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Review List of 一人のクラシックオールドファン 

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     2012/07/16

    先のコロンビアSOを指揮したワルターによるブラームス交響曲第1番に続いての平林氏による復刻のワルター指揮ブラームス交響曲第1番でオーケストラはNBCSOによる1939年ライブ盤(勿論モノラル)で拍手等を除いた演奏タイムは@12’44A8’33B4’14C14’51と我々晩年のワルター指揮分を聴き慣れている者には少し性急な感じも63歳という壮年期からもたらされた迫力に繋がる演奏なのでしょう・・・ワルターの当時の演奏姿勢がうかがわれる貴重なものです。ただマァ古い原盤からの復刻なのでHMVレビューにもメモされている様に一部音揺れは仕方ないとしても猛烈ワルターファンならいざ知らず果たしてファースト・チョイスの演奏とまでは言い切れる自信はありません。ただ緩急のつけ方が晩年演奏にはない(ライブならではの)前向きさ?がある意味面白かったし、それがブラームス交響曲第1番がワルターに向いているのかの若干の懸念を起こさせた晩年演奏との「違い」を聴く事につながった次第です。1940年収録のライブ演奏のハフナー交響曲(タイム@5’09A4’36B3’16C3’20)は第1楽章から中々起伏ある動的な表現が印象的で個人的にはブラームスより「はまって」いた様に思いました。参考までにブラームス交響曲第1番の方のワルター他演奏のデータを追加しておきましょう。1937年VPO(タイム@13’12A8’54B4’27C15’00)、1947年LASO(ライブ、タイム未確認)、1953年NYPO(タイム@12’30A8’11B4’26C15’04)、1959年コロンビアSO(同@14’04A8’28B4’45C16’50)といった具合です。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/15

    最近クレンペラー指揮のモーツァルト交響曲第29番とシューベルト交響曲第4番「悲劇的」の収録盤を聴く機会があって彼の存在感の大きさを再確認させられた状況の私であります。本盤は前者の収録に係わったものですが1965年クレンペラーが丁度80歳の時NPHOを振っての第29番(タイム@8’45A8’09B3’20C4’57)演奏で実に悠然と貫禄ある処を見せています。この曲は所謂モーツァルト後期交響曲集とは少し距離感のある位置づけなのですが同じく十代で作曲された例のト短調第25番交響曲と並べてアインシュタインは「一つの奇跡」とまで評した曲でクレンペラーは本演奏の他にも結構録音を重ねている事が特記されましょう。第1楽章簡潔なテーマをゆっくりとしかもしっかりと提示して骨格の頑丈さが何か揺るがせにさせない堂々さに繋がっている様です。第2楽章での低音弦サポートでの武骨さはふと優しさを垣間見せます。ゆっくり目の第3楽章は自然骨太感を帯びて来ますがちゃんとメリハリはつけており最終楽章での管楽器の強奏扱いにも結びつき活き活きとした〆にたどりつきます。正に晩年巨匠の至芸演奏で最近数捨てる程あるトレンディ演奏とは峻別されるべきなんでしょうが一方では果たしてこの様にこの曲を重厚に演奏するのが作曲事情から適っているのかともふと思ったりもしました・・・。参考までに他のクレンペラー指揮の第29番をメモしておきますと1950年ベルリンRIASSOタイム@8’31A5’30B3’27C3’52、1954年PHO@8’43A8’03B3’12C4’44、1956年バイエルンRSOライブ@8’22A7’56B3’05C5’14、1956年ベルリンRSO@8’29A5’24B3’28C4’04、1957年ケルンRSOタイム未確認、1964年BPOライブ・タイム未確認、1966年NDRSO@7’54A7’43B2’56C4’22といった具合です。1963年PHOを指揮しての第31番「パリ」(タイム@8’02A6’42B4’04)も第1楽章から堂々とした重厚さの中に華麗さも味わえ格調の高さがあります。中間楽章はゆっくりとしたアプローチに後期交響曲の様な貫禄をつけています。最終楽章での管楽器の浮き立たせ具合はすっかり今申し上げた後期的扱いに・・・。第36番「リンツ」は1956年収録でタイムは@9’52A6’35B3’12C7’13とテンポ感は曲自体からも前二曲よりは早め?本盤収録曲の中では一番古い録音なのですが私程度の者には全く音質上支障なく聴こえ演奏もモーツァルトの愉悦そのものであります。第4楽章の躍動感が非常に良く表現され天にも昇るような気分に近いですね。流石後期の曲だけに構えを大きく捉えているのが特徴であります。この「リンツ」交響曲にもクレンペラー別演奏盤がありますが省略して本盤は第29番に焦点を合わせました、フォーマット向上による音質が期待されます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)。

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     2012/07/14

    2000年のショパン国際ピアノコンクールにおいてブーニン以来15年ぶりに優勝を果たしたユンディ・リは私が現役時代社用で出張し仕事の方はともかくあの四川鍋や白酒で記憶に残っている中国四川省重慶出身ということで何となく身近なピアニストです。本盤はその彼が2006年24歳の時に収録したショパン・ピアノ協奏曲第1番(タイム@19’18A9’33B9’39)とリスト・ピアノ協奏曲(同@5’05A4’33B4’01C4’13)の定番カップリング盤でバックはA.デイヴィス(当時62歳)/PHOが受け持っています。先ずショパンの方の第1楽章出だし、オーケストラは大層に構えずスタートしつつ切羽詰ったムードも噛ませて運んで行きます。そしてピアノの登場なのですが一つ一つの音粒立ちが素晴らしく、そうかと言ってこの中国の若獅子(「中国のキムタク」とも一時呼ばれました?)の卓越的なテクニックを押し付けるわけでもなくむしろ淡々に進めている印象すら持つ向きもあるでしょう。第2楽章は流石繊細な抒情的表現が駆使され、実に詩情豊かにこの楽章の持つリリシズムを歌い上げています。最終楽章はややテンポは速めで頂点に向けて畳み掛けていくような強靭な打鍵は前楽章との対比感が楽しめます。リストの方でも物々しくならず全体としてスマートというか剛柔バランスのとれた演奏となっているのはバックサポートの安定の良さというか指揮者の「そつの無さ」に負う処が大きいとは思いました(PHOの無難さはもうトレード・マークみたいに私は受け取っています)。そうしたバックに超絶テクニックが映えた結果に?・・・・クリアな音色も素晴らしい優秀な録音ですよ。そうしたユンディ・リも今年30歳、レコーディングを含めた今後の演奏活動が一層注目されますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/13

    2000年のショパン国際ピアノコンクールにおいてブーニン以来15年ぶりに優勝を果たしたユンディ・リは私が現役時代社用で出張し仕事の方はともかくあの四川鍋や白酒で記憶に残っている中国四川省重慶出身ということで何となく身近なピアニストです。本盤はその彼が2006年24歳の時に収録したショパン・ピアノ協奏曲第1番(タイム@19’18A9’33B9’39)とリスト・ピアノ協奏曲(同@5’05A4’33B4’01C4’13)の定番カップリング盤でバックはA.デイヴィス(当時62歳)/PHOが受け持っています。先ずショパンの方の第1楽章出だし、オーケストラは大層に構えずスタートしつつ切羽詰ったムードも噛ませて運んで行きます。そしてピアノの登場なのですが一つ一つの音粒立ちが素晴らしく、そうかと言ってこの中国の若獅子(「中国のキムタク」とも一時呼ばれました?)の卓越的なテクニックを押し付けるわけでもなくむしろ淡々に進めている印象すら持つ向きもあるでしょう。第2楽章は流石繊細な抒情的表現が駆使され、実に詩情豊かにこの楽章の持つリリシズムを歌い上げています。最終楽章はややテンポは速めで頂点に向けて畳み掛けていくような強靭な打鍵は前楽章との対比感が楽しめます。リストの方でも物々しくならず全体としてスマートというか剛柔バランスのとれた演奏となっているのはバックサポートの安定の良さというか指揮者の「そつの無さ」に負う処が大きいとは思いました(PHOの無難さはもうトレード・マークみたいに私は受け取っています)。そうしたバックに超絶テクニックが映えた結果に?・・・・クリアな音色も素晴らしい優秀な録音ですよ。そうしたユンディ・リも今年30歳、レコーディングを含めた今後の演奏活動が一層注目されますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/12

    本盤はチェコの誇る名四重奏団スメタナQが1976〜1985年の長丁場歳月を費やして収録された実質唯一のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集となったものの一枚で第1番(1977年録音、タイム@7’13A9’52B3’25C6’48)、第2番(1976年録音、同@7’28A5’49B4’41C5’50)、第3番(1978年録音、同@4’52A7’21B2’57C5’33)が入った盤であります。このQのレパートリーとして本場ドヴォルザーク、スメタナ物以上にベートーヴェンの弦楽四重奏曲への取り組みは特別なものがあり暗譜演奏を旨としつつも奇をてらわない正統的な運びはある普遍性すら帯びた演奏に到達している様です。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は性格的にはこれら三曲が属する作品18のベートーヴェンのまだ若い頃書いた作品ですら内省的で私自身曲によってはまだまだ未消化?な状態ではあります。例えば第2番で第1楽章、生きいきしたテーマであっても滋味な感じでありますし穏やかスタートの第2楽章においての緩急、変奏風の第3楽章を経ての最終楽章でやっと第1Vの分かり易い活躍をメインに最後の方まで堂々と引っ張って回想しつつ終わる事で私にやっとそのストーリー性が手中に収められた感じです。1945〜1989年の長い演奏活動において当然その録音においてもスメタナQによるベートーヴェン弦楽四重奏曲が本盤を含む全集以前にもあったのでしょうが私の手元資料には本盤収録曲では1963年に録った第1番(タイム@7’33A10’14B3’39C6’37)しかありませんでした。マァ、その頃の演奏からすれば十年以上経っただけ覇気が無くなって熟成した処を私の場合どう感じとるかでもあるのでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/11

    ベートーヴェンの三重協奏曲は曲の成り立ちからやや散漫な処もありますが中々冒険的な作でこの曲の収録には以前から演奏家オールスター戦の様相がどの盤でもあり本盤(1969年録音)カラヤン(当時61歳)、オイストラフ(同61歳)、ロストロヴォービッチ(同42歳)、リヒテル(同54歳)何れも事演奏については煩い面々が火花を散らすより(四者の火花は分かりにくいし・・・)ビジネス面もありとにかく無難に行こうという事でしょう。大体三つの楽器の協奏曲なのですから辿っていく路線は自ずと決まってタイム的にも@17’51A5’34B12’58でそう過不足感もなくそう際立ったサプライズはありません。ただこの曲自体に対する私の好みからすればポーランドロマン的な第3楽章は冒頭述べた散漫さが特に気にかかりました。余談ですが揃い組での巨匠達の写真については・・・・リヒテルが一部再録を申し出たもののカラヤンは元々のLP盤や一部それを継続したCDジャケット表紙にあるこのCDの四人一緒の写真撮影を時間の関係で優先させたというエピソードも読んだことがあります。なおカラヤンは10年後あのムターやヨー・ヨー・マそれにゼルツァーとこの曲を再録して多分カラヤンにとっては自己ペースで演奏できたのでは?(@17’52A5’47B12’38とほぼ同じタイムで要はぶれ様のない曲だということです)。続いてヴァイオリン協奏曲に入ります・・・オイストラフの弾いたブラームスV協奏曲は結構種類が多くその多くは1950〜1960年代にかけてコンドラシン指揮のソ連オーケストラのバックによる演奏ライブ盤で少しマニュアックですが本レビューの最後にその明細をメモしておきました。さて、本盤は1969年オイストラフ61歳の頃セル(当時72歳)/クリーヴランドOのバックを得てのスタジオ録音で演奏タイムは@22’33A9’36B8’32とかつての諸ライブ盤よりは心持長くはなっておりますが同じEMIでのクレンペラー指揮の1960年収録盤とほぼタイム上は同じであります。オイストラフにとって本盤は数多い演奏記録盤の中ではラスト近いもので私の今の年齢からすれば61歳などまだ若かった感じもしました。確かにこの協奏曲にはある青春の思いが反映すべきとかねがね思ってはおりその点では合点も行く瑞々しい演奏に辛うじて達している様に感じました。第1楽章から骨太で円熟味を増した演奏が展開されて行きいつものヨアヒムによるカデンツァ・・・とにかくいつもながら見事の一言!・・・前のオーケストラ高揚も(セルのいつもの「きっちり」感優先で)スケール感は無いものもののそれはそれで充分であります。中間楽章序奏はそうしたアプローチのオーケストラですから実に美しくやがて入る情緒溢れるVの響きの豊かさにどっぷり浸れました。最終楽章はどっしりと構えつつ鋭いVアタックにより適度に表現されたこの曲の「若さ」によく乗った進み具合です。ヴァイオリンとオーケストラの微妙な力関係・バランス感もあって私自身は好みとしてクレンペラー盤の方にちょっと傾いてはいるのですがオイストラフのこの曲への仕上げ記録として素晴らしいランク以上にしておきたいです。オイストラフ演奏記録は私の資料では次の通りで漏れ・誤り等はあるでしょうがあくまで参考データとして捉えていただければ幸いであります→1950年(1951?)コンドラシン/USSR.RTVSO(ライブM@21’38A8’53B7’48)、1952年コンドラシン/MRSO(M@21’40A9’14B7’39)、1952年アーベントロート/BRSO(ライブM@21’11A9’24B7’55)、1954年コンヴィチュニー/SKDO(M@21’56A9’26B7’46)、1955年コンヴィチュニー/SKBO(ライブM@21’55A9’41B7’35)、1955年F.リーガー/ミュンヘンPO(ライブM@21’45A8’59B7’14)、1958年コンヴィチュニー/SKDO(ライブM@21’58A9’25B-)、1960年クレンペラー/FNRO(S@22’36A9’50B8’28)、1961年ロジェストヴェンスキー/MPO(ライブM@22’36A9’18B8’08)、1961年サージャント/LPO(ライブS@21’15A9’10B7’52)、1961年A.ペドロッティ/チェコPO(ライブM@21’34A9’06B7’50)、1961年O.ヌッシオ/スイス・イタリア語RO(ライブ@21’48A8’57B7’50)、1963年コンドラシン/MPO(ライブS@21’54A9’03B7’37)、1963年コンドラシン/USSR.SSO(ライブM@22’04A9’07B7’41)、1963年(1965?)コンドラシン/MPO(ライブM@21’03A8’47B7’31)、1967年コンドラシン/MPO(東京ライブS@21’00A8’28B7’29)、1967年C.ブルック/ORTFPO(ライブM@21’20A8’43B7’53)、1969年ロヴィッキー/ワルシャワ国立PO(ライブS@21’27A8’54B7’41)。なお、ブラームスのダブル協奏曲(1969年録音、オイストラフ、ロストロヴォービッチ、バックはセル/クリーブランドO、タイム@17’03A7’56B8’53)は未聴です。SACD音質に期待です。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/10

    本盤はメイエとプリンツという現代を代表するクラリネット奏者が、モーツァルトのニ大名曲で夫々名演奏を繰り広げております。プリンツには私は古い録音でミュンヒンガー/VPOバックによるクラリネット協奏曲LPで初めて接した思い出がありますが、そのクラリネット協奏曲を本盤はまだ若手のメイエが27歳の1992年にジンマン(当時56歳)/ECO伴奏によって演奏収録したものでタイムは@12’27A7’14B8’18で数字上は目立ちませんが印象としてはやや速めテンポなのかなぁといった感じであります。第1楽章、何気なく吹き進めて自然体な中にこの曲の寂しさと覇気とが同居・調和する場面が結構聴かれます。中間楽章ではもう一押し好み的には数ヵ月後死を迎えるモーツァルトのニュアンスが欲しい気もしましたがそれなりに寂しい音色は伸びております。最終楽章はメイエのテクニックがその速いテンポに映え特に後段の〆で活き活き運んでます。ジンマンはマァ無難な処に収まっております。メイエは東京佼成ウインドオーケストラを振ったりして日本でも活躍していますね。次にプリンツが49歳の時ウィーンCOメンバーと1979年収録したクラリネット五重奏曲(タイム@9’32A6’31B7’36C9’39)の方は実に彼の柔らかで伸びやかな音色が聞かれます。周知の様にあのウラッハの高弟だったプリンツはVPOの首席奏者でもあったわけでそれにウィーンCOメンバーもVPOメンバーだった事もありウィーンの雰囲気が特に最終楽章に味わえます。彼の押し付けがましくない練り上げられた滑らかなクラリネットの音色がモーツァルトのこの名作を更にウィーン風に仕上げたといった処でしょうか。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/09

    モーツァルトのクラリネット協奏曲をまだ当時若手のメイエが27歳の1992年にジンマン(当時56歳)/ECO伴奏によって演奏収録したものを別盤で聴いておりますのでコメントを入れさせていただきます。本演奏、タイムは@12’27A7’14B8’18で数字上は目立ちませんが印象としてはやや速めテンポなのかなぁといった感じであります。第1楽章、何気なく吹き進めて自然体な中にこの曲の寂しさと覇気とが同居・調和する場面が結構聴かれます。中間楽章ではもう一押し好み的には数ヵ月後死を迎えるモーツァルトのニュアンスが欲しい気もしましたがそれなりに寂しい音色は伸びております。最終楽章はメイエのテクニックがその速いテンポに映え特に後段の〆で活き活き運んでます。ジンマンはマァ無難な処に収まっております。メイエは東京佼成ウインドオーケストラを振ったりして日本でも活躍していますね。非常に現代的なセンスを持ち、自然に歌うことが出来る完璧な技術と品の有る豊かな音色で天才クラリネット奏者としてベリオ、ペンデレツキ他数多くの作曲家達から曲を捧げられ初演も多く、本盤でも珍しい二つの協奏曲・・・1992年収録ブゾーニの協奏曲(トータルタイム10’12)及びコープランドの協奏曲(同17’56)が併録されていますが私は聴いておりません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/08

    本盤はカザルスがフランスの寒村プラドでバッハ没後200年記念から開催スタートしたプラド音楽祭(後年カザルス音楽祭と名称変更)での演奏モノラルライブ録音集(1950〜1952年録音)で私は全てを聴いているわけではありませんがCD4の二曲を別盤でレビューしていますのでそれを先ず転記させていただきますのでよろしく・・・。ブラームスのピアノ三重奏曲(演奏タイム@15’56A7’16B9’24C7’05)は1952年収録でM.ヘス(ピアノ、当時62歳)、P.カザルス(チェロ、同76歳)、I.スターン(ヴァイオリン、同32歳)の人生肯定的な演奏姿勢がライブでの時折漏れてくる主にカザルスの唸り声が拍車をかける様でこの作品に大変マッチした出来具合になりました。第1楽章、穏やかな主題はこの曲の改作を通してブラームス自身の青春の息吹を掘り起こした様で昔日の若い時を抒情的にこの三名がこの楽章の終結部でのある「思い入れ」を込めて再現不能なまでにしっかり表現してくれました。ピアノのヘスはイギリスのピアニストでバッハのBWV147からの「主よ、人の望みの喜びよ」をピアノ用に編曲した事で知られておりますが私は唯一聴いたのが本盤演奏です、渋さと慈愛に満ちた感じで若きスターンのヴァイオリンそしてカザルスのチェロと真っ向からぶつかり合うまるで男同士のヒューマニティを感じさせますね! トリオは第1楽章に通じる抒情的で前後がスケルツォ舞曲風なのがブラームス色らしい第2楽章を経て第3楽章は三名の奏者が対話する様な響きでお互い行き来する様子がリアルです。カザルスの鄙びた演奏がヒューマニティ溢れ内省的ではありますが暗くはなりません。カザルスを軸にした様な感じに受け取りました。最終楽章はピアノ分散音に弦がウロウロ乗って次第に底上げする如く気分が高揚し堂々と終わります。スターンの若さも好感が持たれます。弦楽六重奏曲第1番の方も同じ1952年モノラル録音でタイムは@12’20A10’27B2’57C11’08、演奏者はスターン、シュナイダー(ヴァイオリン)、 トーマス、ケイティムス(ヴィオラ)、カザルス、フォレイ(チェロ)でこの六名は「偉大なるカザルス」の気迫のこもった重厚なチェロの響きを基本軸として音楽を仕上げています。特徴的に捉えるならば第2楽章は仏映画「恋人たち」に用いられ有名なのですが甘い雰囲気というより比較的剛直で力強い演奏に仕上がっているのは彼ららしい処ですね。人生経験を味わった生命力をはらんだテイストというのでしょうか、単に綺麗ごとだけに終わらない気迫・信念を彼らに教えてもらっている様な気分にもなりました。当時六名中一番若かったスターンは後年1989年には今度は自らが音頭を取ってリン(ヴァイオリン)、マ、ロビンソン(チェロ)、ラレード、トムリー(ヴィオラ)のメンバーで再録した弦楽六重奏曲第1番(タイム@15’27A9’44B3’01C10’09)盤もある様です、勿論ピアノ三重奏曲の方も1964年でのローズ(チェロ)、イストミン(ピアノ)との共演盤もあるとの事ですがこの方は現段階では未確認です。こうして若い頃先輩に教えてもらった事を何年か経って後輩に伝えて行くのが「人生」なのかも知れません・・・。なお、他の本盤収録曲何れもがカザルス自身が独奏者であったりアンサンブル主催者であったり指揮者なりのものですが一方スターンはじめ多くの共演者もホットで誠実なメンバーで御大カザルスに求心力を集中させたものとなっており各曲演奏タイムデータは次の通りです。CD1→バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番(@4’22A7’43B4’26)、ピアノ協奏曲第5番(@3’34A3’07B4’17)、ブランデンブルグ協奏曲第4番(@7’01A3’38B5’24)、CD2→ベートーヴェン: ピアノ三重奏曲(@9’53A5’42B6’43)、・シューベルト: 弦楽五重奏曲(@14’15A13’13B9’08C9’45)、CD3→シューマン:チェロ協奏曲(@11’50A4’10B9’01)、ベートーヴェン: ピアノ三重奏曲第7番「大公」(@14’03A7’30B14’02C7’30)。マァ、出来具合からすれば今日これらを上回る演奏盤は幾らでもありますが彼らの「志し」は最高ランクだと私は思っております。★一つは置いておきましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/07

    本盤はワルターのステレオ再録用に仕立てられた楽団・・・コロンビアSOを振ってワルター最晩年84歳の時、1960年に収録したブラームス交響曲第2番(演奏タイム@15’14A10’41B5’36C9’40)と交響曲第3番(同@10’04A8’41B6’16C8’17)の平林氏による復刻カップリング盤であります。両曲共第1楽章等反復がなされていない分だけタイム上はコンパクトなのでしょう。それとオーケストラがハリウッド映画音楽的なサウンドでやや不自然な各パートの分離も気にならない向きも無いわけではありませんが・・・。先ず第2番から見てみましょう。その第1楽章は情感を込めて展開されています。最終楽章もオーケストラの厚みこそ満点とは行かず少し背伸びしてはいてもこの楽章の持つ生命力は充分迫力がありました。全体としてこの第二交響曲がブラームスの「田園」交響曲とも位置づけられているのに結構相応しい抒情性を上手く打ち出して明るめの音色でブラームスの自然賛歌を歌う如く展開して行く腕前は老いたりとは言え流石ワルター!ワルターの指揮する第二交響曲は他にも幾つか盤がありますが私などはLP時代身近な1953年NYPO盤(モノラル、タイム@14’46A10’10B5’18C8’18)で両建てしていましたがその他には1950年BPO(同@14’30A10’29B5’29C8’51)、1955年フランス国立O(同@14’32A9’45B4’47C8’30)等がある様です。次に第3番に入りましょう、その第1楽章は結構この第3番がブラームスの「英雄」交響曲とも位置づけられているのに相応しい激しさを見せてくれその辺りは続く第2楽章でもアイデンティティが貫かれております。オーケストラの音色がハリウッド・サウンドというか生々しい感じで捉えられており第3楽章などその明るい音色が本曲の陰影を薄くしているように聴こえる場合もありますがブラームスの内省的な色合いをワルターが逃すはずはなく最終楽章では緊迫した雰囲気の中で小波が寄せる様に安らぎ感の方に上手く導いて行く腕前は老いたりとは言え流石ワルター!ワルターの指揮する第3番にも他にも幾つか盤があり1936年VPOを振った物(タイム@8’44A7’22B5’29C7’49)がマニア間では話題になる様なのですが私などはLP時代身近な1953年NYPO盤(モノラル、タイム@9’13A8’17B5’52C7’41)で両建てしていました・・・年齢を重ねるのにつれてタイム上ゆっくりした傾向をこの第3番演奏には見せていますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/06

    1964年あの大指揮者ターリッヒの甥っ子を中心に結成されたターリッヒQが1977〜1981年に収録したベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の一環の第9番(1979年録音、演奏タイム@10’47A9’32B4’55C6’11)と第14番(1977年録音、同@7’25A3’26B0’55C13’55D5’38E1’58F6’27)・・・中期G作品中と後期G作品中の各々特徴ある曲をカップリングした盤・・・現在販売されておりません・・・であります。第9番はラズモフスキー第3番と呼称されている曲・・・周知の様にこのラズモフスキー名称はベートーヴェンがウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー(自らヴァイオリンも弾く人だったらしいですよ)に献呈した事からのネーミング・・・第1楽章ゆっくりしてやや晦渋なスタートが何だったのかと思われる程の即変転での明快・活発な運びがなされる楽章をクリアな線で結んで造り上げて行きます。この楽章後段でのベートーヴェンの押しの強さをもうちょっと強調して欲しい瞬間もありますが所謂ドイツ的重厚さとは別の敢えて言えば知的演奏だと気づきます。印象的な第2楽章ではメランコリーな高音ヴァイオリンが低音弦ピチカートに支えられて歌謡的に移ろって行く優雅な美しさは特筆ものです。柔らかいしなやかなリズムが印象的な第3楽章を経て最終楽章は落ち着いた正確さのうちに派手さはないのですが徐々にエネルギーを溜めつつの仕上げて行く様子は独特の雰囲気のラズモフスキー第3番を醸し出し表現してくれました。次に第14番ですが後期にベートーヴェンは聴覚を失った時期だけに短調柱でもあって更に内省的な作品でありかつ七楽章でそれも殆ど切れ目なく進行するチャレンジングな作品をやや線が細く楽章によっては感じられる演奏ではありますがしっかり落ち着いて運ばれています。第1楽章、深遠なフーガ方式は精神的にも「凛」とした雰囲気が漲り音楽の極みとしてのスタート楽章です、少し甘い澄んだ音色に先ず聴き入りました。先ほど書いた様に大人しいのですが各声部に明確性を確保して演奏されています。大体この曲は大まかに言えば先述の様に「短調柱」で短調、長調交互に極端にショートなジョイント機能の楽章を挿入しつつ進んで行きます。問題の第4楽章は比較的長い楽章の時間内の楽想の変化を実に軽妙に、自然なテンポで濁らずにバランス良く表現して行きます。途中のチャチャいれるピチカートやチェロの呟きもチャレンジングなベートーヴェンが垣間見れます。〆付近は比較的分り易くテーマを再示しつつゆっくり終わります。少し「間」があっての第5楽章はスケルツォで分りやすいウキウキ気分で後半挿入されるピチカートなど全く意外で流石「楽聖」ベートーヴェン!その辺りの澄み切ったこのQの音色と反響具合が聴き処でもあります。抒情的メロディの第6楽章は最終楽章への序奏でいよいよ最終楽章はユニゾンで力強い刻みが疾走し途中和らぐ場面も経緯してコーダへは堅固な構えを基本にテーマを散らせつつの如何にもベートーヴェンらしい片付け方が楽しめます。私はこのベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中では最も完成度が高く評価が高いこの作品をもっと聴き深めたいと思います。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/05

    オイストラフの弾いたブラームスV協奏曲は結構種類が多くその多くは1950〜1960年代にかけてコンドラシン指揮のソ連オーケストラのバックによる演奏ライブ盤で少しマニュアックですが本レビューの最後にその明細をメモしておきました。さて、本盤演奏(LPも出ています)は1969年オイストラフ61歳の頃セル(当時72歳)/クリーヴランドOのバックを得てのスタジオ録音で演奏タイムは@22’33A9’36B8’32とかつての諸ライブ盤よりは心持長くはなっておりますが同じEMIでのクレンペラー指揮の1960年収録盤とほぼタイム上は同じであります。オイストラフにとって本盤は数多い演奏記録盤の中ではラスト近いもので私の今の年齢からすれば61歳などまだ若かった感じもしました。確かにこの協奏曲にはある青春の思いが反映すべきとかねがね思ってはおりその点では合点も行く瑞々しい演奏に辛うじて達している様に感じました。第1楽章から骨太で円熟味を増した演奏が展開されて行きいつものヨアヒムによるカデンツァ・・・とにかくいつもながら見事の一言!・・・前のオーケストラ高揚も(セルのいつもの「きっちり」感優先で)スケール感は無いものもののそれはそれで充分であります。中間楽章序奏はそうしたアプローチのオーケストラですから実に美しくやがて入る情緒溢れるVの響きの豊かさにどっぷり浸れました。最終楽章はどっしりと構えつつ鋭いVアタックにより適度に表現されたこの曲の「若さ」によく乗った進み具合です。ヴァイオリンとオーケストラの微妙な力関係・バランス感もあって私自身は好みとしてクレンペラー盤の方にちょっと傾いてはいるのですがオイストラフのこの曲への仕上げ記録として素晴らしいランク以上にしておきたいです。オイストラフ演奏記録は私の資料では次の通りで漏れ・誤り等はあるでしょうがあくまで参考データとして捉えていただければ幸いであります→1950年(1951?)コンドラシン/USSR.RTVSO(ライブM@21’38A8’53B7’48)、1952年コンドラシン/MRSO(M@21’40A9’14B7’39)、1952年アーベントロート/BRSO(ライブM@21’11A9’24B7’55)、1954年コンヴィチュニー/SKDO(M@21’56A9’26B7’46)、1955年コンヴィチュニー/SKBO(ライブM@21’55A9’41B7’35)、1955年F.リーガー/ミュンヘンPO(ライブM@21’45A8’59B7’14)、1958年コンヴィチュニー/SKDO(ライブM@21’58A9’25B-)、1960年クレンペラー/FNRO(S@22’36A9’50B8’28)、1961年ロジェストヴェンスキー/MPO(ライブM@22’36A9’18B8’08)、1961年サージャント/LPO(ライブS@21’15A9’10B7’52)、1961年A.ペドロッティ/チェコPO(ライブM@21’34A9’06B7’50)、1961年O.ヌッシオ/スイス・イタリア語RO(ライブ@21’48A8’57B7’50)、1963年コンドラシン/MPO(ライブS@21’54A9’03B7’37)、1963年コンドラシン/USSR.SSO(ライブM@22’04A9’07B7’41)、1963年(1965?)コンドラシン/MPO(ライブM@21’03A8’47B7’31)、1967年コンドラシン/MPO(東京ライブS@21’00A8’28B7’29)、1967年C.ブルック/ORTFPO(ライブM@21’20A8’43B7’53)、1969年ロヴィッキー/ワルシャワ国立PO(ライブS@21’27A8’54B7’41)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/04

    オイストラフの弾いたブラームスV協奏曲は結構種類が多くその多くは1950〜1960年代にかけてコンドラシン指揮のソ連オーケストラのバックによる演奏ライブ盤で少しマニュアックですが本レビューの最後にその明細をメモしておきました。さて、本盤は1969年オイストラフ61歳の頃セル(当時72歳)/クリーヴランドOのバックを得てのスタジオ録音で演奏タイムは@22’33A9’36B8’32とかつての諸ライブ盤よりは心持長くはなっておりますが同じEMIでのクレンペラー指揮の1960年収録盤とほぼタイム上は同じであります。オイストラフにとって本盤は数多い演奏記録盤の中ではラスト近いもので私の今の年齢からすれば61歳などまだ若かった感じもしました。確かにこの協奏曲にはある青春の思いが反映すべきとかねがね思ってはおりその点では合点も行く瑞々しい演奏に辛うじて達している様に感じました。第1楽章から骨太で円熟味を増した演奏が展開されて行きいつものヨアヒムによるカデンツァ・・・とにかくいつもながら見事の一言!・・・前のオーケストラ高揚も(セルのいつもの「きっちり」感優先で)スケール感は無いものもののそれはそれで充分であります。中間楽章序奏はそうしたアプローチのオーケストラですから実に美しくやがて入る情緒溢れるVの響きの豊かさにどっぷり浸れました。最終楽章はどっしりと構えつつ鋭いVアタックにより適度に表現されたこの曲の「若さ」によく乗った進み具合です。ヴァイオリンとオーケストラの微妙な力関係・バランス感もあって私自身は好みとしてクレンペラー盤の方にちょっと傾いてはいるのですがオイストラフのこの曲への仕上げ記録として素晴らしいランク以上にしておきたいです。オイストラフ演奏記録は私の資料では次の通りで漏れ・誤り等はあるでしょうがあくまで参考データとして捉えていただければ幸いであります→1950年(1951?)コンドラシン/USSR.RTVSO(ライブM@21’38A8’53B7’48)、1952年コンドラシン/MRSO(M@21’40A9’14B7’39)、1952年アーベントロート/BRSO(ライブM@21’11A9’24B7’55)、1954年コンヴィチュニー/SKDO(M@21’56A9’26B7’46)、1955年コンヴィチュニー/SKBO(ライブM@21’55A9’41B7’35)、1955年F.リーガー/ミュンヘンPO(ライブM@21’45A8’59B7’14)、1958年コンヴィチュニー/SKDO(ライブM@21’58A9’25B-)、1960年クレンペラー/FNRO(S@22’36A9’50B8’28)、1961年ロジェストヴェンスキー/MPO(ライブM@22’36A9’18B8’08)、1961年サージャント/LPO(ライブS@21’15A9’10B7’52)、1961年A.ペドロッティ/チェコPO(ライブM@21’34A9’06B7’50)、1961年O.ヌッシオ/スイス・イタリア語RO(ライブ@21’48A8’57B7’50)、1963年コンドラシン/MPO(ライブS@21’54A9’03B7’37)、1963年コンドラシン/USSR.SSO(ライブM@22’04A9’07B7’41)、1963年(1965?)コンドラシン/MPO(ライブM@21’03A8’47B7’31)、1967年コンドラシン/MPO(東京ライブS@21’00A8’28B7’29)、1967年C.ブルック/ORTFPO(ライブM@21’20A8’43B7’53)、1969年ロヴィッキー/ワルシャワ国立PO(ライブS@21’27A8’54B7’41)。併録のヴァイオリン・ソナタ第3番(モノラル、タイム@8’21A5’21B3’03C6’02)は1955年来日時での演奏分でピアノ伴奏はV.ヤンポルスキーです、いつもどおり朗々と歌うオイストラフと抒情性豊かなヤンボルスキーのピアノですが、とにかく鳴りが豊かでオイストラフがまだ四十歳代でもあるのか集中度の高い演奏を展開しています。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/03

    別盤で聴いているこのクライスラー演奏のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲について感じた事を書き込み致します。クライスラーと言えば彼自身作曲の私たちの年代でも小さい頃から耳馴染みのいろいろな小品と共に「神業的な名技」、「粋な洒脱さ」の名ヴァイオリニストとしてもレコード界でも魅了し続けました。クライスラーの音楽情緒に馥郁たる薫りを加味した豊饒極まりない演奏は彼のルックスからもウィーン子というか古き良き時代を我々スーパー音質のCD盤を聴いている耳にも髣髴とさせるものがありいまだに世界中のファンに愛聴されている処は単にヒストリカル録音では片付けられない正しくクラシック音楽のクラシックたる所以なのでしょう。本盤ベートーヴェン協奏曲は彼としては二度目?の録音・・・1936年クライスラー61歳の頃収録で演奏タイムは@22’58A10’38B10’04であります。第1楽章オーケストラ前奏のしっかりした歩調は当時協奏曲伴奏指揮者としての丁寧な(聴きようによっては「丁寧過ぎる」?)バルビローリ(当時37歳)の運びなのでしょう。そう甘くなく入ったVにはすぐに効果的なヴィヴラートを駆使した「雄弁なる技巧家」であることを痛感させられます。マァ音楽の深遠さ等小難しい事より曲の晴やかな外面を辿った印象は拭えませんがそれはそれで充分結構かと思いました。カデンツァは勿論自作のものを使用してその派手さを倍加しておりますね。後段は大きくバルビローリの存在感を意識させる様に波打たせ〆に結びつけます。中間楽章はやや「もったい」をつけておりその古さに平板さを感じましたがカデンツァは面白いです。最終楽章はバックのアンサンブルに怪しい箇所もあるのですがドイツの牧歌的舞曲を彷彿させ元気よく終始しました。マァ、とにかく1930年代半ばに収録された代表的なヴァイオリン協奏曲が今日ではもっと音質上は勿論演奏上も説得性の高いものが存在するのにも拘わらずある種の感慨をもたらしてくれる事に今更申し上げる必要のない貴重さを感じ、この様な演奏を聴いているとつくづく昨今の洪水のように続出する新盤の存在価値がいつまで延命するのか甚だ心細くなります。なお、一回目の録音は1926年L.ブレッヒ/BSOOバックの物(タイム@23’53A10’25B10’16)であります。併録のモーツァルト・ヴァイオリン協奏曲第4番)は1937年サージャント/LPOバックの演奏(同@9’28A8’31B9’07)は未聴であります(この協奏曲、クライスラーとしては1924年L.ロナルド/スタジオO、1927年L.ブレッヒ/BSOO演奏盤もある様ですよ)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/07/02

    ショパン弾きとしてもう他の追随を許さない特別のポジションを占めているルイサダが昨年2011年日本においてバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン等古典派レパートリーの名作その他を収録した盤でルイサダ53歳になっての演奏であります。何れの曲も他の演奏家で聴き慣れているだけに極めて各曲への個性的なアプローチが注目されます。そして彼の表現力としてのピアノタッチをその粒だちまで克明にとらえた高音質録音が本盤の素晴らしさをアップしている様です。さて、演奏の方ですがルイサダが長らく弾き続け解釈を練り上げた作品ばかりであり例えばバッハ「フランス組曲第5番」(タイム@3’43A2’15B6’13C1’28D1’36E3’57F4’00)での第1楽章スタートでの優しい出だしで彼の師ニキタ・マガロフの落ち着いた演奏態度、パドゥラ=スコダの古典的端正さを頭に描いて油断しているとすぐにテンポの伸縮というか時に「たどたどしさ」さえ感じさせる極端なニュアンスの在り方の見事さ・・・。モーツァルト「トルコ行進曲ソナタ」(タイム@8’59A6’39B3’36)第3楽章での自在なアゴーギグに圧倒されました・・・マァこの曲の美しい古典フォルムとは別世界ではありますが一度聴くと「癖」になってしまいそうですね。ベートーヴェン「月光ソナタ」(同@5’30A2’39B8’15)も最早先述の両師匠の面影すら感じさせないロマンチックな演奏です。他の収録曲の演奏タイムをメモしておきますね・・・バッハ「コラールBWV147より」(4’34)、ベートーヴェン「エリーゼのために」(3’41)、ドビュッシー「月の光」(6’24)、ワグナー「エレジー」(2’29)といった具合です。何れもその変幻自在ぶりに感心したり呆れたりしたのが私の能力限界ですが中でもドビュッシー「月の光」は流石ルイサダ・・・フランス留学で修行しただけにフレンチ料理の優雅さを思い起こさせる説得力溢れる妙技・名演奏かと思いました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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