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1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/12/31
不勉強にしてJosquinとほぼ同世代のJean Moutonの作品に、実際接するのは初めてですが、The Tallis scholarsの名演のおかげで、初回ににしてこの作曲家の真価に十二分に触れる事ができたと思います。コンペールの曲によるミサは、堅実にして重厚で、やはり同世代のIssacのように夢見るような旋律をちりばめることはないですが、西洋音楽史上の多声音楽の一つの頂点としての通模倣様式を存分に駆使した佳品。さすがにJosquinに較べると、各声部の自由さと表現強度の強さは劣るかも知れませんが、フランドル楽派のポリフォニー・ミサを鑑賞する喜びは充分に得られます。ただ、おそらくMoutonの本領は、後半に収録されたMotetの方で、王妃の死を悼むQuis Dabitの深々とした時間、Ave Mariaの各声部が自由に飛翔しながらどこまでも音空間を紡いでゆく様など、テキストの内容に極めて則した掛け替えのない表現を実現しており、ルネサンスの隠れた名曲の数々と言えるのではないでしょうか。The Tallis scholarsを聴くのは、実は久しぶりなのですが、衝撃的なMissa Pange linguaで世界中に知られてはや四半世紀、おそらくメンバーも相当に入れ替わっているでしょうに、未だにこの質の高さを維持しているのは奇跡的としか言いようがありません。当時活動していた他の古楽合唱団のほとんどが、もはやいなくなった中でThe Tallis scholarsの存在は、自分たち古楽愛好家にとってどれだけ幸せなものでしょうか。個人的にはルネサンス盛期だけでなく、もう少し曲の時代幅を拡げて欲しいところですが、それは無い物ねだりなのでしょう。非常に地味で目立たない盤ですが、名演名盤と思います。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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3人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/11/16
おそらくポピュラー音楽史上、様々な意味で最も問題を抱えたアルバムではないでしょうか。自分のようなBeatlesを魂の拠り所と考える人間にとっても、これほど複雑な想いを抱かせる盤は、他にありません。正直、とても単純に好きという気持ちにはなれない...。40年近く前、初めてこのアルバム全曲に接した時の戸惑いは、今もって忘れられない。(当時)LPのあらゆる部分が無気力で覆われている。何だ、このやる気の無さは?何だこの中途半端さは?何だこの演奏の下手さは?...ミスが無い曲など皆無、途中で声を出すのをやめてしまうメンバー、神の曲と言われるLet it beにしても、あんなほとんど手を付けたばかりのようなアレンジで、世に出るなんて....Let it beの最後が、あんなにも陳腐な和音で投げ出されるなんて、Beatlesならばあり得ない....。一緒に歌ってても、ちっともハーモニーも対位法も何も無いI’ve gatta feeling、それは意図的な雑音ですらなく、ただすべてが「もうどうでもいいや」と言ってる音楽....。ただそういう状況に反して、それでもその素材の一つ一つは、どんな酷い状況で提示されても光り輝いて、間違いなく人類の遺産として後世に残るだろうと言う事...。この究極のジレンマを前にして、若い頃は正直、このアルバムを正視することができませんでした。ただ自分も歳を重ね、聴きかえして想う事は、此れ程に人間的なアルバムは全Beatlesのみならず、全音楽中でも稀であろうということ。それが音楽的価値を有するかどうかはさておき、この当時Beatlesの陥っていた状況、メンバーの人間関係、社会状況そのすべてが、この輝くような名曲の数々とどうしようもなくやる気なく投げ出してしまった演奏・アルバム制作の物凄いギャップに、余すところ無く詰め込まれている。Charlie Parkerが麻薬で意識朦朧となりながら残した凄演「Loverman」を連想してしまいますが、とにかく音楽が人間を写し出す芸術である以上、その特殊な形としてこのような人間ドラマを永遠に刻み込んだ点で、Paulの忌み嫌ったPhil Spectorはやはり偉大な仕事をしてくれたのかも知れない、と今は思います(Across the universeは複数あるVer.の中でやはりこの盤がベストと思う。ただSpectorの伝記作者が言うようにはLong and winding roadのアレンジはベストとは思いませんが)。JohnとGeorgeがその点を見抜いてSpectorを称賛したとすれば、彼らは自分たちをも超えて偉大だったでしょうし、またPaulが執拗にこのアルバムとSpectorの仕事を嫌い続けたのも、結局そのような物凄いギャップの中でこの名曲の数々を永遠に残さざるを得なかった状況に対するやるせなさに尽きるのではないでしょうか(その後のPaulの活動をみても、Paulがたとえ自分でやったとしても、もはやこの素材の数々をBeatlesとして満足のできるレベルにまで完成させることができないのは、自分で理解していたでしょうから)。せめてもう2年前なら、この素材でどれだけ凄いアルバムが完成されたか判りませんが、しかしながらそれに代わるこの、ずたずただけれども、あまりにも人間的で哀切に満ちたアルバムもまた、20世紀を代表するThe Beatlesのかけがえのない遺産であることは間違いありません。音楽史上、最も特異でしかもヒューマンなドキュメント・芸術の一つです....。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/11/14
ちょっと重みのない表現で恐縮ですが、良い意味でとても面白い演奏と思います。フランス組曲は、「パルティータ」に次ぐBachの傑作組曲で、演奏もチェンバロ・ピアノ双方に非常に多いですが、意外に名演と言えるものは少ない。A.Bacchettiのこの録音は、面白さという点ではチェンバロによるルセ以来かも知れません。ピアノによる多くのBach演奏は、過去30年近く、表面上Gouldの影響を受けてるけれど、その中味は一皮むけば19世紀を引き摺るロマンティックなものという、「ヒツジの皮を被ったオオカミ」的な演奏が横行しており、特にこのフランス組曲はその傾向が極めて強く、外面上の典雅さに惑わされない本質的な名演は数える程でした。A.BacchettiはGouldが亡くなった時、おそらく4-5歳、ToscaniniやFurtwanglerはもちろん、ひょっとしてKarajanの全盛期すらリアルタイムでは知らないような若さでしょうが、その演奏からは古典派〜ロマン派〜新即物手技に至る、18~20世紀のクラシック演奏伝統の影響がほとんど感じられず、さりとて反対の意味で表面上G.Gouldに引き摺られることも全く無く、全く新しい世代が自分の感性と自分の時代を背景に、まっさらの眼で音楽に相対してその魅力を紡ぎ出す自由さに溢れています。抽象的な性格も強いGoldbergと違って、もろ時代の制約を受ける組曲を多く含んでいるだけに、バロック音楽演奏としては問題もあります。特に傑作と言える5番、6番などは、ルネサンス〜バロック音楽の様々な舞曲とそのリズムが、さながら百花繚乱の如くに聴かれるので、Bacchettiの歴史的背景を(未だ?)充分に踏まえていない演奏では(この点でGouldがあの時代にどれだけ優れた歴史的感性を有していたかは驚くべき)、どうしても充分その魅力を明らかに出来ていない印象が否定できません。ただそれでも、どちらかと言えば地味な前半3曲の多彩で魅力的なことは驚くべきで、この若い奏者のBach音楽に対する適合性の良さと、リズムと声部構築の直感の凄さを感じないではいられません。未完成な部分は多いでしょうが、それでも、これだけ魅力的でBachの本質に迫り得るピアノ演奏は貴重と思います。Bachに傾倒される方なら、ぜひ一聴をお薦めしたいです。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。
5人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/11/12
このあまりに歴史的なアルバムについて、新しいことを言える人など数千、数万人に一人もいないと思いますが、自分にとって一番確かなことは、これほどに凝縮された時間の詰まった作品は、おそらくごく一部のJazzを除くポピュラー音楽史上これ以前にはなかったであろうし(自分は同世代人ではない。初めて聴いたのはBeatles解散後数年経過してからです)、これ以降現在に至るまでも自分の知る限り、無さそうであろうということ。「Sgt.Pepper’s...」の出だしの聴衆のざわめきから、「A Day in the Life」の最後の和音が鳴り終わるまで、あらゆる音、あらゆる静寂がピンと張りつめた濃密な時間の中に一個として完成されている....Beatlesがこの、濃密な時間を手に入れ始めたのはRevolver辺りからでしょうが、その完成形としてBeatlesのキャリアのある意味の頂点であり、同時にBeatlesという社会的存在がこれ以降、全く異なる局面に入り、それはBeatlesが体現した(若者)文化が新しい局面に入ったということでしょう。この作品が現れて以降、世界にとってロック、ポピュラー音楽、そして若者文化はもはや以前と同じではあり得なくなってしまった....その歴史的意味を前にしては、Johnを含むメンバーが後で何を言おうと、作品の比重がPaul主体であろうと無かろうと、また個々の曲がどうであろうと、何ら大した問題ではありません。「Sgt.Pepper’s〜A Day in the Life」という一つの「作品」の強烈な密度は、疑いなく20世紀が生んだ最も偉大な人類の音楽遺産の一つとして、個人的な好悪や思惑(Beethovenの英雄・運命が嫌い、と言ったってその歴史的価値が揺らぐことなど些かも無い!)などを遥かに超えて後世に生き続けるでしょう。今は亡きJohn,George、ひた向きにBeatlesを守り続けてくれるPaul,Ringoに、心よりの尊敬と感謝を捧げます!
5人の方が、このレビューに「共感」しています。
6人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/11/06
現在までに発売された正規盤のBeatles Liveは、これとCD化されていないHollywood Bowl Liveの2種のみですね。このBBC Liveはある意味、一般的な取っ付きは良くない。大部分カヴァー曲で、有名なBeatlesナンバーは少数。しかもカヴァー曲もアルバム未収録中心ですので、よほどBeatlesの初期をききこんでるか、あるいは50〜60年代前半のRock’Roll/R&Bに精通した聴き手でないと、この盤を正当に評価はできないかも知れません。かくいう自分もその資格があるか、甚だ自信ありませんが...。しかしながら、演奏内容はおそろしく質が高い。演奏は63〜64年中心ですが、Beatlesの演奏技術がどんどん上がって行った時期だけに、その演奏の見事さは既発売のスタジオ録音を凌駕してることも珍しくない。何よりもBeatlesのあの見事な自作曲の基礎に、これだけ広範な音楽的経験があることを実感させてくれます。既にアルバム収録されてたカヴァー曲についても、多くの場合、Beatlesの演奏はオリジナルを超えていることが圧倒的に多いのですが、おそらくこのBBC Liveのカヴァー曲の名演の数々は、50~60年台Rock’Roll/R&Bの最良の名演集の一つではないでしょうか。The Beatlesの音楽的価値の中心が、その唯一無二の自作曲にあることは議論の余地がないでしょうが、それを離れても演奏集団として、歴史に残る存在であったことを証明する貴重な記録と思います。
6人の方が、このレビューに「共感」しています。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/11/05
この盤は、自分たちのように、Beatlesを聞き続けて数十年、っていう人間よりも、全くBeatlesを知らない方が正当に評価できるでしょうね。たとえ入ってる曲が100%Beatlesのものであれ、作ったのが他ならぬG.Martin親子であれ、結局舞台音楽なのですから....。自分たち、隅々まで知っている人間にできる事は評価することではなくて、ショウが素晴らしかったという評判を信じる事と、Beatlesの音楽がどんな断片であれ、使われ方であれ、輝きを放っているという、当たり前のことを確認できて喜ぶ事ですね。でも、Sun kingの逆回転すらこんなに味わい深いとは....。何だかJ.S.Bach/フーガの技法を連想していしまいました。Bachの音楽がまさにそうであるように、Beatlesの存在すら知らないような土地・人々の中にも、日々彼らの音楽の断片はこれからも入り込み、親しまれて行くのでしょうね....。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/10/23
昔赤盤・青盤が発売された頃は、LP”Hey Jude”と並んで、アメリカ発売のシングル集+α(サントラ?)のような位置づけだったと思うのですが、内容はおそろしく質の高い楽曲・演奏揃い。ほとんどの曲の録音時期がSgt.Peppersと同時期なので、当然と言えばそれまでなのですが、とにかく一曲一曲の精巧に練り上げられた出来映えは、当時のポピュラー音楽界を一変させてしまったパワーに満ちあふれています。言うまでもなくアルバムとしてのまとまりは望むべくもないものの、全てが傑作揃いということでは、ある意味これほどのアルバムは稀かもしれません。Remasterされて曲の細部がクリアになればなるほど、隅々まで彼らの音楽構築の凄さが明らかになってさらに圧巻。絶対推薦です!
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/10/18
ミュージック・ウィーク誌(英)かビルボード(米)のいずれかでNo.1をとったナンバーのみのコレクション。従って名曲でも入ってない場合がありますが、全体として非常にバランスのとれたベスト盤の一つであることは疑いありません。他でもないBeatlesなのですから、他のあらゆるアーティストとは次元が異なり、これ一つで充分なベスト盤など、永遠に不可能。それくらい、名曲にきりがないのです....。わずか7年間で彼らが、20世紀の社会と音楽を変えて行く姿が垣間見れるでしょう。名企画と思います。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
6人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/10/14
おそらく複数のファンの方々同様、LP時代には手を出さなかった(若くて出す余裕がなかった)albumですが、CD、特にremaster後にまずiTunesでダウンロードし、目から鱗が落ちCD購入しました。もともとRevolverの曲である1、語るまでもない名曲ながらどこでも聴ける6、Beatlesの音楽に実質何の関係もない7~13を除いて、実質は2~5の4曲のみ!なのですが、その一曲一曲全てどれだけに素晴らしい作品であることか!Remasterされて細部がクリアになるにつれ、細く聴けば聴くほど、如何に彼らが音空間隅々まで神経を張り巡らせ、緻密に作品を構築して行ったかが判り圧倒されます。はっきり言ってこの4曲、もちろん他の多くのBeatles作品がそうですが、かけがえのない20世紀音楽の遺産の一部です。値段やコストパフォーマンスなど、考えるのも傲慢だったと自分を反省.....。当たり前ですが、ただただ素晴らしい!
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/10/04
この盤の衝撃的な発売とそれにまつわるごたごた(CCCD含めて)、さらに轟々たる賛否両論の騒ぎから、もう10年になるんですね。自分も密やかなBeatlesファンとして、少し熱に浮かされたクチでお恥ずかしい限りですが、現在その熱が冷めてみると、改めてこの盤の存在意義に思いが至ります。The long and winding road, Across the universe、他のnakedなバージョンの意味は、聴くものそれぞれでしょう。しかしながらGET BACKセッションがもし成功していたら、おそらくBeatles唯一の公式ライブアルバムが残される事になっただろう、と言う事は、このNakedが出てより現実味を持って考えられるようになったと思いますし、それは物凄くスリリングです。その意味からOriginalなLet it be(アルバム)の意義もまた違って考えられます。20世紀の音楽を根本から変えたBeatlesの、意義深い遺産の一つであることは疑いありません。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/10/04
後年のGramophone盤より入ったので、Milsteinの第1回目の無伴奏は初めてです。技術的には後年の録音に優るとも劣らぬ冴えであり、ハイフェッツに匹敵すると思います。言うまでもなく、極限まで磨き上げられた2回目の録音に較べると、演奏の彫琢・音楽の構築ではまだ未完成な部分も多いのでしょうが、これは2回目を既に知ってしまってるから言えるのであって、これを最初に聴かされたら最高!と思っても不思議はないか、と言うくらいのレベルの高い無伴奏です。一部、特にPartitaの舞曲において、やや現代らしからぬロマン的な表現が目につきますが、これは50年代前半という時代を考えると控えめと言っていいでしょう。基本的には自我を厳しく抑制して、音楽構造を直截に表現する、極めて客観的な演奏で、同時代のシェリングの1回目の演奏と並ぶ歴史的演奏であると思います。実は技術的に高く突き詰めても、どこまで行っても音楽の核心に入って行けない印象は、後年の盤とすでに共通する所かも知れませんが....。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/09/23
非常に誠実で、生真面目な演奏です。フランス風序曲や、ホ短調トッカータ、3声・6声のリチェルカーレなど、どちらかと言えば外面的な効果を狙い難い難曲揃いの選曲ですが、技術的には無論何の不安もなく、いわく付きの名器の美しい音色とあいまって、曲の本来の姿を鑑賞するにはもってこいの演奏と言えると思います。問題はこれらの技術的のみならず、曲の内容を掴む意味での難曲の場合、それだけでは不足に思う演奏がほとんどで、師のLeonhardtでさえ、晩年にさしかかるまでは達し得なかった部分が多いことを考えると、この盤の演奏にわずかに不満を感じるのは無いものねだり過ぎるのかも知れません。世界的な水準を充分遥かに超えた良演奏です。演奏内容とは関係ないでしょうが、今年ひそやかに世を去ったLeonhardtの、晩年および死に際しての貴重なエピソードが、師を心から敬愛する弟子でなければ決して書けない、哀悼に満ちた文章で切々と綴られており、このライナーノーツに関しては絶対に必読ものです!
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/07/07
圧倒的な名演と言えるのではないでしょうか。Paul Hillier/ The Hilliard EnsembleのOckeghem/Requiemは、古のPCAと並んで、オケゲムのこの傑作の古典的名盤であり、未だに超えるものの無い決定盤と言ってもよいものでした。Paul Hillierにとって2度目のOckeghem/Requiemは、男性のみで少人数による線の完璧な明晰さを実現したHilliard Ensembleのものと対照的に、女声がかなりの比重を占め、やや多人数によっています。当然、各声部の明晰さではHilliard Ensembleには及びませんが、それでも声部の独立性が完璧に保たれしかもそのバランスの理想的で明晰なことは、さすがです。しかしながら、最も重要なことは、Ockeghemの音楽の細部に至るまで、その旋律とリズムの意味付けを考え抜き、明らかにした結果、西洋音楽史上おそらく最も複雑で難解とされているOckeghemの音楽から、魂の底から揺さぶられる人間的感動を引き出していることで、やはりPaul Hillierという、歴史に残る古楽指揮者でなければなし得ないことと思いました。Introitusの終結部や、Offertoriumなど、あまりの感動に恍惚となってしまいます。Hilliard Ensembleの旧盤と事なり、グレゴリオ聖歌でなく、現代作曲家の聖歌と組み合わせていますが、実験的色合いは感じるものの、決して違和感はなく、Ockeghemの傑作の演奏法としては十分成立し得るものと思いました。長らく出会ってなかった、Ockeghem/Requiemの名演として、お薦めしたいと思います。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/07/03
J.S.Bachとの絡みで高名なマルシャンをまとめて聴くのは、恥ずかしながら初めてで、他の演奏との比較は全くできないのですが、後半のラモー初期の組曲含めて、おそらくこれ以上望み難い好演ではないでしょうか。一頃の才気煥発さは、全く目立たなくなったルセですが、ただ当たり前に装飾も控えめに奏でられるチェンバロは、年々軽みと深みを増し、その味わい深さは尋常ではありません。ちょっと聴いただけでは、何気ない演奏のように思えても、聞き込む程に、ルセがどれだけの時代、地域を音の一つ一つに内在させているかが実感されてきます。不満があるとすれば、あまりにも素晴らしいためにあっという間に終わってしまって、もっと聴きたくなることくらいでしょうか....。全く目立たない地味な内容ながら、疑いなく現在世界最高のチェンバロ演奏の一つとして、お薦めできます。ルセの今後の新譜がますます楽しみです。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2012/07/02
ピエール・ド・ラ・リューのRequiemは、自分も御他聞に漏れずシャルル・ラヴィエのLPで知り、それ以降にこれと言った演奏に出会わぬままでした。皆川達夫氏が絶賛されたラヴィエの演奏は、自分にとってはやや器楽に頼り過ぎて、曲本来の姿が見え難い面を感じ、美しさは認めても感動・愛着までには至りませんでした。それだけに、自分もCappella Pratensisの演奏に接してようやく、ラ・リューのこの高名な曲の真価に触れた思いがします。何と言っても、超低音域が売りの難曲を、よくここまで器楽無しで安定して歌い上げたと感心しますし、こうやって声楽のみで聞き通せて初めて、ラ・リューの、同時代のJosquinに較べると多声構造の充実度は一歩譲るけれども、情感が溢れんばかりの魅力が理解できます。名のみ有名なこのRequiemの現在お薦め出来る数少ない盤の一つではないでしょうか。惜しむらくはカップリングの、オケゲムのRequiem。この現存する最古のRequiemは、ラ・リューと反対にPCA,Hilliard始め古くから複数の名演に恵まれており、そういった過去の名盤のレベルにはとても達しない演奏です。公平にみれば、両曲平均した評価にすべきでしょうが、ラ・リューの好演は貴重なので、お薦めとさせて頂きます。
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