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1 people agree with this review 2011/03/06
この美人女流は意外にも力強いテクニックとオーソドックスな表現による正攻法でリストに挑んでおり、聴いていて実に安心だが、ピアニスティックな魅力にはやや欠ける。これには音像が肥大化し、強奏で混濁気味な録音にも原因があると思われ、非常に残念だ。
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6 people agree with this review 2011/01/17
毎度ウィルキンソンネタで恐縮だが、ワルトシュタインと告別がウィルキンソンで、テンペストはウィルキンソンの一番弟子であるダンカーリーによる収録である。しかも録音会場はすべてキングスウェイホール!アシュケナージの演奏は、いつものように常識的で優等生の域を出ないが、録音が演奏の格をグイと高めている。ここではフェルトハンマーが3本の弦を叩く際の打撃音と、それと同時に発生する弦の振動、そしてその振動が鍵盤を通してのピアニストへのバックフラッシュとともに、スタインウェイのボディを伝って、共鳴板で増幅され、キングスウェイホールのやや脆弱な木床に伝っていく様が、身の毛がよだつほどリアルに収録されている。ダンカーリーによるテンペストも御大よりもやや細身ながら、信じられないほど高レベルのトランスペレンシーを聴かせてくれる。本当に素晴らしいディスクである。
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1 people agree with this review 2011/01/17
このディスクの魅力は7番と23番の録音場所とそのエンジニアである。クレジットにはロンドンオペラセンターでの、ウィルキンソンとムーアフットによる収録とあるが、この録音の直後にかの有名な「超絶技巧練習曲」が、同じくオペラセンターでムーアフットによって収録されている。つまり超絶技巧練習曲は、本ディスクでウィルキンソンからマイクセッティングを教わったムーアフットが、忠実に業務を遂行して生まれた結果だったのである。当然本ディスクでも超絶技巧と全く同じサウンドステージが展開される。豪エロクァンスのリマスタリングも丁寧でオリジナルマスターを忠実に再現しているように感じられる。ちなみに8番のみエンジニアが異なり、録音の質もガクンと落ち、演奏の質まで落ちたように感じる。否、ウィルキンソンの録音がアシュケナージの凡演を芸術の域まで高めたのである。
8 people agree with this review 2011/01/17
このアルバムの素晴らしさは、アナログ絶頂期に、当時円熟期にあった伝説の名ミキサー、ケネス・ウィルキンソンが、メディナ・テンプルより音響に優れた(但しシカゴから遠かったため1シーズンで使用中止になった)クラナートセンターで収録したこと、そして楽譜に書かれた音を忠実に鳴らすことにかけて、当時最高の技術を有していたショルティ、シカゴSO、アシュケナージによる演奏であること、この2点に尽きる。リスニングルームに再現される原寸大のサウンドステージと、真珠のようなマットな輝きを放つスタインウェイの高域のトーンの魅力に関し、本ディスクを凌駕するものは今後も永久に現れないような気がする。
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5 people agree with this review 2011/01/02
冒頭から不自然かつ恣意的なアゴーギクとディナーミクにうんざりしてしまう。それにやたら腰高でキンキンと耳障りな録音が聴覚と脳神経をズキズキと刺激する。相当腕は達者で腕力もあるので、もっと自然体で弾けばいいのにと思うが、とにかく人と違うことをやりたい性格なのかもしれない。全曲満遍なくギクシャクした落ち着きのない演奏であるが、なぜか「幻影」一曲だけは素晴らしい。いきなりffで始まり、テンポもほとんど動かさず最後まで大音量を貫き通す演奏は真に巨匠的。シフラ以降様々な超絶技巧を聴いてきたが、最近はこのような不自然な演奏が多いのはなぜだろう?早速アシュケナージやボレットで口直しをせねば・・・。
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5 people agree with this review 2010/12/03
名盤の誉れ高いディスクだがまず録音が良くない。トーンマイスターは名匠ヴィルトハーゲンだが、異国の慣れないシンフォニーホールの音響に苦労した模様で、近接マルチマイクによるドライな音にうっすらと長い残響が付加された異様なサウンドステージはなんとも不自然である。ク−ベリックの演奏もpomika氏の指摘にある通りなんともよそよそしく、モルダウ冒頭の木管にも詩情が感じられない。個人的にはバイエルンとのライブを所有している人にはお薦めできない。
5 people agree with this review 2010/11/27
待ちに待った正規盤の登場であり音質も最上級だ。この音質ならSONYのセッション録音と互角であり、8番のセッション録音を残さなかったことに対するクーベリックファンの残念さも一気に解消されるだろう。私もようやく海賊盤とはおさらばだ。
2 people agree with this review 2010/10/22
冒頭のモーツァルトから「いったい何が起きたんだ」と思わせるほど崩れており、思わずCDを最初から聴き直してしまったが、同じように崩しまくるハイドシェックが楽しんで崩すのに対し、グリモーは狐憑きになったかのようなトランス状態で崩れるところが決定的に違う。とにかく崩しながらも、センスの良さと格調の高さを維持しているところが見事!リストも同様に神がかった巫女を思わせる即興的かつ献身的な演奏だが、本曲にはツィメルマンのような、超絶的な指の周りと強靭なダイナミクスで聴かせる凄演が頂点にそびえており、これと比較するとさすがに分が悪い。しかしながらポリーニやブレンデルのように眠気だけを提供する凡演とは根本的に異なり、深い楽譜の読みと微妙なタッチの変化により、一気に全曲を聴かせる魅力を持っている。録音はやや線が細く、強靭な迫力には欠けるが、音自体は十分にフレッシュでグリモーの魅力を余すところなく捉えている。
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3 people agree with this review 2010/09/23
もともとのCDも4D仕様であったため、本SACDは全く期待しないで購入したが、良い意味で裏切られた!90年代始めのDGの21bit録音にここまでの情報量が収録されていたとは驚きだ!ツィゴイネルワイゼンの冒頭、楽音が出る前にムジークフェラインの暗騒音が聴こえてきたのにまずビックリ!ツィガーヌも冒頭のムターのソロをオケの団員が息を潜めて聴き入っている様が手にとるようにわかる。ムターの技巧のディテールがしっかりと聴き取れるし、ウィーンフィルのむせぶような濃い音色等も従来のCDではけっして聴かれなかったものだ。これはマストバイディスクだ!
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5 people agree with this review 2010/09/23
本SACDは4DのCDとは全く別ものの高音質だ。ホールの暗騒音や残響成分といったサウンドの実在感に大きな影響を与えるミクロ情報の量がケタ違いに多い!巷では評判の高い本演奏にずっと懐疑的な印象を抱いていたが、SACDを聴いてこの演奏の凄さを初めて認識できた。ディスク2枚へのカッティングも大正解だ!
4 people agree with this review 2010/09/15
青少年の冒頭のバスドラムの一撃はド肝を抜かれる思いだ。ホールの最上席で聴く超リアルサウンドで、キース・ジョンソンのベストジョブと言っても過言ではなかろう。演奏も正確かつ緻密で、アルバムとしての完成度は申し分ない。マストバイの一枚だ。
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2 people agree with this review 2010/08/28
デッカのジョナサン・ストークスによる収録で、スタッフには新忠篤氏の名もクレジットされており、デッカと元フィリップスのクルーによるコラボレーションサウンドだと思われる。日本でのストークスの録音では過去にデュトワ+N響のセッションがあったが、音の分離や明瞭度、ホールトーンとのブレンド感において、本最新録音に軍配があがる。3日間のテイクから編集されているらしいが、ライブの制約を全く感じさせない素晴らしい出来だ。なお、会場ノイズがほとんど感じられないのに、最後にだけ盛大な拍手が入るのにはギョッとさせられる。演奏は小澤の得意ナンバーだけに堂に入ったものでブラームスは充実した重厚な名演だ。
1 people agree with this review 2010/08/28
オケ、独唱、合唱とも従来盤とは比較にならない分離の良さで、音場の左右への広がりも大きい(DGの常として奥行きは相変わらず浅いが)。同シリーズでは同じくヘルマンスがVPOをムジークフェラインで収録したカラヤンのドイツ・レクィエムがあり、そちらは分離、溶け合い共素晴らしいサウンドを聴かせてくれたが、71年収録の本録音ではマルチマイク化が進んだせいか、分離し過ぎているように感じる。また高弦やソプラノの音域がやや強調されているので高域のイコライジングは必須だ。
ヒスノイズや、高域のピーク感が上手に処理されており、59年録音とは思えないナチュラルでフラットなサウンドに生まれ変わってるが、これがオリジナルのマスターテープの音かと問われると(もちろん聴いたことなどないが)少し違うような気もする。同曲には優秀録音のライバルが無数に存在するのに、なぜ敢えて古い本録音をこの高音質シリーズに選んだのか理解に苦しむ。なお、曲の終わりで残響が残っているうちにフェーダーを下げているのも興ざめだ。
1 people agree with this review 2010/08/12
VPOとの悲愴は初出当時のレコ芸で、病欠の大木正興氏の代役として協奏曲部門から応援に駆けつけた宇野巧芳が「最高に美しい演奏」として大木氏ではけっして考えられなかった「推薦マーク」をつけ話題になったディスク。CDではなかなか再発されなかったのでずっと探していたのだが、こんな形で出ていたとは!演奏は数ある悲愴のなかでも本当に最高の美音に満ち溢れたアバド渾身の名演!本当に惚れ惚れするようなVPOのサウンドを、当時のDG特有のマルチマイクが見事に捉えきっている。相変わらず奥行きに乏しいが音は十二分にフレッシュ!
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