
親しみやすい素材と凝った技法で聴かせるピアノ音楽
カステルヌオーヴォ=テデスコ:ピアノ作品集
アドリアーノ・ムルジャ(ピアノ)
【概要】イタリア生まれの作曲家、カステルヌオーヴォ=テデスコは、セゴビアのためのギター作品や、ハイフェッツのためのヴァイオリン協奏曲、ピアティゴルスキーのためのチェロ協奏曲などで有名ですが、自身がピアニストでもあったため、イタリア時代にはピアノ曲の作曲にも力を入れていました。このアルバムでは、イタリアの若手ピアニスト、アドリアーノ・ムルジャが演奏しています。
【作品】1910年から1936年の間に書かれた標題音楽からの選曲。ドビュッシーの印象主義やピッツェッティの厳格な対位法、新古典主義などを消化しながら、長く流れる旋律と多彩なリズム、流麗な対位法に基づく独特の洗練された語彙を持つ音楽をつくりあげています。
冒頭の「ピエディグロッタ 1924」は、1924年に新婚旅行で訪れたナポリの印象を狂詩曲に仕立てたもので、ナポリの祭りや夜の様子が多彩な音で描かれています。以下、どれも親しみやすいメロディーを用いながら、凝った技法で仕上げた内容となっています。
【演奏】アドリアーノ・ムルジャは、ロヴィーゴ音楽院の博士課程でカステルヌオーヴォ=テデスコのピアノ音楽を研究しており、カステルヌオーヴォ=テデスコの専門家ともいえる貴重な存在。
【録音】2023年12月と2024年3月に、イタリア中部、フィレンツェ近郊、プラートのムジカフェリックス – ベネッリ・モゼル・スタジオで収録。
【仕様】CD収録時間は約65分。装丁はデジパック仕様で、差し込みブックレット(英語・16ページ)には、音楽学者フェデリコ・フォリッツォによる各作品の解説などが掲載。EU製で、ディスクはメジャー・レーベルでもおなじみの独オプティマル・メディアが製造。
Piano Classics ・
Brilliant Classics ・
Berlin Classics ・
Neue Meister
作曲者情報
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ (1895-1968)
【略年表】(赤文字はCD収録作品)
◆1895年(歳):イタリア王国、フィレンツェに誕生。
◆1904年(歳):9歳で初めて作曲(ピアノ曲)。
◆1905年(歳):フィレンツェ音楽院のエドガルド・デル・ヴァッレ・デ・パーツ(1861-1920)からピアノの個人レッスンが開始。
◆1907年(歳):フィレンツェ音楽院に入学。引き続きエドガルド・デル・ヴァッレ・デ・パーツに師事。
●1910年(歳):「カルマ (ア・ジラモンテ)」、「9月の空」Op.1 作曲。
◆1914年(歳):フィレンツェ音楽院でピアノのディプロマを取得。
◆1918年(歳):フィレンツェ音楽院で作曲のディプロマを取得。ジーノ・モドナ(1851-1972)、アントニオ・スコントリーノ(1850-1922)、イルデブランド・ピッツェッティ(1880-1968)らが師で、アルファーノ、レスピーギ、マリピエロ、カゼッラらと親交を深めてもいます。
◆1918年(歳):カゼッラに注目されて国民音楽協会(のちのイタリア現代音楽教会)から支援を受け海外でも作品を紹介。
●1919年(歳):「船乗り」Op.13、「海藻」Op.12 作曲。
◆1922年(歳):サルツブルク(ザルツブルク)で開催されたれた国際現代音楽協会の第1回音楽祭に出品。
◆1924年(歳):クララ・フォルティ(1895-1989)と結婚。
●1924年(歳):「ピエディグロッタ 1924」Op.32、「四季」Op.33 作曲。
◆1926年(歳):マキャヴェッリ作品を題材としたオペラ「ラ・マンドラーゴラ」で成功。
◆1929年(歳):ハイフェッツからの委嘱で、ヴァイオリン協奏曲第2番 Op.66「預言者たち」を作曲。
●1930年(歳):「イルデブランド・ピッツェッティの名による幻想曲とフーガ」作曲。
◆1932年(歳):ヴェネツィアで開催された国際現代音楽協会の音楽祭でアンドレス・セゴビア(1893-1987)と交流。以後、生涯の友となり、ギター作品を100曲近く作曲。
◆1935年(歳):ピアティゴルスキーからの委嘱で、チェロ協奏曲 Op.72を作曲。
●1936年(歳):「テラス」作曲。
◆1938年9月、ムッソリーニ政権により人種法がイタリア王国で施行され、ユダヤ人の公職追放、財産剝奪、教育制限などが実施。
◆1939年7月、ハイフェッツとトスカニーニ、スポールディングらの支援を受けて渡米し、ニューヨークでの生活を開始。作曲家だけでは生活できないため、ピアニストとしても活動し、ニューヨーク・フィルなどとも共演。
◆1940年(歳):ハイフェッツの支援により、ハリウッドの映画会社MGMと契約を結び、映画音楽の作曲・編曲活動を本格化し、1968年に亡くなるまで継続。
◆1946年(歳):ロサンジェルス音楽院で作曲を教え始め、ジェリー・ゴールドスミス(1929-2004)、ジョン・ウィリアムズ(1932- )、ヘンリー・マンシーニ(1924-1994)、アンドレ・プレヴィン(1929-2019)、ネルソン・リドル(1921-1985)といった優れた人材を育成。
◆1946年(歳):アメリカ国籍を取得。
◆1958年(歳):ミラノ・スカラ座主催のカンパリ・コンクールで、オペラ「ヴェニスの商人」が最優秀賞を受賞。
◆1961年(歳):オペラ「ヴェニスの商人」がフィレンツェ5月祭で初演。
◆1968年(歳):ビヴァリー・ヒルズで72歳で死去。アメリカ生活29年目でした。
演奏者情報
アドリアーノ・ムルジャ (ピアノ)
【生地】1996年(歳):イタリア共和国、サルデーニャ島サッサリ県の景勝地アルゲーロに誕生。スペインの影響も強い独特の文化も残る地域。
【学業】2022年(歳):サッサリ「ルイージ・カーネパ音楽院ピアノ科を最優秀成績、優等学位、優秀賞を受賞して卒業。在学中の2020/2021年度に、ドレスデンのカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学に交換留学。2023年にロヴィーゴ「フランチェスコ・ヴェネッツェ」音楽院でロベルト・プロッセダに師事して修士号を取得したのち、ポルトガル、コインブラのアキレス・デッレ・ヴィーニェ国際音楽アカデミーで学んでいます。また、多数のマスタークラスも受講。
【賞歴】12歳で出場したモンテ・アクート・コンクールで第2位を獲得し、以後、ヴィットリオ・ナンナレッリ国際コンクール第3位、第10回ヴィラ・ラス・トロナス・コンクール第1位、サルドアール国際ピアノコンクール第3位など各地のコンクールで入賞多数。
【仕事】ヨーロッパやアメリカでソリストおよび室内楽奏者として演奏するほか、教育活動にも従事。
【録音】CDはPiano Classicsから発売。
トラックリスト (収録作品と演奏者)
CD 65'37
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ (1895-1968)
ピアノ作品集
ピエディグロッタ 1924 Op.32(1924) 19'46
1. 第1曲 タランテラ・スクーラ 2'32
2. 第2曲 夜と月 3'07
3. 第3曲 カラスチウナーテ 3'40
4. 第4曲 遥かなる声 6'14
5. 第5曲 ラリウラ!4'13
海藻 Op.12(1919)
6. 4'30
船乗り Op.13(1919)
7. 6'35
9月の空 Op.1(1910)
8. 4'18
カルマ (ア・ジラモンテ)(1910)
9. 2'21
テラス(1936)
10. 4'50
四季 Op.33(1924) 10'22
11. 第1曲 冬 2'32
12. 第2曲 春 1'16
13. 第3曲 夏 1'27
14. 第4曲 秋 3'05
15. 第5曲 エピローグ 2'02
イルデブランド・ピッツェッティの名による幻想曲とフーガ(1930)
16. 12'51
アドリアーノ・ムルジャ(ピアノ)
録音:2023年12月27〜29日 (トラック1〜8)、2024年3月27〜28日 (トラック9〜16)
場所:イタリア共和国、トスカーナ州、プラート、ムジカフェリックス – ベネッリ・モゼル・スタジオ
Track list
Mario Castelnuovo-Tedesco 1895-1968
Piano Works
Piedigrotta 1924, Op.32
1 I. Tarantella scura 2'32
2 II. Notte ‘e Luna 3'07
3 III. Calasciunate 3'40
4 IV. Voce luntane 6'14
5 V. Lariulà! 4'13
6 Alghe, Op.12 4'30
7 I naviganti, Op.13 6'35
8 Cielo di settembre, Op.1 4'18
9 Calma (a Giramonte) 2'21
10 Terrazze 4'50
Le stagioni, Op.33
11 I. Inverno 2'32
12 II. Primavera 1'16
13 III. Estate 1'27
14 IV. Autunno 3'05
15 V. Epilogo 2'02
16 Fantasia e fuga sul nome di Ildebrando Pizzetti 12'51
Adriano Murgia piano
Recording: 27–29 December 2023 (track 1-8), 27–28 March 2024 (track 9-16) Musicafelix – Studio Benelli Mosell, Prato, Italy