これは「すばらしい」CDだ。しかし、ここで歌われているレパートリーで「最高」の歌唱を聴かせてくれたのは、グルベローヴァだ！

全ての時間を止めて、太陽も月も星も、人も車も止まった、悩みも忙しさも全部止まって、できれば自分の呼吸も、鼓動さえも止めて、しんと静まりかえった全くの静寂の中で全てを真っ新にして聴きたい、そんな繊細な美しさ。 真っ暗闇の中の一条の光のようなこの歌声は、母親のお腹の中の羊水の中にいるようなあたたかい安らぎと優しさに包まれる。

シルクの光沢とオーガンジーの繊細さ、羽毛の軽やかさ、 出会ったことのない質感が、 上質の揺らぎと安らぎを提供してくれる。 癒されると同時に、アルバムを通して聴き終えたとき、エナルギーが満ちてくるような感さえある。 「私を泣かせてください」、ロイドウェバー、レクイエムの「ピエ・イエズ」は秀逸。

曲　伴奏とも工夫に満ちた稀有な癒しのアルバム。 こういう凛としているがやさしい声はあまりない。癒しにははぴったり。 シューベルトのアベマリアのアレンジは秀逸だし　このアルバムの白眉であるラターとウェッバーを聞くだけでも価値がある。気持ちいい涙が出せた。

クラッシックには詳しくないけど、リラクゼーションの目的でココロに響くクラッシックミュージックを耳にするとついＣＤを購入してしまうのですが、あるコンサートで松尾香世子さんの声に出会ってしまい、このＣＤを予約購入しました。「上質の癒しをあなたに…」というタイトルどおり松尾さんの声には不思議な魅力が満ち満ちていて、心の底から癒されました。 一度は耳にした曲が散りばめられていて、オルガンとバイオリンという伴奏でシンプルだけど奥行きの感じられる作品だったと思います。予約購入した価値がありました！

「カラスはリハーサルでも力いっぱい歌った」 と共演者や関わった人々は証言していますが、それを証明する録音です。例えば、『アンナボレーナ』の狂乱の場。力いっぱいフィナーレを歌うだけでなく、指揮者の指示に耳を傾け、不慣れなオーケストラを導きます。その様子は、通説で言われているような我侭なプリマドンナではなく、謙虚でプロフェッショナルな芸術家そのものです。

世界の歌姫キリ・テ・カナワが、プロデュース＆案内役を務める『私のオペラの世界』。 残念ながら、日本語の字幕はありません(もし字幕付なら、『最高』評価!!)が、そんなことには関係なく、十分楽しめる１枚です。記載されているオペラの全てにキリが？こんな役もやったっけ？と、期待すると裏切られますが、彼女がベスト、と思う公演を、彼女以外の出演でも、セレクトしているところがミソ。しかし、いずれも天下の名演であることには疑いの余地はありません。 キリが案内するコヴェント・ガーデンのバック・ステージも素敵ですよ〜。

シノーポリのトロヴァローレで唯一良いなと思っていたのが、ヴァラディ。ドイツ語圏の人というイメージが強すぎてチョット損してますね。ファンスベンダーと並んで、イタリア物も色々と聞きたい人です。後はジャコミーニが聞けるのが嬉しい！！調子の波が激しい人で特に９０年代前半は評価の差が激しかったですが、運命の力やオテロは評判が良かったものなので楽しみです。

確かに箱も紙ケースも体裁もよろしくなく扱いも厄介だ。けれど、ほとんど投げ売りと言っていいような価格で、カラスの正規録音を手許に置けるのだから私は文句は言わない。目次が必要なら、ケースが不満なら自分で作れば事足りる。それくらいの手間を厭わないほど、このセットは貴重な録音の集大成だと思う。購入以来、不世出の歌姫が夜毎、自室で歌ってくれる喜びは形容のしようがないほどだ。

初心者なので音以外について。箱は筒から引き出すタイプでうちのも引きにくい。CDケースは情報少なく、何が何曲目か（ケースだけでは）わからない。ブックレットは曲名の羅列で、目次がなく頁がすぐひらけない。CD-ROMは要するに歌詞の記録（PDF）。CDは、すべて調べてはいないが、幕中にCDを換えないようなっているよう。故に一枚4、50分のCDもある。「狂乱の場」とかでもそう。…些細なことを書きましたが（この値段だし。曲名を知りたいならブックレット片手に聴けばいいんだし）ご参考までに。わたしはこれを買って後悔はありません。