『トルソ』 渡辺真起子 インタビュー 【2】
Wednesday, January 26th 2011

『トルソ』のDVDがいよいよ解禁!公開前に主演の渡辺真起子さんにお話を伺った。監督はドキュメンタリーを数多く撮影し、近年は是枝裕和監督作品のほぼを撮影されている山崎裕氏で本作は初の監督作品となる。是枝監督の目としてスクリーンいっぱいに映し出される、あの生理的な肌目がさらに広がっていて、そこに少しの所作も美しい渡辺氏がいた。白ワインを飲みながら台所に立ち、ラタトゥイユを作っている途中、不意にバジルをベランダに取りに行ったりする細かい仕草やガラス皿の底に小豆をよそい入れ、氷あずきを作り食べるシーンなど・・・是枝監督作品でも印象的な食卓のシーンがあるが、それが本作では女のムードとともに堪能出来たりする。そして、人に伝えずとも孤独をぎうゅっと暖かい場所で抱き締めながら、ラストにはある決意を持って生きていくというストーリーは、規則的で無機質に繰り返されていくような日常が愛おしく感じ、“女性讃歌”と言ってしまえるほどに、圧倒的に女に優しい。INTERVIEW and TEXT and PHOTO: 長澤玲美 ヘアメイク: 貴島貴也
日常の中にある静けさと冷たさと生きていくための情熱みたいなものを少しでも共有してもらえたら、また、不器用な関わりの中でもじもじとしたような時間をもじもじしながらも前へ進んでいこうと感じて頂けたらいいなって思います。
- --- 山崎さんに撮られることで『トルソ』前後で渡辺さんの中の意識に変化もありましたか?
渡辺 大きく変わったと思います。すごく楽になったというか。今までとは違う役と自分との距離をとれるようになったと思いますし、とても感謝しています。機会がなくて、まだ1度も山崎監督に伝えてないんですけど(笑)。ヒロコがこの映画の最後で少し先に進むように自分も少し先に進んだなあっていうのが半年くらい経ってからありました。山崎さんの代理でイタリアのトリノ映画祭に行ってきたんですが、香港国際映画祭での上映から少し時間が経っていたので少し冷静に観ることもできて、そこで新たなお客さん方と監督のメッセージ映像を観たり、上映の様子を観ていて、「ああ、わたしはやっぱり、すごく大きい経験をしたなあ」って改めて思いました。今でも予告編を観るだけで撮影のことを思い出して、うーってなっちゃったりするんですけどね(笑)。
- --- 中村優子さんと共演されたのは今回初めてですよね?わたしは中村さんも好きな女優さんの1人なんですが、渡辺さんと同じような部分を求められることが多い気もしていまして。そんなお2人が共演されていたのが個人的にもすごくうれしかったです。
渡辺 似てますかね?わたしもこの共演はちょっとうれしすぎちゃって(笑)。
- --- 出会いのきっかけは河P直美監督ですか?
渡辺 河P組では共演していないのですが、河P監督つながりですね。今度はもうちょっと長い物語でご一緒させて頂く機会があることを願っています。姉妹なのか恋敵なのかただの同じ街の住人なのか・・・なんてことを妄想しています。
- --- 共演というところでは、山田あかね監督の『すべては海になる』では同じシーンの共演はなかったと思いますが、園子温監督の『愛のむきだし』以降、本作でまた安藤サクラさんと、今度は父親違いの姉妹として共演されましたね。
渡辺 彼女はとても知的な方で、歳はだいぶ違うんですけどお話しててもおもしろくて、ああやってお芝居で一緒になってもやっぱりおもしろかったです。ぜひまたご一緒出来る機会があったらいいのになあなんて思ってます。
- --- 渡辺さんは監督の有名無名に関わらず、舞台も含めて様々な作品に出演されていますが、何かの基準があって選ばれているんですか?
渡辺 あんまり自分からは選んでないんですよ。お声がけ頂いて、お断りするっていうのはそんなに多くないですね。そんなに選べる立場ではありませんし。
- --- 8月4日(水)〜13日(金)に下北沢ザ・スズナリで、月影番外地 その2「ジェットの窓から手を振るわ」(木野花演出)の舞台が控えてますよね?
渡辺 そうなんですよ!どうなっちゃうんでしょうね・・・。
- --- 渡辺さんと高田聖子さんと坂井真紀さんと宍戸美和公さんの4人劇のような作品なんですよね?
渡辺 そうですね。でも、4人しか出てこないって怖いでしょ?(笑)。
- --- それも女性だけというのがまた(笑)。
渡辺 えらい夏になってますよ、きっと。
- --- 劇団☆新感線さんのお芝居はよく拝見されているんですよね?
渡辺 観る側としては拝見してますよ。劇団☆新感線のエンタテインメント性にすごく憧れます。
- --- お芝居の方も今後も精力的に?
渡辺 ご縁を感じたところでたっぷりやりたいなっていうのがあって、精力的なつもりではあるんですけど(笑)、そんなにきっと本数は多くならないと思います。今回みたいなお話を頂いた時はせっかく生なので、生の中だからこそたのしめること、お客さんと共有出来ることをもう少しわたしなりに体現できるようになりたいと思ってます。
- --- 今後のご予定もぜひお聞かせ下さい。
渡辺 映画もこれから公開される作品がいくつかあります。『あの庭の扉をあけたとき』(蜂須賀健太郎監督 / 2010年公開予定)、『名前のない女たち』(佐藤寿保監督 / 2010年9月公開)、『ヘヴンズストーリー』(瀬々敬久監督 / 現在公開中!)、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(東陽一監督 / 現在公開中!)と続きます。
- --- 最後に『トルソ』が7月10日(土)から公開になりますので一言頂けますでしょうか。
渡辺 世代を問わず、日々の日常の中にある静けさと冷たさと生きていくための情熱みたいなものを少しでも共有してもらえたらと思います。不器用な関わりの中でもじもじとしたような時間をもじもじしながらも前へ進んでいこうと感じて頂けたらいいなって思います。
- --- すごくおこがましいんですが、『トルソ』は渡辺さんの代表作になるようなそんな気がしていまして・・・今までで一番、渡辺さんがきれいでした。
渡辺 ああ!ありがとうございます。それはぜひ、山崎さんに言って下さい!(笑)。でもうれしいです。そんなこと言われるとうれしくて泣いちゃうじゃないですか(笑)。
- --- 今日はお会い出来ていろいろとお話が出来て本当にうれしかったです。ありがとうございました。
渡辺 これからの支えになります。ありがとうございました。
※中村優子 1975年福井県生まれ。『金融腐蝕列島 呪縛』(99年/原田眞人監督)で映画デビュー。『火垂』(01/河P直美監督)でブエノスアイレス映画祭最優秀主演女優賞を受賞。その後、『軒下のならず者みたいに』(03/青山真治監督)、『血と骨』(04/崔洋一監督)、『インザプール』(05/三木聡監督)、『ストロベリーショートケイクス』(06/矢崎仁司監督)、『魂萌え!』(07/阪本順治監督)、『クワイエットルームにようこそ』(07/松尾スズキ監督)、『真夏の夜の夢』(09/中江裕司監督)、『クヒオ大佐』(09/吉田大八監督)など数々の作品に出演、他を圧倒する存在感を示している。2010年は塚本晋也監督待望の最新作!『鉄男 THE BULLET MAN』に出演している。
|
※安藤サクラ 1986年生まれ。東京都出身。07年、父、奥田瑛二監督作品『風の外側』のヒロイン役で映画デビュー。本格的に女優活動を開始後、08年『俺たちに明日はないッス』(タナダユキ監督)、09年『色即ぜねれいしょん』(田口トモロヲ監督)、『罪とか罰とか』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)、10年『スイートリトルライズ』(矢崎仁司監督)、『すべては海になる』(山田あかね監督)など立て続けに話題作に出演。また09年『愛のむきだし』(ベルリン国際映画祭批評家連盟賞受賞/園子温監督)では、高崎映画祭最優秀新人賞、ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。現在公開中の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(大森立嗣監督)ではアジアン・フィルム・アワード助演女優賞にノミネートされ世界的にも評価が高まっている。5月には舞台『裏切りの街』(三浦大輔演出)に出演。そして、『サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』(入江悠監督)も現在公開中!
※高田聖子 劇団☆新感線の看板女優でもあり、95年に立ちあげた自身のユニット『月影十番勝負』に引き続き、『月影番外地』の座長として、意欲的に取り組まれている。
|
『トルソ』 2011年2月8日、DVDリリース決定!
監督・撮影・脚本:山崎裕
脚本:佐藤有記
渡辺真起子、安藤サクラ、ARATA、蒼井そら、石橋蓮司、山口美也子
製作:いちまるよん / トランスフォーマー
© 2009 ”Torso” Film Partners
『トルソ』 公開記念!渡辺真起子 直筆サイン入りプレスシートプレゼント!
HMV ONLINEでは、渡辺真起子 直筆サイン入りプレスシートを3名様にプレゼント致します。
※応募締切 2010年8月8日(日)
※応募の受付は、終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました。
※1. 応募には会員登録が必要になります。
(新規会員登録は⇒コチラ)
※2. 会員登録のお済みの方は、詳細と応募フォームへ
-
-

-

- トルソ
- 2011年02月04日
-
-
-

-

- 名前のない女たち
- 2011年02月04日
-
-
-

-

- オボエテイル
- 2011年01月21日
-
-
-

-

- ロストガール
- 2011年01月14日
-
-
-

-

- すべては海になる
- 2010年06月16日
-
-
-

-

- ワカラナイ
- 2010年05月21日
-
-
-

-

- ねこのひげ
- 2009年12月02日
-
-
-

-

- 愛のむきだし
- 2009年07月24日
-
-
-

-

- 愛の予感
- 2008年06月27日
-
-
-

-

- 殯の森
- 2008年04月25日
-
-
-

-

- 14歳
- 2008年03月29日
-
-
-

-

- みづうみ
- 2008年02月22日
-
-
-
![16 [jyu-roku]](https://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/26/5/7/958.jpg)
-

- 16 [jyu-roku]
- 2008年01月25日
-
-
-

-

- 棚の隅
- 2007年09月07日
-
-
-

-

- 無花果の顔
- 2007年08月29日
-
-
-

-

- 僕は妹に恋をする
- 2007年08月29日
-
-
-

-

- またの日の知華
- 2007年08月24日
-
-
-

-

- Colors
- 2007年08月24日
-
-
-

-

- 魂萌え!
- 2007年07月27日
-
-
-

-

- 悲しき天使
- 2007年04月27日
-
-
-

-

- イヌゴエ
- 2006年04月21日
-
-
-

-

- YUMENO
- 2005年07月02日
-
-
-

-

- ゼブラーマン
- 2010年04月09日
-
-
-

-

- Perfect Blue 夢なら醒めて
- 2003年04月25日
-
-
-

-

- Tampen 短編
- 2002年12月21日
-
-
-

-

- 美脚迷路
- 2008年09月25日
-
-
-

-

- XX ダブルエックス 美しき獲物
- 2010年06月21日
-
-
-

-

- GONIN
- 2007年03月28日
-

渡辺真起子 (わたなべまきこ)
東京都出身。1986年よりモデルとして活動をスタート。88年『バカヤロー!私、怒ってます』(中島哲也監督)にて映画デビュー。99年『M/OTHER』(諏訪敦彦監督)で高崎映画祭主演女優賞受賞。01年『贅沢な骨』(行定勲監督)、05年『カナリア』(塩田明彦監督)、06年『無花果の顔』(桃井かおり監督)、07年『14歳』(廣末哲万監督)、『殯の森』(カンヌ映画祭グランプリ審査員特別賞受賞/河P直美監督)などに出演。同年、ロカルノ映画祭グランプリ受賞作『愛の予感』(小林政広監督)では主演を務めた。近作には09年『愛のむきだし』(ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞/園子温監督)、『ワカラナイ』(ロカルノ国際映画祭コンペティション出品/小林政広監督)など世界的にも評価の高い作品に多数出演。
そして、是枝裕和監督作品の多くに参加する撮影監督、山崎裕初監督作品『TORSO』にて主演し、7月10日(土)より公開となる。同作品は2009年、香港国際映画祭インディーパワー部門コンペティション正式参加、トリノ国際映画祭、フューチャー・フィルムコンペティション正式参加作品でもある。
今後は、蜂須賀健太郎監督『あの庭の扉をあけたとき』(2010年公開予定)、佐藤寿保監督『名前のない女たち』(2010年9月公開)、瀬々敬久監督『ヘヴンズストーリー』(現在公開中!)、東陽一監督 『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(現在公開中!)と公開が続く。
また、舞台でも活躍しており、2010年8月4日(水)〜13日(金) 月影番外地 その2「ジェットの窓から手を振るわ」(木野花演出/下北沢ザ・スズナリ)の出演なども行った。
- 関連サイト(内部&外部サイト)
