いつか入れようって言ってて、忘れてたね(笑)。

藤枝  (笑)。でもホントそういうことだよね。そういうアルバム。定期的に過去のデモやモードを見つめ直すというか、そうすることでバンドとして次のところへ行けるというか。1つのコンセプトを突き詰めて1つの方向に行くよりかは、いろんなことをやってみるっていう方が、バンドは成長すると思うんだよね。『VIEW』作った時は「1つ抜けたな」って思いましたしね。


-- 実験ではないですけども…やっておこうみたいな感じがあると?

藤枝  そうそう。1つのテーマに沿って作っていく方が簡単…ではないけども、やりやすいというか。バラバラな曲を1つのモードにまとめていく方が、大変は大変。でもそれを、今回は益子さんのミックスの手腕で1つの作品に聴かせてくれるという。







profile



Spangle call Lilli line

大坪加奈 (Vo.)
藤枝憲 (G.)
笹原清明 (G.)

1998年結成。メンバーは大坪加奈、藤枝憲、笹原清明の3人。今までに7枚のオリジナルアルバムとミニアルバム、2枚のライブアルバム、ベスト盤1枚をリリース。数々のコンピレーションアルバムなどにも参加。2008年9月に3年ぶり6枚目となるオリジナルアルバム「ISOLATION」、11月に7枚目の「PURPLE」を連続リリース。2009 年1月には、大坪による「NINI TOUNUMA」名義ソロ作品や、藤枝&笹原による「点と線」名義でのリリース、国内外のアーティストの作品への参加など、サイドプロジェクト等も精力的に活動。2010年3月には、永井聖一(相対性理論、etc)プロデュースによる7年ぶりの2ndシングル「dreamer」をリリース。4月には「VIEW」、6月には「forest at the head of ariver」と、2枚のアルバムをリリース。