交響曲第4番、第5番、第6番『悲愴』 ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団(2010パリ・ライヴ)
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天然芝 | 秋田県 | 不明 | 2011年10月12日
まず冒頭に、映像が1080/24pとフィルム撮影っぽい仕様であることや、楽器のアップやクレーンカメラを多用して、かなり忙しいカメラワーク、クロスフェードを多用(かつてのカラヤンの映像作品を思わせる)することで、いささか臨場感や生々しさに欠ける点をまず指摘しておきたい。 演奏は、かの悪名高い(?)ウィーンのライヴよりは手兵のオケということもあり、ゲルギエフのやりたい放題なところも多く、特に5番ではテンポの振幅を大きく取った自己主張の強いもので、フィナーレのコーダでの煽り方などもかなり恣意的である。 「悲愴」は同オケとの優れたセッション録音もあり、そこでの直截な表現が好ましかったが、今回の演奏も比較的それに近い部分もあるものの、終楽章ではかなり遅めのテンポを基調に、クライマックスにかけて極端なアッチェレをしかけるなどかなり主観的な表現も見受けられる。 個人的に腑に落ちかねたのが4番で、全体に抑制的あるいは中庸であろうとする意識が強いのか、作品に対するゲルギエフの共感のようなものが伝わりにくいように思う。殊にフィナーレは落ち着いたテンポで始まり、第2主題の回帰で大きくテンポを落としたり、コーダでテンポを煽ったりするが、いまいちしっくり来ないところがある。(ちなみに4番だけは指揮棒・スコア有り) 総じて「ゲルギエフのチャイコフスキー」という期待度の高さに対して、肩透かしをくらう感が無きにしもあらずだが、現代のチャイコフスキー演奏として優れたものであることに間違いは無いと思うし、解釈については好みの問題もあろう。 また、ゲルギエフの強引とも言えるタクトに食い入るような団員の真摯な眼差しは感動的である。 なお、前述の映像仕様の他に音声の仕様がPCMマルチでは無く、DTS-HDであることも指摘しておきたい。 ※第1〜3番他も同時に収録されているはずなので、商品化を望みたい。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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