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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/04/17
デビュー作なのにイキナリ「死のうと思っていた」からの書き出しは出鼻をくじかれる。それは好きな女性の排泄行為を見せられるくらいショッキングだ。 芥川賞を逃した「逆行」はイマイチだが、相変わらず自身の生い立ちや自殺未遂のことをネタにしてエンターテイメントしている。太宰は果たしてこのような自虐を楽しんでいたのだろうか???どうも僕は彼がマゾヒストには思えないのだが…… か、と思えば「猿が島」のような小学生でも読めるような短編もあったりでこれ一冊で太宰の才能と奥深さを知るのには充分だと思う。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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この行間から溢れかえる喪失感は何なのでしょう? 話自体は恋人でもない男女三人が一つ屋根の下に住んでいるというオーソドックスなもので(経験上、こういう場合、女はどっちかとやっている場合が多い)、特に新鮮味はない。ちょうど、九十年代初頭にはこういうフリーターははいて捨てるほどいた。 なのに、こう、チクチク痛む読後感だ。 それはこの先の三人の行方が決して幸せとよべるものではないからなのかもしれない。事実、「自分探し」のなれの果ての三十代中後半を見れば一目瞭然だ。もしかしたら著者はそういう時代を読んでいたのか? もしこれが著者のただのひらめきであるとするなら何でもないが、故意だとすればとんでもない才能である。
抒情的で旅情をくすぐられる名作であることは間違いないのだが、展開がぬるいというかぼけている。特に会話が退屈だ。おまけにオチもないし、三島さんによる解説の「よいしょ」にも反感をおぼえる(まぁ、「師」なので仕方ないのであろうが……)。 やはり、川端先生のベストワークは「みずうみ」であろう。
十年前に最初に読んだときは「何をゆうとるんじゃこのおっさんは!」と一笑したものだが、最近、読み直してみて、すごく的を得た日本人論だったので「へぇぇ」と思った。 「有史以来、権力者は天皇の威光を利用し続けてきた」だなんて宮内庁や「ミギのおじさん」から怒鳴りこまれても文句言えないようなことを平気で書いているのだが、これだって正論すぎて再び「へぇぇ」である。 このところ、『国家の品格』の正論の日本人論にも舌を巻いている僕であるが、安吾の日本人論にも意見を同じくするところが多い。 ほかにも太宰や志賀直哉や織田作之助といった同年代の作家に対する批評や交遊録なんかも書いてあって面白い一冊だ。
綿矢りさなんかもそうだが、最近の若い作家さんというのはこういう、無気力で無機質な作品を書きたがるものなのだろうか??? これといって何の特徴もなさげな二十歳のヒロインと七十歳のばあさんが同居したって退屈なだけだろう。事実、四季は巡っても普通すぎて欠伸が出る。 選評では慎太郎さんも龍さんも宮本輝さんも皆、本作の一点買いだった(詠美さんだけが唯一、僕の意見に近かった)。もしかしたら五十歳過ぎないとこの作品のよさはわからないのかもしれない。
町田氏は「どうでもいいことに命を懸けているろくでなし」を書かせたら日本で右に出るものがいないが、それを極めている作品が本書だ。 特に「人間の屑」の坂本清十郎にはついついエールを送りたくなるくらいシンパシーを感じる。堕落を極めた人間を言うのはこんなにもすがすがしいものなのかなぁ、とよからぬ賞賛を送りたくなる。 表題作も秀逸。 メルヘンを書こうと無駄な遠回りを続ける主人公のサマがナイスだ。ベリークー!
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2021/04/17
金閣寺の美しさに見惚れ、嫉妬し、身を滅ぼしてゆく学僧の転落の軌跡を当時まだ二十五歳だった三島さんが見事に描ききっている。 放火するまでの学僧の心理状態の移行やそれに伴う伏線の張り方は見事としか言いようがない。僕ならば金閣と心中させる話にするのだが…… やっぱり、この落とし方のほうが効果的なんだな。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
砂の底二十メートルで延々と砂掻きをやらされる男と女。すでに覚悟を決めている女と脱走を試みジタバタする男。まさに窮地に立たされたときの男と女の態度そのもののようで思わず笑ってしまう。 今までこのような凄い才能を知らなかった自分の小ささと大海の大きさを痛感した作品。 そして読後すぐに鳥取砂丘に行きたくなる単純なオイラw
うまい。 だけどそれだけ。 感動がない。 いうなれば、ハセキョーや上原多香子といった美人な以外何の撮り得もない女性を見ているようなそんな作品だ。 石川達三が「志賀直哉が二流の小説家」だと言っていたのはそういうことなのか。
ロシア残留孤児という難しい問題を題材としている。しかも、舞台はモスクワではなくエカチェリンブルグというロシア通じゃないとわからないようなウラル地方の都市。なかにしさんの取材能力とこの本を書き上げようとする情熱にただただ、舌を巻くばかりだ。 自分の小説もそうだが、最近、救いのない作品の多い中、このように艱難辛苦の末の幸福な結末はなんとか希望を持とうとする事が出来る。日本での再会のシーンでやっとニーナの戦争は終わったのだ。 不幸に向かっていることなどわかっているのにそれでも止められない激しい恋。その果ての裏切りを知った時の絶望のたった百分の一ではあるが読者にもちゃんと伝わってくる。最近、こういう悪魔が天使にみえるような一途な恋をしてないよなぁ……薄汚れた僕が浄化されたがっております。
サラリーマン時代、京都人の上司とどうも折り合いがよくなく、「でも一応、仕事だしなぁ」と思い、少しでも京都を理解するために何冊かの京都本を読んだのだが、本書が一番わかりやすく、一番まともだったと思う。 立て箒の意味とかうまい値切り方とか生かすも殺すと噂しだいなところとか「なるほどなぁ」と思いながら読んだのを覚えている。著者自身も生粋の京都人ではないので行間から色々、苦労してきた軌跡も伺えた。 だけど、結局、底意地の悪い「京都中華思想」を正当化しているような気がして「共感」を覚えるところまでは行かなかった。なので星は二つ。
はっきりいって面白くない。 普通の女の子が普通の話を書いていったい、何が面白いのだろうか?まったく、新鮮味もへったくれもない。 同じ若手の女流作家でも金谷ひとみだとあのふてぶてしさが却って、爽快だったりするのだが、ただダラダラと展開していく話(「インストール」も似たパターンだ)はひたすら退屈だ。 しかも、これが芥川賞受賞なんて、文壇では俵万智いらいの「?」だ。 要は「お嬢さん。小説は世間とセックスと悲しみをちゃんと知ってから書きなさい」ということだ(金原さんみたいにね)。 ちなみに僕がこのようにこきおろしているのは彼女が京都人だからじゃない。単純に作品がつまらないからだ。
向田さんのエッセー集を初めて読んだのは実は昨年のことなのだが、一ページ目から溢れんばかりの文才を感じた。特に昔話の記憶の正確さと映像が見えてくるような描写にはただ、驚くばかりだし、「ご不浄」など至る所に「昭和な言葉」が出てくるあたりは逆に「クール」だ。旅話もゾクゾクするほどに面白い。 本書を読むとテレサテンにしてもグレスケリーにしてもそうだが、本当に「美人薄命」という言葉の意味が恨めしい。 これはファンの間では言わない約束なのかもしれないが、もし向田さんが現在、生きていたら橋田寿加子のオバハンはあんなにいばっていられなかったはずだ。
本書は太宰が遺書代わりに書いたという認識が一般的だが、僕はそうは思っていない。これから死のうという人間がこれだけ自虐的に己の恥をさらすことをエンターテイメントにするだろうか? 恐らくは、ネタに困っていたのだろう。それで「もう、書いてまえ!大庭葉蔵は死ぬことを匂わせていたほうがおもろいやんけ!」という太宰一流のサービス精神だったような気がしてならない。遺作になった「グッドバイ」だって読み方によってはお笑いだ。 別に太宰が陰気で(まぁ、あれだけ浮名を流す時点で陰気ってことはありえないでしょうが……)破滅型の天才であったかどうかなんてことはどうだっていいことだ。僕は太宰と伊丹監督とXのヒデはいまだに自殺だとは思っていないというだけの話だ。 「人間失格」も名作だが、僕は併録の「桜桃」も好きだ。「桜桃をいかにもまずそうに食べる」という箇所はハードボイルドだなぁ……
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