HDM (HMV × DESTINATION MAGAZINE) 【Vol.8】

HDM 〜 HD SELECTION

粘りっこいリズム、洗練された空間演出、抜けのあるシンセサイザー、
あらゆるジャンルを横断するSeiho の新作『ABSTRAKTSEX』

Day Tripper Records を主宰する彼からみた 2013 年のリアリティとはなにか


大阪のプロデューサー / Seiho はミュージシャンとしてだけではなく、Day Tripper Records という独立系レーベルの主宰としても活動している。弱冠 20 歳の注目プロデューサー / MADEGG による『Kiko』、LA ビーツの文脈を エレガントなタッチで汲み取っていく 2 人組 / doopiio による『Syrup Gang』など、一部を紹介するだけで音楽ファンならば食いつかざるを得ないような顔ぶれのフィジカル・リリースを請け負ってきたのが、Day Tripper Records=Seiho だ。

そんな彼が自身のレーベルよりリリースする待望の 2nd アルバム『ABSTRAKTSEX』だが、昨年 1 月に発表された 1st アルバム『MERCURY』がジャズを基本としたサウンド・プロダクションだったのに対し、本作ではフォーカスの幅を大きくし、広 義の意味でのソウル・ミュージックをテーマとしている。彼が幼少期に好んでいたというアシッド・ジャズなどのエッセンスを取り入れ、現代 のエレクトロニック・ミュージックの感覚と彼のフェティシズムでそれらを見つめなおし、彼のコードとメロディで展開していく。 初心者にも 音楽ジャンキーにも優しい、コンテンポラリーとノスタルジアが同居する音楽だ。

そして、これから本作を聴くという人に忠告がある。本作の 収録曲でもあり、昨年、大きな話題を呼んだ楽曲「I Feel Rave」は『ABSTRAKTSEX』の中心を成してはいないということだ。『MERCURY』が「惑星への小旅行」というコンセプト・アルバムだったの に対し、本作は「2013 年のリアリティ」がテーマである。前作から流れた 1 年 4 か月という時間の間に彼が経験してきたことを総決算し た、彼なりの “アンセムを構成する分子の展示場”なのだ。「I Feel Rave」は『ABSTRAKTSEX』においては、浮いている存在である。何故なら、それはあくまでも彼にとっては “アンセムの分子” の一つに過ぎないの だから。彼の見つめる先には確実に何かおもしろいことが待っているはずだ。それが興る “現場” を目撃するための『ABSTRAKTSEX』 という名のパンフレットを、クラブで広げるも良し、パソコンの前で広げるも良しである。

文 ● 音楽ブログ「Hi-Hi-Whoopee」管理人/ @hihiwhoopee

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