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TOP > My page > Review List of つよしくん
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12 people agree with this review 2010/01/24
ヴァントの未発表の超名演をCD化したプロフィールレーベルの快挙である。ベルリン・ドイツ交響楽団はベルリン・フィルの存在故に影が薄い。しかし、私もベルリン・フィルハーモニーホールで実際に鑑賞したことがあるが、一流の指揮者と組んだ時は、ベルリン・フィルにも匹敵するほどの名演を行うことがある。本盤は、その最たる例と言えるだろう。ブルックナーの第5及び第9は、厳格なスコアリーディングに基づく凝縮化された造型、鋭い金管の強奏など、ヴァントの個性が全開であるが、ここでは80年代に見られたようなスケールの小ささは微塵も感じられない。90年代の後半のベルリン・フィルやミュンヘン・フィルとの至高の名演の高みに至る確かな道程が感じられるスケールの大きい名演だ。シューベルトやブラームスの交響曲については、本盤とほぼ同じ時期に手兵の北ドイツ放送響やベルリン・フィル、ミュンヘン・フィルとの録音が遺されており、ここでもヴァントの完成された至高の名演を味わうことができる。未完成の地下から響いてくるような重々しい厳粛さ、グレートの巨像の進軍、ブラームスの第1の終楽章の主旋律の独特のテンポ設定、第4の消え入るような繊細な開始や人生の諦観を感じさせるような抒情など、正に巨匠だけが醸し出すことができる至高・至純の境地と言えるだろう。シューマンの第4は、ほぼ同時期に録音した北ドイツ放送響を超える超名演だ。フルトヴェングラーやカラヤン、ベームは、最晩年にシューマンの第4の名演を遺して鬼籍に入ったが、ヴァントもこれらの独墺系の巨匠の列に連なることになったものであり、これぞ大器晩成の最たるものと言える。ベートーヴェンは、エロイカが圧倒的な名演。北ドイツ放送響との録音が89年であるだけに、現時点で発表されている演奏では最後のものとなる。それだけに重厚にして円熟の至芸を示しており、本盤こそヴァント最高のエロイカとも言うべき超名演と評価したい。併録のコリオランやエグモントの両序曲も素晴らしい。第1や第4は、後年に北ドイツ放送響との録音があり、そちらの方に軍配を上げたいが、それも高次元での比較であり、本盤の演奏を名演と評価するのに躊躇しない。
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3 people agree with this review 2010/01/23
バッハの作品集に続くエデルマンのトリトーンへの録音第2弾であるが、これまた素晴らしい名演だと思う。シューマンのピアノ作品は、私見ではあるが、あまり深く考えすぎたりすると、楽曲に含有されている豊かなファンタジーの飛翔が妨げられ、やたら理屈っぽい退屈な演奏になりがちである。しかし、エデルマンにはそのようなことは杞憂。もちろん、エデルマンなりのシューマンのピアノ作品に対する考え方には確固たるものがあるのだろうが、決して自我を表面に出すことなく、紡ぎだされる演奏はあくまでも自然体だ。それでいて、微動だにしない堂々たる重厚なアプローチを何と表現すればいいのだろうか。さらに、卓越したテクニックが、こうしたアプローチを見事に助長している。私が特に感動したのは幻想曲だ。エデルマンは、持ち前の重厚にして強靭な打鍵で曲想を描いて行くが、それでいて、楽曲の随所から漂ってくるロマン的な香り。これぞ正に幻想曲と言うべきであり、このような至芸を50歳に漸く到達しようというピアニストが行うとは。次いで、交響的練習曲が素晴らしい。ライナーノーツによると完全版を採用しているとのことであるが、各部の楽想の変化を自在に描き分け、それでいて全体をあたかも交響曲のような雄大なスケールで纏め上げた力量は見事という他はない。エデルマンの今後の発展を大いに期待させられる一枚だ。
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8 people agree with this review 2010/01/23
既に発売されているヴァンスカによるシベリウス管弦楽曲集からの一部抜粋と、これまで発表されていなかったフィンランディアなどの3曲を加えた好企画CDである。本CDの最大の魅力は、SACDマルチチャンネルによる高音質録音ということになるであろう。ヴァンスカのシベリウスへのアプローチは、華麗さとは全く無縁であり、北欧的な抒情に重点を置いたものであるが、それに現代的なセンスを加えたものと言える。したがって、SACDマルチチャンネルによって、壮大な音響空間を構築すると言った類のものではなく、むしろ、北欧のやや規模の小さめのコンサートホールで演奏を聴いているような感覚が最も近いのではないかと思う。これぞ、正にシベリウスの音楽鑑賞に最も符号したものと言えるのではなかろうか。既発売のカレリア組曲や春の歌などは名演として定評があるが、初出のトゥオネラの白鳥は何とも言えない深遠な響きが実に感動的。レミンカイネンの帰郷も、決して迫力が売りの演奏ではないが、どこからともなく漂ってくるひなびた北欧的雰囲気は、他の演奏からはあまり聴かれないものだ。フィンランディアは、本CDのラストを飾るだけに、壮大な迫力に満ち溢れているが、それでいて、北欧的な抒情にもいささかの不足はない。
8 people agree with this review
7 people agree with this review 2010/01/23
マーラーの第2は、バーンスタインやテンシュテットなどの激情的な名演、小澤やインバルなどの純音楽的な名演など、数多くの名演が目白押しである。そのような中で、マーラーの直弟子であるクレンペラーの名演はどのような位置づけになるのであろうか。同じくマーラーの直弟子であったワルターが、第2に関しては録音のせいも多分にあるとは思うが、名演を遺していないだけに、俄然、クレンペラーの演奏の意義は高いとも言える。クレンペラーは、ゆったりとしたインテンポによる威風堂々たる演奏だ。バーンスタインのように、燃え上がるような激情が表にでることはなく、かと言って、小澤などのように純音楽に徹しているわけでもない。あくまでも、微動だにしないインテンポで、マーラーがスコアに記したあまたの旋律を荘重に歌いあげていく。特に、感心させられるのは、終楽章。ここの中間部は、名演と称されるものでもいささか冗長さを感じさせる箇所であるが、クレンペラーは、ここを幾分テンポを落として、終結部の復活の合唱への布石のように崇高に心をこめて旋律を歌いあげていく。第4楽章のシュワルツコップの独唱も実に巧く、この第2は、楽曲の本質を個性的な見地で捉えるなど奥深い内容をそなえた重厚な名演と高く評価したい。HQCD化によって、音質は一段と向上しており、この歴史的名演をより鮮明な音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
7 people agree with this review
2 people agree with this review 2010/01/22
マーラーの第4は、マーラーの交響曲の中でも最も柔和なニュアンスが漂う楽曲である。それ故に、同曲には、ワルターやバーンスタインなど、どちらかというと柔らかいロマンの香り漂う名演が多いと言える。これに対して、クレンペラーは剛毅にして重厚な演奏だ。同じくマーラーの弟子ではあるが、演奏の性格は正反対で、ワルターの柔に対して、クレンペラーの剛と言えるだろう。曲が柔和な第4だけに、クレンペラーの演奏については世評は必ずしも高いとは言えないが、私としては、クレンペラーならではの個性的な名演と評価したい。前述のように、演奏全体の性格は剛毅にして重厚。冒頭からテンポは実にゆったりとしており、あたかも巨像の行進のように微動だにしないインテンポだ。それ故に、ワルターなどの名演と比較すると、愉悦性にはいささか欠ける側面もなくはないが、深沈たる深みにおいては、ワルターと言えども一歩譲るだろう。テンポの遅さ故に、他の演奏では聴くことができないような楽器の音色が聴こえてきたりするが、これを逆説的に言えば、第4の知られざる側面に光を当てたということであり、そうした点も高く評価したい。シュワルツコップの歌唱は実に巧く、この異色の名演に華を添えている。
2 people agree with this review
12 people agree with this review 2010/01/20
鋼鉄のピアニストであるギレリスと穏健長老派指揮者のヨッフムという、一見すると水と油のように思える組み合わせであるが、本盤を聴くとそれが杞憂であることがよくわかる。ヨッフムの温かくも、決して隙間風の吹かない重厚な指揮ぶりがブラームスの渋い曲想に見事にマッチしており、加えて、ブラームスの協奏曲の難曲とも言われるピアノパートを力強い打鍵で弾き抜いていくギレリスの強靭なピアニズム。演奏が悪かろうはずがないではないか。これら両者を、当時、最高の状態にあったベルリン・フィルが好サポートしており、役者三者がそろい踏みの本盤は、両協奏曲の数々の名演の中でも、ベストを争う名演に仕上がっていると高く評価したい。特に、ギレリスにとっての初録音というのは意外であったが、ピアノ協奏曲第1番が超名演であると言える。冒頭の雷鳴のようなティンパニのド迫力(これは、入団し立てのフォーグラーであろうか?)には度肝を抜かれるし、随所に見られる枯れた味わいも感動的だ。ギレリスも、決してテクニックを誇示するのではなく、ブラームスの青雲の志を描いた楽曲への深い共感の下、めまぐるしく変化する楽想を適切に捉えた絶妙の表現を示している点を評価したい。ピアノ協奏曲第2番や幻想曲集も名演であり、ルビジウムカッティングによる高音質化も目覚ましい成果をあげている。
2 people agree with this review 2010/01/19
ブラームスは、交響曲や協奏曲などにも傑作を遺したが、作品を大観したところ、やはり室内楽曲に本領を発揮した作曲家と言えるのではなかろうか。にもかかわらず、室内楽曲の王道とも言うべき弦楽四重奏曲はたった3曲しか作曲していない。それも、交響曲第1番を書き上げるまでに、すべてを作曲し終えている。ブラームスは、その後は、弦楽六重奏曲やクラリネット五重奏曲、ヴァイオリンソナタなどの傑作を生み出していくことになるので、もしかしたら、弦楽四重奏曲というジャンルに限界を感じたのかもしれない。それとも、ベートーヴェンという存在があまりにも偉大に過ぎたのであろうか。それはともかくとして、ブラームスの弦楽四重奏曲も、決して凡作ではなく、室内楽曲に数々の名作を遺したブラームスの名声に恥じない佳作であると思う。その佳作のトップを争う名演が、このアマデウス弦楽四重奏団による一枚だと考える。アマデウス弦楽四重奏団の素晴らしさは、決してメカニックな音を出すことはなく、たとえて言うならば、演奏に手作りのぬくもりがあるということだ。これは、今をときめく現代の弦楽四重奏団には望みえない境地と言えるだろう。そして、このような温かいアプローチが、ブラームスの音楽にぴったりなのだ。ドヴォルザークは、旧録音であり、新録音があまりにも素晴らしい名演であるため、どうしても影が薄いが、生命力溢れる前進性という意味では、本盤に軍配があがるであろう。
4 people agree with this review 2010/01/18
フィンガルの洞窟は、昨年生誕100年を記念して、SHM−CD化された全集にも収録されていなかったので、本盤はその意味でも貴重であるが、聴かせどころのツボを心得たカラヤンの演出巧者ぶりを窺い知ることができる名演だ。メンデルスゾーンならではの透明感溢れるみずみずしいオーケストレーションを、これ以上は望めないほどの美麗さで歌い抜いて行く。スコットランドは、某評論家による批評によって不当に貶められている演奏であるが、確かに、私としても、クレンペラー盤を名演と評価するのに躊躇はしないが、それに匹敵する名演として、カラヤン盤も高く評価したい。冒頭の序奏部は、クレンペラーに負けないくらいの深沈たる抒情に満ち満ちているし、主部に入ってからの心湧きたつ旋律の歌わせ方も絶妙だ。第2楽章は確かに快速のテンポ設定であるが、それはクレンペラーと比較してのこと。他の演奏と同様の速めのテンポで曲想を巧みに描いて行く。第3楽章はすばらしい音のドラマ。ゆったりとしたテンポによる堂々たる重量感溢れる歩みは、実に感動的だ。終楽章のラストでの壮大な盛り上がりも、この名演を締めくくるのに相応しい迫力だ。イタリアは、決して急ぎすぎない中庸のテンポで、カラヤンならではの優雅なレガートを駆使した気品ある名演に仕上がっている。ルビジウムカッティングによって、これらの名演をより鮮明に味わうことが出来るようになったことを喜びたい。
4 people agree with this review
2 people agree with this review 2010/01/17
バルトークの弦楽四重奏曲については、最近では名演が目白押しである。昨年は、カルミナ弦楽四重奏団の第1及び第2にはじまり、そして、昨年度のレコード・アカデミー賞を受賞したアルカント弦楽四重奏団の第5及び第6も発売された。そして、本年のトップを切って発売されたのが、このミクロコスモス弦楽四重奏団による全集であるが、演奏の性格を一言で言えば、ハンガリーの民族色を全面に打ち出した名演と言うことができるのではなかろうか。バルトークの弦楽四重奏曲は、20世紀を代表する弦楽四重奏曲として、ハンガリー音楽という狭隘な範疇にはとどまらず、むしろ、20世紀において人類が経験しなければならなかった未曾有の悲劇の数々の縮図のような深遠な内容を有する傑作であるが、これら一連の傑作の根底にあるのは、コダ−イとともにハンガリー国内を巡って、民謡などの採集を行った成果であることも忘れてはならない事実なのである。したがって、ミクロコスモス弦楽四重奏団のアプローチも、これらの傑作が含有している民族的な側面に光を当てるものとして、高く評価されるべきものであると考える。更に、本盤の魅力は、SACDマルチチャンネルによる極上の高音質録音。バルトークの傑作を、現在望み得る最高の音質で鑑賞できることの意義は大変大きいと言える。
5 people agree with this review 2010/01/17
エデルマンが録音を再開して3枚目のCDであるが、正に満を持しての得意のショパンの作品集ということが出来るだろう。そして、その演奏内容は、我々の期待を決して裏切ることがない、堂々たる名演であった。エデルマンは、50歳に到達しようかという、漸く中堅に差し掛かろうという年齢であるが、とてもそうとは思えないような円熟の至芸を聴かせてくれる。打鍵も力強く、テクニックも卓越したものがあるが、それでいて、抒情的な箇所の歌い方も決して甘くはならず、高踏的な気品を湛えており、これほどまでに格調の高いショパンは、最近ではほとんど珍しいと言えるのではないだろうか。いずれの曲も名演であるが、特に舟歌、幻想曲、そして幻想ポロネーズの3曲は、これら各曲のベストを争う名演と高く評価したい。エデルマンのショパンについて、本盤以外の曲もいろいろと聴きたくなったという聴き手は、私だけではないはずである。エクストンのSACDはいつもながら極上の音質であるが、惜しいのはマルチチェンネルがない点。エクストンには、この場を借りて、マルチチャンネルの復活を強く望んでおきたい。
5 people agree with this review
6 people agree with this review 2010/01/17
実に巧い。カラヤンは、本盤においても、これ以上の言葉が思い浮かばないほどの演出巧者ぶりを発揮し、各曲の聴かせどころをつかんで、これ以上は求められないほどの巧みな名演奏を繰り広げている。本盤は、カラヤン&ベルリン・フィルのドイツグラモフォンへの参入初期の録音であるが、発売当初からベストセラーを記録したのもよくわかる。また、ハンガリー舞曲集もスラブ舞曲集も、曲の順番ではなく、曲想を踏まえ再配置し、独自の曲順に並びかえられている点においても、カラヤンのこれらの曲への深いこだわりが感じられる。全集としては、他にも優れた名演が目白押しであるが、選集ということになると、本盤を随一の名演と評価することに躊躇しない。スケルツォ・カプリチオーソも、ベルリン・フィルのホルンセクションの巧さを活かした珠玉の名演に仕上がっている。ルビジウム・化カッティングによる更なる高音質化も成功している。
6 people agree with this review
1 people agree with this review 2010/01/17
いつもレビューに記していることであるが、ハイドンの交響曲演奏の主流がピリオド楽器による古楽器奏法などになりつつあることもあって、最近ではハイドンの交響曲がコンサートの演目になかなかあがりづらい状況になりつつあるのは、作品の質の高さからしても大変残念なことである。そのような中で、今をときめくヤンソンスが、バイエルン放送交響楽団を指揮して、ハイドンのロンドンと軍隊という、交響曲の2大傑作をライブ収録したのはそれ自体歓迎すべきことである。当然のことながら、重厚でシンフォニックな演奏を期待したが、いささかその期待を裏切られることになった。意外にも、演奏が軽快にすぎるのである。ロンドンの序奏部からして、音の重心がいかにも軽い。要するに、心にずしっと響いてくるものが少ない。主部に入ってからも、軽やかさは持続しており、もしかしたら、ヤンソンスは、最近のハイドン演奏の風潮を意識しているのかもしれないとの思いがよぎった。大オーケストラを指揮しているのに、それはかえすがえすも残念なことである。ヤンソンスは、すべての繰り返しを実行しているが、それならば、演奏においても、もっと大編成のオーケストラを活かした重厚な演奏を期待したかった。軍隊は、ロンドンと比較すると、曲自体の性格もあって、このような軽快な演奏でも比較的心地よく耳に入れることができた。いずれも決して悪い演奏ではないのだが、期待が大きかった分、いささか残念なCDであったと言わざるを得ない。
1 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/01/16
モーツァルトの2曲ある協奏交響曲を1つにおさめたCDは、意外にも本盤くらいしか見当たらないが、間違いなく本盤はその決定版とも言うべき永遠の名盤であると考える。何よりも、全盛期のベーム、そして、名うての名プレーヤーが数多く在籍していた黄金時代のベルリン・フィル、そして、当時、最も脂が乗っていたベルリン・フィルの名プレーヤーの三者がそろい踏みである点が大きい。ベームの指揮は、厳しい造型を重視した緻密なものであるが、モーツァルトに深い愛着を持っていただけに、どこをとっても気品のある美しさに満ち溢れている。各ソロ奏者も最高のパフォーマンスを示しており、ベルリン・フィルも極上のアンサンブルでそれに応えている。ルビジウム・カッティングによって音質も更に鮮明さが増したところであり、これにより、本盤の価値は一段とアップしたと言えるだろう。
1 people agree with this review 2010/01/16
エデルマンは、長い活動休止期間を経て、本盤を久々に録音したということであるが、漸く50歳に到達しようというピアニストとは思えないような、堂々たる巨匠風のピアニズムだと思う。半音階的幻想曲とフーガは、第1部の幻想曲からして雰囲気満点の味わい深さだ。フーガの威風堂々たる歩みも壮大なスケールであり、同曲のトップを争う名演と言っても過言ではあるまい。イタリア協奏曲の第1楽章の快活さも、卓越したテクニックを駆使したこれ以上は望めないような表現ぶりであるし、第2楽章の内省的な憂いや第3楽章の胸のすくようなプレストも感動的だ。パルティータ第6番は、緩急自在のテンポ設定とダイナミックの幅の広さを最大限に活かして、各部を巧みに描き分けしている点を高く評価したい。これだけの名演を聴かされると、エデルマンには、例えば、ゴルトベルク変奏曲や平均律クラヴィーア曲集などのバッハの他のピアノ作品の演奏を聴きたいというのは私だけではあるまい。録音は、SACDマルチチャンネルによる極上の音質であり、部屋がコンサートホールにいるような豊かな音場に満たされた。エクストンは、マルチチャンネルから撤退するのであろうか。本盤の高音質に接すると、いささか残念な気がする。
4 people agree with this review 2010/01/15
カラヤンは、大曲であろうと、本盤におさめられた小曲であろうと、どのような曲を録音するに際しても決して手抜きをしなかった。過去の巨匠では、決して小曲をおろそかにしたのではなかろうが、本盤のような小曲集を録音をする指揮者は少数であったこともあり、カラヤンの小曲集の質の高さは群を抜いている(アンチ・カラヤン派からは、それをセールスマンとして批判するのだろうが)。本盤の出来も見事というほかはない。特に、名演はヴィシェラフト。チェコ出身の指揮者が行うチェコへの愛着を主体とした演奏とは異なるが、重心の低いベルリン・フィルを統率して、重厚にして壮大な珠玉の名演を成し遂げている。モルダウは、80年代の最後の録音の方が味わい深く、そちらの方に軍配をあげたいが、それも高い次元での比較。本盤の演奏も名演と評価するのにやぶさかではない。前奏曲は、80年代にも再録しているが、統率力においてやや陰りがみられることもあり、本盤の方に軍配をあげたい。おそらくは、フルトヴェングラーの名演と並んで、同曲の最高の名演と評価したい。リストの他の2曲もカラヤンならではの名演ぞろいであり、本盤は、小曲においても惜しみなく全力を尽くしたカラヤンの至芸を味わうことができる名演集と言うことが出来よう。
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