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Review List of 蝉の抜殻 

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  • 4 people agree with this review
     2009/10/11

    「演奏解釈」が作品の本質を把握する方向性ではなく、演奏とは様々な可能性を検証する極めて知的なゲームであるとする方向性。現在の独奏者には結構多いタイプだが、指揮者にはそれほど多くない。才能が必要とされるからだ。演奏の可能性と称して無能無神経で公害のような音響を垂れ流し開き直る現代の勘違い低能指揮者軍団に、鉄槌を下すべく、最高の録音で高度な知的解析を提示してくれるMTTとそのスタッフ。高度なリズム遊戯+音のコラージュ。某無能指揮者のように音のコラージュを時間軸に貼り付けただけの映画音楽のサントラ以下の信じがたい低次元演奏とは格が違いすぎる。最近の指揮者のレベルの凋落には唖然とするものがある。MTTのこのマーラーシリーズは、それらの演奏を粉砕・駆逐し、渇きを癒してくれる、現代のオアシスにすら思えてくる。

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  • 1 people agree with this review
     2009/10/11

    「演奏と録音は全くの別物である」このテーゼを戦略的に使いこなす最高の指揮者による最高の仕事の1つ。高音質のデジタル録音を使い、アイヴズの交響曲の、コラージュの楽曲分析を隅々まで明確化する試み。抜群の能力を持つ指揮者とオケと録音スタッフ。彼等なくしては決して作れなかった演奏。復調、ポリリズム、12音技法的な発想など、アイヴズの実験的な作曲技法が鮮やかに聴き取れる。作曲家と演奏家、聴き手の間に介入するテクノロジーの問題。テクノロジーにおける作曲家と演奏家の意図の問題が無視できなくなる。現在跋扈しているくだらない人工的な音響作成とは、全く次元の違う、極めて創造性の高い凄い仕事です。

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  • 6 people agree with this review
     2009/10/11

    自在にテンポを操り、表層を作るような、例えばフルヴェンやメンゲルベルグらの同時代の指揮者に対して、彼の演奏は「客観的」で「インテンポ」といわれるが、果たしてそうだろうか?トスカニーニは誤解されている。トスカニーニのテンポは変化している。よく聴いてみて欲しい。この第9では全体を通して着実・規則的なテンポアップが設定されており、いわゆるインテンポで「現代的」な演奏ではなく、音楽の高揚と静寂と静けさの作り出すダイナミズムをさりげないテンポ変化により、バランスのとれた形で音化しようとする、極めて独自の美学を示している。現代の指揮者でこのような主張をする指揮者はいない。音が聴ければわかることだが、その方法論を例えば某評論家は「トスカニーニの場合は、1つ1つの音の直接的な表現力が強烈であり、聴き手はあくまでも音楽と同じ空間にとどまらされる。音楽全体の流れを味わうというよりは、もっと短い瞬間の感覚的刺激に酔わされ・・」。この程度の印象批評。その印象が何によって引き起こされるのかといった視点が完全に欠落している。トスカニーニは全体を見渡して厳密なテンポ設定をしているにもかかわらずである。全体を俯瞰して、繊細な音の変化を正しく聴けないと、このような発言が出てしまう。トスカニーニが求めようとした純粋なダイナミズムの凄さ。作品を有機的に構成された統一体として把握する方向を純粋な形で実現しようとする「純粋主義」の美学を聴いて欲しい。

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  • 4 people agree with this review
     2009/10/03

    95ショパコンのグランプリディスク。この録音で本当に凄いのは「前奏曲集」。音楽形式の発展と歴史において画期的な作品。響きに敏感な奏者は、必ず当時の様式の限界を超えて、印象派、さらに現代音楽に通じる響きの領域を開拓してしまう。抜群の可能性を秘めた作品群で、そういう演奏でなければ推薦には値しないし、そうでない演奏は全て凡演と一蹴されても仕方が無いし、プロの仕事では無い。普通はペダルとノンペダルの使用は、その区別が意識に登らないように処理されるが、ピリスは敢えてペダルとノンペダルの響きの違いを敢えてさらけ出し、響きの可能性を拡大している。これは誰もやらなかった方法。まさにコロンブスの卵。グランプリも当然だし、当時の審査員達の絶賛も納得。ピアコンも急所だけ厳密に打ち合わせをして、あとは繊細に揺れ動くピアノに即興的に合わせる魔術のような抜群に巧いバック。ピリスとプレヴィン以外には不可能な演奏。「これらを好き嫌いで語る=方法論を理解できないことの告白」というくらいのレベルの高い演奏。

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  • 4 people agree with this review
     2009/10/03

    このジュリーニの演奏は美しいだけではない、歌に潜む苦味や苦悩、さらに危うさまで引き出した傑出したモノ。この初期盤の輸入盤には息を継ぐ音まで収録されている(今回買い直し)。エコーを平然と付加するようになった現在の(某海外メジャーとその他)からは考えられないような清廉な美しさです。ところで、同じ演奏であっても、何時製盤されたか?何処で製盤されたか?で音は随分と違うものだ。最近のデジタル技術は凄い。以前の録音が見違えるほどに良い音になることがある。その反面技術者が無意味にエコー等を付加して、過去の名演奏を破壊する例も後を絶たない。現在クラシックの音源は残念だが後者が未だに多い。(ちなみに最近の海外某メジャーは初期盤の段階で破壊され尽くしているので注意が必要ですが、傾向として最近の録音は「無能」「愚演」「堕演」ほど人工的な処理が激しいので、意外とわかりやすいです。)

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  • 2 people agree with this review
     2009/10/02

    断っておくが、私は解決と音の論理に興味はあるが、「物語」とか意味の無い「表層」や「効果」には全く興味が無い(どころか軽蔑の対象です)。そもそもG変はアリア以外の変奏曲部分は3曲づつがセットになっており、3曲でまとまってない演奏は論外だ。この演奏は面白い。3曲ずつに宗教的な「表題」を与えてある。これが単なるタイトルなら軽蔑の対象だが、「表題」という磁場を利用して、個々の変奏以外に、3曲セットの各グループ同士に性格変奏の要素を与えることに成功している。このような音楽的な意味に裏付けられた戦略ならば賛成だ。当然だが演奏自体相当にレベルが高い。グールドの新録以降、G変で独自の視点を獲得できた演奏はフェルツマン、シェプキン、コロリオフとこのペドローニくらいのもので(まあこの4枚は某HPでも大絶賛で有名だが)、残りの録音群は音楽的な意味や論理的な成果ではどれも似たようなもの、もしくは論外なので、好みのレベルで選べば良いと思う。そこにあるのは「表層」の違いだけだ。

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  • 13 people agree with this review
     2009/10/01

    ブルックナーの5番、シューマンの4番、ブラームスの1番4番は私も初めて知った音源。それ以外の音源はCDで持っている人もいるでしょう。ただし今回収録されてないベートーヴェンの5番、チャイコの5番の音源は今後第2弾として必ず出して欲しい。既出のものの音質は、どれも最高水準の見事なものです。本数の少ないマイクで収録されているようで、これまで複数のマイクによってバラバラに解体されていたヴァントの音とは次元が違う、見事にブレンドされた音が聴けます。アコースティックな音が本当にわかる人にはたまらないと思う。演奏自体も凄い。決して一流とは言えないオケが全身全霊でヴァントの音楽を再現しようとする。近年では、テンシュテット+LPO、ジュリーニ+LAPOあたりでしか聴けない絶対的に指揮者を信頼しきった音楽。いろいろと意見はあると思うが、そのような音楽が大好きな人にとって、これはヴァント最高最強の演奏群だと思う。私?たとえダブっても当然買います。長くなってゴメンなさい。

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  • 8 people agree with this review
     2009/09/23

    20世紀モーツァルト演奏の歴史的な名演としてあまりにも有名な録音群。その録音の中でも最高の名演ばかり集めた1枚。最近の録音(偽モーツァルト)ばかり聴いている人は、その演奏の「格」の違いに驚くだろう。最近の録音とはあまりにも次元が違う。遥かに高い。60年代のDGにはそのような演奏家がいっぱいいた。今はもう見る影もないほど凋落し、堕落の象徴と化しているが、この頃のDGの録音を甘く見てはいけない。本当に素晴らしかったのだ。良い演奏がない21番が最高の演奏だが、6番と17番はさらにその上を行く名演奏。

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  • 16 people agree with this review
     2009/09/23

    ウェーベルンを無機的に扱う演奏は多い。しかしウェーベルンの音型にここまで色彩を与え描き分けた例は無い。しかもその色彩が音楽的に明確な意味があるというところがシノーポリの天才的に凄いところ。「表層の色彩」の物凄さでは確かにカラヤンが凄い。でも「音色旋律」を考えるならばシノーポリが圧倒的。「音色旋律」を描いた演奏として画期的な録音だし、今シノーポリのような指揮が出来る人は皆無(しかもオケがドレスデン)。これほどのモノが今後出てくるとは考えにくい。ところでギーレンは基本「解決の論理と音楽の実体」の人で、全く方向性の違う音楽になるはずだ。私なら両方買う。ちなみに私の最も好きな新ウィーン楽派録音はロスバウトとブール、ヴァントあたりの厳格派です。

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  • 5 people agree with this review
     2009/09/22

    インバルの演奏は「生温い」。ムラヴィンスキーらの演奏と比較して格段に「生温い」。しかし、その「生温さ」は、厳密にトレーニングされた精密で確実な演奏に裏付けられたモノ。金管が咆哮しまくるド迫力演奏では消し飛んでまう複雑で微細な表情が明瞭に聴き取れる。この複雑で多彩な音の現象を追跡するかのようなショスタコはインバル以外では絶対に聴けない。計算された「生温さ」は怠惰とは別物の真剣な戦略だということが良くわかる。細部の再現も空前の素晴らしさです。内容重視の人にとってインバルのショスタコは最高の演奏なのではと思うが。

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  • 4 people agree with this review
     2009/09/22

    通常、常識的な社会生活では、小さな声でヒソヒソ話をしたり、突然デカい声を出したり、大声で自己主張したり、感情を剥き出しにしたり、存在をアピールしすぎるような声の出し方をされると、これは聞く人の感情を乱し、人を不快にさせるものです。何故か音楽ではそのような演奏が市民権を得る。不可解だ。通常、ショスタコは音を叩きつけるように、威圧的、攻撃的に演奏されることが多い。私は受け付けない。しかし、インバルは決してそのような演奏をしない。いつでも一定の話し方をされると、言われた内容は良く伝わる話術が可能になるが、まさにそのような演奏。ショスタコでこのような演奏をするのはインバルだけだ。起伏の大きい演奏でここまでの複雑な内容は決して表現できない。非凡なりインバル。

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  • 4 people agree with this review
     2009/09/21

    技術を超えた魂の演奏を上げなさいといわれた場合、絶対に落すことが出来ない稀代の名演。技術的に弾けている演奏は他にもあるが、その技術の揺らぎすら凄まじい気迫に満ちた表現の化身として立ち登る壮絶さ、ここまでバルトークを血肉として表現している録音はあるのかなあ。まさに絶唱。バルトークに関して、メニューインは20世紀最高の理解者であり演奏者と言われても何の異論も無い。指揮者がまた超絶的に巧い。バルトークのリズムを大切に考えている人々も納得の見事さ。名演の域を超えた絶対的な1枚という項目が、もしもあるとするなら、間違いなくその代表的な1枚に選ばれるのでは?

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  • 4 people agree with this review
     2009/09/14

    フルヴェンは最後の「解決」に至る音のドラマが見事。当然「解決」命のベートーヴェンや、疑問を呈しつつ「解決」に到達するブラームスなどは凄い。まるで約束されたかのように。でもチャイコでは事情が異なる。特に6番。チャイコは「解決」を信じてない。しかしチャイコはマーラーのように失敗する「解決」を書けなかった。劇性の視点からはフルヴェンとチャイコは合うような気がするが、「解決」に関する考え方は水と油。この6番の解決を「偽装」ととるか、「刹那的な嘘」と捕らえるかでこの演奏の評価は分かれると思う。6番は近代的な自我か、近代的な美意識を持つ指揮者が得意とするのは決して偶然ではないのだろう。ところで5番は彼の「最悪」の演奏と言われてるけど、これが「最悪」ならば、その他大勢の指揮者の演奏はどうなるのよ。もしかして論外?

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  • 8 people agree with this review
     2009/09/14

    質の良いモノラルに納得。ブラームスの全集も聴かせてもらったけど、音いいじゃないか。例えば5番はパリ座のLIVEでフルヴェンの録音でも最も音の良いものの1つ。この音が悪いというのは、別のセットと間違えているか、聴いてないか、荒らしか、と疑われても仕方がない。ただし、音質改善は伺えるけど2番はヒドイです(元々だから仕方ないけど)。近年放送局から発掘されてるオリジナルテープからのリマスタリング、特に1952年以降のフルヴェンのLIVE録音は、初期のステレオと同等もしくはそれ以上の音質で聴くことができる。THARAあたりが全集を出してくれば状況は変わると思うが、現行では最高の買い物に間違いない。他のメーカーもいろいろなコンセプトで全集を作ってくれれば面白い。(擬似ステレオ盤はやめて欲しいけど(笑))演奏の内容は文句無く最高。この濃厚で馥郁たる幻想的な演奏は、他の指揮者では絶対に味わえない。

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  • 8 people agree with this review
     2009/08/25

    この演奏のシュタインは最高だ。しかしそれ以上にオケが凄い。シュタインの集中力は途中で緩みそうになるときがあるけど、そこをオケが見事にサポートする(というかサポートのレベルを超えている)。分厚いゴツゴツとした圧倒的で仰天モノの音圧と音色。ブラームス的な音世界が好きな人には悶絶モノの1枚に間違いない。近年の、現代的とか、スマートとかの軟弱ブラームスなぞ完璧粉砕間違いなし!この録音こそ20世紀最高のブラームス演奏という人がいても不思議では無いと思う。この全集の最高の演奏は4番に間違いない。(以上KOCH盤を聴いての感想です)

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