CD 輸入盤

ウィリアム・スタインバーグ キャピトル・レコーディングス(20CD限定盤)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
0264862
組み枚数
:
20
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
限定盤,輸入盤

商品説明

スタインバーグ/キャピトル・レコーディングス
ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、ほか
CD20枚組限定盤


かつてコマンド・レーベルのブルックナー7番や、DGのホルスト『惑星』などといった快速演奏で知られた名指揮者、ウィリアム・スタインバーグは、1899年、ケルンの出身で、幼少から楽才を発揮、ピアノとヴァイオリン、作曲を学び、13歳のときに、ローマ詩人オヴィディウスの『変身譚』に基づく合唱と管弦楽のための作品を書き上げて指揮、初演するという天才で、ドイツでの名前はハンス・ヴィルヘルム・シュタインベルクでした。
 その後、ケルン音楽院でピアノをクララ・シューマンの弟子に、指揮をアーベントロートに師事したスタインバーグは優秀な成績で卒業、ケルン歌劇場のオーケストラに第2ヴァイオリン奏者として入団するのですが、ここで当時の首席指揮者、クレンペラーにボウイングの面で怒りを買い、解任されることになってしまいます。しかし、クレンペラーは解任したスタインバーグを今度は自分のアシスタントとして雇い、3年後の1924年には自身の代役としてアレヴィの『ジュイーヴ』で指揮者デビューを飾らせることとなります。
 その翌年、かつてクレンペラーがマーラーの推薦で指揮者を務めたプラハのドイツ歌劇場の音楽監督となり、1929年にはフランクフルト歌劇場の音楽監督に就任、シェーンベルクの『今日から明日まで』の初演などもおこなっています。しかし1933年には、ナチによってポストを追われ、その後、準備期間を経た1936年、フーベルマンと共にパレスチナ交響楽団設立という大任を果たしています。
 設立後ほどなくして、パレスチナ交響楽団を訪れたトスカーニーニは、スタインバーグの指揮を大いに気に入り、自身のアシスタントとしてアメリカに招き、1938年から1940年までのあいだ、NBC交響楽団を数多く指揮させることになります。以後、ニューヨーク・フィルやサンフランシスコ歌劇場での指揮を経て、1945年、バッファロー・フィルの音楽監督に就任、1952年には、ピッツバーグ交響楽団の音楽監督となり、1976年までの四半世紀に渡って良好な関係を築きあげ、途中、1958年から60年にかけてロンドン・フィル、1969年から72年にかけてはボストン交響楽団の首席指揮者も兼任するなどして、退任から2年後の1978年、ニューヨークで生涯を終えています。
 スタインバーグの芸風は、クレンペラーとトスカニーニに気に入られるだけあって(?)、無用な感情移入がなく、作品の情報を大切にしたもので、それゆえ古典派から近現代作品までレパートリーは幅広く、実演では多彩な演目を取り上げ、また、当時、勢いを伸ばしていた新興レーベルの米キャピトルと組んだ数多くのレコーディングでもその手腕を発揮していたものでした。

【EMI ICON BOX】
このセットに収められた音源は、1952年2月9日から1959年4月16日の7年間にセッション録音されたもので、時期としてはモノラル後期からステレオ初期にあたり、しかも当時のキャピトルは音の良さでも有名だったため、モノラルのものでも聴きやすい水準にあります。
 スタインバーグが、最も積極的にレコーディングをおこなったのはピッツバーグ響音楽監督の時代で、米キャピトル・レコードのプロデューサー、リチャード・C・ジョーンズと共におこなったレコーディング・セッションの数々は、今聴いても新鮮なものが多く、特に1956年の録音からはステレオということもあり、スタインバーグとオケの気合いも十分な快演を楽しむことができます。
 また、同じくリチャード・C・ジョーンズのプロデュースしたフィルハーモニア管と録音したR.シュトラウス(1957年6月)も併せて収録しており、ピッツバーグ響と異なる響きの傾向を楽しめるのもポイントとなっています。
 セットの装丁はクラムシェル・ボックス仕様で、各CDは紙製ケース入り、40ページ・ブックレットが付属します。(HMV)

【収録情報】
CD1
・ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』
 録音:1955年10月30日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 作品93
 録音:1954年4月15-16日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD2
・ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』
 録音:1954年4月15-16日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 作品68『田園』
 録音:1952年2月10日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD3
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73『皇帝』
 ルドルフ・フィルクシュニー(ピアノ)
 録音:1957年10月26日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92
 録音:1957年3月26日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD4
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1955年1月10日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1953年11月29日、1954年4月13日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD5
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
 録音:1956年4月17日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ハイドン:交響曲第94番ト長調 H.I/94『驚愕』
 録音:1958年10月20日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD6
・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 作品15
 ルドルフ・フィルクシュニー(ピアノ)
 録音:1956年10月14日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品53
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1957年4月17日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD7
・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1953年11月28日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1953年11月28日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1957年4月17日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ヴォルフ:イタリア風セレナード
 ゴドフリー・レイエフスキー(ヴィオラ)
 録音:1959年4月16日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD8
・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』
 録音:1956年4月19日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ヘンデル:『水上の音楽』組曲
 録音:1958年10月20日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD9
・エルガー:エニグマ変奏曲
 録音:1957年3月25日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
 録音:1957年4月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ヴォーン・ウィリアムズ:5つのチューダー朝の肖像
 ネル・ランキン、ロバート・B・アンダーソン
 メンデルスゾーン合唱団
 録音:1952年11月30日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD10
・グリンカ:カマリンスカヤ
 録音:1958年3月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ボロディン:イーゴリ公ーだったん人の踊り
 録音:1958年3月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・リムスキー=コルサコフ:『金鶏』組曲
 録音:1957年10月21日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・プロコフィエフ:『3つのオレンジへの恋』組曲
 録音:1957年10月21日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ムソルグスキー:禿山の一夜(編:リムスキー=コルサコフ)
 録音:1958年3月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・プロコフィエフ:交響曲第1番 作品25『古典的』
 録音:1953年11月30日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD11
・マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』
 録音:1953年2月10日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・ワーグナー:ジークフリート牧歌
 録音:1956年4月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・モーツァルト:セレナード ト長調 K.525『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
 録音:1958年10月28日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD12
・メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調 作品56『スコットランド』
 録音:1952年11月17日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調 作品90『イタリア』
 録音:1959年4月4日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・J.シュトラウス2世:加速度ワルツ 作品234
・J.シュトラウス2世:ピツィカート・ポルカ
・J.シュトラウス2世:無窮動 作品257
・J.シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214
 録音:1953年2月11日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD13
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
 録音:1957年10月29日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・シューベルト:交響曲第2番変ロ長調 D125
 録音:1952年2月9日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D759『未完成』
 録音:1952年2月9日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)(キャピトルへの初録音)

CD14
・ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 作品27
 録音:1954年1月25日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 作品48
 録音:1953年11月30日、1954年4月14日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD15
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
・ラヴェル:ラ・ヴァルス
・ラヴェル:ボレロ
 録音:1958年10月29日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ストラヴィンスキー:春の祭典
 録音:1953年12月1日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD16
・R.シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』
 録音:1954年1月26日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』作品24
 録音:1954年1月26日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』
・R.シュトラウス:『ばらの騎士』組曲(編:スタインバーグ)
 フィルハーモニア管弦楽団
 録音:1957年6月16-17日、キングズウェイ・ホール、ロンドン(ステレオ)

CD17
・チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74『悲愴』
 録音:1953年11月30日、1954年4月14日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

・チャイコフスキー:イタリア奇想曲 作品45
 録音:1959年4月4日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・チャイコフスキー:スラヴ行進曲 作品31
 録音:1958年3月11日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

CD18
・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35
 ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
 録音:1959年4月6日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』作品35
 録音:1955年1月11日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

CD19
・トッホ:交響曲第3番
 録音:1956年10月16日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ヒンデミット:交響曲『画家マティス』
 録音:1956年10月15日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ブロッホ:コンチェルト・グロッソ第1番(ピアノ・オブリガート付の弦楽オーケストラのための)
 ハリー・フランクリン(ピアノ)
 録音:1952年11月24日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)
 第1回ピッツバーグ国際現代音楽祭でのライヴ

CD20
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲
・ワーグナー:『パルシファル』第1幕への前奏曲
・ワーグナー:『パルシファル』第3幕より『聖金曜日の音楽』
 録音:1956年4月18日、シリア・モスク、ピッツバーグ(ステレオ)

・ワーグナー:『神々の黄昏』より「ジークフリートのラインへの旅」
・ワーグナー:『神々の黄昏』より「ジークフリートの葬送行進曲」
・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』より前奏曲と「愛の死」
 録音:1952年11月17日、シリア・モスク、ピッツバーグ(モノラル)

 ピッツバーグ交響楽団
 ウィリアム・スタインバーグ(指揮)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. I. Allegro con brio. - Symphony No. 3 In E Flat Major, 'Eroica' Op. 55
  • 02. II. Marcia funebre. Adagio assai. - Symphony No. 3 In E Flat Major, 'Eroica' Op. 55
  • 03. III. Scherzo. Allegro vivace. - Symphony No. 3 In E Flat Major, 'Eroica' Op. 55
  • 04. IV. Finale. Allegro molto. - Symphony No. 3 In E Flat Major, 'Eroica' Op. 55
  • 05. I. Allegro vivace e con brio. - Symphony No. 8 in F Op. 93
  • 06. II. Allegretto scherzando. - Symphony No. 8 in F Op. 93
  • 07. III. Tempo di menuetto. - Symphony No. 8 in F Op. 93
  • 08. IV. Allegro vivace. - Symphony No. 8 in F Op. 93

ディスク   2

  • 01. I. Allegro (1998 - Remaster). - Piano Concerto No. 5 in E flat 'Emperor' Op. 73 (1998 - Remaster)
  • 02. II. Adagio un poco mosso - (1998 - Remaster). - Piano Concerto No. 5 in E flat 'Emperor' Op. 73 (1998 - Remaster)
  • 03. III. Rondo (Allegro) (1998 - Remaster). - Piano Concerto No. 5 in E flat 'Emperor' Op. 73 (1998 - Remaster)
  • 04. I. Poco sostenuto - Vivace (1998 - Remaster). - Symphony No. 7 in A Op. 92 (1998 - Remaster)
  • 05. II. Allegretto (1998 - Remaster). - Symphony No. 7 in A Op. 92 (1998 - Remaster)
  • 06. III. Presto - Assai meno presto (1998 - Remaster). - Symphony No. 7 in A Op. 92 (1998 - Remaster)
  • 07. IV. Allegro con brio (1998 - Remaster). - Symphony No. 7 in A Op. 92 (1998 - Remaster)
  • 08. IV. Allegro (Storm and tempest) - (1997 - Remaster). - Symphony No. 6 in F 'Pastoral' Op. 68 (1997 - Remaster)
  • 09. V. Allegretto (Shepherds' Song. Happy and thankful feelings after the storm) (1997 - Remaster). - Symphony No. 6 in F 'Pastoral' Op. 68 (1997 - Remaster)

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総合評価

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曲によってバラツキはありますが,生き生き...

投稿日:2014/10/19 (日)

曲によってバラツキはありますが,生き生きとした聴き映えのする演奏が多いですね。驚きました。ここのレビューは全て最高評価ですが,実は「うそだろ」と思って聞き始めました。ベートーヴェンの交響曲など,正統的な演奏ですが際立った個性に不足するものもあります。ブルックナーの「ロマンティック」は明らかに迷演で,ブルックナー受容の進んだ現在,存在価値は疑わしい。しかし,ミルシテイン独奏のvn協奏曲はいずれも緊張感の高い名演であり(例えばベートーヴェンのvn協奏曲は演奏時間がおよそ39分),管弦楽作品にも際立ったものが勢揃いです。例えばR.シュトラウスの「ティルオイレンシュピーゲル」は,演奏時間14’05”と超快速テンポ(カラヤン/BPOは15’58”,快速で知られる自作自演でさえ14’27”)をとっています。R.シュトラウスの複雑な多声部が錯綜する部分を,通常は落ち着いたテンポで各声部を聞き分けられるように演奏するところ,スタインバーグは遠慮なく快速テンポで,しかもややアッチェレランド気味に走り抜け,フレーズが始まると一気に弾ききることの面白さを提示します。R.シュトラウスはおしなべて超快速テンポをとり,「死と変容」は21’00”(ケンペ盤22’22”,カラヤン/BPO盤27’00”,自作自演盤21’24”),「ドン・ファン」は14’58”(ケンペ盤16’04”,カラヤン/BPO盤18’03”,自作自演盤15’36”)と,スタインバーグは他のどれよりも速いテンポをとります。曲が進むにつれて容赦なくアップテンポし,その胸をすく爽快感は他に類を見ないユニークなものです。ムソルグスキーの「はげ山の一夜」も演奏時間9’53”(アンセルメは11’05”,快速のクリュイタンスでさえ10’06”)と,他の追随を許さぬ快足ぶり。しかも雑になることはなく,速いテンポの中に表現をギュッと凝縮させています。一糸乱れることのないオーケストラの力量と,快速テンポでも妥当な表現を行うスタインバーグの音楽性の高さには舌を巻きます。ただ,どの曲も快速テンポなのではなく,例えばチャイコフスキーの弦楽セレナーデは全曲29分強と,常識的なテンポ設定をしています。しかも,弛緩することなく密度の高い表現を盛り込み,叙情的なこの曲の甘美な魅力を余す所なく表現し得ています。スタインバーグは,その硬派な見た目とは裏腹に大変自在に曲作りをしており,アーティキュレーションを操りながら感銘深い表現を作り上げています。トッホの交響曲などの現代曲も明確な表現意欲が顕著で,初めて聞く者にもその魅力を享受するには十分です。というわけで,このボックスはスタインバーグ/ピッツバーグso.の魅力を味わうだけではなく,曲の美しさを味わうにも十分な一品です。ただ一点残念なのは音質です。周波数帯域は,幸いその録音年代にもかかわらず高音も低音もかなり伸びていますが,そのエネルギーバランスにかなりのバラツキがあります。例えば弦楽セレナーデは低音がブーストし,トッホの交響曲は逆に高音が過剰です。また,殆どのものがシリア・モスクで録音されており,残響が多めに入っています。メンデルスゾーンの交響曲などは残響の多さによって,演奏の実像を害していると言わざるを得ません。したがって,EQで音質調整しながらの鑑賞をお勧めします。できれば,R.シュトラウスなどは新たにリマスタリングしてSACDでの発売を期待したいところですが,クラシック離れが進んでいるこのご時世,無理な注文でしょうか。

広島のパヴァンヌ さん | 広島県 | 不明

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ボストン響との惑星しか聴いたことのなかっ...

投稿日:2013/07/11 (木)

ボストン響との惑星しか聴いたことのなかったスタインバーグ、レビューを拝読して、かつ激安なので購入しました。モノラルでもステレオでも録音会場のためか何とも言えない暖かい音がします。ピッツバーグ響という、超一流ではない地方オケがスタインバーグのもとでこんなにいい演奏をしていた、ということに妙に感動しました。協奏曲も含めていい演奏揃いで、本当に買ってよかったと思います。

パル さん | 茨城県 | 不明

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派手さは微塵もないけれども、極めて豊かな...

投稿日:2013/01/31 (木)

派手さは微塵もないけれども、極めて豊かな音楽。かつて実演にも接しましたが、その時は良さがわかりませんでした。今は、十分に分かります。

蜻蛉子 さん | 大阪府 | 不明

2

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