基本情報
内容詳細
●環境投資に巻き起こる逆風
政府、企業が地球環境を重視する政策に突き進む中、企業年金や保険会社など機関投資家はそれに乗り遅れまいと環境投資に走り、「責任ある投資」がブームになった。化石燃料企業を投資対象からはずす行為(ダイベストメント)は、優良投資家の鏡とされた。
ところが、2022年、大きな反動が起きた。環境株のパフォーマンスが落ち、石油株が選好される中で、環境投資の意味を問う動きが強まったのだ。米国では、フロリダ州で反ESG投資の声が大きくなり、ブラックロックCEOも「もうESG投資という言葉は使わない」と言い出した。新規の環境ファンド設定の動きも激減している。
そもそも投資の目的とは何か、環境対策と企業の成長は連動するのか、といった根源的な問いが世界を覆う。環境対策に突き進むと同時に投資パフォーマンス向上を目指す「二刀流」は成り立つのだろうか。環境投資の現状や、厳格化するルールなど世界の潮流を概観しながら、環境マネーの行方を探る。
●日本への影響は
2050年のカーボンニュートラルを目標に突き進んできた各国・企業は、環境関連にお金が回らなくなってきた現状に危機感を覚えている。環境問題対策は確かに「責任ある投資」ではあるが、一方でしっかり「儲かる投資」であることを改めて投資家にアピールする必要がある。
日本は環境投資に関しては、世界から何周も遅れた状況にあり、環境投資は緒についたばかり。しかし、こうした各国の動きは「明日は我が身」であり、これからの日本の環境マネーの動きにも参考になる。
【著者紹介】
山下真一 : 日本経済新聞社金融・市場ユニットシニアライター。1987年日本経済新聞入社。証券部記者、シカゴ支局長、証券部次長などを経て、東京編集局法務報道部長。その後、デジタルメディア局次長、副ユニット長。2020年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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