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Review List of フォアグラ 

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  • 3 people agree with this review
     2017/12/21

    「トロイアの人々」はとにかく長い。同じ長くてもワーグナーならば各幕に大きなクライマックスがあり興味を持続できるが、ベルリオーズはそうではない。コリン・デイヴィスはそこを力業で乗り切るが、このオペラのもう一つの側面である優美、叙情性がやや犠牲になる。デュトワはその逆だ。ジョン・ネルソンは硬軟のバランスが絶妙であり、躍動感に溢れながらも叙情性も置き去りにしない。知る人とぞ知るといった印象だったこの実力者の代表盤がやっと出たことを喜びたい。声楽陣ではディドナートが傑出しており、過去最高のディドンだと思う。合唱が強力なのもいい。今年の4月の演奏会形式上演ライヴが半年でリリースなのも少々驚いたが、歌詞対訳付きでカラー写真も満載、さらにライヴ映像(ハイライト)も付いてのこの価格は絶対お得だ。

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  • 8 people agree with this review
     2017/12/13

    メモリーズのブルックナー・セットから1年もたたずにSWRの正規盤が登場。半分ダブってしまうが仕方ない。正規テープの使用もありヘンスラーの復刻は優秀。どれも大変聴きやすい上質のモノラル録音だ。メモリーズで音がよくなかった2番はヘンスラー盤で見違えるほど魅力的になった。新登場では9番がよい。第3楽章クライマックスでの音のぶった切りとその後の虚無は衝撃ですらある。5番のスケールの大きな構築も印象的。モノラルでも必要な音は皆聴こえる点からも、改めてロスバウトの耳のよさと南西ドイツ放送交響楽団の高性能に感心させられる。現代のブルックナーと比較しても少しも聴き劣りしない優れたものだ。

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  • 1 people agree with this review
     2017/12/08

    ブルックナーが大好評のシューリヒトだが、このセットの本当の価値はベートーヴェンだと思う。もう1番から最高だ。瑞々しい感性と勢い、即興的な音楽づくりはこれが老人の指揮とはとても思えない。「田園」のみ録音が冴えないこともありもうひとつだが、他は録音も聴きやすく屈指の名演ぞろい。7番ではシュトゥットガルト放送の演奏とは全く違うバランスでオケを鳴らすなどシューリヒトの真骨頂。ステレオ収録された「合唱」はこの曲のベストを争うものだ。パリ音楽院管弦楽団がまた素晴らしいのだ。木管の多彩な魅力はもちろんだが、名匠を迎えての大企画に張り切っているのが音に出ている。アインザッツがずれるのはオケの能力というよりシューリヒトの即興的な指揮のせいだと思うが、そんなキズなど演奏の魅力が吹き飛ばしてしまう。カルショウの自伝にシューリヒトのエピソードが出てくるが、シューリヒトは老いぼれていてセッションの繋ぎで前部分のテンポで振れず呆れた、と酷いことを書かれている。そのデッカを離れた後にEMIで残したこの金字塔。プロデューサーはカルショウの前任者元デッカのヴィクター・オロフである。

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     2017/11/30

    ネルソンスの録音はゲヴァントハウスも加わり結構増えてきたが、今のところベスト演奏はこのショスタコーヴィチ第10番だ。この曲作曲のころにはショスタコーヴィチも粛清の恐怖から解放されており、8番のようなギリギリに差し迫った曲想ではなく、練達の技法にものを言わせて深刻ながらもサービス精神もきかせた面白い曲に仕上がっている。そこがネルソンスに合っているようだ。実際8番はこれほどの出来ではなかったと思うが。それともうひとつ。小澤、レヴァイン時代に低迷してしまったボストン交響楽団が見違えるほどシェイプアップした演奏を聴かせてくれるのもネルソンスの功績といってよかろう。なお、内カバーに6番、7番の予告ジャケットが載っているのだがいつになったら出るのか。6番はボストン響ボックスに収められたため出すのをやめたってことじゃないだろうな。

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  • 9 people agree with this review
     2017/11/06

    驚愕の演奏である。クルレンツィスは「悲愴」のスコアからテンポ、アクセント、アンサンブル・バランス等を徹底的に見直し、再構成している。あらゆる場面から聴きなれないパッセージが飛び出す。通俗名曲といってもいい「悲愴」にこれほどの可能性がまだ残っていたのかと誰もが驚くのではないか。私自身いったい何枚の「悲愴」のCDを持っているのかわからないが、クルレンツィスの演奏はそのどれとも全く似ていないと断言できる。しかも、音楽はとてつもなくエモーショナルなのだ。第1楽章展開部の入りは衝撃を受けるし、終楽章末尾ののたうち回るような表現も強烈だ。大した才能だというしかない。クルレンツィスのチャイコフスキーといえばコパチンスカヤの単にロマ風に悪乗りしただけのコンチェルトがあったが(あれを褒めた評論家は10年後も評価を変えずにいられるのか)、まさに雲泥の差である。ダイナミックレンジも広大だが、それを納め切った録音も絶賛したい。待った甲斐があった。

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  • 2 people agree with this review
     2017/10/29

    才気煥発、変幻自在なカルロス・クライバーの魅力が満喫できるこの録音にどうしても満点をつけられないのは残念だ。それはマルシャリンを歌うクレア・ワトソンの不出来にある。ワトソンは既に声を失っており、それを声色と大げさな表現でカバーしようとするのだが、そこに気品はなく、マルシャリンというよりアンニーナに聴こえてしまう。周りが声が絶好調の人ばかりだし、オックスのリッダーブッシュがことさら道化を演じないのでワトソン一人悪目立ちすることになる。許氏の指摘するとおりで、それでもクライバーが聴ければよい人ならいいが、マルシャリンが駄目な「ばらの騎士」は私にはありえないし、総合点で父エーリヒ、クナッパーツブッシュ、ベーム、ショルティ(評判はよくないが、いいんですよ)に及ぶものではないと思う。これよりはるかに優れたカルロスの実演を聴けたことがどれほどの幸運だったかしみじみ思い起こされる。

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     2017/10/28

    シューベルト3大歌曲集では「白鳥の歌」が一番好きだ。連作歌曲ではないし、そもそもシューベルトが編んだものでもなく、選曲、曲順に異論があるのも承知している。それでも、個々の曲の密度が圧倒的であり、心を揺さぶられる。曲順も出版のままがいい。ハイネで打ちのめされて終わるより、「鳩の便り」で希望が見えて終わってほしい。即興曲と同じく奇跡的な曲順だと思うのだ。一時は「冬の旅」ばかり出ていたが、ここにきて「白鳥の歌」の新譜が続くのは嬉しい。その第1弾としてゲンツを聴いたが、うーん。ソットヴォーチェで歌うというより語る。感情は吐露せず抑制に徹している。ダルベルトも同じ。私はシューベルトはプライのようにまず歌ってほしいし、感情が爆発する部分があってしかるべきと思うのだが。再度聴くと、抑制が曲のコアに迫っている部分もあることに気づき、一筋縄ではいかない表現ではあるが。

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     2017/10/23

    なんといういい音楽、いい演奏だろう。個人的には「アメリカ」よりずっといい曲だと思っているクインテットは、これが今後の代表盤になるだろう。さらに14番の溢れんばかりの歌心、親密なハーモニーの居心地よさ。この曲の魅力に目覚める人も多かろう。タカーチはデッカ時代も素晴らしかったが、ハイペリオンに移りメンバーチェンジをしてもその芸術性が少しも損なわれず、ベテラン・カルテットにありがちなアンサンブルの粗さを微塵もみせないのには最大級の賛辞を贈りたい。

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     2017/10/21

    レイ・コニフのCDはソニーのコレクタブルで数枚持っているが、このイギリスのELというレーベルの復刻は本家ソニーをはるかに凌いでいる。コレクタブルではハイ上がりでうるさい音なのが、ここでは重心が低くなり落ち着いた音で分離もよく、とても1958年録音とは思えない。ジャケット写真がコロンビアが当時原盤提供していたフィリップスのものなので、復刻にフィリップス盤を使ったのかもしれない。2枚分の収録だが、オリジナルが2枚組だそうで、レイ・コニフの自信作だったのだろう。後年のコーラスが前面に出たものよりバックでスキャットしているこの時代のもののほうが楽しめる。

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     2017/10/02

    スタンフォードは交響曲で知られるようになり、その後歌曲、宗教音楽ときて最近室内楽も出るようになってきた。それでも弦楽四重奏曲は珍しい。実際これは世界初録音のようだし、8番は作曲されて50年たった1968年に初演された忘れられた作品のようだ。いずれも20世紀に入ってからの曲であり、時代遅れと判断されてきたのだろう。しかし聴けば、こんないい曲がどうして知られなかったんだろうと思うこと確実。スタンフォードはアイルランドのドヴォルザークと呼びたいような、メロディに溢れしかも熟練の作曲技法を持った人であり、ほんとに外れがないのだ。イギリスの(ヴィオラは日本人に交代している)ダンテ・カルテットも好演。インターミッションにヨアヒムのヴァイオリンとピアノの小品が置かれているのもしゃれている。

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     2017/10/01

    サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲全集はありそうで実際手に入るものは非常に少ない。たしかにサン=サーンスは大作曲家ではないが職人としての腕は確かで作品に外れはない。1番も2番ももっと聴かれてよい曲だ。EMI唯一の全集がヘルシャーというのも意外だが、演奏は大変結構なものだ。来日時にナマも聴いたが、実力のわりに不遇な印象だったこのヴァイオリニストの代表盤といっていいだろう。デルヴォーの指揮も老練で見事だ。唯一の欠点は録音。EMIのアビーロード・スタジオ録音に名録音なし、はよく知られたことだが、当時まだあったキングズウェイで録音してほしかった。

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  • 5 people agree with this review
     2017/08/31

    現時点でマゼール最後の録音。誰もレビューを書いていないのが不思議だが、これは大変な名演奏だ。聴き終って、凄い演奏を聴いたという感想を持つことは近年めったにないことであり、実際これはカラヤン/ベルリン・フィル以来のものではなかろうか。演奏を貫くのは静謐な美しさだ。もちろん「ディエス・イレ」は凄まじい迫力だが(ここでのグランカッサの衝撃は過去最高だし、それを捕えた録音も素晴らしい)、それ以上に随所に深く美しい祈りの瞬間が現れる。同方向のアーノンクールなどに比べ、音楽の成熟度がまるで違う。フィルハーモニアとのマーラーを聴いて、マゼールは新しい次元に入ったとレビューに書いたが、このヴェルディを聴いてそれは確信に変わった。そしてマゼールの境地を聴ける機会は極めて短かった。ミュンヘン・フィルも自主レーベルを開始したが、ゲルギエフなんかはいらないからマゼール晩年の録音を出してもらいたい。

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  • 3 people agree with this review
     2017/08/24

    ロンドンのオケというとレッグ時代のフィルハーモニアが最高だったといわれることが多いようだ。しかし私はこれが全く納得できない。その原因がオーボエ奏者(サトクリフだったかな)のニュアンスの乏しい演奏にある。当時のフィルハーモニアの木管陣はレッグが最高のメンバーを集めたと言われ、その評価が踏襲されているが、これはレッグやEMIの宣伝文句に乗っただけだと思うのだが、私のセンスがずれているのかな。さて、ヨッフムのブラームスである。ヨッフムについては言い尽くされているので敢えて触れない。それより、ここでのLPOの木管陣、特にオーボエの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。ブラームスの黄昏感をこれほど見事に表した演奏はないといっていい。特に3番の第2楽章。同じロンドンの奏者で(時代は違うが)これほどまでに違うとは。このオーボエで不滅のブラームスになっていると私は思う。

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     2017/08/14

    ヒンデミットの弦楽四重奏曲全集は彼の作曲技法の変遷がよくわかるという点でも興味深いものだ。モロに後期ロマン派の1番、2番から表現主義の難曲3番を経て我々が良く知るヒンデミットの新古典主義的作風にいたる4番までたった6年。ヒンデミットに限らずこの時代の音楽状況の激変が伝わる。評価の低いアメリカ時代の6番、7番も十分面白い。録音は1995〜97年で、ジュリアードのロバート・マン時代の最後期にあたる。ときにマン75〜77歳。心配された技巧の衰えは殆ど感じないのは立派だが、心なしかアンサンブルは粗めに感じる。しかしそれがヒンデミットの音楽をドライに傾きすぎなくしており、聴きごたえのある演奏になっている。

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     2017/07/26

    プログラムは作品12-3から始まるが、この曲のこんないい演奏を聴いたことはないと思う。特にギレリスが素晴らしく陶酔しているうちに終わってしまう。「春」でもギレリスは絶好調。コーガンとの丁々発止の受け答えが見事だ。「クロイツェル」は鬼気迫る演奏で圧倒される。この二人にロストロポーヴィチを加えたトリオの録音はかなりあるが、コーガンとギレリスのデュオリサイタルの音源はこの1964年3月のものしかないらしく大変貴重だ。録音は鮮明だがハイ上がりでキンキンするのが残念。

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