「私がホルヘ・カバジェロの演奏を体験したのは忘れもしない2007年にロサンゼルスで開催されたGFA(Guitar Foundation of America)でのゲスト演奏でだった。私はプログラムなどをチェックしないので、何の予備知識も無く席に着いたのだが、演奏が始まると徐々に心臓の鼓動が高まり「いま自分は何かとんでもない事に遭遇しているのではないか!?」との驚きと共にステージ上の演奏に集中していった。コンサートはバッハのオルガン曲BWV539の「プレリュードとフーガ」から始まったが、次に同じくバッハの「半音階的幻想曲とフーガ」の演奏に入るとこちらの驚嘆はマックスとなり、演奏を聴く集中力も極限までに高まった。そして続く山下和仁編の「新世界より」の演奏が終えられると、人生で舞台にここまで持続的に高く集中したことは無かったのではないかとの思いと共に(それはカバジェロの途切れない強靭な集中力にこちらが共振させられたのだが)熱狂に包まれた。
それからホルヘ・カバジェロを日本の聴衆に紹介しなくてはならないとの使命感に突き動かされ、2019年のEEIGF(イーストエンド国際ギター・フェスティバル)でそれは叶えられたが、今回2022年の来日と共にこのCDの録音が実現出来たことで15年来の使命を果たせた喜びに私はいま浸っている。内容については「ただただ一聴するべし」としか言えない。ここに最高のものがある。」〜樋浦靖晃 ギターリスト ※ライナーノートより(販売元情報)