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4 people agree with this review 2016/08/16
カラヤン亡き後、アバドも「最高」とまでは思えず、大好きなティーレマンでもなにか不満が残り、ヤンソンスに救われた感のあった「ベートーベンの交響曲全集」。 ダメ元で買いましたが、EMIのショボイ録音のせいもあってほとんど馴染みのなかったラトルで、胸のつかえがおりたような気がしました。 HTSさんのおっしゃるように、今後二十年、いや、三十年、四十年にわたって「名盤」として君臨するのではないでしょうか。 70年代のカラヤンで「もう終わった」と思ってる世代の人にも、ぜひ聴いていただきたい。カラヤンを箱買いした世代の方はもう70代、80代になっておられて、「いまさら」、「BDは要らないからもったいない」という思いもお持ちかもしれませんが、「昔はよかった」という寂しさが吹きとぶんじゃないかと思います。 音質も極上、豪華な装丁も、ディスクの購入者へのリスペクトが感じられて、所有する満足感も得られますし、ティーレマン盤で感じたような「ライブのお下がり」な感じもありません。 ラトルの解釈とか私には分かりませんが、「ベルリン・フィルのベートーベンはこうあって欲しい」と思うそのままがそこにあるような気がしました。
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1 people agree with this review 2016/08/14
84年ザルツのDVDを持ってるんですが、ホームビデオレベルの音質がどうにも物足らなかったので買いました(カタログNo:4779131の廉価版)。 皆さん述べておられますけれども、本当に素晴らしい。旧盤もいいし、クライバーもいいですが、私には圧倒的にこちらがお気に入りです。 先年、メストのザルツのをBSでやってて、あれも良かったけれども、これから先、暇な休日に「バラでも聴いてみるか」と取り出すのは、この盤になりそうです。 カラヤンのセッション録音だけあって、粋をきわめたオーケストレーションが完璧に奏でられ、じつに美しく、活き々々と響いてきます。 たとえば、第三幕の前奏曲、居酒屋で「仕込み」をやるシーンですが、あの遠近感をどうやって出しているのか。それに、うまい言い方を思いつかないんですが、あの雑然とした音楽、普通はあそこでは特に感銘はないんですが、「うわ!巧いなぁ!」って思うんですよね。 そして、私にとっては意外な発見だったのがバルツァの声。あんなに美しいものとは知りませんでした。カルメンとかチェルビーニとか、エリザベッタとか、今まであまり好きではなかったんですが、目からウロコでした。 その他もろもろ、皆さんおっしゃるように、どこをとっても素晴らしいですが、私が大好きなのは、第一幕の終わりのオックス男爵の独唱。 クルト・モルのノーブルな歌唱にうっとりです。 やっぱり、カラヤンってのはすごい人だったんだなあと改めて感じさせられる一枚だと思います。
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3 people agree with this review 2016/07/26
「コジ」でも書いたんですが、デスピーナをやってたヤンコヴァという歌手がいっぺんに気に入ってしまって、いそいそと聴き始めました。レポレッロで好印象だったピサローニも好演だと思いましたが、フィガロ役のプラチェツカは「機知に富んだ」感じがなくて、伯爵と入替えたほうが良かったんじゃないか?という気も・・・・ ただ、ドン・ジョバンニやコジに比べたら、演出は馴染めませんでした。 時代的にはあり得ないストーリーだったかもしれませんが、それでも、封建領主と使用人という関係がなければこのドラマの面白みがないと思うんです。 部屋の位置関係も説明的すぎて「貴族の館」になってないんですよね。それと、歌手に演技をさせ過ぎだと思いました。その分を歌に回してほしかったなあ、と思います。 というわけで、ついつい愚痴を並べてしまいましたが、お色気もありで、面白いフィガロであることは間違いないと思います。そういう風に観ることができるのも、80年のベーム来日公演のDVDがあるからかなと思いますが、10年前のネトレプコの時のも気持ちに余裕があればこういう風に楽しめたのかも、と思います。 エッティンガーという指揮者は初めてでしたが、ウィーン・フィルのフィガロですから、誰が振っても間違いないでしょう。
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0 people agree with this review 2016/07/26
ドン・ジョバンニが面白かったので、これも買おうかなあ、と思っていたところへ、フィガロの予約が始まったので、あー、三部作だったのか!とまとめて注文しました。 ようやく届いて先にこちらを観ましたが、いいですね。この歌劇はただただ音楽の美しさを味わう以外にないですが、音楽を邪魔しない以上の佳い演出だと思いました。 ただ、二組の恋人たち、区別つかないのでわかりやすくしておいてほしかったなあと思いました。 なにより、一番気に入ったのが、デスピーナ役のヤンコヴァでして、「いかにも」なデスピーナではない感じですが、「あー、この人のスザンナやロザリンデをみれたらなあ」とひとしきり思いながら観ておりました。 (後でフィガロを観て「あ!出てる!」って、すっごく得をした気になったんですが、私には演出が馴染めなくて残念でした)。 オーケストラは、私は上出来だと思います。ウイーン・フィルの映像はムーティが二枚だしてますけど、あれより好きかな。ムーティの新旧二枚ののよりは、こちらのほうが「ウィーン・フィルのコジ」という感じを受けました(私は、ですが)。
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0 people agree with this review 2016/07/16
ティーレマンとツェッペンフェルトが楽しみで、演出はハナから諦めて音楽だけでも堪能しよう、と楽しみにしていたんですが、ヘルリティウスにはやはり、私の好きなイゾルデではありませんでした。数年前のテオリンもそうでしたが、一緒に愛の二重唱を歌いたいとは思えなかったです。フリッカなら合うと思うんですが・・・・ ツェッペンフェルトNHKホールで聴いたルネ・パぺと同じくらい忘れられないマルケ王となりそうです。グールドはちょっと歳をとった感もありますが、健闘というところでしょうか。 さて、演出は、私は「一幕まではなんとか許せるレベル」。 音楽への感動を帳消しにしてくれるほどのシロモノでした。せっかくのお刺身をウスターソースで食べさせられる気分。 管弦楽は極上といってよかったと思います。ティーレマン先生にはW・マイヤーかシュヴァネヴィルムスで録ってもらいたいなあ。。。商売の邪魔するわけではないですが、オーソドックスなトリスタンには「飽きてうんざり」な方にしかお勧めできないなあと思います。
1 people agree with this review 2016/05/18
このランス・ライアンってひと、音痴にしか聴こえないんですが・・・ 一昨年のバイロイト、キャスト知らずに聴いていて、「あ!あいつだ!」と思ったくらいで・・・・(好きな人には申し訳ないですが) ミーメのブロンターは巧いと思いましたが、ステンスボルトのさすらい人が疲れた感じで惜しい。 下のカズニンさん期待のシュテンメ、私はもともと大好きではないのですが、それにしても「老けたな」という印象でした(すみません)。 もっとも、近年のヨーロッパの指環にしては演出がわりと落ち着いてますから、その点では良いと思います。 音質はスカラ座のものらしく、まあまあといったところでしょうか。ウィーン国立歌劇場とどっこいどっこい。 ただ、のちにメトのものを観てからは、そっちばかり聴いてます。 ★3個では厳しすぎるかなというところで4個。
0 people agree with this review 2016/05/16
かれこれ20年、愛聴しております。 アルゲリッチ、ホロヴィッツ、ワイセンベルグetc・・・・強烈なテクニックと超個性的な演奏に慣れていた耳には、案外新鮮だったという印象でした。 ★5個つけてあげたいけど、まあ、オトナの対応ということで4個。 ところで、このジルベルシテイン嬢、これっきり名前を目にしたことがありません。どうしているのかな。 やはり、強烈な個性がなければ生き残れないということなのでしょうか?
6 people agree with this review 2015/11/20
「現役指揮者の新版のベートーベン交響曲全集」。 ティーレマンに期待したもののCDの音もイマイチな感じがあり、かといって残りの人生、何十年も前のカラヤンやベームの録音にしがみついてるのも寂しいし。 で、ニューイヤーコンサートで好感をもったヤンソンスを見つけたので買ってみました。 結果、大満足、です。 とりわけ、7番では83年N響のマタチッチの呪縛からやっと解放されたような気がしました。 とはいえ、ライブにありがちなオケの乱れとか、極端な強弱や不自然な緩急も感じられず、録音もセッションと勘違いしそうなくらい良好だと思います。 音もすばらしく美しく、ティーレマンのよりもVPOっぽい感じすらしました。 来日公演のCDも発売されるようなので、オトナ買いして聴き比べてみたいですね。 ティーレマンやラトルがSKD、BPOで全集を出すかどうか分かりませんが、これがあれば安心して他の色んな演奏を聴けそうな気がします。
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2 people agree with this review 2015/11/14
この曲、よほどヘタクソなオケでなければ、誰の演奏でも聴ける名曲だと思うのですよね。 にもかかわらず、一頭地を抜いて、「あ、やっぱりこれがいいや」と思わせるのがこのノイマンともう一人はカラヤン(私の好きなのは85年のウィーン・フィル)でしょうか。 ノイマンのチェコ・フィルには身体にしみついたドボルザークがあるんじゃないかと思います。 まさにゆったり、じっくり、ですね。 とりわけ、四楽章で、バイオリンが強奏しているのに、むせび泣くような響きを感じるあたりは、狙ってそうなってるのか、書いたドボルザーク自身には分かっていたのか知りませんが、絶品だと思います。 一方のカラヤンは、「カラヤンサウンド」に尽きるでしょう。 土臭さもなく、遠いアメリカから望郷の思いで涙する作曲家の姿も浮かんできません。 只々、ゴージャスな音の奔流に身をゆだねて心地よいひとときに浸っていられます。 「で、どちらがいいか」と問われたら悩ましいところですが、このDENON盤は残響が多いので、ちょっと鳴りにくいスピーカーや小型のシステムだったらこちらがいいでしょう。 良く鳴るステレオだと(私には)ちょっと諄いような気がします。
2 people agree with this review
幾多の名演を聴いてきた人の耳にはもの足りないのが解かる気はします。 女流の西本智美でも凄まじい演奏を聴かせますしね。 私自身は、ミュンシュのLPに浸り、カラヤン、スベトラーノフときて、ここ数年はカラヤン87年のウィーン盤を好んで聴いてますが、それらを凌ぐベストの一枚!とは言い難いような気がします。 ただ、特筆すべきは、素晴らしく均整のとれた「悲愴」だと思います。 それだけに一楽章はあっさり過ぎの印象がぬぐえず、二楽章は普通に「いい音だな」と聴けて、三楽章。オーケストラの一糸乱れぬ名人芸は、それを聴くだけでもCDの価値があると思います。 これだけ小綺麗にまとめられると、四楽章どうかなというところですが、ゆったりと美しい、悲愴の終楽章に相応しいものだと思いました。 「悲愴」買うならこれ一枚で決まり!とは言いませんが、濃厚な味の料理に飽きた頃に出会った薄味の料理、の様な良さはありますね。 音質は良好と思います。残響過多でもデッドでもなく、距離感がありながら楽器の位置も鮮明、という感じ。 クラリネットの音色が好みでないので愛聴盤にはなりそうにないですが、オマケして★5個というところかな。
2 people agree with this review 2015/11/13
ラトルとBPOのCDは音が不味くてもう買うまいと思ってましたが、自主レーベルでSACDというのでポチってみました。 音はかなり良いです。CD層も私の持ってるEMIとは比べものになりません(といっても、DGでもガッカリしたものが何枚かあります)。 録音の狙いを変えたのか、1/4番はピリオド奏法のような感じ、2/3番はベルリンフィルサウンドにより近いように思います。 昔なら、重厚な2/3番タイプの方が好きだったんですが、1/4番もとても良いですね。 2/3番を録ってみて、もう少しこうしたいね、ということだったのかなと思いますが、どっちがというより、全集だから統一感がある方がよかったなあと思います。 いままで、「ラトルの音楽」ってどんなものかまったくわからなかったのですが、これくらい録音がいいと解からなくもない気がします。 正直、この演奏はまだ肌に合いませんが、カラヤンで聴き直してみたら、案外こちらの方が心地よかったりもしています。 でも10年前なら「これがBPOぅ?!」だったかも。 装丁が綺麗なのと、解説が自分好み(昔のレコードのような、素人に読みやすいお話しです)だったのでオマケして★5個。 あ、でも、前の方も書かれてますが、オケの上手さは絶句モノでした。 しかもライブで!
0 people agree with this review 2015/11/06
廃番ですか・・・・残念ですね。協奏曲のときも驚きましたが、まだ19歳の少女がこんな円熟したブラームスを弾いてたのか、とちょっと信じられません。 渋いくせに艶があってとても伸びやかに演奏してるんですよね。 そして意外なのがワイセンベルクのピアノ。あの鋼鉄のテクニックでガンガンくるのかと思いきや、ムターに寄り添うように美しいブラームスを二人で奏でています。 カラヤンに見出された二人の天才の後世に残るコラボだと思います。 年齢的にも叔父さんと姪っこくらいでイイ感じだったんでしょうね。
0 people agree with this review 2015/10/30
この演目、結局、このCDがいちばんいいかな、と思ってついこれに手が出ます。 90年代では珍しいセッション録音だけあって音もいいし、歌手陣が素晴らしいです。 パペ、トレケル、シュトルックマン、まさに豪華な顔ぶれ。 ポラスキーはW・マイヤーとならんで好きなワーグナー歌手だったのですが、ディスクが少なく、これも個人的には嬉しいところです。 ザイフェルトはポップの旦那さんだった人、というくらいしか知りませんがいい声ですね。 エミリー・マギーも、バイロイトのダッシュみたいに初々しい感じが良いです。 ベルリン国立歌劇場、音が綺麗ですね。 この曲、迫力あるところであまりうるさく鳴らされると興ざめするところ、いい具合のバランスで盛り上げてくれると思います。 そして、それを引き出してるのが、バレンボイムの棒なのでしょうね。 来日公演のトリスタンも素晴らしかったです。 こういうディスクはなかなかないんじゃないかな、と聴いていていつも思います。
2 people agree with this review 2015/10/20
最近まで馴染みのなかったメデューエワを、一気に聴くようになったきっかけが、この「前奏曲集」でした。 「前奏曲集」として初めて買ったのはポリーニでしたが、さほど感銘を受けず、アルゲリッチも良いとも思えず、という印象だったので、「ダメもとで味きき」くらいの気分でした。 が! 思いもよらず、このメデューエワでは、一曲々々、一音々々を味わい尽くしたくなるような響きを感じて何度も繰り返して聴くことになってしまいました。 とりわけ、8番、11番、16番などでは「感銘」「感動」を通り過ぎて、考え尽された表現なのか、それとも、異次元の才能なのか、と思わずCDプレーヤーを見つめてしまいます。 芸風が違いますが、「音を磨き上げて唯一無二の音楽を紡ぎだしている」という点では、ホロヴィッツのあの一度聴いたら忘れられない音の響きと相通じるものがあるような気がしました。 スケルツオ集などよりも年代が下ったぶん、まろやかさが加わっているのかなと思いますが、破格の演奏であることは論をまたないでしょう。 とはいえ、「ショパンらしくない演奏」という意味ではなく、どなたにもお勧めできると思います。
2 people agree with this review 2015/10/18
まず、第一曲に2番をもってきている発想がすごいと思いました。 ここに、彼女の「私はこう弾くわよ」という思いが込められているのかと思います。 それにしてもなんと「厳しい」ショパンでしょうか。 先にも「何か実生活の上でも(中略)とすら思ってしまう」とレビューされていますが、まったく同感です。 俗っぽい言い方をすると、「まるで失恋したときみたい」な感情のほとばしりを感じるのだけれども、感情の爆発だけではこういう演奏にはなり得ず、雑味はまったくなく、一音一音の強弱や長さ、わずかなテンポの揺れ、など、深い思索の結果なのだと思います。 「あまりに厳めしすぎて真剣すぎて(中略)ちょっと聴くのが辛いです。息がつまる」と書かれてる方もありますが、本当にそうですね。 いずれにしても、それをそのままCDに吹き込んでいるところが、この若林工房とメデューエワの録音のシリーズの素晴らしいところでもありましょうか。 この一枚を聴いてしまうと、他の人の演奏はどれも「凡庸」に聞こえてしまうようになるかもしれませんが、 その代わり、いつか誰か他の人の思いっきりゆったりと甘く演奏されたショパンを聴いて、「ああ、癒されるなあ」というひと時を味わえるかもしれません。 誰にでもお勧めできるとは思いませんが、「すばらしい」のは間違いないです。 個人的には★10個。
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