
2024年に生誕110年を迎えるチェコの名指揮者ラファエル・クーベリック[1914-1996]。クーベリックが、1978年から1980年にかけての3シーズンにバイエルン放送響とCBSに録音したLP9枚分の演奏は、この名指揮者の最円熟期の芸術の深まりを刻印した名演ばかり。特にモーツァルトの後期交響曲集は、1981年度レコード・アカデミー賞を受賞するなど日本国内でも高く評価され、折しも発売が始まったばかりのCD時代にあっても基本的なカタログとして何度も再発売されてきました。
クーベリック自身にとっても、1978/1979年シーズンをもってバイエルン放送響首席指揮者のポジションを退任し、1985年に健康上の理由で音楽活動から引退するまで首席客演指揮者として同響との関係は保ちつつ、演奏活動の負担を減らし作曲に比重を移し始めた時期でした。
録音面では、1960年代から継続し、広範なレパートリーを収録してきたドイツ・グラモフォンへの録音活動にウェーバー『オベロン】全曲で終止符を打ったのが1977年のこと。それ以降、専属契約の制約を離れ、デッカ(ニコライ『ウィンザーの陽気な女房たち』やウェーバー『魔弾の射手』)やEMI(フィッシャー=ディースカウとのワーグナー:アリア集、ヒンデミット:歌劇『画家マティス』)への録音も開始した中で、CBSではスタンダードな交響曲を中心とする大規模なプロジェクトが構想されたのです。そして、バイエルン放送響での最終シーズンにアナログ録音されたシューマンの交響曲全集を皮切りに、デジタル時代に入るとモーツァルトの後期交響曲6曲、そしてブルックナーの交響曲第3番、第4番が矢継ぎ早に録音されました。もともとはブルックナーの後期交響曲やブラームスの交響曲全集(オルフェオから発売)なども含まれていたプロジェクトでしたが、残念ながら当初の構想は実現せず、いわばトルソのような形で残されたのがクーベリックのCBS録音というわけです。
CBS(デイヴィッド・モットレー)とバイエルン放送局(フリードリヒ・ヴェルツ)との共同制作により、録音会場としてヨーロッパ屈指の音響を誇ったミュンヘンのヘルクレスザールにおけるセッションで収録されたこれらの録音は、ちょうどアナログ最後期とデジタル最初期にあたり、デジタル録音にはソニーが開発した当時最新鋭のレコーダーPCM-1600が投入され、万全を期したのでした。今回は久しぶりにオリジナル音源に立ち返りってのリマスターが実現、極めてヨーロッパ的ともいうべき豊かな雰囲気を湛えたクーベリック+バイエルン・サウンドが十全な形で蘇ります。(メーカー資料より)
3件中
1-3件を表示
※表示のポイント倍率は、ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。