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DJもちお さんのレビュー一覧 

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     2021/07/28

    日銀副総裁を5年間務めた著者による日本における格差社会の現状とその解決策を提案する一冊。
    日本の格差が拡大した理由として、まずは失われた20年の話から始まる。ここの話は著者の兼ねてからの主張どおり、バブル崩壊後に金利を引き下げる必要があったのになぜか金利引き上げをしてしまって以降、ディスインフレ政策をひたすら継続し続けた20年。この間に就職氷河期を迎え、世期非正規雇用という身分制が出来上がった上、非正規雇用であるがゆえに所得が明らかに少なく、貧困世帯の増加と婚姻率の減少という現在の日本社会の難点の一因となっている。
    ここまでの議論を踏まえ、ここ数年で話題となっている日本の労働生産性が他の先進国と比べて低いことに関する原因分析を行う。ここでは政府の成長戦略会議の委員であるアトキンソンの主張に批判を加えていく。労働生産性自体の算定があまりにいい加減であること、為替レートで変わってしまうこと、さらに景気≒インフレ率で大幅にプラスとなることから、アトキンソンの主張は容易に論破できる。ラーメン一杯の価格を比較すれば簡単に分かることだが、アメリカでラーメン一杯食べると、日本に2倍はするが、日本とアメリカの接客含めて2倍の価値があるかというとない。このような指標をもってして、中小企業の淘汰を進めるのは論拠が弱い。
    労働生産性の議論に続くは、日本型格差の打開策を提案する。インフレ目標の維持、緊縮財政の否定、社会保障の充実、過度の中小企業有利な制度の廃止、年金制度の見直し、その他所得に対する累進税率の導入等想像以上に範囲が広い。90年代後半からインフレ目標を訴え続けた著者の主張であるため、いつかは実現してほしいとは思う。
    本書で惜しいのは、アベノミクスの第1の矢、金融政策は完全雇用を達成できたものの、インフレ目標2%にはほど遠い結果となっている。これを消費税率の引き上げとしているが、日銀サイドでももっと何かできなかったのかという点について触れてほしかった。また、第2の矢、積極財政の点についてももう少し触れてほしい。他のリフレ派の論者が各媒体で主張しているのでそちらの参照でもいいのだが、財務省を中心とする緊縮財政に関する積極的な否定も必要である。
    ということで、新書にして読み応えたっぷりの一冊なので、万人にお勧めです。

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     2021/07/24

    プロパガンダとは「目的を達成するために、自分の意思を他者に強要する宣伝手段」として、いかに現在の日本はこの運用が下手か、三河武士団の史実とその史実を説明する際のプロパガンダを比較して、過去の日本人からプロパガンダの手法を学び、現在の日本の外交を考えるというのが主な内容である。第二次安倍政権に対する手厳しい評価もあり、読み応えたっぷりの良書。

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     2021/07/22

    プロ素人野球評論家として、ダルビッシュ有や千賀も認める著者によるセリーグとパリーグの違いを語る一冊。本書で特に面白い着眼点が監督のWARである。野手と投手のWARに基礎勝利数を足したものと実際の勝利数の差が監督の手腕として評価する指標で、この指標がいいのがロッテを率いたときの伊東監督とラミレス監督というのが実感とも合ってるという面白い指標である。タイトルの答えもシンプルに記載されており、その答えはとても常識的なのも納得感はある。

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     2021/07/21

    ジャパニーズウィスキーの歴史を遡って、日本でのウィスキーの起源から直近に至るまでの何度かのウィスキーブームと人気低迷を丁寧に追っていく。ウィスキーの基礎知識として、ウィスキーの製造方法や世界5代ウィスキーの説明、さらには近年増えてきたクラフトウィスキーにウィスキーの兄弟ともいえるジンについても知識を得ることができる。日本の国内消費は83年をピークに減少傾向が続き、ハイボールブームから始まる近年の人気回復もピーク時の4割程度しかなく、中国を中心とする輸出の増加による一部ブランドの品薄が続くという状況の中で現在のジャパニーズウィスキーの課題として、生産場所に関する規定がないこと、醸成に関する決まりもないこと、醸造比率が9割まで許されていることの3点を指摘の上、品質を担保するための規定の必要性を説く。まさにタイトルどおりの一冊だ。

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     2021/07/21

    南海、ヤクルト、阪神、楽天と4球団で監督をした野村氏がその中でベストナインを選ぶというある種贅沢な一冊。選定された選手たちとの個別エピソードが面白い。

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     2021/07/17

    コロナを機に時代が先に進み、必要な人材がメリトクラシーからレジリエンス、柔軟性の時代に移行した中で旧態然としたアナログ人事にAIを使いながら時代に合わせていこうという一冊。読んでるとふむふむという感じだが、何かがこう残るかというとそうでもないが、読んでも損もない一冊。

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     2021/07/17

    アメリカ人の知識層が365の話を7つのジャンルから選ぶとこうなるかというのが分かる一冊。体感的な割合としては、アメリカ7割、英国2割、その他1割くらいで需要なものから最初に来ているのか、よく分からない並び方なのだよな。例えば、スポーツの区分は野球選手が多くて、アメリカとカリブ海に東アジアくらいしか野球に興味ないよねと思ったり、映画なんかもリュミエール兄弟、グリフィスときたら、ハワードヒューズが次に来たりと、時代もよく分からない並び。トイレにでもおいて、用を足している間に1話読むような使い方はできる一冊でもある。

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     2021/07/17

    インテリジェンス機関の必要性、重要性とその危険性を考慮しながら、国防を考えようという本だ。その前提となる知識の整理として、レーニンが打ち立てた敗戦革命を実現するコミンテルンによる資本主義国家同士の争いと国家の乗っ取りが実現した結果、バルト三国やポーランドに訪れた悲劇の歴史を説明し、同盟国であった英米はその過程でポーランドを結果として見殺しにしたという事実から同盟国頼みでは国家を守り切れない可能性を説明する。近年の欧州ではソビエト時代の悪行を戦勝国であるかを問わず国家的な犯罪として見直されており、英米仏独を中心とするロシアに対する反感もそこから来ているというのが分かる。左右のスタンスを問わず、一度は読んでおいたほうがいい一冊。

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     2021/07/13

    山形浩生といえば、クルーグマンの翻訳者、ピケティの大ヒット本の翻訳者であり、アベノミクスによる経済の復活に大きく貢献したリフレ経済派に90年代の終わりから関わっていた一人者であり、この20年間の悪戦苦闘がこの本には記録されている。高校時代に新教養宣言を読んだ身としては、10代にこそ読んでほしい本。実はこの本を通読しておけば、日経新聞なんてざ、財務省のいいなりにしか見えなくなるよ。

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     2021/07/04

    チェーン店はまずいと思いがちだが、むしろチェーン店は安くておいしく、その裏側を論理をもって説明する一冊。サイゼリヤのメニューにはじまり、デニーズやガストの比較、さらにハンバーガーチェーンや牛丼チェーンに至るまで、主要なチェーン店を網羅してくれる。特に、長々とサイゼリヤのメニューがいかにいい素材を安く提供しているかの下りを読むだけで、食のプロからみてもチェーン店の凄さが伝わる。

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     2021/07/04

    この本は財閥の歴史と現状、財閥ごとの特徴を網羅的に放り込んだありそうでなかった本。資料の寄せ集めをそのまま書籍にした感じなのだが、財閥系の横のつながりがよく分かるので、取引先に財閥系があって、その担当となる場合にはこの本の該当部分を読んでおくと役に立つ。

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     2021/07/03

    ワインの教科書の決定版。白、赤、ロゼの違いとそれぞれの作り方に始まり、産地別の詳細な情報、王道の飲み方と新しい楽しみ方に自宅での保管方法に至るまでワインに関するほとんどすべての情報が濃縮されている。一度通読の上、辞書替わりに使うもよし、適当なページを開いて熟読するもよし、この値段で一生にわたり楽しめる一冊。

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     2021/07/03

    2000年初頭に著者はネーション−資本−国家が結びついた現在の世の中に対抗すべく、ニューアソシエーション(NAM)運動を立ち上げた。この運動はあっという間に瓦解し、立ち上げた当人は終了を宣言、それから20年くらいたってのNAM運動の説明と現在の著者のスタンスが本書の内容である。
    現在の社会は資本が強くなり過ぎた結果、格差の拡大に歯止めがかからず、かつてのような国家による再分配も政治家の大統領化により短期的な人気投票になってしまう以上期待しずらい。そこで、個人でも国家でもない、中間組織が重要性となってくるが、構成員にとってはこの中間組織が地に足のついたもので実用的、かつ生活を豊かにしてくれなければならない。が、これを実現するには汗をかく人間が相当数必要で、しかも、地域通貨なんかやろうとしたら技術的にも法律的にも途方もない労力が必要である。かつて失敗に終わったNAM運動にはこんな人材がいないのが最大に問題であったのにこの点に対する言及がなく、自分は思想家でございます、単なる理想だけを語るに過ぎないという感じが腑に落ちない。
    本書の後半は日本におけるデモの効用であり、デモがあるからまだ日本社会は健在、なぜなら運動を実践しているからだという論法である。
    これ、現在の思想書として読むには内容がアレだし、ファンのための一冊だな。

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     2021/07/02

    実話をベースに銀行内部の権力争いを描いた一冊。銀行の内部争いの恐ろしさが分かる一方、この労力をビジネスの拡大につなげないところが今の地方銀行の衰退の一因となっていることも分かる一冊でもある。2時間尺のドラマや映画の原作にちょうどいいかも。

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     2021/06/30

    この本で特筆すべきはサラ金誕生前の高利貸しから2010年代に至るまでの歴史を丹念にたどっている点とサラ金の貸す側と借りる側の双方の観点を公平に論じようとしている点である。また、家計の日本近代史ともいうことができる視点も珍しい。高利貸しに始まり、団地金融からサラ金へと業態が変わり、何度かの業態の拡大とそれに伴う社会問題化を経て、2006年法律改正によるグレーゾーン金利の廃止に至るまでをたっぷり読ませる。この手の新書はどちらかの一方的な主張を恣意的なデータを持ってきて話をするも多いが、どちらかというと、データをそれほど多くは引っ張ってこずに貸す側の事業としてのお話と借りる側の当時の社会事情から、サラ金が世の中の需要を捉えた事業であると評価している。
    なかなかのボリュームで新書が乱立する前のような読み応えのある力作でもある。これは2021年に刊行された新書の中でも白眉の出来栄えだ。

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