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橋本徹の『チルアウト・メロウ・ビーツ』対談 【4】

Thursday, July 21st 2011

interview

橋本徹の『チルアウト・メロウ・ビーツ』対談

稲葉:そして、ファラオ・サンダースの「Moon Child」へつながっていきますね。

橋本:この曲はみんな好きだろうね。ずっとこのベース音に揺られているような気分になるよね。

山本:クラブ・ジャズのファラオを通過してきた人も、いまはこのファラオの音を聴きたい気分だと思うんですよ。

橋本:激しい時代を超えてたどり着いた平穏だよね。ピアノも歌声も、たおやかで慈愛に満ちていて。

吉本:ピアノはウィリアム・ヘンダーソンだけど、テレサ・レーベルのジョン・ヒックスやジョー・ボナーの美しいピアノを思い出させる響きだよね。

山本:ビルド・アン・アークのカルロス・ニーニョ周辺のサウンドにもつながる、穏やかなスピリチュアリティーっていう雰囲気ですよね。

吉本:次のパスカル・シェファーはいいインタールードの役割を果たしているね。「bar buenos aires」の選曲でも、ポスト・クラシカルやフォークトロニカなどの、アコースティックな楽器の自然な音とほどよいエレクトロニクスが融合したサウンドはほんとうにアルゼンチン音楽との相性がいいんだ。

山本:インタールードがあると、アルバム全体が一枚の物語になる感じがありますよね。

吉本:ジェフテ・ギオムの「The Prayer」のイントロのアコースティック・ギターのチューニングが狂っているような、ふわふわっとした揺らぎもなんともいえない心地よさだね。

稲葉:このチューニングが「おやっ」と思う感じが、むしろスピリチュアルな感覚を強調するかのように仕上がっています。

吉本:人間って調律や音階にもあるように、耳のいい調律師が自然に調律すると機械的な調律とは異なってきたりして、数学的に割り切れたものよりも“ゆらぎ”の感覚が心地いいんだと思うよ。

山本:この曲も、雨音や雷というフィールド・レコーディングの要素を採り入れていますが、自然の音というのも数字では割り切れないですからね。この曲は“Acroostic Version”ですね。

橋本:ジョー・クラウゼルはハウスの12インチのカップリングで、アコースティックなヴァージョンを収めているのがどれも素晴らしいんだよね。彼の曲には、どこか魂を震わせるという感じがかならずあるし。

山本:アフリカの女の人たちが民族衣装を着て踊っているというイメージがあるんですよ。

橋本:「神からの授かりもの」と彼は言っているけど、音楽が“神聖なもの”という感覚が残っているよね。祭りのための音楽だったり、祈りのための音楽だったり。

Chill-Out Mellow Beats
〜Harmonie du soir
橋本徹(サバービア)監修の人気シリーズ「Mellow Beats」からスペシャル・イシュー。「夕べのしらべ」(Harmonie du soir = ドビュッシーの曲名)をテーマに、ドラマティックでロマンティックでスピリチュアルな心に迫る名曲が連なるチルアウト・メロウな一枚が登場!
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橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・グラン・クリュ」「アプレミディ・セレソン」店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは200枚を越える。NTTドコモ/au/ソフトバンクで携帯サイト「Apres-midi Mobile」、USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

http://www.apres-midi.biz

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